#1191 砂漠の賢王とラーに命を与えれられたファラオ
部屋に入ると階段の上には二人の長身のファラオがいた。
セティ?
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ラムセス?
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セトとの繋がりを考えるとこの二人のファラオが来るよな。セティはセティ1世のことだと思う。名前がセトから来ている珍しいファラオだ。何せセトは悪として描かれていたからね。
セティ1世は荒廃したエジプトを立て直した尊敬に値する偉大なファラオだ。数々の遠征で成功し、戦いに勝利したファラオでエジプトの威厳を回復させると共に治世を安定化されたファラオとして知られている。
そんなセティ1世の後を引き継いだのがラムセス二世だ。ギリシャ語のオジマンディアスという名前のほうが知られているかもしれない。ラーと関りが強い彼だが、セトから弓の使い方を教えられる 浮き彫りが残されていることからここで登場したのだろう。
世界初の平和条約を結んだファラオとして知られており、アブ・シンベル神殿など巨大建造物をたくさん作ったファラオだ。
「来たか…」
「今回は手加減無しで暴れさせて貰うぞ。魔神の娘よ」
「あなたも以前は本気じゃなかったってことね。でも、私の相手はあなたじゃないわ。そうよね?」
ファリーダがそう言うとラムセスの後ろから女性が現れた。
ネフェルタリ?
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ネフェルタリはラムセス2世の最初の王妃だ。最初というだけあって、ラムセス2世はたくさんの妻と側室の間に子供を作ったハーレム王として知られている。
「そうね…前は負けてしまったし、今回はリベンジさせて貰おうかしら」
「望むところよ」
「ん? あら…あなた、その指輪は」
「えぇ…前は散々言ってくれたけど、今回は立場は同じよ。自分の夫を勝たせるために私はあなたに勝つわ」
ファリーダがそう言うとネフェルタリは笑う。
「道理で前と雰囲気が違うわけだわ。いい人と結婚出来たみたいね。でも、譲って挙げない。私はラムセスを今度こそ勝たせて見せるわ」
この二人の間に色々あったみたいだな。
「ふふ…いい妻を持ったな。ラムセス」
「俺もそう思います。父上。さて、こうなると俺たちの相手はお前たちになるな」
「そうだな」
二人のファラオが指を鳴らすと今までの兵士に比べて装備が豪華な兵が階段の左右から現れた。
ファラオの親衛隊Lv65
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
「我らはファラオ。国民こそ我ら最大の力。まずはこやつらを倒して見せよ」
ここでラムセスの背後に光の矢が現れると俺たちに向かって来たがセチアが星矢で撃ち落とした。
「ほぅ…俺の太陽の矢を正確に撃ち落とすか…いい腕だ」
「あなたたちの攻撃を受けながら、彼らを倒すということでいいですか?」
「その認識でいいぞ。魔神を娶った男よ」
ストレートに娶ったと言われると恥ずかしいな。それじゃあ、戦闘を開始しよう。
親衛隊はかなり強かった。というか戦闘慣れを感じた。武器と格闘技を組み合わせることで隙が中々作れず、武器を無くしても格闘技で戦って来た。しかもこの格闘技がまた装備している黄金のブレスレットやアンクレットを使って、武器を弾いて見せた。
ファラオの中でも有名なファラオの親衛隊というだけはある。そしてこれはネフェルタリも同じだった。武器は曲剣の二刀流という変わったスタイルなのだが、とにかく体が柔らかく、ファリーダと互角の戦闘をしていた。
お互いに二刀流の武器で激しい接近戦になるとパワーで優るファリーダがネフェルタリの武器を弾き飛ばして首を狙うと体操選手のように両足を地面につけて、攻撃を回避すると身体を後ろにそらして立ち上がりながらファリーダの顎に蹴りを決める。
「格納。ふふ」
更に格納で新しい武器を取り出した。他にも天罰や近距離からの聖波動を披露した。そしてこの二人の戦いにはお互いに誰も手出ししていない。巻き込まれるのもそうだが、女の勝負に横槍は入れれない雰囲気だ。
一方セティは魔法使いタイプだった。ウアス杖から疾、炎、地、海、神聖、暗黒、爆魔法を使って来た。セチアがラムセスの狙撃に対応しているので、自然と魔法の撃ち合いは俺が対応することになった。
親衛隊は確実に倒しているのだが、恋火とセフォネの奇襲も対応されたことで数で優る敵に徐々に追い込まれ行く。
「あらあら。向こうは大変そうね」
「そうね」
「いいのかしら? 助けに行かなくて」
「いいのよ。私が夫として選んだ男がもうすぐ暴れ出すから」
「神嵐!」
敵軍が吹っ飛ぶ。
「何!?」
「ふふ。ほらね。しゃ!」
「く! しまっ…あぁあああ!?」
ネフェルタリの頬に傷がつくと紅炎で燃え上がる。
「あらあら。王女がそんな黒焦げの姿でいいのかしら?」
「舐めないで。どんな姿の女でも愛してくれるのがラムセスよ。あなたの夫はどうかしら? あなたがボロボロになったら、捨てるかも知れないわね」
「それはないわよ。ボロボロになってもよくやったと褒めてくれる夫よ」
なんか夫の自慢大会になってませんか?なんとかして欲しい。凄く戦い辛いです。俺は吹き飛ばした敵を見ると受け身を取って、着地するものや空脚で耐える者がいた。やはりこいつらはファラオの軍隊という枠に収まっている。
波動技などは使って来るがいきなり飛行したりすることはないようだ。それなら空中戦に長けている俺たちに勝機はある。
「俺が敵を浮き飛ばす。始末は任せた」
「はい!」
「任せよ!」
「頑張ります!」
俺が次々吹っ飛ばしていくと恋火たちが仕掛ける。
「狐稲爆!」
「ブラッティレイドボム!」
「多乱刃!」
ぶっ飛んでいる敵に対処しづらい攻撃が襲い掛かると恋火たちが次々倒していく。やはり空中戦は不慣れだな。この後に恋火たちは接近戦を挑むと折角得意の格闘技が空中になるとキレが悪くなって、みんながカウンターを決めている。
俺も空脚を覚えた頃は実は結構苦労していた。地面を蹴る感覚と同じなのだが、やはりちゃんと踏ん張れるのか不安が付きまとってしまうのだ。何度も繰り返していくと不安は無くなるのだが、彼らの動きの悪さはきっとそこが原因だと思う。
技を繰り出すのにそこに不安が合ったら、どうしても技のキレは悪くなるものだ。彼らの場合は足が踏ん張れるのか不安が入ったことで技を繰り出すのが地面で戦っている時より遅くなっている。
技は見切る時間を与えるのは接近戦では結構致命的で恋火たちが実演しているようにカウンターの隙を与える結果となる。そして俺が天羽々斬を振ろうとすると大きな曲剣を持ったセティに止められた。
「もういいのか? まだ兵士がいるようだが…」
「これ以上、兵がぶっ飛ばされるのをただ見ているだけではファラオは名乗れんからな。我々の兵を可愛がってくれた礼はさせて貰うぞ。若造」
おーおー。感情剥き出しだな。俺たちがお互いに距離を取るとラムセスの背後に太陽の輪が作られる。やらせるか。
「雲海!」
「日輪! 何!?」
雲に遮られて、太陽の光が集まらず、日輪が不発した。ふぅ~…上手く行って良かった。
「残念だったな。俺が契約した神様は太陽の天敵のような神様なんだよ」
スサノオは天照大神を引き込もらせて、世界が暗闇に包まれた事件を起こした張本人だ。このため、対太陽の力はあると思っていたが雲海がそうだった。なぜなら地上の太陽の光を遮るのは何時でも雲だからね。
「厄介な神と契約しているな…む!」
セチアの矢が降り注ぐ。
「不敬な。ファラオに矢を放つか」
「私たちは魔神や神にも矢を放っているのですが? ファラオがどれだけ偉い人なのか知りませんがどんな相手でも手加減しません。宝石解放!」
「く!?」
地面に突き刺さった矢から光が発生すると大爆発する。
「俺を同じ地面に歩かせるか…最早許さ」
「気を付けよ! ラムセス!」
「ぬぅ!」
俺の攻撃は弓でガードされた。
「妻同士が戦っているんだ。お前の相手に相応しいのは俺だと思わないか?」
「ふん…良かろう」
ラムセスが巨体な曲剣を構えた。弓と剣の二刀流か。まるで狩人みたいなスタイルだな。セティの相手はセフォネがしており、恋火とリースはセチアの護衛に回った。
俺たちが激突するとラムセスの格闘技の強さに驚いた。しかも兵士たちと違って、魔力飛行で空の戦闘にも慣れているようだった。
「頑丈な弓だな」
「セト様より授かった弓だ。戦いの神が壊れる武器を授けてくれると思うか?」
「なるほど…確かにそれはないだろうな!」
武器が壊れたら、戦いどころではなくなることがほとんだ。故に戦いの神であるセトの武器は壊れる事はないということだろう。厄介な武器だ。何せ壊れないことを言い事に天羽々斬の攻撃のガードに使われている。そうかと思うと普通に接近戦の武器としてぶん回して来るのだから厄介この上ない。
「砂嵐!」
「神嵐!」
二つの嵐がぶつかり合い、弾ける。しかし向こうは砂が舞い、こちらは風のみだ。俺が飛び込もうとすると砂嵐の中から岩が飛んで出来た。俺がそれを斬り裂くと爆発する。
「やっぱり簡単には行かないか…」
「当然だ。英雄技! シェセプ・ファラオ!」
砂が集まるとファラオの像が現れ、襲い掛かって来た。
「無限乱刃! ダメか」
「オォオオオオオ!」
多乱刃で斬っても砂によってファラオ像は元に戻ってしまう。そして俺に襲い掛かって来て、飲み込まれてしまう。
「愚かな…砂の中では呼吸出来まい。更にファラオの像の中は地圧により敵を押し潰すぞ。ん?」
砂のファラオ像から水が漏れ出ると内部から大量の水が発生し、崩れ落ちた。
「ふぅ…危ない危ないっと…ファラオの像の中ってえげつないんだな」
「わざと受けたか」
「ファラオの像の中に入るなんて経験早々できないからな」
「それは当然だろうな…大地支配!」
「お?」
崩れた砂の一部が俺の手足にくっつき、拘束して来た。大地支配で砂も操れるんだな。そしてセトは弓を構えると力が集まる。
「終わりだ。王撃!」
「大瀑布!」
俺の前に巨大な滝が発生し、放たれた矢は俺の僅か下を通り過ぎる。
「何!? ぬ!?」
「砂漠は水が必要だろ? たっぷりくれてやるよ! 大津波!」
ファラオの部屋で巨大津波が発生する。逃げ場はなかった。
「よし」
「よしじゃないわよ!」
ファリーダに頭を叩かれた。後ろを見るとみんな怒り心頭だ。
「砂の像の泥が私に降って来たのですが、何か弁明はありますか? タクト様?」
「像に捕まったんだからどうしようもないだろう。後で温泉に連れて行くから勘弁してくれ」
というかセチアが近くにいたこと自体知らなかった。そういえば像に襲われる時に後ろに下がってしまっていたな。狙ったわけじゃないが何も考えなかった俺が悪いので、素直に謝ろう。
「あたしたちの相手までみんな、溺れちゃいましたよ! タクトお兄ちゃん!」
「というか妾たちまで巻き込まれそうになったぞ!」
「ちゃんと穴を開けただろ? 他の敵を巻き込んだ件については考えてなかった」
ファラオの親衛隊は泳げなかったんだな。これは悪い事をした。
「く…大丈夫か? ネフェルタリ」
「背中を壁に強くぶつけた程度よ。それにしても出鱈目なことをするわね」
「あぁ…だが、こういう戦いは悪くない」
「そのようですね。あなたのそんな笑顔、久しぶりに見た気がします」
ラムセスは獰猛な笑みを浮かべていた。それは戦いの中でしか見ることがなかったファラオの笑みだった。
「いい男と出会えたようだな。息子よ」
「はい…奴は俺が戦うに値すると認めねばならないな。この俺をこんなに愉快な気持ちにさせてくれたのだから!」
「セト神に感謝だな。死してなおここに居続けた甲斐があったものだ!」
相手が本気になったな。これをみんなも感じ取る。
「決着を付けないといけないわね」
「ファリーダはこの後の神と戦うのであろう? それならここは妾たちに任せよ!」
「そうですね。泥だらけでしたくないですが相手が弓使いなら私とお願いします。タクト様」
「悪かったって。やるぞ。セチア」
「「マリッジバースト!」」
セチアとのマリッジバーストが発動すると完全武装した神の領域に到達したエルフが降臨する。
これを見たラムセスは歓喜する。
「お前も全力か! そう来なくてはな!」
『矢舞雨!』
「ぬん! 弓の撃ち合いで来るか! 面白い! 面白いぞ!」
俺たちが空で矢をばんばん撃ちまくっているとセフォネも血醒を発動させる。
「それがお主の本気か」
「そうじゃ。最早手加減出来ぬ。覚悟は良いか?」
「無論。ファラオは常にどんな覚悟も持っている! 来るがいい! ヴァンパイアの少女よ!」
「いい気迫じゃ。それがどこまで持つかためしてくれよう。常闇!」
セティが闇に包まれる。するとセティは闇の中で自分を囲うように蠢く魔獣たちの気配を感じた。
「これが吸血鬼の本気か…おぉおおおお!」
「「「「ギャオオオオオ!」」」」
闇の中で戦闘音が続いたが音が聞こえなくなり、闇が晴れるとそこにはセティの死体が転がっていた。
「あの暗黒の世界で妾の魔獣たちと最後まで戦い続けたお主を妾は決して忘れたりせぬと誓うのじゃ」
そしてファリーダとネフェルタリの一騎打ちも終局に近かった。
「ベリーダンス!」
「イフリータダンス!」
二人が踊るように武器を連打する。ベリーダンスは古代エジプト発祥の踊りで世界最古の踊りと言われている。恐らくエジプトの踊りでイメージするのは大抵この踊りだと思われる。
「く…!」
「踊りを意識し過ぎよ! 爆心!」
「きゃあああああ!? く…仕方ありませんよ。私は王の妃なのですから」
「そうね。あなたは誰よりも美しく舞えなければならない。ファラオの妃だものね。対して私はそんな踊りを意識する必要は無い。前回はそうだったけど、今回はあなたの踊りを参考にさせて貰うわね。踊りを見せたい人が出来たから」
「ふふ…本当に変わりましたね。でも、それなら尚のこと、負けるわけにはいかないわ! 立場が同じになったあなたには負けられない!」
お互いが武器を構える。
「情熱的ね! そういうの大好きよ! だから見せてあげるわ! イフリートバトルアックス! 魔斧解放!」
イフリートバトルアックス(魔斧解放):レア度10 両刃斧 品質S+
重さ:200 耐久値:8000 攻撃力:5000
効果:魔神技【ダストイフリート】、火属性アップ(究)、爆属性アップ(究)、闇属性アップ(究)、覇気、武器破壊、万物切断、魔力切断、溶断、融解、放熱、時空切断、無限乱刃、放射熱線、爆心、砂嵐、焼尽、炎吸収、炎熱支配、荷重支配、溶波動、火山弾、大噴火、紅炎、大焦熱、猛爆、覇撃、無効破壊、破壊の加護、炎精魔神の加護
イフリートが使用する炎属性の戦斧。あらゆる炎を吸い尽くす能力があり、相手がどれだけ炎に強くても焼き尽くす能力を持っている。また装備しているだけで火属性と爆属性の攻撃の全てを無力化する力もあり、炎と砂漠の魔神が持つに相応しい武器となっている。
ファリーダの二本のイフリートバトルアックスが燃え上がり、ネフェルタリは熱気を受けて、肌が焼ける。これが放熱スキルの効果だった。常時相手を火傷状態にしつつダメージを与え続けるスキルだ。ただしこのダメージは距離に依存すると離れればダメージは小さくなり、近付けばダメージが大きくなる。
ファリーダの場合は二本同時に使用しており、ダメージは二倍だ。それでもネフェルタリは引かいない。
「サンドウォール砂漠の生きた者がこの程度の熱で怖じけると思いますか?」
「思わないわ。だから来なさい」
「言われなくても! 砂嵐!」
ファリーダは砂嵐に呑み込まれる。だが、ファリーダは荷重支配でその場に立ち続けていた。
「英雄技! ネフェルタリ・バルチャー!」
ネフェルタリが投擲した短剣がハゲワシの姿となって、ファリーダに襲い掛かる。
「魔神技…ダストイフリート!」
二本のイフリートバトルアックスを回転するように振るわれるとイフリートバトルアックスから発生した火炎が渦を巻き、砂嵐が災いして、一瞬で超巨大な火炎旋風となって、ネフェルタリのハゲワシを弾き飛ばすとそのままネフェルタリを巻き込んだ。
「きゃあああああ!? あ…あぁ…」
「いい勝負だったわ。素敵なファラオの妃だったわよ。ネフェルタリ」
こうして二人の女の決闘は終わった。残すは俺たちのみだ。
「日輪!」
「光吸収! 自然波動!」
「ち! 拡散光線!」
『星矢!』
俺たちが矢での勝負から遠距離戦で激しく打ち合っていた。
「「「「アークフレア!」」」」
「「「「ミーティア!」」」」
「「「「ダストストーム!」」」」
「「「「ソーラーフレア!」」」」
お互いに同じ魔法でぶつかり合う。
「ならば真似できない魔法で見せてやろう!」
「望むところだ!」
俺たちの魔力が極限まで上がる。ラムセスが両手を空に掲げると太陽の光が目の形を作り出す。ファリーダのシャイターン・アインのラーバージョンの魔法か!だとしたらやばい。俺たちの背後にはみんながいる。これでなんとかなってくれよ!
「神魔法! ラー・アイン」
「禁呪! クロノディスインテグレーション!」
「なんだと!?」
時空の裂け目にラーの目から放たれた光線が入っていき、吸い込まれる。あぶねー…禁呪を信じて良かった。しかしおかげで魔力がやばい事になっている。こういう時はやっぱりこれだ。
『ケーリュケイオン! 神威解放!』
これで魔力の心配は無くなった。しかし俺たちが回復している間にラムセスは俺たちの上を取る。
「おのれ! これならどうだ! 英雄技! オベリスク・ミーティア!」
古代エジプトを代表する記念碑が隕石の速度で俺たちに降り注ぐ。例えるなら超巨大な石の矢のアーバレストの流星群だ。みんながやばいが恋火とリースを信じる!
「光化! おら!」
「ぐ!? ファラオを蹴るか! 死刑だぞ!」
「その前にお前が死ね」
「しまっ」
ケーリュケイオンがラムセスに突き付けられていた。
『精霊魔法! スターフォース!』
「ぐぁあああああ! くぅ…まだだ! 俺こそは史上最強のファラオなり!」
父親がいなくなってからそれを言いますか。このゲームのラムセスは父親の功績を認め、自分の功績も認めているラムセスなのかもしれない。そんな彼に引導を渡そう。部屋の天井に十二星座が描かれる。
「『星座魔法! ゾディアック!』」
「なんと綺麗な…見事だ! ぐぁあああああ!」
最後はたったままノーガードで受けて、消し飛んだ。ここでインフォが来る。
『ファリーダの二刀流のレベルが30に到達しました。二刀流【シュトルムエッジ】を取得しました』
みんなのレベルがあがった。そりゃあ、強かったもん。レベルはあがるわ。
「しんどい勝負だったな」
「よいしょ! そうでしたね!」
恋火は獣化でオベリスクをなんとか壊して対処してくれていた。そんな恋火の頭を撫でてから解体する。
砂漠賢王の書:レア度9 魔導書 品質S+
重さ:10 耐久値:300 攻撃力:10
効果:軍略、空間索敵、叡智、天言、戦闘高揚、王軍、王の加護、セトの加護
ファラオの軍を呼び出すことが出来る魔導書。軍を率いる際に最大の力を発揮する魔導書で砂漠の賢者がこれを見つけるために生涯を捧げてしまう程の勝ちがある。
ネフェルタリのダンス衣装:レア度7 防具 品質S+
重さ:10 耐久値:100 防御力:10
効果:舞踊の効果上昇(究)、舞踊の効果範囲上昇(究)
ラムセスからネフェルタリに贈られた水色の踊り子の衣装。装飾品は豪華だが、防御力はほとんどなく、通常の服とそこまで大差がないがサンドウォール砂漠の踊り子の衣装としては最強の衣装。
これと太陽石。砂漠賢王の書はレッカにでもあげるとしよう。問題はこの衣装だ。
「じー」
「ちょ、ちょっと待ちなさない! タクト! まさか私にこんな衣装を着せて踊らせるつもりじゃないでしょうね!?」
「…」
「無言で衣装を持って近付てくるんじゃないわよ!? 絶対に嫌! せめて私の為の服で踊らせてよ!」
「それはそれで考えるよ。はい、これ」
「話を聞きなさい!」
しかしネフェルタリのダンス衣装を押し付けられたファリーダは受け取ってしまう。ファリーダは睨みつけて来るが俺の笑顔を見て、観念する。
「あぁ~! もう! わかったわよ! ただし条件! セトを倒すこと! そしたら、この服で踊って挙げるわ」
「よっしゃ! やる気出て来たぜ!」
そんな俺を呆れた様子でみんなが見つめるのだった。




