#1104 王子の堕天使
ワクチンの副作用とワクチン後遺症で一週間、完全にダウンしていました。現在も症状が続いており、今後更新がどうなるか見通せない状況です。取り敢えず現在の更新ペースを持続していく形で頑張って行こうと思っています。
ワクチン後遺症について、知りたい方は活動報告の方で自分の症状を書いておきましたので、見て下さい。
みんなの前に現れたのは金髪の男の子の堕天使で服装は青のズボンに白い服から赤いマントがある王子の衣装をした堕天使だった。
シャムシエル?
? ? ?
シャムシエルは神の強き太陽という意味の名前を持つ堕天使で天使の王子という異名がある。ちゃんと王冠もあるのだが、残念王子感をみんなが感じていた。そしてそれはすぐに証明される。
「ウリエル様ー! 悪い子になってしまったシャムシエルです! さぁ、ボクのお仕置きにやって来てくださ~い!」
「「「「えぇ…」」」」
プレイヤー一同、ドン引きである。シャムシエルはウリエルの副官として知られている天使でもあるのだが、太陽の軌道に関する知識を人間に教えたことで堕天したと言われている。ちゃんとグリゴリの堕天使として名前が出て来るんだが、このゲームでは相当痛いキャラで登場したようだ。そんなシャムシエルの前に天使が現れる。
サリエル?
? ? ?
現れたのは死神の鎌にローブで顔を隠している天使だった。アズラーイールと似ている姿なのは当然でサリエルもまた死を司る天使だ。エノク書では七代天使の一人とされている事から恐らくサリエルのほうが強い設定なのだと思う。
アズライールとの最大の違いはサリエルは天使の罪を裁き、堕天させる天使とされている。堕天使のイベントだから登場しても不思議じゃないわな。
「え? サリエル? 違う! お前じゃない! ボクが用事があるのはウリエル様だけだ!」
「そのウリエルはあなたからの精神的ダメージで寝込みましたよ。看病しているラファエル様にお願いされて、あなたを殺しに来ました」
「そんなはずはない! そうか…お前。ボクとウリエル様との愛に嫉妬しているんだな」
「いえ、全く。これっぽっちも。一切していませんが?」
サリエルは容赦ない全否定をするが相手が悪かった。
「はっはっは! そらみろ! 嫉妬しているじゃないか! まぁ、ウリエル様は最も美しい天使だからしょうがな」
サリエルはシャムシエルの首を跳ばすが至近距離の火球をサリエルは受けて、爆発する。
「く…」
再生の炎でシャムシエルの顔は元通りになる。
「熱くなるなよ。ボクは太陽。お前は闇。闇が太陽に勝てると思っているのか? 勝てないと分かったならさっさとウリエル様と変われ」
「そうは行きませんね! お前はラファエル様を侮辱した! 万死に値する! 即死の魔眼!」
サリエルは癒す者とも認知されており、ラファエルの右腕とされている。だからラファエルの侮辱は許せないのだろう。
そしてサリエルの最大の武器が魔眼だ。このゲームでは即死の魔眼で見た者を即死されるという最強の魔眼を持っていた。
「光輝!」
サリエルがローブで隠れていた目をシャムシエルに向けるとシャムシエルは光り輝き、目潰しをする。
「その魔眼は厄介だよね…最もこのボクを君が直視出来ればの話だけどさ」
「く…」
ここでサリエルはメルたちに救援を願い出るとみんなの戦闘が始まる。ここでシャムシエルが腰にあったレイピアを抜き、みんなと戦うのだが、シャムシエルは子供故なのか知らないが相当口が悪かった。誰でもウリエルと比較して悪口を連発する。
「むっかー! 自分も子供の癖に! ウリエル様のように成長してから出直しておいでなんて何様だ!」
「色気がないって…気にしているのに!」
「ふぅ…みんな、落ち着こう」
ウリエル様の胸をみならえと言われたメルが言うと鉄心さんが分析する。
「ふざけた見た目に騙されがちだが、相当強いな」
「何気に全員の攻撃に対応されたからな」
「あの見た目からもバアルを思い出しますね」
与一さんたちはバアルを目撃しているからその強さも知っている。だから目の前の天使の強さはそれぐらいあると分かる。ここでアーレイが感想を言う。
「なんというか俺はアニメキャラと現実の人間を比べるような感じを受けたんだが?」
「あぁ…それは何となくわかる気がする」
アーレイとレッカの意見が珍しく一致した。ここでシャムシエルがアークフレアを使って来た。みんなが回避して、シャムシエルに襲い掛かろうとすると鉄心さんの目の前にシャムシエルが現れると手をピースする。その瞬間、鉄心さんの両目が日光で貫かれる。
「ぐあ!?」
「てめぇ! が!?」
カイが斬りかかると肘打ちを喰らい、ぶっ飛ぶ。更にシャムシエルが消えるとカイの上から蹴りを放ち、カイは地面にめり込んでしまう。見た目が子供なのに筋力はかなりある。
それを見たみんなが一斉に斬りかかると再び姿が消えたシャムシエルがレイピアを構える。
「天使技! サン・ミーティア!」
光速の連続突きが集まってしまった全員に決まり、次々貫かれると紅炎の追撃で全員が燃え上がる。更にシャムシエルは地面にニュークリアエクスプロージョンを展開するがこれはレッカが防いだ。そしてサリエルが戦闘をする。
「あ、危なかった…」
「速い…どうする?」
「鉄心さん、大丈夫ですか?」
「ダメだ…見えない。一度引かせてくれ」
鉄心さんとカイが一時引くことにするがシャムシエルは襲い掛かって来る。
『『『『アクセラレーション』』』』
「ミーティアエッジ!」
シャムシエルの動きに対して、シフォンが向かい打った。シフォンの高速攻撃にシャムシエルは余裕で対処している。
「君のエクスカリバーは十分脅威だけど、太陽の輝きに勝てるかな? 日輪!」
シャムシエルが光の輪っかを作り出すとそこから太陽光レーザーが放たれ、シフォンは一瞬で焼き貫かれる。だが、シフォンは起死回生で蘇生する。
「嘘…今のは…っ!?」
「日輪!」
「心眼!」
「あははは! 上手く逃げたね! でも、いつまで持つかな? 日」
「覇撃!」
ミランダが援護すると背後にシャムシエルが現れ、身体を貫かれた。
「ミランダ!?」
「てめぇ!」
「聖拳!」
「が!?」
アーレイも一瞬で距離を詰められ、裏拳が入るとぶっ飛ばされる。
「この! は! や! 逃げ! るな!」
「はいはい。じゃあ、死ね」
リサの拳をあっさり弾いて、殴り飛ばした。その背後からメルが斬りかかるとシャムシエルを斬り裂く。
「やった!」
「そんなんで勝てる訳ないじゃーん!」
斬られたシャムシエルは再生の炎を出しながらメルを蹴り上げると更に回し蹴りでぶっ飛ばした。
「さて、そろそろ一番厄介な奴らが来るな…おいで。シャムシエル・ネフィリム!」
シャムシエル・ネフィリムは金髪の巨人だった。
「「「「虐めて下さい! ウリエル様ー!」」」」
「馬鹿! それはボクだけの特権だ!」
「こんなふざけた奴に…」
「あぁ…負けれるか! ぐあ!?」
シャムシエル・ネフィリムがアスリート走りでアーレイを踏みつぶすと安全エリアの木の結界に取り付かれてしまった。その頃、島を落として、外に出た俺たちの前にもシャムシエル・ネフィリムが現れる。
「ウリエル様ー! 虐めてー!」
「「「「ひ!?」」」」
「なんだ? この変態巨人」
俺はこの時、シャムシエルすら見えていない状態なので、こんな感想になるのは許して欲しい。そしてリリーたちは俺の後ろに隠れる。本能で危ない奴だと分かったようだ。シャムシエルは自身満々に言う。
「さて、君たちのリーダーはこれでここには来れないよ。悪いけど、詰みだ」
「…ごめん! タクト君! チェンジリング!」
俺とシフォンが入れ替わった。
「お? なんだ? っ!?」
俺は一瞬で耳を貫かれる。最もシャムシエルは俺の目を狙ったわけだが…そして俺がカウンターのパンチをしたが消えていなくなる。
「いってー…っ!」
今度は上からシャムシエルが現れると俺に突きを放ってきたが躱して蹴りを放つとまた消える。俺は手に持っていたパラス・アテナの槍を手放し、拳を構える。槍ではシャムシエルの相手はかなりきつい。レイジさんたちなら上手く距離を開けて戦うんだろうが俺には出来そうにないと判断した。
「日輪!」
「逃げろ! タクト! コロニーレーザーだ!」
アーレイの声のお陰で俺は避けることが出来た。
「あっぶ…っ!?」
今度は真上からコロニーレーザーが来た。空間歪曲で移動されたようだ。俺は地面を蹴って、飛び込む形で避けるとすぐさま起き上がる。
「状況が全く分からないんだが!? ちょっと待てって! せめて説明か何かしてから転移してくれ!」
「日輪!」
「だー! なんで俺ばかり攻撃してくるんだよ! 誰だ! お前! バアルの友達か何かか!」
その場にいたみんなが俺に同情してくれたがこの状況で生き残っている俺をみんなは改めて凄いと思っていた。そして俺はシャムシエルに攻撃を受けながら、説明を受けるとここで目が治った鉄心さんがシャムシエルに斬りかかる。
「せあ!」
「おっと! あぶな…っ!?」
鉄心さんは避けられた瞬間に刀を持ち替える事で向きを変えて、連続攻撃する。予期していない連続攻撃に対してシャムシエルは受け止めるしかなかった。お陰で時間が出来た。
俺はパラス・アテナの槍をしまい、近衛を取り出すとシャムシエルに襲い掛かる。鉄心さんと二人で連携して攻撃していく。その隙にメルたちはミライから回復を受けて、結界をごりごり削っているシャムシエル・ネフィリムに攻撃するが再生の炎持ちであるせいか攻撃しても結界への攻撃をやめない。
「こいつら、弱体化させられません!」
「ダメだ! 魔法の効きが悪い!」
「大気壁! くそ! 避けられる!」
「倒すには時間が掛かるわね…鎖で無理矢理引き剝がして!」
ルインさんの指示でみんなが拘束にしようとすると光化で消えるとメルたちの上に落下して来た。これはみんなは間一髪で回避するが再びに結界に襲い掛かる。
一方俺は鉄心さんのフォローに徹していた。正統派の鉄心さんとシャムシエルの戦闘スタイルは相性が悪いと思ったからだ。逆に俺とシャムシエルの戦闘スタイルは似ているため、邪魔がしやすい。
鉄心さんの攻撃を止めて、殴ろうとする手を狙ったり、逆に俺を狙ってくる場合は防御に徹して、鉄心さんの攻撃を待つ。しかしシャムシエルと俺とでは戦闘スタイルが似ていてもやはりステータスの差が出て、俺も鉄心さんもぶっ飛ばされることがある。
それを見ていた他のプレイヤーたちがすぐさまフォローに入ってくれて、戦闘が拮抗状態になると俺も鉄心さんたちもシャムシエルの速さに慣れて来た。すると俺の背後からよく知る気配を感じた。
『離れて下さい! 主!』
『鉄心さん! 離れて下さい!』
『あぁ!』
俺と鉄心さんが同時に離れると俺の背後からやって来たヒクスが光速激突でシャムシエルをぶっ飛ばす。
「主! 無事ですか!」
「なんとかな…そっちは…ブラン!」
「く!」
シャムシエルの攻撃をブランはイージスでガードする。
「この匂い…」
「は!」
「く…」
ブランのブリューナクは残念ながら躱されるがここでシャムシエルの様子が変だ。今まで全く容赦なかったのに震える手をブランに向ける。
「お前…どういうことだ? どうしてお前の頭からウリエル様の匂いがする?」
「はい? 私の頭からウリエル様の匂い?」
「そう言えば頭を撫でられたことがあったな」
あれは確かエデンに到着し、ウロボロスドラゴンなどを見た後だったな。
「あ、ありましたね。あの時はとっても嬉しかったです」
最初からシャムシエルを見ているみんなは俺たちの会話が完全に地雷なのを知っている。
「ウリエル様に…頭を…なでなで? 嬉しかった…だと? うわぁあああああ! 逆鱗!」
「え? え? なんですか? この堕天使は!? 怖いんですけど!?」
「急にキレたぞ!? 何がどうなって」
「殺す! お前たちだけは絶対に殺してやる! ウリエル様に優しくされるのは世界でボクだけでいい! 他は全て抹殺してやる!」
この瞬間、俺はシャムシエルの性格を理解した。そして襲い掛かって来るシャムシエルと対戦が始まる。俺たちの支援には鉄心さんたちとメルたち、アーレイたちに加えて、サリエルが参加する。
そこでサリエルからウリエルの状態などを聞けた。そりゃあ、あんなの見たら、寝込むのも無理はないと納得してしまうのだった。
シャムシエルという堕天使を調べて、堕天した理由を考えた時、こういうキャラに自然となってしまいました。個人的にはこういうキャラは自分でも苦手なんですけど、意外とすんなり描けて自分でも驚いています。




