#1156 南東火口洞窟探索
火山島の洞窟にやって来た俺が選んだのは白夜、優牙、狐子、スピカ、クリュスだ。洞窟の狭さとレベル上げを優先した。
この編成だと洞窟の外に出ると火山雷などの影響が諸に受けるので、空間索敵で新しい洞窟を瞬時に発見して、最短で見つけたい所なのだが、そう簡単には行かない。俺たちが洞窟探しに出ると地面から現れた敵がこちら。
ミマースLv70
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ギガントマキアでゼウスたちと戦った巨人の一人でヘーパイストスが戦った巨人だ。ここにいる理由はそれだろうな。因みにヴェスヴィオス火山を叩きつけられたことで死んでいる。この山は第三次奴隷戦争の指導者として有名なスパルタクスが立てこもった山としても有名だ。
武器は溶岩の棍棒。ここでこいつの後ろに洞窟があることが分かった。つまりこいつは門番ということらしい。
「速攻で倒すぞ!」
最初に白夜と優牙が左右の足に噛み付いた。すると白夜と優牙が燃えてしまう。そして二匹は蹴り飛ばされるが着地を決める。その間にクリュスが突撃するが棍棒とディオメーデースの槍がぶつかり合うとクリュスがかなり後方に押された。
流石炎属性の巨人だ。パワーがとんでもないことが分かる。しかしクリュスの後ろに隠れていた狐子はクリュスが押される前にクリュスを飛び越え、新しい殺生刀を上段に構える。
「はぁ!」
見事にこの攻撃が決まり、ミマースが毒に侵されたと思うと毒のところから炎が燃え上がり、毒を蒸発させてしまう。毒は巨人にとって天敵の状態異常だったんだがな。ミマースはしっかり対策を取っているようだ。
そして地面にいる狐子に再び蹴りを放つと狐子は蹴りを躱して斬って見せた。しかし毒は発生しない。
「嫌になるわね」
狐子がぼやく中、ミマースが狐子を狙おうとした瞬間、俺たちから見ると背後を見る形となり、俺たちの一斉攻撃が決まるがミマースは元気に振り返って来た。ここで白夜と優牙、狐子、クリュスに火山雷が落ちた。俺と乗っているスピカは無視。強化されると学習されたな。
クリュスたちが俺を見て来たので、指示を出す。
『徹底的に足を狙うぞ』
俺たちは連携してミマースの足を狙う。巨人は所詮大きな人間だ。足を失えば動けなくなる。ましてやミマースは不死ではなかったはずだ。なので足を潰した時点で詰みだと判断した。
それでもミマースは足を攻撃されるたびに俺たちを燃やしてきて、棍棒を振り回してきた。しかもこの棍棒が地面に叩きつけられると大地操作の効果で地面が隆起し、襲い掛かって来た。
火山雷などの妨害も加わり、結果としては結構なダメージを受けてしまうことになったのだがついに片足が崩れるともう片方の足に俺とスピカのパラス・アテナの槍による超連携が炸裂し、両足の部位破損に成功した。
「オオオオオ!」
それでも棍棒を手に暴れ、手に火山弾を出して投げてまで攻撃の意志を示すミマースには敬服するよ。
「随分ダメージを受けたし、魔法を浴びせた後に仕留めるか」
「賛成よ」
「とどめは狐子に任せる」
「そう来ないとね」
俺たちが地面に転がっているミマースに魔法で痛め付けると狐子が刹那刀を構える。
「妖刀解放!」
刹那刀から毒の霧が噴出すると九尾の姿を形作る。そして狐子が突撃する。竜石の解放と同じ感じになったのか。対するミマースは炎熱装甲で体全体が炎に包まれる。
「舐めんじゃないわよ!」
狐子の刹那刀がミマースの体を斬り裂くとミマースは呪いを受け、毒が身体中に広がると苦しみながら息絶えた。
「毒だけが九尾の力じゃないわ。炎も私たちの領域よ」
そういうと狐子は刀を鞘に納めた。様になっているね。どうやら刹那刀の妖刀解放には呪いと毒の効果があるみたいだ。呪いでスキルを封じて、毒の無効化を封じた形となった感じだと思う。解体すると外れ。これはちょっとイラっとした。まぁ、その分新しい洞窟に期待しよう。
新しい洞窟を進んでいくと開けた場所に出る。そこには何かいた。
スピンクスLv72
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
スピンクスはギリシャ神話に登場するスフィンクスだ。このスピンクスもテューポーンの子供とされている。このゲームではライオンのレーヴェ系の第五進化であることが判明している。
どうやら宝箱を守っているようだ。そして奥に行くための道を防いでもいるみたい。
「連戦はきついよな」
「回復して貰えばいけるわよ」
「そうね」
みんなから熱い視線で見られる。ここはみんなのやる気に答えよう。みんなを回復させて、挑む。すると飛び出した瞬間、スピンクスの目から石化光線が放たれる。これをクリュスがイージスで跳ね返すが攻撃を食らっても石化しなかった。
これを見たスピンクスは砂嵐を発動する。砂嵐を使ったのはいい判断だ。正直目が開けられないのはかなりきつい。そんな状態でスピンクスは正確に俺たちを狙ってくる。
「ガァ!」
白夜が砂嵐の中、スピンクスに襲い掛かった。首に噛み付かれたスピンクスだったが周囲に巨大な岩を複数出現させるとそれが一斉に白夜に襲い掛かって来た。これを察知した白夜は避けることを優先するが岩が念動力で追尾してくる。
これに対して白夜は樹海操作で岩を捕まえる。そこにスピンクスの目からの放射熱線が飛んで来るとクリュスがまたイージスで反射するがこれはスピンクスには向かわなかった。その代わりにクリュスが海ブレスを放つが砂嵐のせいで技に威力がない。結果、スピンクスは避けることなく体で受け止めた。
やはり水と氷属性は土と相性が悪い。この影響を一番受けているのが俺の近くで必死に砂嵐を我慢している優牙だ。吹雪に天候を変えれればいいんだが、完全に天候の支配権をスピンクスに握られてしまっている。その結果、優牙は動くことが出来なくなっていた。
「キュ~ン」
かつてない悲しい鳴き声と悲しい目をされた。変えないでと言っているっぽいな。まぁ、優牙はフェンリル候補だからレベルを上げないと行けないから変えるつもりはないんだけどさ。それにしてもなんとか活路を見つけたいところだ。砂嵐は目を封じて来るだけじゃない。砂嵐が発動している間は微々たるものだがダメージを受けるスキルだ。これをまずなんとかしたい。
ここで目に砂が入る。最悪だ。滅茶苦茶痛い。
「砂?」
俺は身体に触れる砂を感じて、作戦を思いつき、戦っていた狐子に相談する。
『それはやろうと思えば可能なはずだけど、私たちも影響を受けるわよ?』
『砂嵐のダメージを俺たちがうけているからか…だがそこをカバーすればいいわけだよな?』
『そうね』
『なら決まりだ。やるぞ』
白夜とクリュス、狐子を引かせるとスピンクスは追撃に出る。そこに俺とスピカの超連携が襲い掛かるが神障壁を貼られてしまうがこれを破壊するとスピンクスは心眼を発動させて回避した。
スピカは壁に足を付くと再度突撃する。するとスピンクスは翼を羽ばたかせて、暴旋風を発動させる。その結果、砂嵐の暴旋風が俺たちに向かって来て、俺たちの超連携とぶつかり合う。
「神障壁!」
ここで俺はわざと吹き飛ばされる選択をした。吹き飛ばされた俺たちだが、俺が合図を送るとスピカは吹き飛ばされた状態のまま流星群を発動する。これに対してスピンクスは石板を作り出すとそれと流星群がぶつかるとスピンクスが突っ込んで来た。
これに対してスピカは神足通で空を蹴って、真下に急降下した。するとスピンクスも同じように追跡してくる。ここでスピンクスは拳を構える俺を視認した。
「大気震!」
大気震が直撃し、天井にスピンクスは叩きつける。だが俺たちの追撃はなく、俺とスピカは時間稼ぎの任務を終えて、内に守護結界、外が樹海操作による木々に覆われた白夜特性の安全エリアに入り、みんなと合流した。そして俺が思いついた作戦が実行される。
「侵食毒!」
殺生刀から発生した毒が砂嵐の砂に触れて、毒が物凄い勢いで広がっていくとあっという間にスピンクスにとって最悪の毒の砂嵐を受ける事になった。流石にこれは放置することが出来ず、砂嵐を解除するが既に身体中が毒に侵されていた。この勝負は完全に貰った。
「ガァアア!」
チャンスとばかりに極寒ブレスを放つ優牙だったがスピンクスに直撃しても平気な様子だ。その代わりにクリュスのドラゴンブレスが炸裂した。それを見た優牙は拗ねる。流石に見てられないな。
「魔狼の咆哮なら通るんじゃないか?」
「ガウ! ワオーン!」
俺の予想通り魔狼の咆哮が決まると壁に激突したスピンクスは天井から生えた木に拘束されると紅炎で木を燃やそうとする。そこに狐状態の狐子が尻尾でスピンクスの体を貫くと尻尾の間を通って、クリュスが投げたディオメーデースの槍が首に突き刺さる。
ここで木の拘束が解かれて、狐子は至近距離からゴッドブレスを受けてしまう。吹っ飛ばされた狐子を避けた俺とスピカが超連携を発動される。これに対してスピンクスは光球を作り出し、俺たちとぶつかり合うと大爆発する。
その爆炎の中、飛び出した俺たちの超連携がスピンクスの腹に決まり、貫通する。ここで起死回生が発動し、更に逆鱗を発動させる。そして怒れるスピンクスが俺たちに向かって来た。やばい…さっきの爆発で絶対防御を使ってしまった。
だが、スピンクスの動きが止まる。空を走ろうとしているが何かに引っ張られて、中々前に進めないらしい。優牙の引力操作だ。それを知ったスピンクスは息を吸い込む。
「大雷霆!」
「ガァアア!」
俺の大雷霆とスピンクスのゴッドブレスがぶつかり合い、大爆発するとスピンクスの背後から白夜が神風爪で体を貫き、スピンクスは墜落したところで戦闘終了。ここでみんなのレベルアップがきてくれた。それでは解体しよう。
ダストストームクリスタル:通常アイテム
砂嵐を発生させることが出来るアイテム。
砂漠幻獣王の宝珠:レア度10 重要アイテム 品質S
砂漠幻獣王の力が封じ込められている宝珠。パルーフレーヴェが進化するために必要なアイテム。
また進化の宝珠か。ただこれを欲しがる人はたくさんいる。チロルたちが対象者だ。何かあった時は交換に使うとするか。
「ふぅー…大丈夫だったか? 白夜、クリュス」
「ガゥ~…」
「ブランお姉様からイージスを貰ってて良かったわ」
白夜とクリュスは砂嵐の中、激闘していた。二人はボロボロでイージスに至ってはひびが入っていた。スキルには強いイージスだが、打撃に弱いところを見切ったスピンクスは打撃攻撃をメインにシフトしたらしい。
結果、白夜も加わり、激しい接近戦になったそうだ。みんなのレベルも上がったし、ここはもう交代だな。宝箱を回収したところでシャローさんから連絡が来たが洞窟の先だけワープポイントを設置したいことを伝えて、枝分かれしている道の先に進むと一つはすぐにマグマの滝に出て、優牙に変えてルーナを呼ぶとワープポイントを設置して貰った。
次にもう一つの道に進むと結構長く、三つに枝分かれしている道に出た。
「こっちは多分外に繋がっている道だな。つまりスピンクスは前後から挟撃出来たのか…」
凄いオチを知ってしまった。まぁ、これは良しとしておくか。恐らく最後の滝に繋がっている道を行くと巨大な扉があった。恐らく敵がいるんだろうな。ちょっとだけチラ見しよう。すると扉を上げた瞬間、巨大な蛇の尻尾の一撃が飛んできた。
吹っ飛ばれた俺は敵を視認する。そこには巨大な蛇の尻尾を持つ俺たちがよく知っている敵がいた。
魔獣怪母エキドナ?
? ? ?
召喚獣としての優しさがある雰囲気はあるが大きさはギルドクエストで戦ったエキドナ・リバースと同じくらいの敵がそこにはいた。
「扉を閉めてくれ!」
急いでみんなに扉を閉めさせて、事なきを得た。
「ふぅー…まさかエキドナまでいるとは思って無かった」
夫婦だから一緒にいても不思議じゃないんだけどさ。ちょっと今までの敵より難易度が高そうだ。本来ならクリュスと同格の相手なのだが、さっきの一撃でかなりのダメージを受けた。防具が無かったら、やばかったかも知れない。
姿から見ても通常のエキドナより強いのはほぼ確定。識別も出来ていないしね。その分、アイテムの期待値は高くなる。
ただ洞窟とエキドナの大きさから考えて、大型の召喚獣で挑むのは厳しそうだ。ここはみんなに攻略を手伝ってもらったほうがいい気がする。そんな訳で戦力を集めて、明日、攻略しよう。そうしないとテューポーン戦に間に合わないからね。その為に扉の前で今度はコノハにワープポイントを設置して貰い、シャローさんたちと合流することにした。




