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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
スサノオクエストと最後のイベント告知
1202/1718

#1131 三度目の正直

昼食を食べ終えて、休憩してからログインする。さて、最初に謝罪を込めてリリーたちが欲しいものを買うことになった。ただしお店に売っている物に限定した。するとリリーが衝撃的な一言を言った。


「じゃあ、お化粧セットが欲しい!」


「「「「…」」」」


全員がフリーズした。


「どうしたんですか? リリー。変な物でも食べましたか?」


「お薬、作りましょうか?」


「状態異常にはなってないが」


「みんな失礼だよ!」


どうやら一人でお化粧して大人の女性になりたいそうだ。


「愛されているわね。タクト」


「リリーがこんな風になるなんてタクトは罪な男だね」


「タ、タクトは関係ないよ!」


顔を真っ赤にして反論するリリーに説得力が無かった。そしてノワ以外が化粧品を欲しがったので、買いに行く。そこで新しい自分用の枕も買う。買い物が終わるとノワがやって来た。


「…枕」


「はいはい…ほら。俺の枕で良いんだよな?」


「…うん。もっふー…はぁ~…もふもふ…」


そしてノワは炬燵に入ると寝る。なんとも情けない顔だ。さて、色々予定が決まって来た中、俺はスサノオとの契約した後にすることはもう決まっていた。それがヤマトタケルノミコトとの決着だ。


だが、戦う前にまずスサノオの力を理解しないといけないので、恋火に訓練相手を頼んだ。そこで新しい太刀の技も見せて貰う。


飛燕(ひえん)!」


基本的には鎌鼬と同じで斬撃を飛ばす技だ。もちろんこれで武技が終わるはずがない。この飛燕は当たる直前に動いていくのだ。


「おっと…厄介な技だな」


「でも止めてしまうんですね…タクトお兄ちゃんは」


「まぁ、目で追えているし、一度動いたら同じ方向にしか動かないみたいだしな。ただ太刀だと結構防ぐのが難しそうだ」


「なるほどです」


これでも刀は攻守に優れた武器として評価が高い。これぐらいは対処してみないとな。ここで恋火との勝負を打ち切りにする。原因は破壊神の加護だ。通常の破壊の加護より更に効果が強化されたこのスキルは訓練には非常に不向きなスキルであることが判明した。何せ武器を破壊したら、元も子もない。


「強くなったはいいが、これはこれで技術の向上は見込めないな」


「お館様らしい結論でありますね。しかし加護スキルは常時発生するものでありますが」


千影に言われて思いつく。


「恩恵で破壊神の加護を外す手があるな」


「なるほど。その手があったであります。では、次はあたしがお相手させて頂くであります」


「あぁ。俺の英雄技を試させて貰うぞ」


俺と千影が構えを取る。


「流星一文字!」


「霹靂閃電!」


結果は俺の勝ちだった。


「凄い技でありますね…」


「あぁ…流石は英雄神から獲得した英雄技と言うべきか。ありがとな。千影。色々勉強になったよ」


「こちらこそであります」


訓練が終わり、武器を修復してもらってからヤマトタケルノミコトに挑む。選んだメンバーは恋火、和狐、燎刃、伊雪、千影だ。


「連戦になるがいけるか?」


「回復していますし、いけます!」


「燎刃も大丈夫か?」


「はい! 寧ろタクト殿たちのライバルとの決戦に選ばれたことが光栄であります!」


固くなっている燎刃の頭を撫でて硬さを抜く。ヤマトタケルノミコトとはお互いの手の内を知り尽くしている。なのでもはや作戦など不要。俺たちの全身全霊を掛けて勝つのみだ。


「スサノオ様と契約をしたか」


「はい。今日で俺たちの負け記録は終わりにさせて貰います」


「言うようになった物だな。最初は俺の気迫に押されていたお前が」


く…バレてた。だって、仕方ないじゃん。凄い冷たく静かな殺気なんだもん。あれで緊張しない人はいないんじゃないかと思えるほどだ。


「そうでしたね。でも、もうそれはありません。今は俺たちのほうが強いですから」


「ふ…その言葉が正しいかどうか俺に勝って証明して見せろ」


「もちろんです。いくぞ! みんな!」


「「「「エンゲージバースト!」」」」


天魔雄神との戦いの時の俺たちの姿に毛色は蒼くなり、真っ赤な竜の翼に手が真っ赤の竜の鱗に包まれた姿で降臨する。ただし構えた武器は近衛だ。ヤマトタケルノミコトを相手に慣れていない太刀で戦って、勝てるとは思っていない。


「…行きます」


「こい」


俺が一瞬で距離を詰める横薙ぎに一閃を放つと止められる。


「ぬ!?」


「だぁあああ!」


俺たちの強烈な攻撃にヤマトタケルノミコトは後ろに下がるとすぐに斬りかかって来た。ここで斬り合いに突撃する。今回はお互いに一歩も引かない互角の斬り合いだ。お互いに傷がつくと追撃が発生してもなお斬撃の応酬が続く。ここでお互いに距離が空くとお互いに武器を構える。


「「神鎌鼬!」」


恐ろしい範囲の神鎌鼬がぶつかり合い、互角に終わる。そして再び接近戦に入る。


「ふ…は!」


「く…い!?」


ここで綺麗だったヤマトタケルノミコトの剣術が変化し、俺と同じ格闘を組み合わせるようになった。鍔迫り合いの際に先に蹴りを放たれ、怯んだ所にヤマトタケルノミコトは草薙剣を投げて来た。それを俺は上に弾くと目の前からヤマトタケルノミコトの姿が消えていた。


『上です! タクトお兄ちゃん!』


『あぁ!』


「覇撃!」


ヤマトタケルノミコトは弾かれた草薙剣を手に取り、上段に構えて振り下ろしてきた。それは俺たちは受け止めるが流石にぶっ飛ばされる。


『やっぱり強いですね…あの人』


『あぁ…だが、綺麗な剣術を捨てると言う事はそれだけ追い込まれている証拠でもある。このままいけば』


俺たちが空を見ると無数の水の斬撃が飛んできた。いよいよスキルまで使って来たな。だが、水の斬撃は俺たちに当たる前に普通の水に戻り、逆に近衛に宿り、今度は俺が水の斬撃を飛ばすとヤマトタケルノミコトは避ける。


「あれがスサノオ様の加護のお力か…あの様子では風と雷もダメだな。ん?」


『狐稲爆!』


『氷柱!』


この攻撃はヤマトタケルノミコトの間合いに入った瞬間、全て斬られる。するとヤマトタケルノミコトは爆煙の中から突っ込んで来た。スサノオの加護でスキルを封じられ、俺たちが森羅万象を止めたことで下手に必殺技が使えなくなっているのだ。


こうなるとヤマトタケルノミコトは剣術での勝負に挑むしかない。しかしこちらがそれをさせない。


『爆破の魔眼!』


まずヤマトタケルノミコトに俺たちと視線を合わせるのを封じる。これでかなり有利になるのだが、ヤマトタケルノミコトは俺たちの体の動きを見て、攻撃に対処した。やはり並みの相手ではない。ここでヤマトタケルノミコトは印を結ぶ。


「仙術、紫雲(しうん)!」


紫色の雲が出現するとヤマトタケルノミコトがこれに乗る。紫雲は仏教の言葉で仏が乗る雲の名前だ。向こうが雲に乗るならこちらも出そう。


「觔斗雲の術!」


觔斗雲を出し、お互いに雲に乗って斬り合う。


『お姉ちゃん…』


『恋火、気にしたらあかんよ』


どうやら二人より俺のほうが乗るのが上手く、複雑のようだ。基本的にはスノーボートと同じ操作方法らしく、乗りやすい。だが、それは向こうも同じでこのままでは埒が明かない。


『天の披帛!』


『念動力! はぁ!』


すれ違い様に天の披帛と武器を飛ばして攻撃する。だが、全ての攻撃を弾かれる。草薙剣を構えてから振るのが恐ろしいほど、速いんだよな。まるで結界があるようだ。


そして再び距離を詰めて来た。俺は千影が手元に戻してくれた錫杖を構える。


『曼荼羅結界!』


「はぁあああ! ぬぅ!?」


曼荼羅結界を斬り裂こうとしたヤマトタケルノミコトはそれが出来ず、曼荼羅結界に押されて、弾かれる。


『伸びよ! 如意金剛錫杖!』


「ぐ!?」


伸びた如意金剛錫杖の一撃がヤマトタケルノミコトの腹に決まると地面に墜落する。ここで俺たちは觔斗雲を降りて接近戦を挑む。ヤマトタケルノミコトは明らかに大技を待っている。なのでこのまま大技を使わずに追い込むことにした。


激しく斬り合っているとここでヤマトタケルノミコトは予想外の行動に出た。


「暴風壁!」


スサノオの加護の効果で風が近衛に集まる。


「閃影!」


「い!?」


吸収している隙を逃さず狙って来た。


『気力装甲!』


『竜鱗装甲!』


恋火と燎刃がガードに動いてくれたが斬られると再度俺たちの背後からヤマトタケルノミコトは向かって来た。


『氷結の魔眼!』


俺の指に装備されていた伊雪の氷華の指輪を見てしまったヤマトタケルノミコトは凍り付き、俺たちは難を逃れた。しかしヤマトタケルノミコトは氷結をすぐさま解除して、俺たちに向かって来た。


再び激しく斬り合うとお互いの手が体に触れる。


「溶波動!」


「英雄波動!」


お互いにぶっ飛ぶとすぐさまお互いに斬り合う。ここで俺はバク転する。


『空衝脚!』


「く…!?」


やはりヤマトタケルノミコトは格闘戦がそこまで得意では無かった。元々は侍が相手をする英雄だから当然と言えば当然なんだけどね。


空衝脚を受けて、体勢を崩したヤマトタケルノミコトに閃影を使うと幻となって消える。朧を使ったヤマトタケルノミコトの攻撃を止めるとお互いに距離が空き、ヤマトタケルノミコトは構えを取る。


桜花爛漫(おうからんまん)!」


虎徹の技だと!?桜吹雪が俺たちに向かってくる。


『燎刃! 雪月花を使ってくれ! 恋火! 千影!』


『か、かしこまりました!』


『はい!』


『分かっているであります!』


超連携が発動する。俺の百花繚乱、恋火の狐炎之舞、千影の木の葉斬り、燎刃に使って貰う雪月花との超連携で迎え撃つ。かなり強引な解釈だが、この技を名付けるならこれしかない。


「『『『春夏秋冬!』』』」


百花繚乱が桜があるので春、狐炎之舞は炎だから夏、木の葉斬りは枯れ葉なので秋、雪月花は氷なので、冬。狐炎之舞だけかなり強引だとは思っている。これらが混じり合った斬撃と桜吹雪がぶつかり合う。


結果はお互いにガードしきれず、攻撃を受ける事になった。ただヤマトタケルノミコトのほうが遥かにダメージが大きかったようだ。そんな状況において、ヤマトタケルノミコトは更に構えを取ると宇宙空間が発生する。


『千影!』


『はい! 物真似であります!』


俺たちからも宇宙空間が広がる。


「「森羅万象!」」


これはお互いにかすり傷で終わり、追撃が発生する。その後も激闘は続くが追撃スキルの豊富さも俺たちのほうが多い事で勝負は俺たちが一方的に追い込む形となった。


「ふふ…ここまで私を圧倒した者は生前にはいなかった。故に認めよう。お前たちは私より強い」


ただ俺たちも無傷とはいっていない。本当に一瞬の隙があったなら首が跳ばされる世界の戦闘だった。


「ありがとうございます。しかしこの強さは一時のものです」


「そうだな。だが、それは間違いなくお前達の強さだ。それにただ強いだけの奴では私には勝てはしない。強さを得て、その上で考え、技術を磨いた者だけが我々の強さの頂に到達する資格を得ることが出来る。故に誇るがいい。お前たちが今まで積み上げてきたあらゆる努力は実を結び、俺をここまで追い込んだのだ」


ゲームのヤマトタケルノミコトだが、こう言われると本当に誇りに思ってしまう。


「さぁ、雌雄を決しようか。私に仲間の力を見せてくれ! 英雄技! ゴッドドライブ!」


「はい!」


『『血醒!』』


『逆鱗!』


ヤマトタケルノミコトはずっと待っていたのかも知れない。個人ではなく、仲間の力で自分を超えてくれる存在を。もしこれが俺の想像した通りならこの勝負、余計に負けるわけにはいかなくなった。


俺たちが逆鱗を使うと髪が蒼く染まり、稲妻が髪から発生する。


「草薙剣! 神威解放!」


「近衛! 神威解放!」


お互いに技の構えを取る。そして俺の身体中から蒼い稲妻が発生し、俺の体が蒼く発光する。


「英雄技! 神斬!」


「英雄技! 霹靂閃電!」


神速の斬撃と雷速の斬撃がぶつかり合い、とんでもない衝撃波が発生し、塔が揺れる。


「「く…はぁあああああ!」」


ぶつかり合った斬撃はここでお互いに流れてしまう。そして俺たちとヤマトタケルノミコトは体を回転させる。ここで霹靂閃電の効果が発動する。ヤマトタケルノミコトが体を回転させている中、俺たちは一瞬で攻撃態勢になる。その結果、ヤマトタケルノミコトの目に蒼い稲妻が宿っている近衛の姿が映る。


「何!? ぐあぁあああ!?」


霹靂閃電の四字熟語の意味は激しく勢いがあって非常にすばやいこと。故に英雄技である霹靂閃電は雷速による二十五連撃を行う技だった。しかもこの連撃は動き回りながら放たれる。その結果、ヤマトタケルノミコトは全身を斬られる事になった。


「これがスサノオ様から授かった英雄技か…見事だ」


俺たちの追撃を受けて、ヤマトタケルノミコトは地面に落下した。ここで勝利を知らせるインフォが来た。


『燎刃のレベルが20に到達しました。成長が可能です』

『燎刃の刀のレベルが30に到達しました。刀【朧】を取得しました』

『千影の蹴り技のレベルが20に到達しました。蹴り技【連続蹴り】を取得しました』


全員のレベルが上がる。それだけ経験値が多いんだな。インフォを聞いた俺たちは元に戻ると座り込む。


「「「「勝った…」」」」


全員がまず呼吸を一生懸命にする。呼吸すらまともに出来ない位の戦闘だったのだ。下手に深呼吸なんてしたら、死ぬ世界だった。そんな俺たちの所にヤマトタケルノミコトがやって来た。


「大丈夫か?」


「平気そうに言わないで下さいよ」


「私はもう死んでいるからな。呼吸をしなくていいのさ」


はい。それはズルです。ちゃんと足があるなら幽霊でも呼吸してください。


「はは。全員が同じような顔をしているな。私が言うのもなんだが、仲間を大切にしてくれ」


「はい。肝に銘じておきます」


言われるまでもないことだが、ヤマトタケルノミコトからの警告だ。ここは素直に受け取っておくべきだろう。


「さて、私に勝った褒美を上げねばな。まずはこれをお前たちに託そう」


そう言うと草薙剣を差し出してきた。


「桜花の国宝にして神剣である草薙剣。その力は天気を操り、斬撃は地の草を一掃する。お前たちならこの神剣を託すに値するだろう。貰ってくれ」


「はい」


俺が草薙剣と受け取ると今まで見たことがない優しい顔をヤマトタケルノミコトは浮かべた。


「そして私の技もお前たちに託そう」


森羅万象の奥義書を貰えた。ここまでがどうやら初回クリア報酬のようだ。


「そしてこれが修練の報酬だ」


菅原道真から貰える修練の宝玉のなんと七倍の量を貰えた。つまりヤマトタケルノミコトでの勝ちは菅原道真での一週間分の勝利に相当するということだ。


「凄い量ですね」


「これでも桜花最強の英雄だからな。寧ろ少ないと思えるほどだ。っとそろそろ時間のようだな」


ヤマトタケルノミコトが消えそうになると最後に俺たちに言ってくる。


「私は桜花最強の英雄などと呼ばれてはいるが結局は世の中を平和にするという最大の役目を果たすことなくこの世を去ってしまった。これが私の最大の無念で私はこの思いを託せる者と出会う為にこの修練の塔を受けた。お前たちに託していいか?」


「何処まで出来るかは分かりませんがあなたの思いとあなたから託されたこの剣と技と共に平和の為に頑張らせて貰います」


「いい答えだ。私もここで次世代の英雄たちを育てる事で貢献させて貰うとしよう」


そういうとヤマトタケルノミコトは優しい顔をして消えて行った。さて、改めて報酬を確認しよう。


草薙剣(くさなぎのつるぎ):レア度10 片手剣 品質S+

重さ:120 耐久値:2000 攻撃力:3500

効果:竜殺し、破魔、神気、英気、時空切断、溶断、多乱刃、旋風刃、神鎌鼬、神障壁、紅炎、天候支配、神雨、日光、烈日、帰還、自動追尾、自動防御、慈雨、陽光、光吸収、毒吸収、光合成、全反射、乱反射、真昼、神波動、神威解放、太陽神の加護

桜花の三種の神器の一つ。元々は桜花の主神天照大神の剣とされており、桜花最強の大英雄ヤマトタケルノミコトに渡った際に名前が変化した。長い間人の手に渡ったことで本来の力は弱まっているが天照大神の力はまだ残っており、その斬撃は大地の草を一掃し、神をも斬り裂く斬れ味を誇っている。


刀の奥義書(森羅万象):重要アイテム

刀武技【森羅万象】が書かれた本。一人しか取得出来ない。


奥義書のほうはあくまで刀なんだな。そして草薙剣は神剣グラムのほうがまだ強い武器だったらしい。ただこれは天叢雲剣があるせいだろう。能力を見てみると俺たちが苦戦した水のスキルはほぼない。どうやらヤマトタケルノミコトのスキルだったようだ。


草薙剣で始めて見るのが真昼(まひる)スキル。どうやら夜のフィールドを強制的に昼にするスキルのようだ。伊吹山神が夜にしたスキルの真逆のスキルと言う事になる。月系のスキル対策に有効なスキルなわけだ。


さて、問題は草薙剣が誰が持ち、森羅万象を誰が覚えるかだ。ホームに帰って考えていると虎徹が俺の前にやって来て、お座りする。


「虎徹は十拳剣を貰っただろ?」


「くぅーん」


虎の鳴き声じゃない。そして後、一本空いているよアピールとして尻尾で俺をつついて来た。


「では、タクトさんが使いますか?」


「いや、俺はスサノオの武器を貰うつもりでいるからな。千影はどうだ?」


「貰えるなら嬉しいでありますが原初海竜の太刀を受け取っているので」


「使い辛いか…だとするとイオンはどうだ?」


「私ですか!?」


どうやら予想していなかったらしい。


「水と相性がいいことは証明されている武器だし、イオンはまだ神剣を持っていないからな」


「しかし私は今回の勝負に関わっていませんし」


「そんなことを言ったら、虎徹にも上げれなくなるんだが」


恋火たちはイオンが持つことに賛同したことでイオンが草薙剣を受け取る。ただここで俺はイオンにお願いした。


「これからスキアーの進化クエストを受けに行くんだが、草薙剣を使わせてくれないか?」


「え…全然構いませんよ!」


「…イオン、嬉しそう」


「タクトが使った後の武器を貰えて嬉しいでしょ」


「ち、違います! リビナは何を言っているんですか!」


真っ赤になって否定している姿を見るとリビナの指摘はどうやら当たっているっぽい。まぁ、他の子にも上げた時には凄く喜んでいたし、自分も欲しそうにはしていたから今回はいい機会なのかもしれない。


そして刀の奥義書はヤマトタケルノミコトに託された俺が覚える事になった。


『刀の奥義書が使用されました。刀【森羅万象】を取得しました』


これでヤマトタケルノミコトとの決着は取り敢えずついた。まだ一勝だけどね。さて、次は燎刃の成長を後回しにして、スキアーの進化クエストに挑むとしよう。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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