#1161 天羽々斬と目醒めし龍王の力
8月ということでお盆休みの更新の予定を話させて貰います。
現在お盆である8月13日~15日を二話更新を予定しています。詳しい時間などは改めて報告させて貰います。またコロナが広がり、大変な時期ですが皆さんのお盆休みが少しでもいいお盆休みになりますように頑張って更新しようと思います!
現在俺たちとスサノオは腰に両手を当ててご立腹の天照大神の前で正座させられている。理由がこちら。
「どれだけ世界をぶっ壊せば気が済むのかな? 君たちは? 私がどれだけ国土再生を使ったと思うの? それにあの世界が壊れたら、君たちをこっちの世界に転移させないと行けないんだよ? そしたらこの世界がどうなっていたか戦っていた君たちなら分かるよね?」
天照大神が俺たちの戦いで滅茶苦茶苦労したことで怒っていた。まぁ、どれだけ大変だったかは帰って来た時に天照大神が息切れしている姿を見ているので、何となく伝わって来た。ここでアリナが俺も思っている事を伝えて来る。
『転移の話とか事前に聞いていないの』
『だよな?』
「はい! そこ! 黙る―! 全部聞こえているからね! 私はこの国の主神ということを忘れないように!」
「職権乱用じゃねーか」
「はい。ぼろ負けした人も黙る―!」
なんか本当に天照大神がメルに思えてきた。流石にこのゲームに関わってはいないと思うがそれはそれで困る。弟と妹がいる姉はこんな風になってしまうのかと思ってしまうからな。ここで建御雷神が救いの手を出してくれる。
「その辺でいいだろう? それでスサノオ、この戦いはどうだった?」
「答える必要なんてねーだろ? お前や経津主神との戦いもいいが殺し合いじゃねーからな」
「確かにお互い真剣勝負はするがここまでのレベルではないからな」
「…神同士の殺し合いはご法度」
「そんなことは俺も分かっている。だからこそ今回の戦いは今までに味わったことがない戦いだった。やっぱ人間はこうじゃないといけねーよ」
いつもスサノオは建御雷神や経津主神と戦っているんだろうか?普通に洒落になっていない気がする。案外その度に天照大神が苦労させられているのかも知れないな。するとスサノオの発言に天照大神が反論する。
「私は反対だよ。平和が一番! 戦い反対!」
「こんなことを言っているが一番おっかないのはこいつだからな?」
「…うん。優しい神を怒らせた時が一番怖い。歯止めが効かなくなるから。他の神が攻めて来たら、世界を滅ぼしても可笑しくはない」
「そ、そんなことはしません! 太陽を落とすぐらいはするかもしれませんけど」
現実なら地球は終わっています。これが太陽神の恐ろしさか。鉄心さんに伝えておこう。太陽落として来ますよって。うん。自分でも言っていることのヤバさを感じるな。
「さて、頭のネジが飛んでいるこいつは置いといて報酬を渡すか」
「スサノオにだけは言われたくない!」
「…まともなのは私だけ」
「…」
建御雷神が何か言いたいのを必死で我慢していた。どうやらやばさではこの三神は大して変わらないらしい。スサノオが俺の所にやって来ると改めてクエストクリアのインフォが来る。
『スサノオの討伐に成功しました。おめでとうございます。特殊イベント『嵐神スサノオとの決闘』をクリアしました!』
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント12ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント12ptを獲得しました』
『リリーのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
『イオンのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
『ノワのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
『ノワの竜技のレベルが40に到達しました。竜技【ドラゴンノヴァ】を取得しました』
『ユウェルのレベルが30に到達しました。成長が可能です』
まぁ、レベルアップが来るよな。ステータス操作と成長は後にして、まずは報酬を受け取る。
「天をも斬り裂く俺様の神剣、天羽々斬。お前たちなら託すに値する。これで思いっきり暴れて世界を救ってみせろ」
「はい!」
俺は受け取ると鑑定する。
神剣天羽々斬:レア度10 片手剣 品質S+
重さ:100 耐久値:10000 攻撃力:8000
効果:片手剣【雷神熱閃】、竜殺し、神殺し、神気、英気、時空切断、水圧切断、大海壁、暴風壁、雷雨、気流支配、海流支配、天候支配、気圧支配、水圧支配、重圧、畏怖、電弧放電、衝撃放射、旋風刃、暴風刃、暴旋風、無限乱刃、雷光刃、神鎌鼬、後光、荷電光線、大気波動、雷波動、神波動、爆風波、雲海、渦潮、大瀑布、大津波、海没、神嵐、黒雷、雷轟、大雷霆、覇撃、神撃、伝説解放、神威解放、破壊神の加護、スサノオの加護
嵐神スサノオが持つ神剣で桜花の神代三剣の一本。八岐大蛇を倒した桜花最強の竜殺しの神剣で天に掲げれば天災級の嵐を呼び、突き立てると津波を起こし、振ると天地を割るとされている。恐るべき力を持つがそれ故に桜花の人々から畏敬の念を抱かせている神剣。
これが天羽々斬。普通に近衛を超えて来たな。まぁ、当たり前と言われたら、そうなんだけどさ。これはもう近衛改を作るしかない気持ちになっている。
神スキルとして登場した畏怖と雲海について説明を受ける。畏怖は自分より弱い周囲の敵を恐怖状態にして、相手の戦意を奪うスキルらしい。雑魚が邪魔して中々先に進めない時に役立つスキルだろう。
雲海はフィールド全体を雲で覆う目潰しのスキル。ただ霧のように風で吹き飛ばすことが出来ず、無くなるまで待たないと行けないらしい。探知系や神瞳などを妨害する効果があるらしいが俺たちとの戦闘ではスサノオはつまらなくするだけだとして使用しなかった。
そして俺たちが帰る前にアテナと同様にアドバイスとをくれた。
「ちょっとまて。草薙剣を手に入れたのなら八岐大蛟と戦ってみろ。全盛期とまではいかないだろうがある程度力を取り戻すことが出来るかも知れねーぞ」
どうやら草薙剣を天叢雲剣に近付けることが出来るらしい。これは挑まないとね。天羽々斬とみんなの力を合わせれば勝てる相手だと思う。これを聞いた天照大神が慌てる。
「ちょっと!? 何言っているの! それは私の」
「黙れ。後、十拳剣も持っているな? それなら黄泉の国に行け。そこで道が示されるはずだ。入り口はすぐそこにあるが常世の鍵がいる。これは自分で手に入れるんだな。これなら文句はねーだろ? 月読」
「…ちゃんとルールを守るなら問題はない。私の世界には夜の間しか入れないからそこだけは守ってもらう。守れないなら私は君の敵になる」
「肝に銘じておくよ」
俺たちがそう話していると天照大神がスサノオと月読を言い過ぎだと注意する。
「あーあー。うるせーな。ただ場所を教えただけなんだから別にいいだろうが。それに行けてもそこに辿り着けるかはこいつらの実力次第だろう?」
「…スサノオの言う通り。私の国に来るなら容赦するつもりはない」
「当たり前です! 人間に試練を与えるのが神様の重要な仕事の一つなんですからね!」
十束剣の強化クエストの道も示して貰えた。しかも場所まで教えて貰えるとは思って無かった。最も入れる場所は既に一つ知っているんだけどね。とにかくこれも行きたいな。何せ俺はまだ直接冥界には行っていないからね。
それにこれはアイテムの交換チャンスでもある。召喚師で誰かいないか聞いてみよう。
「はぁ~…どうして言っちゃうかな? あそこにはスサノオや月読、母様の」
ここで天照大神は口を滑らしたことに気が付き、口を押えるがもう遅い。スサノオが笑う。
「くく、お前が口を滑らしているじゃねーか」
「…台無し。責任を取って欲しい」
「まだ言ってない! 言ってないから!」
「全部話して~、途中で止めるの反則~」
「う、うわーん! 私を舐めるのが人間にまで伝染したー! この国の主神なのに~!」
スサノオと月読が手でグッドと合図してきた。まぁ神様の名前が出た時点で色々アウトな気がする。恐らく神石か武器があるのだろう。余計に行きたくなったね。
「やれやれ。ドシな姉がこれ以上口を滑らす前に終わりにするか。おっと、最後にちゃんと言っておかねーとな。俺に勝ったんだんだ。他の奴に負けるんじゃーぞ」
「もちろん」
俺たちは笑顔で天照大神にチョップされているスサノオの元を去った。そしてホームで勝利を報告する。
「これでタクトの試練はひと段落した感じになるのかしら?」
「あぁ。後はドラゴニックマウンテンのクエストだな。まぁ、これはドラゴンの試練と同じ感じになる長期クエストだから時間がある時に進めていく感じになると思う」
「それじゃあ、暫くは暗黒大陸と私たちの試練が優先されるわけね」
「その認識でいいよ。リリーたちもそれでいいな?」
リリーたちは同意する。流石に一気にレベルが上がったからな。とはいえシルフィ姫様とのクエストとボス戦には流石に使わないと行けないから調整が難しそうだ。
さて、今回頑張ってくれた武器と防具の修復をパンドラとユウェルに任せて、俺はまずステータスを操作する。ステータスポイントは俊敏性に回して、残りのスキルポイントは249ptとなった。
それじゃあ、リリーたちの成長を実行しよう。
『リリーの成長が完了しました。後光、拡散光線、日輪、王撃、光球、天ブレス、奇跡を取得しました』
『天竜の加護が聖輝龍王の加護に進化しました』
『イオンの成長が完了しました。未来予知、浸食、時間停止、流動、氷山、寒冷渦、月光、海没、海ブレス、水爆を取得しました』
『天海竜の加護が絶海龍王の加護に進化しました』
『ノワの成長が完了しました。即死の魔眼、神魔毒、侵食、魔素刃、時空支配、黒星、冥ブレスを取得しました』
『冥邪竜の加護が邪冥龍王の加護に進化しました』
『ユウェルの成長が完了しました。自動修復、豊穣、回帰、灰燼、流砂、彗星、惑星を取得しました』
『創造竜の加護が豊穣龍王の加護に進化しました』
遂にリリーたちにも龍王の加護が付与された。これはリリーたちが龍王たちに認められた証拠でもあると思われる。そして成長なのでレベルは継続。ここからは未知の領域だ。四十にも成長が来るのか。それとも進化が来るのか。今回が最後の成長なのか分からない。
ただドラゴンの試練ではティル・ナ・ノーグの時のような強化がある気がしている。恐らく恋火たちが稲荷大社、ブランはエデン、リビナとセフォネは暗黒大陸の自分たちの故郷、ファリーダはピラミッドの試練だろう。リアンはアトランティスな気がするが何もないので、テーテュースの可能性が濃厚かな?
ユウェルが回帰を覚えたので、島で生産を再度しつつ謎のスキルを確認してみた。最初はイオンが覚えた浸食スキル。これは水属性版の灰燼スキルみたいだ。そして俺とのマリッジバーストでも覚えていなかったのが流動スキル。これがえげつなくて動きが決まっている攻撃に動きを与えるスキルだった。
例えば波動技やドラゴンブレスは直線に攻撃するスキルだが、流動スキルを使うとこれが動くようになる。直線攻撃だと思っていたところにいきなり曲げられたりしたら、溜まらない上にそもそも直線攻撃だから威力が高く設定されている攻撃を動かすのは反則級のスキルと言える。
次はユウェルが覚えた自動修復。時間経過で持っている武器の耐久値を回復することが出来るスキル。恐らくスサノオやアテナはこのスキルを所持している可能性が高い。灰燼と浸食をずっと受けた上に俺たちの攻撃を耐える事が出来たのはこのスキルの回復量が高いせいだと思う。
最後は新しいスキルである流砂。砂の中に埋もれていくスキルだ。このゲームでは完全に埋もれると土潜伏などがないと即死となり、埋もれていく間は時間遅延のような状態となる。この時間遅延の間に脱出しないと行けない訳だ。現在のレベルの敵が相手では行動を止めることがメインの使い方になりそうだね。
スキルの確認が終わり、集まると成長したリリーが言う。
「成長したから今日はみんなで寝」
「きょ、う、は、わ、た、し、の、ば、ん、で、す!」
イオンが天照大神の真似をしてリリーに連続チョップした。変な技を覚えたな。
「痛いよ~。イオンちゃん」
成長しても二人は相変わらずだな。そして今日はイオンと寝る。
「ふぅ…イオンはどうやって寝て欲しいんだ?」
「そんなの決まっています…正面から抱きしめて下さい」
「えーっとこれでいいのか?」
「はい…二人っきりの状態じゃないと出来ませんから」
俺の胸に顔を押し付けて丸くなるイオン。完全に甘えモードだ。こういう姿を見るとイオンが猫に見えて来るんだよな。イオンの頭を撫でていると寝息が聞こえてきたので、俺はイオンの頭にキスをして、ログアウトした。




