#1201 ヴァーラキリヤ山
タクシャカ遺跡に集結した俺たちは山の攻略に向かう。別動隊は村の護衛をしている。俺が今回山攻略に選んだメンバーはコノハ、ロコモコ、エアリー、コーラル、ジークだ。今の状況でリリーたちを呼ぶとアーレイが非常にいたたまれない状況になるので、配慮した。
今回の攻略で一番積極的だったのがアルさんである。その理由は明白だった。
「ガルダがいるというならこの山はホークマンたちの故郷である可能性が高いですからね。専用装備とかちょっとだけ期待しています」
「確かに期待しちゃいますよね」
「あの…タクトさんはどうしてエアリーさんの背中で寝ているんですか?」
「ちょっと疲労しちゃったので、この山の攻略はみんなにお任せ状態なんです」
シルフィはやる気満々でジルニトラ、ウェルシュドラゴン、タラスク、ロードガーゴイル、スターペガサスだ。
「相手がホークマンの神なら全力で挑まないと失礼ですから」
ドラゴンをぞろぞろ引き連れてガルダの山に登るのは失礼じゃないんだろうか?俺は普通に侵略しているように思います。まぁ、話せる相手なら戦闘は回避したいところだ。
俺たちが進んでいくと出て来たのがこちら。
朱雀Lv65
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
朱雀の群れが飛来してくる。これはなんというか可哀想な結果に終わる。流石に第四進化では数を揃えてもここにいるみんなが相手ではどうしようもない。何せ一方的にボコボコにされたからな。
進んでいるとアーレイがこっそりシルフィにサラ姫様のことを聞いていた。
「どうでした? サラ姫様は?」
「んん~…秘密です」
「えぇ~!? それはないっすよ! シルフィ姫様!」
「ふふ。ごめんなさい。これはサラのことなので私が話すのはご法度なんですよ」
凹むアーレイだが、シルフィの様子から悪くない感じを受けた。まぁ、自分のために決闘してくれた人をよく思わない人は少ないんじゃないかな?
そう思っていると朱雀たちの弔い合戦に来た次の敵は洒落になっていなかった。
炎帝?
? ? ?
流石に炎帝の群れを見たみんなは焦る。
「第五進化の群れ!?」
「多いぞ! 向かえ打て!」
プレイヤーたちとシルフィたち、コノハとコーラル、ジークが戦いに参加すると空が炎で覆われる。そんな戦いを見たロコモコは俺の後ろに避難する。ロコモコの毛はよく燃えることは以前証明されているからトラウマになっているのかも知れない。
因みにこの山は飛行禁止になっていなかった。空を飛んで山頂に向かっても襲われることはほぼ確定なので禁止にはしなかったのだろう。
この戦いで活躍を見せたのは炎が得意のアーレイだ。炎を斬り裂きながら暴れている。コーラルがいるので、炎帝には頑張って欲しいな。
「おらおらおらおら!」
「「「「ピィ―!」」」」
炎帝たちが神格覚醒を使用し、鵬魔王になる。
「いぃ!? そんな一遍に!? 誰か助け…え?」
アーレイは調子に乗り過ぎたな。完全に孤立している。というか炎帝たちが上手く孤立させたと見るべきか。
「「「「調子に乗るな! 汚らわしい人間が!」」」」
「か、かかってこいや!」
アーレイが鵬魔王が装備している棒でタコ殴りあい、死に戻るとミランダが薬で蘇生させる。
「何やっているのよ…あんた」
「調子に乗りました…ごめんなさい。もうここは強打しないで…色んな意味で終わっちゃう」
「私に言ってどうするのよ…一歩間違えればセクハラ発言よ」
アーレイは襲われたばかりだからそう言いたくなる気持ちは男としてよくわかるので、擁護しよう。セクハラというなら股間を何度も強打した鵬魔王たちを訴えたい。元々はアーレイが襲い掛かっていたのが原因と言われたら、たぶん敗訴するな。
ここで鵬魔王たちは攻略部隊を蹴散らして、俺に襲い掛かって来た。休憩状態なのになんで狙って来るかな?
「キュー!」
ジークが通せんぼするように拡散光線で攻撃するが鵬魔王たちは回避してジークは巨大化した伸縮する棒をくらい、俺たちに向かって墜落してくる。それを見たエアリーとロコモコは退避する。
「やっぱり鵬魔王は強いな…」
俺は天羽々斬とエスカトンリープリングを構えて、全魔導書を展開する。
『『『『アクセラレーション』』』』
『『『『ディセラレーション』』』』
『『『『ハイパースペース』』』』
まず接近戦のお決まり魔法を発動して、ハイパースペースでそれぞれ閉じ込めた。しかし鵬魔王になるとこの程度ではすぐに突破されるが閉じ込めることが重要なのだ。
「大瀑布!」
ハイパースペースに大瀑布の水が襲い掛かった。これで溺死を狙えるかと思ったがハイパースペースを破って、それは阻止された。
「おのれ!」
「今のは焦ったぞ!」
「あいつだけは許すな! ここで仕留める!」
鵬魔王たちがやって来る。
『タイムフリーズ』
「悪いな…今、ちょっと心にゆとりがないんだよ」
コノハ、コーラル、ジークがそれぞれ襲撃し、地面に抑え込む。この瞬間、時間が進む。
「な、なんだ!?」
「これは時間停止!?」
「この! 離せ!」
「ヴェ~!」
神岩結界が鵬魔王たちに決まると炎帝に強制的に戻される。しかも封印も発動しているから完全に無防備な状態だ。すると鵬魔王になった仲間がジークたちと俺に襲い掛かって来た。
左右からの攻撃を止めた俺は言う。
「俺を狙うのはいい判断だが、ジークたちを狙うのはどうなんだろうな?」
「何?」
「メェ―!」
ロコモコの雷轟が炸裂し、助けに入った仲間が巻き込まれた。最初の奴らは俺の大瀑布で水に濡れた状態で突っ込んで来た。それを見逃すロコモコじゃない。ましてや燃やされる天敵を倒すチャンスなら当然狙うだろう。
俺が二人の棒を上に弾くと鵬魔王たちは距離を一度取る。斬撃を警戒する見事な判断だ。
「「伸びよ!」」
そして身体を回転させてから棒を伸ばして俺に攻撃して来た。ちょっとだらけモードになっていたけど、ここまで素晴らしい動きを見せてくれると嬉しくなる。俺が心底戦い好きな証拠だな。
「よ…嫉妬門!」
世界が暗黒に包まれて、手が鵬魔王たちに襲い掛かる。
「く…なんだ!? あの召喚師は!?」
「普通じゃないのは確かだな…今はこれをなんとかするぞ!」
二人は上昇すると身体が輝く。烈日で吹っ飛ばすつもりだろう。これはいい判断だ。ただしこれには致命的なミスがある。
俺の剣が二人の鵬魔王を背後から貫いた。
「「がは!?」」
「暗闇の中で光るのは相手に居場所を教える行為だぞ? 烈日で吹っ飛ばすつもりならどちらかは護衛してやらないとこうなる。勉強して出直して来い」
剣を抜くと二人は嫉妬門の手に襲われて、終わった。ここで嫉妬門が解除されると他のみんなもやはり烈日の灯りに気が付いて、襲撃したようだ。
「むむむ~。タクトが暴れると色々持っていかれますね」
「「「「もっと言ってやってください!」」」」
「責めるなら俺を戦わせないでくれよ。それとシルフィはウェルシュドラゴンが掴んでいる炎帝とタラスクが踏みつぶしている炎帝を見てから言ってくれ」
戦闘が終わったので解体タイム。
炎帝の尾:レア度10 素材 品質S+
孔雀の羽のような豪華絢爛な燃える尻尾。鞭や暗器の素材として圧倒的な人気を誇っており、破邪の効果に加えて、壊れてもすぐさま元に戻る永遠の武器を作ることが出来ると言われている。
炎帝の羽:レア度10 素材 品質S+
炎の神の力が宿った聖なる羽。回復を司っていることから杖の素材で炎と神聖魔法の使い手や一部地域の神職に絶大な人気を誇っている。
これと朱雀王の宝珠が手に入った。俺は進化素材はいらないので、炎帝の尾と炎帝の羽をそれぞれ二枚ずつ貰った。
そしてみんなでまた上がっていくと雲の中に入り、それを抜けると目の前に黄金のアンコールワットが姿を見せた。間違いない。ここに恐らくガルダがいるな。さて、問題はここからどういう流れになるかだ。炎帝たちとは戦う以外に道はなかった。これで怒ることは無いだろう。出来れば戦いになるのは避けたい。話し合いを頑張るとしよう。




