#1134 五つ星シェフ昇格試験
一気に終わらせるべきだと思ったのですが更新の予約に余裕がないため、暫く料理回とさせて頂きます。
夕飯をしっかり食べて、気合いを入れた俺はゲームにログインして、みんなに告げる。
「リリーもついて行く!」
「応援しか出来ませんけど、いいですよね?」
「もちろん」
俺たちは久々に美食の町ドノスに向かった。そこでリリーたちは夕飯の代わりに外食を楽しむ。
「好きなのを頼んでいいぞ」
「やったー! リリーはサーロインステーキ!」
「私は伊勢海老のマヨネーズ焼きをお願いします」
「では、私は松茸ご飯をください」
容赦ねー。現実では中々食べれない料理の数々が机に並ぶ。俺は宮廷料理でも食べに来たのだろうか?更にデザートもしっかり頼むリリーたちである。その後、グレイたちの分のご飯も買う。リリーたちと同じじゃないと不公平だからな。その際にちゃっかりお菓子をおねだりしてくるのがリリーたちである。
まぁ、シルフィ姫様たちやキキ、ギルドのみんなにリープリッヒで頑張っている皆にもお土産を買うとしよう。もちろん自分の分のお土産も買う。
さて、俺は料理ギルドの本部があるビルにやって来た。そこで初めてエレベーターに乗るみんなからそれぞれ攻撃を受けた。なぜいつも俺だけに攻撃するんだろうか?狙っている疑惑が頭を過るが頼られていると思う事にした。そしてグラスシェフに合う。
「どうやら昇格試験を受けるようですね」
「はい。五つ星シェフの昇格試験を受けていいですか?」
「普通なら許可出来ませんがあなたは実績がありますからね。特別に許可しましょう。それでは先に試験の内容をお伝えさせて貰います」
内容はこちら。
ギルドクエスト『五つ星シェフ昇格試験』:難易度SSSSS
報酬:称号『五つ星シェフ』
五人の審査員にフルコース料理を振舞い、全ての料理で全員の合格を獲得せよ。
一つの料理で一人でも失格があれば即アウトな料理人の最高難易度のクエストだ。
「では、改めてお聞きします。受けますか?」
「はい」
「では、試験会場にご案内しますね」
会場に向かうとそこは料理バトルの会場のような場所だった。机には様々な食材が置かれている。
「では、審査員の皆さんをお呼びして来るので、お好きに時間を使ってください。後、彼女たちは私に付いて来て下さい。観客席にご案内します」
俺は早速食材をチェックする。そこには同じ食材でも複数置かれていた。この中から一番いい食材を選ぶのも一流シェフの条件ということだろう。その証拠に傷んでいる食材やジャガイモに至っては芽が出ている物があった。
このクエストは既に何人かの料理人がクリアしているらしい。なんでも本物のプロが結構このクエストに挑戦しているらしいのだ。受かれば自信が付くし、ダメならダメで何がいけなかったのか教えてくれるから色々勉強になることが多いらしい。
なのでプロ以外にも料理学校の人や大手企業の食品開発部の人などが腕試しに挑戦している人が多いとルインさんから聞いた。実際にSNSやテレビで取りあげられており、評価がかなり高いらしいのだ。
そんなたくさんの人がチャンレンジしているクエストなだけに情報も結構貰っている。例えば芽が出ているジャガイモを使った瞬間、即試練は失格になることがあるらしい。ジャガイモの芽には毒があるからアウトになるのは当然だ。
また食べ合わせが悪い組み合わせもアウトとなる。お客様の体調を害する料理人が星五シェフになれるはずがない。有名なのはスイカと天ぷらとかがある。俺が意外に感じたのが海老とレモンだ。エビフライに結構レモンを掛ける人もいると思うが海老とレモンの食べ合わせは毒も発生する可能性がある危険な食べ合わせらしい。最もすぐに体に悪い影響を与える物でもないらしいのだが、健康を思うなら食べないのが無難だ。
このように普段知らずに食べ合わせが悪い料理を食べていることが結構ある。そこを指摘されて、失格者がかなり出ているのがこのクエストだ。一番多いのがデザートに出すフルーツポンチ。ここにはみかんと甘いフルーツという食べ合わせがあり、引っかかる。後はメロンとみかんを使ったケーキも指摘されたらしい。
ただこういう指摘に対してちゃんと意図を持ち、反論することが出来たならアウトにならないことがあるらしい。例えばごぼうの皮に対してつっこまれたら、ごぼうの皮には食物繊維が沢山あり、健康にいいので使いましたと言えばセーフになる。
後はやはりどれだけオリジナリティーを出すかが勝負となる。これが料理コンテストバトルの時に指摘されたことだ。料理についてはもう考えて来たので、後は俺が考えた料理がどこまで評価されるかと言う事になる。
ここで審査員が現れ、席に着く。そしてクエストが始まった。まずフルコース料理の説明を受ける。俺が今回作るのは野菜料理、スープ、魚料理、肉料理、デザートだ。このコース料理の内容もそれぞれで変化するらしい。俺の場合はなんとなく料理コンテストバトルを意識されたような気がするな。
最初にやらなければならないことはアレルギーとかのチェックだ。これは審査員によって、変化する。何もない場合もあれば卵や小麦アレルギーとかがある。チャルメラさんが小麦アレルギーをくらって詰んだらしい。そして俺にもアレルギーが伝えられる。
「私はサバがダメです」
「ダメなのはサバだけでしょうか? 他の青魚は大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「わかりました」
危なかった…青魚アレルギーとか言われていたら、色々予定が狂っていた。青魚のカテゴリーは結構あやふやでそれ故に料理人は全ての青魚を使ってはいけない事になる。
具体的にはカツオやマグロが使えなくなっていた。魚料理で影響が出るのももちろんあるがスープ料理でカツオ出汁が使えなくなるのが結構痛い。まぁ、他の出汁を使えばいいんだけど、色々と予定が狂っていたのは間違いない。それを避けることが出来たのは本当に良かった。
こういうのを経験するとアレルギーで苦しんでいる人の一番の理解者は料理人じゃないかと思ってしまう。もちろん医者とかが一番詳しくはあるし、治療をするのも医者だ。でも、日常生活までは医者は手出し出来ない。結局はアレルギーに気を付けて下さいとしか言えないのだ。本当にアレルギーで苦しんでいる子供を持つ母親は苦労していると思うよ。料理をしているものとして本当に尊敬する。
そんなことを思いながらそれぞれの審査員の好みを聞き、これでいよいよ料理作りをスタートする。最初に作る野菜料理として俺が選んだのはブーケサラダという料理だ。名前の通りブーケの花の代わりにサラダにする料理で見た目が可愛く、女性に贈る野菜料理としては最高の料理だという結論に至った。
ただオリジナリティーが試されているので、当然普通のブーケサラダは作れない。そこもちゃんと考えてある。使う食材はまずサラダにはレタス、ミニトマト、黄色のパプリカ、きゅうり、生ハム、サーモン、モッツァレラチーズだ。
そして俺の切り札となるのがブーケ部分だ。ここにオリジナリティーを出す。ブーケが出来上がるとレタスを最初に飾りブーケの形を出すと後はきゅうりと生ハム、サーモンは花のように巻いて飾ると完成だ。
後は審査員の好みに合うようにドレッシングを作り、いよいよ料理を出す。
「リープリングのブーケサラダです」
「ほぅ…見た目は素晴らしいな」
「これは結婚式で使われるブーケですね。どうしてこれを作られたんですか?」
「俺は召喚師で既にたくさんの召喚獣と結婚しています。この料理には俺と結婚してくれた彼女たちに捧げるという意味とお客さんにも幸せが訪れるようにという意味を込めさせて貰いました」
「それは素敵ですね。それでは頂かせていただきます」
俺は食べ方を説明する。
「このブーケの器まで食べれるのか?」
「はい。これは揚げ餃子とクルトンから着想を得て、作らせて貰いました。それぞれバターのみを塗った物やバターにガーリックを入れたものや砂糖を入れて甘くしたものがあります」
「これは面白い工夫ですね。ただ作るのはかなり苦労したみたいですけど?」
そうここが最大のこの料理の難関だ。これを揚げるためにはそれなりの揚げる装置が必要になる。幸いここにはどんな料理にも対応できる装置が揃っているから可能だった料理と言える。
「そうですね。でも、苦労の数だけお客様に感動と幸せを与えることが出来るなら本望です」
「ふふ。そうですね」
そしてそれぞれの審査員が味をチェックしていく。
「色々な食べ方が出来るのは客としては嬉しいな」
「ブーケの包みもサクサクでよく出来ています」
「それぞれ一口サイズで食べれるので、誰でも食べやすいですね」
「ドレッシングもよく作られています。ただオリジナリティーがブーケの器だけというのはどうなんでしょうね?」
グラスシェフ、厳しすぎない?かなり四苦八苦して考えた料理なんですけど…そして結果が出される。全員が合格だった。グラスシェフ、性格悪い!そのグラスシェフがコメントをくれる。
「器を食べれるようにしたアイデアと器まで味付けをする工夫は見事でした。またクルトンと同じ効果を狙ったのが良かったですね。しっかり効果が出ていましたよ。何より以前のカップサラダを味も見た目も越えて来たのが大きいですね」
「ありがとうございます」
これで野菜料理はクリアだ。次はスープ料理に挑む。
本編のブーケサラダは本当に作った訳じゃないので、完全に架空の料理です。何しろブーケを揚げるほどの機材がうちにはないんです。作れなかったとしたら、ごめんなさい。
通常はワックスペーパーを使ってリボンを結んだりします。こちらのほうがブーケらしさが出るので、興味がある方は贈り物として作って見てはいかがでしょうか?




