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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
堕天使イベント
1176/1718

#1112 ミカエルの秤の返還

超特急で竜化したリリーたちが戻って来ると元に戻る。


「「「「あぁ~…解除してる~」」」」


誰かがリリーたちに俺とリビナのマリッジバーストの情報を伝えたらしい。リビナのはずはないので、俺は疑いの目をセチアに向ける。


「まぁ、リリーお姉様たちのやる気を上げるために必要な措置ですよ」


「ならこれで俺のお叱りは無しだ」


「それとこれとは」


「同じだ」


もう俺は罰を受けたと思っている。だから今日起きたことはこれでチャラだ。


「強引ですね。まぁ、それでいいですけど、あんな作戦は他の誰かにさせて下さい」


『『『『それは酷くないか?』』』』


俺を含めたプレイヤー全員がセチアの発言に引いた。一方でアリナは俺とリビナのマリッジバーストを見たことを自慢していた。まぁ、これは満足に戦えなかったことの悔しさを誤魔化している感じに見える。ここで俺と目が合うが逸らされる。今日はそっとしておこう。


ここでカマエルと他のエリアで参戦していたサンダルフォンとメタトロンがやって来た。


「お疲れ様―! シャムハザを倒しちゃうなんてすっごいね」


「まぁ、苦戦はしたけどな。おっと…あいつらのお出ましか」


カマエルがそう言うとラッパの音と共に水が天から落ちて来た。そしてガブリエルと水色の髪の天使が現れる。


「ガブリエルちゃん! 登場! そしておめでとう!」


「ラファエルと申します。ここにいるガブリエルさんと皆さんに会いづらいミカエルさんとウリエルさんと共に四大天使をさせて頂いております。以後お見知りおきを」


ラファエルはおしとやかそうな水色の髪の天使だった。おっとり系のお姉さんタイプだな。まぁ、ミカエルは完全に俺たちに迷惑をかけたことだし、ウリエルもシャムシエルのことを引きずっているんだろう。


「何しに来たのかな?」


「私たちはミカエルの秤を回収しに来ました」


「それなら何でミカエルが来ないんだよ。迷惑をかけておいて謝罪もせず、自分の物だけ回収するとか天使の威厳に関わるぞ」


プレイヤー一同カマエルの発言に大賛成である。


「それは明日にさせてあげてください。今、部屋でいじけているので」


「責任感が強すぎるんだよねー。ミカエルちゃんとウリエルちゃんは」


二人揃って、いじけている姿が脳裏を過ぎった。ウリエルもいないし、案外あり得そう。


「おいおい。そんなのでアザゼルと戦えるのかよ」


「そこは問題ないでしょう」


「諸悪の根源はあんにゃろーだからね。溜まった鬱憤をきっとぶつけるよ」


それから謝罪の流れになるわけだな。取り敢えず明日は天使の最大戦力であるミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエルが参戦することが確定した。だが、逆に言うとそれで今回の戦いの難易度より更に上がって来るはずだ。


それを意識して、みんな切り札を温存しているわけだが、折角の機会だからアザゼルの情報を聞いてみた。


「あいつがどんなことをしてくるかは私たちにも分からないんだよねー。頭のねじが飛んでいるというか、面白いことには全力で研究して実現させちゃう奴だからさー」


「間違いないのは機械化されていた堕天使たちは間違いなく彼の仕業です。彼らがああなったからには何か理由があると私たちは考えています」


「まぁ、自分の体も機械化されている感じだと思うよー。いきなり自分の体でしたくないから配下の堕天使を使った感じじゃないかなー?」


アザゼルはサイボーグ化されている可能性があるわけか。これは知れて良かった。そして一番重要な情報を貰う。


「それとこれはあまり詳しくは言えませんがアザゼルには裏の顔があります」


「私たちにとって、最も忌むべき天使がアザゼルのもう一つの顔なんだよー。こいつになられるかまだ分からないから、悪いけど情報は伏せされてねー」


天使たちが名前を出すことをタブー視している天使でアザゼルと関りがある天使か…候補はあるけど、ちょっと自信が無いな。俺が思いついた天使はアザゼルというよりサタンと同一視されている天使だからな。


ただ俺が想像した堕天使が登場するなら実力はルシファーとサタンに匹敵するはずだ。天使たちに銀がミカエルの秤を渡すと天使たちはいなくなり、会議する。最初の議題はこの天使の話だ。


「もし登場するならレイド戦になる案件よね…」


「バエルの時は事前告知なかったよな?」


「そうだったがあの時はバエルのレイド戦だったぞ。アザゼルのもう一つの顔という話からみて、レイド戦の可能性は低く感じるが」


全員が頭を抱える。この読みが当たっているならこちらもそれなりの覚悟を決めないと行けない。


「戦力を分けたのはミスだったかしら?」


「そこはどう考えるかだな。戦力を集めて比較的、楽に攻略をするか。それとも戦力を分けて、より多くの者が強くなり、ポイントを得るかの違いだ。私たちは全員で相談して過酷な道を選んだんだ。戦力の不足くらい覚悟しているとも」


鉄心さんの言う通りだ。それに選んだ物はもう変えられない。それなら自分たちが望んだ最善の道の為に全力を出すだけだ。


みんなの覚悟が決まったことでアザゼルの作戦会議をする。アザゼルの後にとんでもない敵が来る想定でアザゼルとの勝負を考えないと行けない。ただアザゼルを倒せないと意味がないからこの辺りのことを考えて、切り札をなるべく温存する形で作戦を決めた。


まぁ、みんながアザゼルは俺を狙ってくると考えていた。理由はデスペナだ。アザゼルとの戦いで負けた人はデスペナで参加出来ない可能性がある。それなら俺を潰すことでリリーたちも参加出来なくなることを考えると狙われる理由には十分だ。


シャムシエルとシャムハザは明らかに俺を警戒していた節があったから、俺もアザゼルに狙われると考えて、動くことにした。


これで会議は終わり、ノワたちの成長を実行する。


『ノワが成長しました。自動防御、物質化、疫病を取得しました』

『ノワの吸収が影吸収に進化しました』

『リビナが成長しました。疫病、氷雷、大気波動を取得しました』

『リビナの擬似魔神化が魔神化に進化しました』


ここで魔神化を覚えるんだな。これが終わるとリリーたちが必死に俺を叱ろうとしてきた。


「ダメだよー! タクトー!」


「ちゃんと叱られてください! タクトさん!」


「セチアと話してこの一件は無しになったんだ。だからダーメ」


「そんなのずるいですよ! セチアお姉ちゃんとミールだけタクトお兄ちゃんを叱るなんて!」


恋火の本音が真実だろうな。つまりリリーたちはどうしても俺を叱りたいらしい。その証拠に尻尾がぱたぱた動いている。これは何か楽しいことがあった時の行動だ。それを指摘すると視線が泳ぐ。やはり叱られるのは却下した。


「ちょっとみんなに重要な話がある。明日の戦いについてだ」


俺の言葉にみんなの雰囲気が戦闘中のように変わる。


「明日の戦闘はかなり厳しい物になることが予想されている…俺たちが命懸けで戦って勝てるかどうかわからないレベルだ」


「タクトがそこまで言うなんて相当やばい敵みたいね」


「火山のところで見た敵とどっちが強そうなの? タクト?」


リリーの質問に結構悩む。


「う~ん…俺の個人的見解になるが同レベルでも不思議じゃないと思っている」


俺たちが予想している敵は神でも危険視している存在だ。リリーが言っているテューポーンも神から恐れられた存在だから同じくらいと考えた。


「「「「うへ~」」」」


みんながうんざりした様子だけど、すぐに気持ちを切り替える。


「話は分かったよ! タクト! つまり明日は全力で戦わないといけないんだね?」


「そう言うことになる。出来れば全ドラゴニュートのマリッジバーストを使いたいところだが」


「心配無用です。タクト殿。私は今の私に出来る事をやるだけです」


「悪いな…帰ったら、結婚式をするから今回は我慢してくれ」


既に燎刃の指輪とウェディングドレスは完成しており、イベントが終わって、ギルドの会議後に結婚式をやる予定だ。これを聞いた燎刃は顔を真っ赤にして、しおらしくなる。初心(うぶ)なんだよな。そこが可愛いところでもある。


「まだ相手が確定していないから何とも言えないがファリーダとセフォネとのマリッジバーストもあり得ると思ってくれ」


「わかったわ。それまでには死ねないってことね」


「任せるのじゃ! どんな敵だろうと倒してみせるぞ!」


「それはリリーたちもだよ!」


ライバル関係になっているな。グレイたちを見る。


「分かっているな? みんな?」


「「「「ガウ!」」」」


相手は恐らく巨大な敵となる。その場合、体が大きいみんなは的になってしまう。みんなの顔を見るとただでは死なない覚悟に満ちていた。


「皆さん、凄いです」


「みんな、主の為に戦っていますからね。主、リースはどうしますか?」


「リースはクリュスたちと一緒にルインさんたちの護衛を頼めないか?」


護衛にはリースの他にクリュス、夕凪、スキアー、叢雲が参加予定だ。スキアーは成長具合次第で前線に立つかも知れない。


「…お役に立てませんか?」


「そんなことはない。お役に立てないなら護衛なんて頼まないからな。ただリースには今回の俺たちの全身全霊を賭けた戦いをその目で見て欲しいんだ。俺たちのようになるためにな」


巨大な敵に対して、怯まず戦いを挑むみんなの姿はリースにはいい刺激になると思う。もちろんリースたちのレベルを上げたい思惑もあるけどね。


「わ、わかりました! しっかり見ておきます!」


「これはタクトからのプレッシャーだよ。ブラン」


「みっともない姿は見せれませんね」


「そんな姿は見せるつもりはありませんので、大丈夫です」


リビナとセチアの言葉に怯まないブランは本当に強くなったな。伝説の武器を託してからなんだろうけど、日に日に強者として成長している気がする。


「話は終わった? タクト」


「あぁ」


「じゃあ、今日の寝る人を決めないとね!」


「久々のじゃんけんですね」


「正々堂々勝負です!」


今日はフリーだから久々のじゃんけん大会だ。勝者は恋火とノワだった。珍しい組み合わせで来たなと思ったが、この組み合わせはやばいことが後から分かった。


「…もふもふ」


「きゃ!? 何しているんですか!? ノワお姉ちゃん!」


「…にぃが恋火と寝たがる理由が分かった気がする…これはいい暖かさ」


「え!? タクトお兄ちゃんはあたしと寝たがっているんですか?」


恋火が温かいのは認める。だが恋火が俺のほうを見ようとするが見れない。何故ならノワは恋火をホールドしており、ノワが俺と恋火の真ん中をキープしている状態だからだ。


「ちょっと!? ノワお姉ちゃん! これはノワお姉ちゃんだけ得している状態になってますよ!?」


「…ん。諦める」


「諦めるって…」


恋火ががっくりする。何を言っても無駄だと悟ったようだ。流石に可哀想なので、埋め合わせはしてあげようと思った。きっとリリーたちは何か言ってくると思うけどね。

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