#1116 サマエル戦、前半
すみません!スピカの進化は40でスキアーの進化は32です!スキアーは進化を迎えますがスピカはまだ先です!すみませんでした。
最初にジークが先陣を切る。
「キュー!」
ジークから光の領域が展開される。ジークの天竜域だ。ジークの場合だと一分経過する毎に相手の全ステータスを半減させてしまうことが出来る。ただしその間、ジークは動くことが出来ず、防御や攻撃などの行動はすることが出来ない。
また攻撃を受けると解除されてしまう欠点がある。その欠点を考えてもえげつない効果であることに変わりはない。たった二分で全ステータスが四分の一になるなんて悪夢としか言えない。
そして更に和狐とエアリーが仕掛けた。
「神岩結界!」
神岩結界は神を封じる結界だ。ジークの半減と和狐たちによる封印。これが決まるかでだいぶ戦況が変わる。
和狐たちの先手に対してサマエルは絶叫をするとジークの天竜域と神岩結界で発生した岩にひびが入り、砕け散る。微妙に光景に差異が存在しているが間違いない。これはアーサー王が聖槍ロンゴミニアドで使った領域支配だ。それと神岩結界を破壊したのは大気震だと思われる。
これに怒ったサマエルは翼を羽ばたかせて、物凄い数の羽投擲を使って来た。
「あの羽に触れてはいけません!」
サマエルの毒が付与された羽なのか。満月さんたちが前に展開する。
「下がれ! やるぞ!」
「「「「キャッスルランパード!」」」」
俺たちが下がると重戦士たちが守ってくれた。だが次の瞬間、サマエルの顔付近から放射熱線が放たれ、キャッスルランパードが一撃で木っ端微塵になる。そして再び羽が飛んで来る。
「「「「暴風壁!」」」」
竜巻の壁で今度はガードするとその間に重戦士たちが陣形を取ろうとした時だった竜巻の奥に赤い光が見えて、全員がやばさを感じ取る。
「グレイ! 白夜! 重戦士たちを頼む!」
「みんなもお願い!」
グレイと白夜、チロルたちの召喚獣が重戦士たちを咥える形で強引にサマエルの射線から退避すると放射熱線が直線に放たれる。狙いは俺たちの背後にいる生産職とそれを守っている夕凪たちだ。
これに対して、クリュスがアイアース・アスピスで受けて立つ。
「アイアース・アスピス! 伝説解放!」
アイアース・アスピス(伝説解放):レア度10 大盾 品質S+
重さ:150 耐久値:6000 防御力:7500
効果:英雄技【アカイア・ランパード】、強行、先制、英気、英雄障壁、多重障壁、絶対防御、堅固、大気壁、物理耐性、魔法耐性、衝撃無効、透過無効、破壊無効
英雄大アイアースが使っていたタワーシールド。青銅の盾の上に7枚の牛革を張った盾で動く壁、要塞とまで喩えられた伝説の盾。どんな武器でも破壊することが叶わなかったとされている。
「英雄技! アカイア・ランパード!」
アカイアはトロイア戦争でギリシア連合軍としてトロイア軍と戦った軍隊の名前だ。クリュスはこれを使うと七枚の透明な城壁が展開されると城壁が次々破壊されていく。
しかしただ破壊されるわけではない。破壊されるたびに放射熱線の威力が落ちていき、四枚の破壊で止まり、見事に防ぎ切った。これが英雄大アイアースが使っていた盾の力だ。
これを満月さんたちも持っていることを考えると頼もしく感じるのだが、満月さんたちは引いている。
「ただの放射熱線で四枚目まで破壊されるのか…」
「ブレスになると重ねて使わないとダメっぽいな」
クリュスからも余裕を感じられない。流石に地上にいるのはやばいな。
『ルインさんたちは夕凪に乗って下さい。地下なら多少は安全でしょうから』
『わかったわ』
黒鉄たちを転移させようとしたが転移をさせてくれるような優しい相手でなかったため、召喚石に戻した。
「とにかくサマエルを囲いこもう! このままだといい的だよ!」
「だな。正面は俺たちと重戦士たちが引き受けた!」
「俺も正面を担当します。大きい召喚獣が多いので」
「助かる。防御は任せてくれ」
こうなると自然と陣形は決まって来る。まず転移が封じられている魔法使いたちは正面に陣取るしかない。アクセラレーションを使ったところで意味がないほど、スピードがないからだ。
「足が速い人とチロルさんたちはサマエルの後ろに回って! 鉄心さんは右側面! 私たちは弓部隊を連れて左に回ります!」
「了解! サマエルからなるべく遠回りしつつ、背後に回るよ!」
「こちらも了解した! 刀持ちと銃部隊はこっちに来てくれ!」
分散するとそんなの関係なくサマエルは正面の俺たちに狙って来た。するとサマエルの放射熱線をミカエルがガードする。満月さんたちの武技や英雄技で消し飛ばされた攻撃を普通にガードするんだな。
「はぁ! 我々も分かれましょう! 正面は私、ウリエルとガブリエルは側面、背後をラファエル。お願いします」
それぞれ分散するとサマエルは息を吸い込んで神魔毒ブレスを吐きながら、顔を左から右に動かして攻撃してきた。俺たちは躱しながら、ミカエルに質問する。
「あの毒って毒吸収は無理なんですか?」
「することは出来ますが死んでしまうでしょうね。通常の神魔毒とはレベルが違うんです」
「やはり大きいと的だな。逃げ場もない」
完全に狙われる形となった夕凪は津波でこれをガードしに掛かるが神魔毒ブレスが津波を貫いてしまう。大ピンチの夕凪の前にルミが現れる。
「…神威解放」
猛吹雪が発生するとその中から白髪に青い瞳を持つ女神が姿を見せる。
名前 ルミ ジャックフロストLv20→スカジLv20
生命力 240→290
魔力 476→526
筋力 253→303
防御力 190→240
俊敏性 223→273
器用値 336→386
スキル
氷創造Lv24 雪氷刃Lv24 多乱刃Lv1 精霊眼Lv23 念動力Lv9
使役Lv21 魔氷装甲Lv21 魔法耐性Lv18 魔力喪失Lv16 魔力超回復Lv1
指揮Lv8 空間転移Lv17 空間支配Lv1 時空切断Lv1 雪潜伏Lv10
空虚Lv20 飛翔Lv24 他心通Lv24 神感覚Lv24 無我Lv21
氷柱Lv13 疾魔法Lv12 神聖魔法Lv12 暗黒魔法Lv14 氷魔法Lv36
時空魔法Lv40 封印魔法Lv32 精霊魔法Lv4 暴風雪Lv11 天氷壁Lv1
天氷装甲Lv1 氷原操作Lv10 氷結の魔眼Lv17 氷旋風Lv17 猛吹雪Lv6
即死Lv19 加護無効Lv23 耐性無効Lv22 冬眠Lv12 全反射Lv9
天候支配Lv1 運勢操作Lv14 全滑走Lv22 かまくらLv5 天祝Lv5
雪洞Lv5 氷牢Lv7 霧氷Lv17 譲渡Lv4 守護結界Lv7
堕落Lv17 魅了吸収Lv1 罠設置Lv15 冷凍光線Lv16 極寒波動Lv17
プレゼントLv23 雪崩Lv3 氷山Lv1 氷獄Lv5 刑罰Lv1
神撃Lv1 妖精の輪Lv7 神技Lv1 巨人の加護Lv1 女神の加護Lv21
スカジは北欧神話の雪の女神様だ。どれだけ強いかは謎だが、彼女の父親である巨人スィアチはアース神族を壊滅の危機に追いやった難敵として知られている。そのため、その娘であるスカジにアース神族たちは和平交渉をするなど戦いを避けていることからかなり危険視されていたことが神話で分かる。
そんな冷酷そうさ雰囲気を持つ女神が言う。
「…神技。スリュムキャッスル」
ルミの前に巨大な氷の城が現れると神魔毒ブレスを防いだ。スカジは離婚後、スリュムヘイムという場所にある館を住まいにしていたという伝説がある。どうやらその館を召喚する技のようだ。完全に俺たちのホームが負けており、複雑な気分になった。
気持ちを切り替えて、俺はみんなを再召喚すると全員が頷く。みんな、覚悟は決まっているらしい。本当によくできた召喚獣たちだよ。なら俺は召喚師として指示を出そう。
「全員で時間を作る! 全力で行け! チェス、黒鉄、ディアン、ストラ、月輝夜、ハーベラス!」
「「「「シャー!」」」」
「グォオオオ!」
最初に先陣を切ったのは月輝夜だった。酒呑童子の金砕棒の閃電スキルで接近した月輝夜は鬼技【鬼太鼓】を発動させて、酒呑童子の金砕棒をフルスイングでサマエルの顔を狙うと大爆発する。
しかしサマエルは空間装甲でダメージを受けていなかった。そしてサマエルの手が月輝夜に伸びると魔素化で退避すると千影が原初海竜の太刀を構え、ルミが巨大な氷の鎌を作り出す。
「…時空切断。雪氷刃。多乱刃」
「時空切断! 流星一文字!」
ルミの手に巨大な氷の鎌が出現するとそれを雪氷刃と多乱刃を使った状態で振ると無数の雪氷刃が飛んでいき、サマエルの空間装甲を次々傷付け、千影が止めの一撃で完全に破壊する。
ここで神威解放したディアンと超覚醒したストラ、ハーベラスのブレス攻撃がサマエルに浴びせられる。更に黒鉄のレールガンロケットパンチが放たれるが手であっさり撃ち落とされる。
ここで黒鉄にとんでもない規模のドラゴンブレスが放たれる。これを見た黒鉄は避けられないと考えて、ミサイルを放つと木端微塵になる。その代わりにミサイルはサマエルに命中し、神威解放を使ったチェスの矢の雨とルミの氷柱がサマエルに降り注ぐ。
これに対して、サマエルは身体に刺さっている釘が抜けるとチェスとルミに向かって、飛来する。危険を感じたチェスとルミは迎撃に動くが釘は破壊することが出来ず、接近を許してしまうと釘から電撃が放たれるとチェスとルミの神威解放が解除されて、二人は元の姿に戻されてしまう。
切り札の強制解除なんてそんなのありかよ…ここで二人に釘が迫る。
「グ…グォオオオオオ!」
チェスが星矢と氷斧を投げるとルミを体で包み込み、釘に体中を貫かれて、召喚石に戻される。
「…チェスさん」
悲しみにくれるルミだが、チェスの最後の攻撃は羽で防がれる。すると側面からディアン、その他の方向からストラのブレス攻撃、上からは流星群と共に彗星、巨大な氷山が落とさせる。するとサマエルと両手を合わせる。
「魔神技。ジェネシスフィールド」
サマエルから謎のフィールドが展開されるとディアンとストラのブレスがフィールドに押される。いや、というよりブレスをフィールドが通していない。更に流星群を見ると消滅した。
『あの領域に触れるな! 消滅フィールドだ!』
「ルミさん!」
ルミは間一髪で伊雪が助けたが彗星も氷山も消滅する光景を見て、みんなも絶句だ。
「えぇ!? 全部消えちゃったよ!? タクト!?」
「どうしますか? タクトさん。これじゃあ、接近出来ませんよ」
「…落ち着け。ちゃんと初期動作があった。フィールドの範囲は結構広いが展開速度はそこまで速くない。使われてからでも俺たちなら逃げられる」
寧ろみんなで総攻撃中に初見で使われなくてよかったと思うべきだ。最悪この一手で全滅していたぞ。ジェネシスフィールドを解除するとサマエルが紫色に発光する。
「拡散光線だ! 迎え撃て!」
全員を対象に拡散光線が放たれる。これに全員で対処していると展開しているみんなに釘から冥波動が放たれ、サマエルが俺たちに向けて神魔毒ブレスを放ってきた。
「拡散光線を止めろよ!?」
「逃げ場がないぞ!?」
「く…これでは絶対防御は使えない。アカイア・ランパードも空からの攻撃は防げない。俺たちで拡散光線を防ぐ! ギルマス! 神魔毒ブレスを頼む!」
ここで絶対防御を使っても拡散光線をガードしてしまうから肝心の神魔毒ブレスは防げない。こんな方法で絶対防御を封じて来るとは思って無かった。しかも拡散光線を武技でガードしてくれる満月さんは動けない。つまり俺たちはどうにか神魔毒ブレスを防がないといけない。
「私がやるわ」
「狐子…お前」
「そんな顔しないでよ。大丈夫よ。覚悟は決まっているもの。神格解放! 毒吸収!」
狐子が神格解放を使うと神魔毒ブレスを毒吸収する。
『白面金毛九尾を舐めんじゃないわよ!』
「っ…狐子を援護してくれ!」
「わ、分かった! 彼女に当たる拡散光線をガードするぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
神魔毒ブレスを全部吸収すると狐子は倒れる。
『後は頼んだわよ。恋火お姉ちゃん、和狐お姉ちゃん。祟り』
最後に祟りを浴びせた狐子はこれで召喚石に戻る。
「こんな時に言うなんて、狐子ちゃんはずるいです」
「こんな時やからやろうね…狐子の覚悟は無駄にしたら、いかんよ。恋火」
「分かってます! 血醒! 狐子ちゃんの仇はあたしたちが取ります!」
「式神召喚! 天魔雄神!」
恋火、リビナ、リアン、ブラン、ファリーダ、天魔雄神、虎徹、優牙、ダーレー、千影に神格覚醒を使ったグレイとコノハ、ゲイル、白夜、伊雪、蒼穹、コーラルに加えてミカエルがサマエルに接近する。
祟りの効果でサマエルには呪いと病気の状態異常が付与されて、スキルが使えない状態だ。狐子が最後に残したチャンスはみんなが無駄にはしない。
「…死ニナサイ」
ここでサマエルの巨大な尻尾がとんでもない速度で振るわれ、全員がぶっ飛ばされる。だが、みんな大ダメージは受けてしまったが生きていた。狐子が呪いを与えていなかったら、今のでみんな終わっていた。
再度、恋火たちが向かうと呪いが解除された状態で再び尻尾が振るわれる。解除するのが速すぎるが一度見た攻撃に対応出来ないみんなじゃない。
「グォオオオオオ!」
「「「「シャー!」」」」
「生物創造! いでよ! パイア! あの尻尾に突進なのじゃ!」
雷化で空に現れた月輝夜が尻尾に酒呑童子の金砕棒を覇撃で叩きつけると更にストラが真正面から噛みつきとセフォネが生物創造で召喚したパイアが突進して恋火たちを守った。
ここでストラが召喚石に戻り、パイアも消滅する。そして恋火たちが接近に成功しようとした時だった。サマエルが羽ばたくと暴風壁が発生する。吹き飛ばされるみんなだったがここで暴風壁を突破する巨大な影があった。超覚醒したハーベラスだ。
名前 ハーベラス プルートケルベロス(超覚醒)Lv11
生命力 273→353
魔力 385→465
筋力 556→656
防御力 154→214
俊敏性 441→541
器用値 201→261
スキル
噛み砕くLv40 星間行動Lv1 天耳通Lv33 神瞳Lv35 爆破の魔眼Lv22
危険予知Lv37 堅固Lv34 魔法無効Lv29 万物破壊Lv32 神足通Lv39
他心通Lv23 神感覚Lv23 空虚Lv9 無我Lv23 神速Lv23
超加速Lv1 先制Lv36 強激突Lv36 呪滅撃Lv28 呪滅封陣Lv28
呪殺撃Lv17 致死毒Lv36→即死毒Lv36 神魔毒Lv36 弱化毒Lv1 永遠毒Lv1
獄炎の牙Lv37 獄炎爪Lv35 魂探知Lv17 空間感知Lv16 重圧Lv22
戦闘高揚Lv34 肉体活性Lv23 紅炎Lv35 火山弾Lv30 大噴火Lv3
火砕流Lv6 火山雷Lv1 獄炎Lv22 炎分身Lv17 放射熱線Lv10
死滅光線Lv15 炎魔法Lv13 暗黒魔法Lv15 惑星魔法Lv4 熱波Lv12
焼尽Lv1 多連撃Lv38→無限連撃Lv38 冥府の咆哮Lv27 空振Lv24 星震Lv1
冥波動Lv11 炎ブレスLv24 暗黒ブレスLv21 神魔毒ブレスLv21 星ブレスLv13→神ブレスLv13
黒雷Lv18 魔霧Lv18 毒域Lv12 守護結界Lv10 空間捕食Lv20
強化復活Lv17 魔力超回復Lv22 封鎖Lv3 冥府鎖Lv3 刑罰Lv9
流星群Lv5 彗星Lv1 超集束Lv8 魔素化Lv9 即死Lv17
耐性無効Lv21 加護無効Lv1 霊化Lv8 不屈Lv1 狂戦士化Lv9
逆鱗Lv6 破壊の加護Lv22 冥府神の加護Lv32→ハデスの加護Lv32
超覚醒したハーベラスは巨大化し、更に尻尾の蛇も三つに増えていた。そのハーベラスが襲い掛かるとサマエルの目から放射熱線が放たれ、爆散するがハーベラスは更に体が大きくなって蘇生する。
これがハデスの加護の能力だ。蘇生、不屈、復活、起死回生が発動する度に全ステータスが上がっていく。蘇生したハーベラスが噛みつくと不屈でなんとか耐える。
ここでサマエルの手から巨大な爪が発生するとハーベラスが斬り裂かれる。更に攻撃が爪だったので、蘇生したハーベラスが噛み付こうとするとサマエルの手に胴体を掴まれる。この結果、ハーベラスはサマエルの毒を受けてしまう。
自分の死が近いことが分かったハーベラスは三つの首と尻尾の蛇から最後のブレス攻撃をサマエルに浴びせると地面に捨てられるように叩きつけられると召喚石に戻る。
だが、ハーベラスの頑張りは全員の接近戦に繋がる。そう思っているとサマエルは斥力場を使用する。本当に嫌になるな。だが、俺も召喚準備が整った!神がダメならドラゴンで勝負するまでだ!
「今度の相手は堕天使の魔神だ! 相手にとって、不足はないだろう? 封印石召喚! 来い! アジ・ダハーカ!」
『フハハハハ! 無論だ! 神の悪意を一身に受けた堕天使よ! 貴様の悪意が本物だというなら我らを殺し証明して見せよ! ドラゴンブレス!』
「リリーたちも行くよ! ドラゴンブレス!」
「死ニナサイ。ドラゴンブレス」
みんなのドラゴンブレスとサマエルのドラゴンブレスがぶつかり合うとサマエルを押し、ドラゴンブレスの爆発をサマエルだけが受ける。更に追撃を放つ皆が攻撃するとサマエルは魔素解放を使い、羽ばたくと魔素がブレスを押し返して来た。普通の魔素じゃないな。
「「「「熱風!」」」」
「「「「死風!」」」」
「「「「暴風!」」」」
「「「「暴風雪!」」」」
風系のスキルがぶつかり合うとお互いに弾き合う。ここでサマエルの手に魔力が集まると月輝夜の手にも魔力が集まる。サマエルの無波動と月輝夜の太極波動がぶつかり合うとそれを見たアジ・ダハーカと魔法使いたちがサマエルの周囲に無数の魔方陣を展開する。
そこから雷や巨大な氷柱、砂嵐、隕石が降り注ぐがサマエルに通用していない。ここで月輝夜が押されるとディアンと和狐が援護に入る。それでも押されているとサマエルの背後から無数のブレス攻撃が直撃する。
「ギルマスの召喚獣たちが命懸けで作ってくれた時間を無駄にはしないよ! みんな! 突撃ー!」
「チロルたちを援護するよ! みんな!」
この攻撃を受けたサマエルはチロルたちを見ようとするとサマエルの左右から弓と銃撃が襲い掛かった。更にメルたちと鉄心さんたちが突っ込んで来ていた。
「今だ! みんな!」
「月輝夜を援護しますよ! リリー!」
「分かっているよ! イオンちゃん! いっけぇえええ!」
「俺たちも行くぞ! 英雄波動!」
プレイヤーたちからの援護が来たことで波動を押し返して、互角に終わらせる。ここでイクスがタスラムを構えると迷わず引き金を引く。
波動の爆煙を貫くように飛んできたタスラムの砲弾がサマエルに迫るとサマエルは尻尾で弾こうとする。その結果、タスラムの砲弾が尻尾に触れた瞬間、タスラムが炸裂する。
タスラムの閃光からイクスに向かって、尻尾が襲い掛かって来た。これをイクスは光化で回避する。
『やはりエクスマキナの武器こそ最強です。マスター』
『それが言いたかったからタスラムを選んだわけじゃないよな?』
『…』
返事が返って来なかった。代わりにイクスはDEMバーストを発動させるとミアたちと共に尻尾に攻撃する。追及するとマスターの真似をしただけとか言われそうだから言わない。それよりもあの尻尾だ。
「タスラムは間違いなく決まっていたぞ。どうなっているんだ?」
俺の疑問にミカエルが答えてくれる。
「サマエルは無限復活というスキルを有しています。これは瞬時にしかも無限に復活するスキルなのですが先程ウリエルが言ったように回復するスキルではありません」
なるほど。つまり他の敵のように体をぶった斬っても意味ない訳だ。それでも確実にダメージだけは入っていくわけね。イクスはそれを見切ったために尻尾を狙っているのかも知れない。ミカエルから得た情報を皆に伝えると接近戦をしているみんなから通信が来る。
『確かにダメージは入ったように見えたけど』
『タスラムであれだけなの?』
『そういう事だな』
タスラムで減ったのは一センチほど、このままの状態で攻撃を続けるのは避けたい。となると肝になるのはやはりジークだ。どれだけ半減出来るかでこいつに与えるダメージが変わって来る。こちらも銃弾などは有限で武器には耐久値という限界が存在している。召喚獣もプレイヤーもいつ死ぬか分からない。早めに仕掛けるのが吉と見た。
『ジーク! 天昇だ! とにかくあいつに半減スキルを当ててくれ! みんなは援護を頼む!』
「キュ! キュー!」
ジークが光となって、消えると空からアルビオンドラゴンが降臨する。
名前 ジーク グウィバードラゴンLv4→アルビオンドラゴンLv4
生命力 408→508
魔力 476→576
筋力 528→628
防御力 358→458
俊敏性 500→600
器用値 343→443
スキル
高飛翔Lv46 竜牙Lv32 竜爪Lv39 猛毒竜鱗Lv39 脱皮Lv1
竜尾Lv36 天竜眼Lv33 他心通Lv20 神感覚Lv20 天言Lv20
無我Lv20 空虚Lv6 万物破壊Lv18 時空切断Lv16 白熱刃Lv11
魔力超回復Lv19 脱出Lv11 羽投擲Lv27 暴風壁Lv19 空振Lv17
大気震Lv1 星震Lv1 光速激突Lv38 大地操作Lv1 光圧操作Lv10
引力操作Lv1 重力操作Lv1 重圧Lv13 騎乗Lv21 戦闘高揚Lv20
肉体活性Lv18 堅固Lv21 疾魔法Lv6 神聖魔法Lv6 時空魔法Lv37
空間歪曲Lv10 空間転移Lv10 時空支配Lv1 時間遅延Lv17 後光Lv18
天ブレスLv31 神魔毒ブレスLv16 神魔毒Lv18 永遠毒Lv18 弱化毒Lv18
侵食毒Lv16 天竜域Lv1 拡散光線Lv29 日光Lv11 変光Lv11
多乱刃Lv32 多連撃Lv32 聖療Lv9 天雨Lv28 瞬間再生Lv30
竜気Lv38 覇気Lv1 超加速Lv35 全反射Lv24 乱反射Lv6
天障壁Lv21 烈日Lv16 天芒Lv12 天波動Lv27 星虹Lv20
極光Lv6 ガンマ線Lv6 超集束Lv14 光吸収Lv13 毒吸収Lv1
残像Lv25 光分身Lv1 夢幻Lv8 天鎖Lv17 天撃Lv8
覇撃Lv9 光化Lv4 竜技Lv34 竜魔法Lv20 逆鱗Lv6
ドラゴンブレスLv34 半減Lv24 起死回生Lv1 奇跡Lv1 物理無効Lv2
耐性無効Lv18 加護無効Lv18 大地母神の加護Lv1 聖輝龍王の加護Lv33
流石に強化のレベルが違うな。アルビオンはもっとも古いブリテン島の名称だから大地母神の加護が発生しているのか。大地母神の加護の効果は全属性耐性と地上戦をしている間の全ての回復効果の上昇がある。道理でみんなの必殺技ラッシュのダメージが低かったわけだ。
これを見たアジ・ダハーカは笑む。
『アルビオンドラゴンが来たのなら我らは我らの最強の一撃の準備をしようではないか』
「僕らもアジ・ダハーカに合わせる!」
「俺たちは魔法使いたちと召喚獣たちを死守するぞ!」
アジ・ダハーカが禁呪の準備に入ったことでレッカたちも禁呪の準備に入り、重戦士たちが護衛に動く。
そしてジークはサマエルに突撃を仕掛けるとサマエルは神魔毒ブレスで攻撃する。ジークは怯まずドラゴンダイブで突撃すると脱皮の効果で岩が剥がれて、毒に直接触れる事を回避した。
こうなるとサマエルはジークにひたすら攻撃して脱皮させ続けるしかない。だが、ジークに攻撃を集中した結果、防御の意識が疎かになる。この瞬間に全員がサマエルに接近戦に持ち込み、斬りまくる。
「アァアアアア!」
サマエルがいきなり身体中から毒の煙を発生させて、みんなが慌てて、逃げると逃げ遅れた人が死に戻る。更に雷轟で全体攻撃をして来た。ジークへの攻撃はゲイルがガードしたがジークは特攻をやめる。するとここでサマエルのドラゴンテイルが来た。
「シャー!」
スキアーが地面から飛び出し、体当たりする形で尻尾のコースを変えるとジークは躱す事に成功する。そしてサマエルの毒にやられたスキアーは脱皮で難を逃れるとドラゴンブレスを放つ。するとサマエルの爪が振るわれると巨大な鎌鼬がスキアーの体をバラバラにして、召喚石に戻る。
「よくやった…スキアー」
スキアーの頑張りに答えてやりたいが突破法が見つからない。下手にサマエルの毒霧を風で飛ばすとプレイヤーの方に飛んでしまう状況だ。
「あの毒はラファエルがなんとかします」
「神威解放!」
ラファエルが水瓶を取り出すと神威解放を使う。
「浄化の水よ。サマエルの毒を消し去りたまえ。ラファエル・フォール!」
ラファエルの水瓶から大量の水が天に上がっていくとサマエルに落下する。するとサマエルの毒霧が消えた。
『ジーク!』
「キュー!」
ジークが再び突っ込むとすると今度はサマエルが丸まり、サマエルが元の状態になると謎の波動がサマエルから全体に広がっていく。ジークはこれにぶつかり、身体を削られながら、下げられる。熱風などと同じ防御と攻撃を兼ね備えている攻撃スキルだな。
このスキルの正体を知っているダーレーが突撃する。
「俺に任せろ! 霸王戟! 伝説解放!」
伝説解放をされた霸王戟からとんでもない気が発生する。
「気力爆発! 波動衝撃!」
ダーレーの気が一気に山の高さまで膨れ上がるとダーレーから波動が放たれ、サマエルの波動と激突する。これでサマエルが使ったのも波動衝撃だったことが判明した。
だが、ダーレーは押されてしまう。しかしダーレーが叫ぶ。
「この槍に宿った意志が俺に言うんだよ! 例え相手が神であっても負ける事は許さねーてな! 逆鱗! 捨て身の一撃! 英雄技! 西楚覇撃!」
ダーレーが放った渾身の西楚覇撃はサマエルの波動衝撃を一瞬で呑み込み、サマエルが覇撃に包まれて、倒れ込む。
「へへ…勝ったぜ…これで満足だろ? ぐふ」
ダーレーが捨て身の一撃の反動で倒れ込む。
「俺に構うな! 行け! ジーク!」
「キュ! キュー!」
サマエルが起き上げろうとすると既にジークは目の前に接近しており、ドラゴンクローを放つ。これに対してサマエルは多重障壁を展開し、ジークを押して起き上がろうとする。この間にダーレーはアリナに助けられる。
「あのまま死んでいいなんてお兄様の召喚獣失格なの。ダーレー」
「ぐ…心を読むなよ」
「そんなのしなくても顔を見ればバレバレなの。最後の最後まで生き残るために全力を出すのがお兄様の召喚獣。死んでしまったみんなも最後まであがいて、最善の行動を取っていたことはダーレーも分かっているはずなの」
「…悪かったよ」
アリナがダーレーを説教している間にもジークは多重障壁に攻撃を続けて、みるみる多重障壁が薄くなり、次々破壊していくとここでジークはサマエルのドラゴンテイルでジークは吹っ飛ばされ、ジークの体がボロボロになるとジークの本体がドラゴンダイブで飛び出す。
「キュー!」
ジークの覇撃が決まり、全ての多重障壁を破壊する。だが、波動衝撃で弾き飛ばされたジークにサマエルの手が伸びて来た。
「キュ…キュー!」
逃げるジークだが、サマエルの手は速く、自在に動くために逃げられない。
「ジークさん!」
「手を斬れ!」
恋火たちと鉄心さんたちが手を斬るが無限復活で斬ってもすぐに戻ってしまう。ここで逃げれないと悟ったジークは拡散光線を放つ。サマエルも迎撃に動こうと紫電槍を発生させるがメルたちとゲイル、ロコモコ、エアリーがそれを破壊し、ジークの拡散光線がサマエルに直撃する。この瞬間、無数の半減効果をサマエルに与えた。しかしジークはサマエルの爪に体を貫かれて、召喚石に戻る。
『見事だ! それでこそ真のドラゴン! お前の意志は我らが引き継ごうぞ! さぁ、堕天使の魔神よ! 受けて見よ! 世界は収束し、終焉を迎える! 禁呪! ビッククランチ!』
ビッククランチは宇宙の終焉の一つの理論だ。宇宙はビックバンによって膨張を続けているのだが、いつか膨張は収束に転じて宇宙は終焉を迎える。この収束がビッククランチだ。
このゲームでは対象者に超重力でダメージを与えつつ、動きも封じた上で全ての攻撃は囚われている者に跳ね返るというとんでもない禁呪だった。喰らったら、何もしないのが正解なんだろうがサマエルはムキになり、アジ・ダハーカに攻撃しようとするがその攻撃が悉く自分に当たる。
更に全ての攻撃が集まると言う事はプレイヤーからの全ての攻撃もサマエルに必中することを意味している。これを見たセチアが魔法矢を撃ちまくり、ルークたちも後に続くとリオーネやカーバンクルたちが宝石を放つ。その全てが自然とサマエルに集まる。
サマエルも撃ち落とそうとするが尻尾は動かず、攻撃は自分に入ってしまう。これがビッククランチの恐ろしさだ。
「「「「宝石解放!」」」」
サマエルが七色の光に包まれ、大爆発する。ここでビッククランチの効果が切れるとレッカたちが続く。
「連続行くよ! 禁呪! ハイパーノヴァ!」
「分かってます! 禁呪! エンジェルフォール!」
雫ちゃんが使った禁呪エンジェルフォールは水属性の禁呪だ。エンジェルフォールはベネズエラにある世界最大の落差の滝の名前として知られている。因みに名前の由来は天使とは全く関係なく、エンジェルさんが見つけた滝だからである。
本来のエンジェルフォールはあまりの高さから水が落ちる故に地面に水が降りる前に霧上になってしまう滝で普通はある滝つぼが存在しない珍しい滝として知られている。だが、このゲームでは最大落差の巨大な滝がサマエルを襲う。
浴びている中、ダメージを受け続けて、サマエルは落下する水の重さに体が沈んでいく。そこにみんなが次々大技を叩き込む。グレイたちもチャンスだと考えて、全力攻撃を仕掛けた。
ジークの頑張りもあり、生命力がみるみる減っていくが元々の生命力がかなりある。そして本命の魔法をアジ・ダハーカが使う。
『我らは千の魔法を知り、世界の真理を知る者』
『我らは生まれながらの悪にして、世界の悪を知る者』
『我らはドラゴンにして、世界を破壊する者』
『『『我らが凶星を持って、我らの存在を世界に知らしめよう! 禁呪! ゾロアスター!』』』
以前フリーティア城に落とされた凶星がサマエルに落下する。サマエルは手で押し返そうとしたが流石にそれは無理で大爆発する。
「あれ…禁呪だったのかよ」
流石にアンラ・マンユより巨大ではなかったがその分落下速度が速かった。
『限界だな…忌々しい』
そういうとアジ・ダハーカは消えた。これだけ暴れても勝ちに執着するのがドラゴンなんだろうな。
アジ・ダハーカの一撃で生命力は半分以上を削ったことでサマエルが逆鱗を発動させて、絶叫するとみんなが吹っ飛ばされる。ここからが本当の勝負のようだ。




