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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
スサノオクエストと最後のイベント告知
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#1121 大宰府天満宮と福岡の妖怪

装備の更新を終えた俺はラーマたちの所に行き、様子を伺うとギリギリの状態だった。俺は水と食料を追加して、ラーマたちに持たせると決めていた場所の攻略に向かう。その場所は桜花でティアマトの時に避難民を連れた村だ。狙いはスサノオとの契約である。


「ここの村は被害がなかったんだな」


「良かったですね。タクトお兄ちゃん」


「あぁ…本当によかった」


どうやら俺がティアマト戦に参加しなかったことを気にしていたことがみんなにバレていたらしい。これで気分よく出発するとしよう。選んだメンバーは恋火、イクス、和狐、アリナ、グレイで全員でグレイに乗って移動する。


このまま福岡方面に向かって、山口県へと渡り、出雲大社がある島根県に向かっていく。その道中で俺にはどうしても寄り道したい場所があった。それが福岡県にある太宰府天満宮。今でも訓練をさせて貰っている菅原道真を祀っている神社だ。流石にこれはお参りをしないと行けないだろう。


町に入るとリリーたちに参拝の作法を教えて、お参りすると急に周囲の雰囲気が一変し、太宰府天満宮に結界が貼られる。


「タクトお兄ちゃん!」


「この気配は…神が現れます! タクトはん!」


どうやらクエストのトリガーを引いてしまったらしい。そして金色に空が変貌し、神が現れる。


天満天神(てんまんてんじん)

? ? ?


正式名称である天満大自在天神てんまんだいじざいてんじんでは、現れなかったな。きっと名前が長いからに違いない。菅原道真の面影を感じるが服装が神様の服装になっていて、いかつさが無くなっている。ただ強さでは圧倒的にこちらのほうが強いだろう。


「怨霊であった頃のわしに勝ちし英雄よ。わしの試練を受けるか?」


クエストのインフォが来る。


『特殊クエスト『天満宮の試練』が発生しました』


特殊クエスト『天満宮の試練』:難易度SSSS

報酬:天満天神との正式契約

挑戦条件:菅原道真に一回以上勝利している。また既に天満天神との契約者がいる場合も受けることが出来ない。

特殊条件:召喚獣や猛獣は一度の戦闘のみ使用可能。回復ポイントあり。途中ログアウト可能。

パーティー制限:最大十八人

プレイヤー条件:七人以上で挑んだ場合、戦闘出来るのは一人一回。

天満天神が選んだ神に勝利せよ。


『アテナ神殿の試練』とほぼ同じような内容だな。ただ相手が思いっきり神とか書かれている。それでも難易度が同じということはそこまで強い神は登場しないと言うことだな。俺の答えは既に決まっている。


「受けません」


「…受けぬのか?」


「はい」


「…本当に?」


物凄く悲しそうな顔をされた。なんか孫に遊んで貰えないお爺ちゃんみたいだ。ここで烏魔天狗の怒りの声が聞こえた気がするが気のせいだな。うん。そして天満天神は天に帰って行った。


「何度も振り返っていたの。お兄様」


「そうだな。でも、ここで契約しちゃうと予定が狂って来るからしょうがない。きっと俺よりいい契約相手が見つかるさ。さ、先を急ごう」


「「「「はーい!」」」」


俺たちはグレイに乗って、勢いよく飛び立った。


「「「「はぐ!?」」」」


その瞬間、見えない壁にぶつかって全員仲良く墜落した。


「か、顔からぶつかったの…」


「俺もだよ。今のは封鎖スキルか?」


「しかしマスター、ここは町の中のはず」


イクスは何かに気が付いた。そして俺も気が付いた。イクスの言う通りで通常時の町でモンスターが沸く事はない。クエストが発生しているなら話は別になるが今の俺たちにはクエストは発生していない。そして俺たちは間違いなく封鎖スキルの壁で妨害を受けた。こうなると答えは一つだ。


「やられたな。幻術か」


このゲームでは太宰府天満宮だけ存在しており、町が存在していないなら理屈は通る。俺たちは安全エリアである太宰府天満宮を出た瞬間に攻撃を受けたわけだ。ということはこの幻術の町を作り、封鎖スキルを使った犯人が何処かにいるはずだ。そして俺にはこんなことをする福岡由来の妖怪に心当たりがった。


「空間索敵。見つけた」


俺たちは参道へと向かって歩き出すと壁が次々空から降って来る。更に地面から壁がせり上がって来たりもした。それを恋火が恋白で斬り裂き、グレイが粒子分解と餓狼スキルで食べていく。こういうのを見ると強くなったことがわかるね。


「お兄様、まだなの?」


「もう少しだ。ここだな」


「「「「え?」」」」


みんなが驚くのも無理はない。そこは参道のど真ん中だったからだ。しかし空間索敵は俺たちの前に敵がいることを示している。そして俺が予想している通りの敵なら化けている所に心当たりがある。


「アリナ、爆轟を地面に向けて使ってくれ」


「それって…まさか」


和狐、アリナがスカートを抑えて、後ろに下がる。そういうリアクションになるか。運営の仕業なのに変態妖怪扱いされるこの妖怪が不憫でならない。一方イクスは既に離れており、グラビティキャノンを撃つ気満々だ。恋火は状況を理解出来ていない。


「どうかしたんですか?」


「恋火、足元の石畳にモンスターが化けとるみたいやよ」


「そ、そうなんですか!?」


恋火は驚いただけで終わる。


「下にモンスターがいるのにスカートを抑えないなんて流石恋火お姉様なの」


「え? え? どういうことですか?」


「う~ん…これは後で色々教えたらなあかんどすな~」


「恋火にもちゃんとそういう気持ちはあるぞ。ただ今回は相手がモンスターだからな」


俺たちの会話を聞いていた恋火は地面を見て、ようやく和狐とアリナが危惧していることに気が付き、物凄いスピードでその場から逃げ出した。


「お兄様の言う通りみたいなの」


「恥じらう気持ちがあってよかったどす」


一から説明するのは和狐にもダメージが来るな。


「チャージ完了しました。マスター」


「イクスはぶれないな。アリナ」


「了解なの! 爆轟!」


爆発の衝撃波で地面が吹っ飛ぶ。これで幻術は解けると吹っ飛んだ石の壁に手足と出来て、着地すると石の壁に顔が現れる。


塗壁(ぬりかべ)Lv50

妖怪モンスター 討伐対象 アクティブ


俺が最初に覚えた妖怪かも知れない有名な妖怪だ。その塗壁が手を上げる。


「オス! おらぁ塗壁ばい」


「博多弁…っ!?」


「石壁!」


石の壁が飛んで来ると和狐が結界で守ってくれた。大気壁の石バージョンか。諸に見えるから対処しやすいがその分大気壁よりは威力がありそうだ。


「油断大敵ばい…巨大化!」


超巨大な塗壁になる。そして塗壁は倒れていく。


「荷重操作ばい!」


このままぺしゃんこになるのは流石に勘弁したいな。しかも激突の効果が発生している。中々賢い塗壁だ。ただこれには欠点がある。


「見事だが、巨大化してもお前はお前のままだよな? この状況で体の面積を増やしたのは完全にミスだな」


巨大化は身体を大きくして、攻撃範囲と重さによる攻撃力の増加があるスキルだ。つまり防御力を上げるスキルではない。大きくなっても通常時の塗壁と同じ防御力なのだ。


「イクス、撃て」


「イエス、マスター。グラビティキャノン、発射します!」


巨大な漆黒の銃口の先に重力球が発生するとアリナが吹っ飛ばした物が重力球に吸い込まれて消滅していく。それを塗壁は見る事しか出来ない。彼にはもう倒れるという行動しかとれない状況だからだ。


そしてイクスが容赦なく引き金を引くと重力球が塗壁に直撃し、空に上がっていくと塗壁は重力球に吸い込まれて跡形もなく消えた。


「の、覗かれてませんよね? タクトお兄ちゃん」


「大丈夫だと思うぞ。変化か超変形かは知らないが解いてから顔が出てたからな」


そこが恐らく運営の塗壁の覗き魔疑惑を否定する演出なのだろう。一応俺も塗壁を弁護しておくと参道に化ける妖怪ではなく元々は普通の壁に化けている妖怪だ。


「そ、そうですか…よかったです」


「恋火はもう少し早くに気がつこうな~」


「お兄様が嫉妬しちゃうの」


まぁ、好きな子が覗かれるのは男として許してはいけない所だと思うので、否定はしない。さて、これでアリナたちの成長で止まっていた繰越のレベルアップが来た。ただ寄り道をしたせいで予想よりずっと時間を使ってしまったので、先を急ぐとしよう。

太宰府天満宮に続く石畳の参道は普通の道なので安心してください。普通の石の壁を作っても面白くないなと思って、悪ノリしました。

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最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
[気になる点] 何故、出雲大社にスサノオがいることを知っているのですか?
[一言] 足元を払うとかしないで力技ぁ ゲームだからね、しかたないね
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