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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
スサノオクエストと最後のイベント告知
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#1132 スキアーの進化クエスト

俺は獣魔ギルドに向かい、スキアーの進化クエストを申請する。内容はこちら。


ギルドクエスト『砂漠冥蛇の試練』:難易度S

報酬:砂漠冥蛇の宝珠

最初のミイラになったファラオに勝利せよ。


通常の蛇ルートの進化クエストだ。そこまで難易度は高くないはずだが、最初のミイラになったファラオとして知られているのが冥府神にもなったオシリスなんだよね。やはりそれなりに難しいクエストであることは覚悟しないと行けない。


では、気を引き締めてクエストを実行する。転移した先は夜の砂漠のフィールドだ。なんか砂漠に来たのが久々な気がするな。砂漠の神殿だと砂の地面では無いからね。


スキアーが初めての砂で遊んでいる中、ウアスを持つ褐色の肌の黒髪のショートヘアーの女神が天から俺たちの前に降り立つ。


女神イシス?

? ? ?


オシリスの妹で妻にもなった女神だ。恐らくエジプト神話の女神で最初に名前が挙がるのはこのイシスだと思う。それほど人気がある女神なわけはまず殺された夫を復活させようと奮闘したのがこのイシスなのだ。


その後、復活させたオシリスの子を産み、その子供が夫の仇を見事に討つ神話となっている。ちょっと怖く思えるかも知れないが個人的には夫に献身的な女神のイメージが強い。さて、このゲームではどんな女神かな?


「私の名前はイシス。この試練の見届け人をさせて頂きます」


「はぁ…よろしくお願いします」


「早速始めるとしましょう。生前の我が夫よ。この地に降臨せよ」


イシスがそう言いながらウアスを翳すとそこから光が発生し、褐色の肌に見事な肉体を持つ偉大なファラオがウアスとネケクという鞭を持って、復活する。杖と鞭の二刀流か…どういう戦闘になるか想像出来ないな。


「あなた…」


「イシスか…この姿になるのも久方振りだな」


「えぇ…」


イシスは静かにオシリスに寄り添った。絵になる二人だな。暫く見ないでおこう。


「時間を取らせて済まないな。お前が試練の挑戦者か?」


「はい」


「うむ。試練を挑む前に聞きたい。なぜすぐに声を掛けなかった?」


「俺も結婚していますから。夫婦の再会を邪魔するほど、無粋じゃないですよ」


俺の答えにイシスは照れて、オシリスは笑った。どうやらオシリスは結構豪快な性格でイシスはおしとやかな女神っぽいな。このイシスが神話のような事をしたことも思うとどれだけオシリスの事を愛していたか伝わって来る。


「いい答えだ。これは楽しい時間になりそうだな。早速試練を始めようか」


「はい」


俺は神剣グラムと草薙剣を構える。これを見たオシリスは引く。


「そのどちらの神剣からも主神クラスの力を感じるのだが?」


神剣グラムはオーディン、草薙剣は天照大神だからね。


「あなたは砂漠の民を飢餓から救った偉大なファラオです。手加減なんて出来ませんよ」


「そ、そうか…そこまで言うなら最早何も言うまい」


「が、頑張ってください。あなた」


完全にアウェーだな。オシリスに勝った後にイシスに恨まれないかちょっと心配。


「行くぞ。スキアー」


「シャー!」


「ふ…では、始めようか!」


スキアーが火山弾を放つとオシリスは杖からメテオとラーヴァフローの融合魔法であるラーヴァストライクで魔法版の火山弾を放ち、相殺する。融合魔法をあの短時間で放つのか。本来なら派手な魔法合戦になっただろうが、容赦はしない。


「はぁ!」


「甘いぞ! ネケク!」


オシリスがネケクを振ると鞭の部分が伸びて、俺に襲い掛かる。これをガードしたがぶっ飛ぶされる。鞭というかフレイルのような重さだった。


「ダークネスフレア!」


今度はダークネスとアークフレアの融合魔法だ。俺はバツの字斬りで上空から直線上に放たれた暗黒の熱線を斬り裂いた。


「ネケクの攻撃を受け止め、ダークネスフレアを斬り裂くか。ぬ!?」


ここで転瞬で距離を詰めて攻撃をするとウアスで止められ、草薙剣とネケクがぶつかり合うとお互いに弾けた。その後、空中戦で激しくぶつかり合う。冥府神ではないオシリスといってもやはり強い。


そして俺はオシリスとの勝負で鞭と剣の相性の悪さを認識した。まずネケクは鞭のように曲がって、攻撃するモードと鞭になっていた部位が合体し、一つの大きな鞭になることでフレイルのようになるモードがあることが判明した。


鞭のモードだと剣で斬る前に剣に巻き付き、フレイルのモードだと斬る前に弾かれた。かなり厄介な武器だが、これを変幻自在に操るオシリスがまず凄い。接近戦を見事に避け、自分が得意とする中、遠距離戦闘を維持するのはとてつもない苦労する作業だ。


ここで俺が砂漠のギリギリを飛行しながら戦闘をするとスキアーが砂漠から現れて、オシリスに噛み付いた。だが、そのオシリスは砂に変わるとスキアーにフレイルモードのネケクで攻撃する。それを俺が止めた。


「ふ…」


ここでオシリスは距離を取ると俺にトリニティマジックの連射で牽制を加えつつオシリスはネケクを構える。


「樹海支配!」


ネケクで地面を叩くと砂漠に木々が発生する。これが豊穣伸としてのオシリスの能力だな。オシリスは農耕や小麦粉などの生産を教えた人物だとされている。これによって、飢餓から人々を救った偉大なファラオとして絶大な人気を誇った。


ただ有能過ぎると逆に妬みが生まれる物だ。結局弟のセトにオシリスは謀殺されてしまう。そこからオシリスを復活させたいイシスとそれを阻止するセトとのオシリスの死体を巡る争いが勃発する。


結局これを知ったオシリスはイシスと子供を作り、その後、険悪な現世に嫌気が指して冥府の神になったとされる。まぁ、自分が入った棺にみんなして鉛を流し込んで殺したり、その後、ナイル川に流され、体をバラバラにされた挙句、男のシンボルを魚に食べられたりしたら、現世なんてどうでもよくなる気持ちは分かる気がする。


そんなオシリスの狙いは俺ではなくスキアーだ。


「多乱刃! 時空切断!」


木々を斬撃でバラバラにすると今度は魔法でハブーブを使って来る。こういうのを見ると魔法剣を選んだ方が良かったと思ってしまうな。だが、今は今あることで対処するしかない。俺は草薙剣を構える。


「旋風刃!」


ハブーブが旋風刃による竜巻に巻き込まれる。


「シャー!」


今度は空から流星群が降って来るとスキアーが火山弾で撃ち落とす。スキアーもアザゼルのイベントで守られながらも必死に戦っていたことを俺は知っている。ここでスキアーを信じてオシリスの一騎打ちに集中することにした。


「雷化!」


「ぬ!?」


「はぁあああ!」


「く…」


俺は雷化でオシリスに奇襲を仕掛けると連続攻撃でオシリスに押していくとオシリスに隙が出来た。


「そこ!」


「甘いぞ!」


完全に決まったかと思った攻撃だったが俺は突然横から頭をネケクで叩かれて地面に墜落する。完全に接近戦での攻撃だった。あの場面でネケクで頭を攻撃することなど出来るはずがない。そう思っているとネケクがフレイル部分が更に短く変化しており、ヌンチャクのような武器に変化していた。


なんでもありだな。あの武器。そしてとことん剣と相性が悪い武器に変化してくる。


「英雄技! ダー・デシェレト!」


突然地面の砂から砂の手が現れて、俺を握り潰そうとしてきた。それを斬り裂くと今度は重力が発生する。


「融合魔法。クイックサンド!」


俺の体が砂に吸い込まれる。これは流砂か!脱出しようするがオシリスの妨害を受けて、俺は砂に埋まってしまう。


「終わりか…っ!?」


「シャー!」


流砂の発生地点からスキアーが飛び出すとスキアーの頭には俺がいた。


「俺の召喚獣を忘れているんじゃねーよ!」


「ぬ!」


「心眼! 爆風波!」


襲い掛かろうとしている俺にヌンチャクに変えたネケクの攻撃が来るが俺は心眼でこれを躱すと神剣グラムの爆風波でオシリスを吹っ飛ばす。更に転瞬で距離を止めて、オシリスをバツの字斬りにした。


「ふ」


オシリスが砂に変化する。この状態で砂分身?いや、これは霊化のようなスキルだな。


「砂嵐!」


ここで俺たちは砂嵐に包まれる。なるほど。これじゃあ、砂化したオシリスを狙うのは難しい。俺は殺気を感じ取って、攻撃するが砂化で躱される。弱点を探っているとスキアーが攻撃を受けてしまう。


「シャ…シャー!」


「ぐ!?」


吹っ飛ばされた際にスキアーは尻尾で薙ぎ払いを使うとオシリスに攻撃を当てた。あれが砂化の攻略法か。吹っ飛ばされたオシリスを俺が斬り裂くと砂になる。さぁ、来いよ。


オシリスはフレイル状態のネケクで攻撃してくると俺は草薙剣を持つ腕でガードする。これで部位破損の状態異常になってしまうがオシリスとの距離を詰める。


「はぁあああ!」


「く!」


やはり自分が攻撃した後、すぐに砂化は出来ないらしい。つまり砂化の弱点はカウンターだ。オシリスはウアスで神剣グラムを迎え撃とうとするがこの攻撃は俺が直前で止まったことで空振りする。スサノオの加護のおかげで空での動きは足を動かすなどの動作なく急停止などが可能になっている。なので予測するのはある意味、地上戦より困難と言える。


「はぁ!」


俺がオシリスを切り裂くと部位破損した際に落としてしまった草薙剣が飛んで来るがオシリスはこれを弾くと夜空に挙がると月が輝きを増す。月光スキルで回復するつもりか。させるかよ。


「月」


「真昼!」


「く!?」


月光を浴びようとしたオシリスだったが急に夜が昼に変化し、太陽の光で目がくらむ。真昼にはこんな使い方もあるんだな。


オシリスの背後から宇宙空間が広がり、完全に捉えた。


「しまった!?」


「森羅万象!」


オシリスの首が跳ぶと神剣グラムが勝利の加護の輝きを放つとオシリスは地面に墜落した。


「そこまでのようですね。あなたたちの勝利です。よいしょ」


勝負を見守っていたイシスがオシリスの頭を拾うとオシリスの首にくっつけるとオシリスは起き上がる。


「いや、参った。結局はお前の召喚獣にしてやられたか」


「弱いと決めつけて、油断してしまったからそうなってしまうんですよ。少しは学習してください。私がどれだけ苦労したか」


「わかっているさ。そう怒るな。イシス。可愛い顔が台無しだぞ」


「もう…いつもそう言うんですから」


いつも言っているのか。凄いな。やはり長年の夫婦にはまだまだ勝てそうにない。


「さて、私に勝った報酬を与えねばな。我が冥府ドゥアトに住む大蛇の宝珠だ。受け取るがいい」


俺は報酬を受け取る。


砂漠冥蛇の宝珠:レア度10 重要アイテム 品質S

砂漠の冥府の力が封じ込められている宝珠。ニーズヘッグが進化するために必要なアイテム。


これでクエストクリアだ。俺たちが光に包まれるとオシリスとイシスが言ってくる。


「次は冥府神として相まみえようぞ。砂漠の魔神の召喚師よ」


「私とも戦う日が来るでしょう。その時はお互い全力で戦いましょう」


さらりと砂漠の神殿クエストで登場すると宣言された!?いや、エジプト神話でも有名な二人だから登場するのは当たり前かも知れないな。こうして俺は獣魔ギルドに戻った。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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