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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
シルフィ姫様との結婚とテューポーン討伐戦
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#1177 メデューサ洞窟

洞窟攻略の前に編成を変える。俺は恋火とイクスを残して、リビナ、セフォネ、ファリーダを選んだ。シルフィは変更なし。


「ロードガーゴイルは大丈夫なんですか?」


「大丈夫ですよ。寧ろ洞窟戦は得意なんです。土潜伏がありますし、暗さもへっちゃらなんですよ」


それは強いな。期待させて貰おう。そして洞窟の中に入ると案の定の光景が広がっていた。地面や天井まで蛇だらけの洞窟だった。普通に気色悪いし、トラウマになる光景だぞ。


「燃やしていいわよね?」


「だな。煉獄はダメージ受けます?」


「パーティーを組んでいるので、大丈夫ですよ」


「了解です。ファリーダ。やっちゃってくれ」


「えぇ。煉獄!」


蛇たちが燃えると一斉に向かって来た。


「はいはい。邪魔邪魔。久々に呼ばれたんだから雑魚は引っ込んでてね」


リビナの言葉の棘が痛い。航海ばかりしていたからな。理解して欲しい。そして恋火たちも炎で天井の蛇を焼きながら洞窟の中を進んでいく。ここで地面や天井、洞窟のあちこちからラミアが奇襲を仕掛けてきた。


すると地面のラミアに対してロードガーゴイルがドリルランスで地面ごと抉るように振るわれるとラミアたちを一掃する。確かに洞窟に強いというのは事実みたいだ。ロードの名は伊達じゃないね。


こうなると自然と陣形のポジションが決まって来る。俺たちを中心にして最前線はロードガーゴイル。その少し後ろにはリビナとファリーダ。俺たちの右に恋火、左には夜叉、後ろはイクスとセフォネが担当する。


「きりがないですね」


「洞窟全てが敵と言っても過言ではありません。これでは探知はほぼ不可能です」


魔力でも気配でも全ての数を感じ取ってしまうが故の弱点だ。流石にボスクラスになると違うと思うけどね。ここで俺は嫌な気配を感じ取り、シルフィ姫様をスターペガサスごと突き飛ばすと地面から現れた蛇に拘束される。狙いは俺だったか。


「ぐ…」


「タクト!?」


「タクトお兄ちゃん!?」


「動くんじゃないよ。少しでも動いたら、こいつを絞め殺すからね」


地面から現れたのは蛇の髪を持ち、下半身が蛇の怪物だった。


メデューサ?

? ? ?


こいつに加えて、洞窟の奧からぞろぞろ姿を見せた。


「さて、あんたもあの女神のお使いで来た感じかい?」


「俺がアテナの契約者だから狙って来たわけか。お使いというわけではないがアテナから欲しい物を貰う為に来たのは事実だな」


話している間にみんなに視線で合図するとみんなは俺から距離を取る。


「同じ事さ。どっちみちあの女神の関係者なら生きてここから出す訳にはいかないねぇ」


「そうだろうな。だが、俺がアテナとだけ契約したと思っているなら大間違いだぞ! おら!」


「何!?」


俺が拘束されたのは上半身だけだった。これは完全に相手のミスだ。俺は足を回転させるとメデューサを振り回す。そして恋火が俺に巻き付いていた蛇の髪を切断してくれた。その際に勢いが付いたメデューサは壁に激突した。


「無茶なことしますね」


「俺たちの冒険は大体こんな感じですよ。な?」


「「はい」」


「それはそれでどうかと思うぞ」


夜叉にツッコまれた。ここでメデューサたちとの戦闘が勃発する。メデューサの代名詞といえばやはりこれだ。


「「「「石化の魔眼!」」」」


見た者を石化させる魔眼だ。遠距離攻撃ではそこまでの威力は発揮しないが接近戦が得意だとそうは行かない。加護や耐性を無視してくる石化の魔眼に対して恋火たちが石化する。


「禊! やぁああ!」


「自力で解除しただと!? 石爪!」


メデューサは石の爪で恋火の斬撃を止めようとしたがあっさり斬られると。胴体を逸らしてなんとか恋火の攻撃を躱した。


「この! 伸縮! 吸血爪!」


メデューサの無事な腕が伸びて恋火に襲い掛かるが振り返った恋火は腕に恋白を突き刺して、そのまま斬り裂きながら距離を詰める。


「やぁああ!」


「く…土潜伏!」


恋火の斬撃は空振りに終わる。一方石化を喰らったみんなはシルフィとティターニアのリフレッシュで石化を解除されていた。石化の魔眼は石化させるだけで永遠毒のように解除出来ない石化ではない。


ただ石化してから使わないと行けないし、石化が解除されるとまず間違いなく敵は目の前にいる。これに対処しないと行けないのが厳しい。


そんな中、上手かったのがリビナだった。リビナを見ないと石化出来ないメデューサはリビナを見た瞬間に眠りに落ちる。夢幻回廊でメデューサは夢の中で自分の魔眼が全く通用しない無敵リビナにいじられる夢に閉じ込められて、うなされる。


現実の自分は石化しているが石化してもスキルが解除されるわけじゃない弱点を上手くついている。後は石化が解除して貰ってから仕留めればいい。


一方でファリーダは爆破の魔眼で相打ち狙い。ファリーダは石化してしまったがメデューサは目が爆発していた。その結果、折角石化させたのにメデューサは顔を抑えてのたうち回っている。


俺たちの実力を認識したメデューサは洞窟という地形と洞窟に沸く蛇を使った戦法に切り替えて来た。洞窟のあちこちから現れては死滅光線や石化光線、更には毒霧まで使って来た。洞窟戦闘に慣れているよ。


「恋火、結界だ」


「はい! 結界!」


俺たちは罠を仕掛けた。普通の結界なら地面からの奇襲に対応出来ない。さぁ、どう来る?結界の術者である恋火を狙うか。俺が守ろうとしたシルフィを狙うか。それか召喚師である恋火の俺を狙ってくる可能性もある。


「死ね!」


「ま、俺だよな」


石の槍で貫かれた俺が歪む。リビナの幻術だ。隙だらけになったメデューサをみんなでボコボコにした。すると今度のメデューサたちは自力で結界の破壊を試みる。


「守護結界!」


折角恋火の結界を壊したのにシルフィが展開した守護結界にまた阻まれる。そしてこちらから攻撃をするとまた隠れる。


「厄介ですね。このままじゃあ、魔力を消費ばかりしている私たちのほうが参っちゃいます」


「ですね。じゃあ、ちょっと行ってきますね。セフォネ、不死封じを頼むぞ」


「任せたのじゃ!」


俺は天羽々斬を構えて、結界の外に出る。風が発生している俺に毒霧は通じない。そんな俺の様子に警戒するメデューサたちだったが俺を攻撃しない訳にはいかない。自分を化け物に変えた元凶がアテナ故に彼女たちは必ず俺を狙ってくる。


「石柱!」


メデューサは天井から顔を出すと石の柱を飛ばしてきた。


「雲海」


洞窟の内部が一瞬で雲に包まれるとメデューサたちは俺を見失う。


「馬鹿め! 串刺しに」


「なるわけねーだろ」


俺は雲海で目くらましをしてから攻撃を躱し、石の咆哮からメデューサの位置を特定した。そして守護結界のほうに蹴り飛ばすと結界にぶつかったことでセフォネは位置を特定し、突き刺すと首を夜叉が斬った。


「まだまだだな」


「「「「む!」」」」


「こら! 夜叉! あまり恋火ちゃんたちを虐めたらいけませんよ」


すると仲間の死を見たことで他のメデューサたちが何が起きたのか様子を伺おうとする。その瞬間で俺は蹴り飛ばして洞窟から外に出すと守護結界のほうに投げつけて、それを誰が一番に倒すのか競争するようになる。


雲海の効果が切れると見るも無残な仲間の姿が守護結界周辺に転がっていた。


「お、おのれ! アテナの契約者! 母上の仇をとらせて貰うぞ! 逆鱗!」


どうやらペルセウスが倒したメデューサがこいつらの母親という設定みたいだ。ケルベロスの血からトリカブトが発生したようにメデューサの血からこいつらが発生した設定かな?中々興味深い設定だが、今は戦闘を終わらせよう。時間が結構やばい。


「雷神熱閃!」


「…え?」


「復讐の炎に呑み込まれているようではいつまでも俺たちには勝てはしないぞ」


「ぐ…黙れ! 蛇技! スネークファング!」


「イフリータダンス!」


俺に髪の蛇たちが襲い掛かって来るとファリーダが踊るように斧を振り、全て切断すると影移動で現れたリビナが鞭で上半身を拘束するとセフォネが闇転移で背後から神鎌ハルペーで突き刺すと恋火とイクスが止めに斬り裂いた。


ここで戦闘終了のインフォが来る。


「イクスに取られました!?」


「ふふ。戦略勝ちです」


「あんまりです!」


イクスはわざと恋火より遅れて、半減の効果を受けたメデューサに攻撃を受けた。それを恋火はあの一瞬で分かってしまい、イクスに猛抗議している。どちらが倒したかはそこまで重要じゃないんだけどな。


「お疲れ様です。タクト」


「シルフィも」


なんか変な空気が流れるとシルフィの背後にリビナが姿を見せた。


「何やっているさ! こういう時はこう!」


「きゃ!?」


「おっと」


リビナが押して俺がシルフィを抱きしめる形になった。


「おい…」


「そんな目で見られてもボクに気が付いて、抱きしめる態勢になっていたタクトには怒る資格は無いからね~」


「く…いや、抱きとめるしかないだろう!?」


避けていたら、明らかに問題行動だ。それを見るリビナに責められるのは確実と見ていい。つまりリビナはどっちでもよかったというわけだ。


「はぁ…解体するか」


「ふふ。そうですね。リビナさん、今後の参考にさせて貰いますね?」


「え?」


「戦いが終わった後には抱きしめて貰えばいいんですよね?」


リビナがしまったという顔をするとファリーダに叩かれていた。そしてシルフィとリリーのバトルが発生することは間違いない。一番抱き着いて来るのはリリーだからな。解体結果は。


メデューサの首:レア度9 素材 品質S

メデューサの首から上の部分。盾や鎧に使われる素材で見た相手をどんな相手でも石化させる能力があるから武器や防具に作る際には能力を封じる特殊なアイテムが必要となる。また作っても見た目が怖過ぎるのが難点。


メデューサの魔眼:レア度9 素材 品質S

メデューサの石化の魔眼。主に攻撃用のアクセサリーに使用される。神でも石化させることが出来る非常に強力な素材として知られている。


首があれだけ倒して一つしか出なかったからレア度が高いみたいだ。普通ならレア度10クラスの素材だと思うがまだメデューサの進化先がいるからこのレア度になっているんだろうな。この分だとメデューサからペガサスの進化素材は出そうにないな。当てが一つが外れたか。


「どうします?」


「時間も遅いですし、帰りますか」


「そ、そうですね」


「そうですねではないですよ。今、渡さないでいつ渡すんですか。夜には強敵との戦闘があるんですよ」


おや?何かプレゼントでもあるのかな?


「そんな期待に満ちた目で見られると余計にプレッシャーなんですけど…実はお弁当を作ったんです」


シルフィが取り出したのはバスケットで中にはサンドイッチが入っていた。


「味はたぶん大丈夫だと思うんですが…」


「食べましょう」


満腹度はそこまで減っていないがそんな事は関係ない。


「即答です!?」


「タクト…あなただいぶ壊れてない?」


確かにやばいかも知れない。それでも大好きな人にこういう事されると壊れても仕方ないと思う訳ですよ。流石に洞窟内で食べるわけにもいかず外に出て、食べる事にした。


「ここがいいかな?」


「そうですね。それではどうぞ」


「ありがとうございます。どれにしようかー-な!?」


俺がバスケットを受け取り、岩に腰かけた瞬間に俺は落とし穴に落とされた。おのれ!運営!洞窟内からわざわざ出たのにこの仕打ちは無いだろう!


「いってー…随分落とされたな…どこだ。ここ。ライト」


灯りを確保すると白い毛並みの馬が沢山いた。


「ペガサス? ん?」


「「「「ヒヒン」」」」


ペガサスたちがこちらを向くと口にはサンドイッチがあり、凄いどや顔で見られた。そして俺が落下した時に転がったバスケットは見るも無残な姿になっていた。俺の中で何かが切れる音がした。


「逆鱗。何食ってんだ! お前らー!」


「「「「ヒヒン!?」」」」


「えぇーっと…下から凄い音が聞こえて来るんですが大丈夫でしょうか?」


「問題ありません。現在マスターが暴れているので、その内連絡が来ると思います」


戦闘が終わって、みんなが下に降りると落ち込んでいる俺と見るも無残なバスケットとペガサスの死体を見たみんなはそれぞれ察した。


「えぇっと…また作ってあげますからそんなに落ち込まないで下さい」


「絶対?」


「絶対です」


約束してくれたし、最後の最後にとんでもない目に合ったから今日は帰るとするか。


「マスター、あそこに宝箱があります」


「どこ!? 中央に堂々と…全然気付かないかった」


「滅茶苦茶怒ってたもんね。タクト」


「それよりもさっきの落ち込みは何処に行ったのよ」


シルフィのサンドイッチを失ったのだ。宝箱ぐらいのおつりが来ないと割に合わない。開けてみると俺の目当てのお宝があった。


至上天馬の宝珠:レア度10 重要アイテム 品質S

至上神の力が封じ込められている宝珠。スターペガサスが進化するために必要なアイテム。


ここでシルフィのペガサスが角で突いて来た。


「あぁ!? ダメですよ! これはタクトが見つけたものなんですから!」


なんというか俺も変だがシルフィもいつもの調子と違うんだろうな。


「これ、いいですよ」


「え…いいんですか? でも、スピカちゃんは」


「はい。進化レベルに達していますがルークたちが同じ物を手に入れて、俺と宝珠を交換したいらしいので、全然大丈夫です」


実はペガサスをボコボコにしている時に連絡が来ており、それを見たことも合わせて凹んでました。まさか近くにあるとは思って無かった。何とも間抜けな話だ。因みに森の中で普通に宝箱を発見したらしいです。俺との差に文句を言いたい。


「うーん…あ、もうわかりましたよ。それじゃあ、これは大切に預かっておきますね。ありがとうございます。タクト」


スターペガサスにじゃれつかれたシルフィは受け取ることになった。そして合流した俺たちは手に入れたプレイヤーと幻魔獣王の宝珠と交換した。ディアンの頑張りが無駄にならずに良かった。


今日はホームに帰るとリリーが突撃して来た。


「どうだった? タクト?」


「あぁ…なんというか少しぎこちなかったかな?」


「自覚があるなら大丈夫そうね」


「なんというか折角結婚してからいきなり悪戯までしたのに距離感があったよね」


正直シルフィを守らなければならないという使命感が物凄く強く出ていた。好きな人なんだから当然なんだけど、シルフィは死んでも召喚石に戻らないことがより強く出てしまった原因なんだろうな。


「どうしたもんかな」


「タクトさんは一人で抱え込みすぎなんですよ」


「私もそう思います。主が選んだ人を守る事は私たちにとって当たり前の事です。そこを信じて欲しいですね」


「もちろん。タクト様がシルフィ姫様を守る気持ちも大切だと思いますがシルフィ姫様の強さを信じる事も大切です。私たちがそうであるようにシルフィ姫様にも同じように接すればいいと思いますよ」


みんなにそう言われると肩が少しだけ軽くなった気がする。本当にみんなには支えられているよ。


「そうだな。みんなの言う通りにしてみるよ」


「お兄様が素直なの…」


「素直なのがそんなに変なら言わせて貰うがリビナはどうして俺が悪戯をしたことを知っていたんだ?」


「えーっと…それは」


リビナがアリナを見る。犯人特定です。最もアリナ以外に知れる人はいないだろうから分かっていたけどね。


「ちょ!? 待って!? お兄様~!?」


頭ぐりぐりで勘弁してあげた。そしてセチアと寝る。


「少ししか寝れなくて悪いな」


「いいえ。大丈夫です。その代わりに一つお願いを聞いてください」


「なんだ?」


「シルフィ姫様のように口にキスしてください。例え変な壁に邪魔されてもして欲しいです」


「分かった」


壁に邪魔されながらキスをした。


「ふふ。召喚獣の中では一番乗りですね。あ、下でみんなが暴れます」


「そりゃあ、アリナに聞こえているだろうからな。これで寝ていいか?」


「はい。あ、抱きしめて下さいね」


「もちろん」


セチアもちゃっかりしているよ。こうして夕飯の為に俺はログアウトした。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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