#1184 海斗の決闘状とパンドラの変化
今日から更新を再開します。休みの間に少しだけ修正を加えた箇所があるので、説明します。
まず#1170にて、ブランの神威解放がまだ書かれていないという指摘を受けて、データを書きました。
次が#1174で誠吾と海斗の学校での会話の一部をごっそり削除しました。これはアーレイがサラ姫様の事は真剣に考えるきっかけとなるクエストが#1174の後にあるので、しんみりした空気を出すのは変であることと誤解を招くような書き方をしてしまったので、削除しました。
今日の話にも関わって来る話なので、#1174の時の会話はないと考えてお読みください。
テューポーンを倒した翌日の学校の帰りに海斗が話があると呼び止められ、二人で話すをすることになった。
「俺と決闘したい?」
「あぁ」
「理由を聞いてもいいか?」
「えーっと…なんて説明していいか分からないが一発殴らせろ的なノリだよ」
何も説明されていないのに一発殴られるという理不尽な要求だ。まぁ、このタイミングでこんなことを言い出す原因は分かっているんだけどね。
「サラ姫様のために俺と決闘したいという認識でいいか?」
「あ、あぁ! その説明でいい!」
なんというか返答が海斗らしい。海斗がどう思ってそういう決断になったかは分からないがサラ姫様の為と言われたら、断る訳にはいかないな。
「いいぞ。時間やルールはどうする?」
「土曜日の朝でどうだ? ルールはそれまでに学校で決める感じで」
「りょーかい」
これを後で海斗から聞いた姫委員長たちが話す。
「向こうは青春しているね」
「あんたもでしょ」
「ふふ。椎名ちゃんもね」
「はぁ? なんで私も入るのよ」
「なんででしょうね~?」
そんなことがあった後にスーパーで買い物を済ましてから家に帰る。そしてゲームにログインすると何かが近付いて来る気配を感じる。俺が目を開けると油性ペンを持ったリリーとシルフィが驚く。
「「わ!? とっとっと!」」
二人が驚いて、油性ペンを落としそうになるがなんとかキャッチして背中に隠す。動きがシンクロしすぎだ。
「また落書きですか? 変な事をリリーに教えないで下さいよ」
「してませんよ。そうですよね? リリーちゃん」
「う、うん! してないよ。タクト」
「それじゃあ、もししていたら、二人の顔に俺が落書きしますね」
俺が起き上がると二人が聞いて来る。
「書いてないので、問題はありませんがどんなことを書くつもりですか?」
「シルフィ姫様にはタクトの所有物、リリーには体調不良って書くな」
この二人には愛の言葉などは恐らく通用しないので、このワードに選びました。
「ちょっと待ってー---! 待ってください! それはダメです! 私がこれまで積み上げてきたイメージが木端微塵に砕け散る気がします!」
「絶対セチアちゃんの薬を飲まそうとしているよね!? タクト!? あぁ!? 鏡見たらダメ―! 書いた! 書いたから許して~! タクト」
これからずっとこんな賑やかな朝になるのかな?それはそれで幸せな気がした。さて、今日は色々やらないと行けない所が盛りだくさんだ。まずホームに向かって、ヘーパイストスとパンドラに話をしないといけないだろう。昨日はどんちゃん騒ぎでそれどころじゃなかったからな。
リリーとホームに帰る。シルフィ姫様は戦後処理などの執務から逃げようとしたが駄目でした。ここで家のドアを開けるとパンドラが雷速で飛んできた。
「タクト! 危ない! へぶ!?」
「がは!?」
俺を守る為に前に出たリリーがパンドラの突進の直撃を受けると結局俺まで巻き込まれて、仲良く三人ぶっ飛んだ。
「大変! 大変なんだよ! おじ様!」
「…ど、どうしたんだ? パンドラ?」
「創造の力が無くなっちゃった!」
あぁ…パンドラの技の代償でスプンタ・マンユがいなくなったせいで創造の力が無くなったんだな。ということは代わりにゼウスの力がパンドラに宿った流れになる。その突撃を喰らったわけだ。洒落になっていない。
ここでヘーパイストスとユウェルがやって来る。
「無くなっちゃったものはいくらタクトさんでもどうしようもないよ」
「そうだぞ。パンドラ。タクにも出来ないことがあるんだ」
「そんなことは分かってるもん! おじ様、見て! 二人の嬉しそうな顔を! パンドラから創造の力が無くなっちゃったことがそんなに嬉しい!?」
二人は否定するがまぁ、嘘だろうな。ヘーパイストスはこれでパンドラに鍛冶で負ける事は恐らく無くなったし、ユウェルは創造の力を有していることは確定しているからパンドラに勝てることがほぼ確定した。
ただゼウスは全知全能の神だ。この力があるなら鍛冶でもなんでもござれな気がする。何せ全能だからね。
「そんな力ないよ~!」
どうやらゼウスが能力をケチったらしい。これでパパになろうとしたんだからとんでもない神様だ。さて、ここからは昨日の反省会。有耶無耶にするよりははっきりさせよう。
「パンドラが船にいた理由はもう話さなくていいな? パンドラが船にいた経緯はリリーたちにお願いしたからだ。俺はそれを目撃したけど、お前よりもパンドラの気持ちを優先した。責めるなら俺を責めろ。許せないなら契約を解除しても」
「確かにパンドラがあのまま死んでいたら、許せなかったかも知れませんが生きていますし、あの時無茶したのはボクですから。この事はお互い様ということにしませんか?」
「お前がそう言ってくれるならこれからもよろしく頼む」
「はい。パンドラと一緒によろしくお願いします」
「します!」
取り敢えずこれでヘーパイストスとパンドラの問題は解決した。ただ現時点でパンドラの鍛冶師としての腕前がどうなっているかは分からない問題はある。そこは探っていくしかないだろうな。話をきいていたイオンが口を尖らす。
「タクトさんは私たちに過保護すぎます。私たちがパンドラに手を貸すことを決めたんですからその責任は私たちが取るべきだと思うんですけど」
「そうだな。でもみんなは俺の召喚獣なんだ。だからやっぱり俺が責任を取るのが筋だよ。あ、でも俺に黙ってパンドラを乗せようとした件は今回とは別問題だな」
「イオンちゃんが余計なことを言うからタクトが気付いちゃったー!?」
「イオンお姉様はあんぽんたんなの!」
「誰があんぽんたんですか!」
あんぽんたんの意味について聞くと知っていなかった。誰かがへましたところで偶然聞いた言葉らしい。因みにあんぽんたんの意味は愚か者とか人を罵る時に使う言葉だね。意味を知りたがってきたがあまりいい言葉じゃないから使わないように言った。
今日は新しい装備はなしだったので、島の生産から始める。そこで俺が抱えた大問題であるテューポーンと話すことにした。
「聞こえているな?」
『ふん…確かに俺様はお前たちに負けたがお前や他の弱い人間に力を貸すつもりはない』
「俺がアテナの契約者だからか?」
『そうだ』
さて、ここからが交渉の始まりだな。
「お前がアテナの事をどう思っているかは知らないがアテナの母親はゼウスを憎んでいる」
『なんだと?』
やはりゼウスの話には脈ありみたいだな。
「だから俺は契約者としてゼウスと戦う可能性がある。どっかの誰かさんのせいで確実とは言えないけどな」
チクチク自分の父親を攻撃する。予定がきつきつになったのはサタンと運営のせいだ。俺には攻撃する権利がある。
『話は分かった。つまりお前がゼウスと戦う際に俺様を召喚することを条件に手を貸せというわけだな?』
「そういう事になるな」
『ふん…一つ聞きたいことがある。お前はゼウスに勝てるのか?』
「今のままじゃあ、厳しいだろうね。でも、ドラゴニックマウンテンの試練に挑み、創星龍神と契約するつもりだとしたら、どうだ?」
これを聞いたテューポーンは無言になると笑い出した。
『くはははは! 貴様、正気か? 俺様でもあのドラゴンの神には喧嘩を売りはしないぞ』
え?そんなに強いの?ここで予期せぬ援軍が来た。アジ・ダハーカが話す。
『怪物の王よ。こいつは本気だ。そして契約する可能性をこいつらは秘めている。何せ創星龍の領域に至ったのだからな』
『なんだと? それは本当か?』
『事実だ。疑うのはお前の自由だが、お前の望みを叶える可能性をこの召喚師は持っている。なんなら暫くこいつらを観察してみるといい』
『ふん。良いだろう。俺様が力を貸すに値する人物か見定めてやろう』
こういう感じになったか。直にリリーたちとのマリッジバーストを見せれば力を貸してくれそうだな。ただそうなるとタイミングが大変だ。テューポーンとの封印石召喚はかなりギリギリになりそうだな。まぁ、召喚チャンスが残っただけでかなり良かったんじゃないかな?
さて、次は昨日疲れてしなかったみんなの成長タイムだ。




