#1102 重力の魔竜剣と魔法矢
今日から期末テスト。午前三時から勉強していた俺は準備万端だ。
「おはよーす。って、誠吾!? 目が真っ赤だぞ」
「朝から勉強していたんだよ。お陰で眠気はないから大丈夫だ」
問題はこの状態がどれだけ長続きをするかなんだよな。クラスメイトとテスト問題の予想や問題の出し合いをして、期末テストに挑む。
「「燃え尽きたぜ…」」
「なぜかしら? 同じ言葉なのに意味が全く違って聞こえるわ」
俺はやり切ったという意味で海斗は全く分からなかったという意味だろう。
「あははは…二人とも、お疲れ様」
「「お疲れ~」」
テスト期間中は午前終わり。俺はスーパーで昼食と買い物を済ませて、ご飯を食べると眠気が襲ってきて、寝てしまう。
「は!? 寝落ちした!?」
起きたら、夕方だった。大丈夫だ。まだ俺の予定は狂っていない。夕飯の準備をしながら、明日のテスト勉強をして、夕飯を食べ終わると夜八時までテスト勉強をして、ゲームにログインする。
そして皆にご飯をあげてから生産作業をする。今日の聖杯は昨日見かけた武器をダーレーに上げることにした。それがこちら。
霸王戟:レア度10 槍 品質S+
重さ:200 耐久値:3000 攻撃力:1500
効果:人特攻(究)、気力アップ(究)、筋力アップ(究)、覇気、英気、気力爆発、空振、重圧、爆風波、爆轟、暴旋風、暴風壁、砂嵐、万物破壊、戦闘高揚、肉体活性、覇撃、狂戦士化、逆鱗、伝説解放、破壊の加護、覇王の加護
項羽が使用した槍で三日月の刃が一体となった戟という種類の武器。槍の横に刃が付いたことで槍では不向きだった薙ぎの攻撃を可能にし、槍から噴き出す気は山を呑み込むほどとされている。
説明の通りで中国の英雄、項羽の武器だ。俺がダーレーに渡そうとすると仏頂面をして、言って来た。
「昨日見ていたの気付いていたのかよ」
「乗っていたのは俺だぞ? いきなりよそ見をしたら、気が付くさ」
「それはそうだな。俺もまだまだ」
そう言いながら手を伸ばすダーレーの横からリリーが霸王戟を取り上げた。
「ありがとうを言わないとこれは上げないよ」
お、珍しく姉をしている。というかダーレーには厳しいな。肩身が狭い思いをしていないか本気で心配になって来た。
「ぐ…ありがとよ。ほら、これでいいだろ!」
「いいよー」
「ふん!」
「よく言えましたー」
笑顔のリリーから強引に受け取るダーレーの頭をリリーが撫でるとダーレーは逃げ出した。すると遠くで槍をじっと見つめていた。やはり進化前とは言っても思う所は色々あるんだろうな。因みに西遊記に登場する武器とどうするか悩んだけど、ダーレーの様子を見ると正しかったと思う。
次はユウェルが新しい武器を持ってきた。
「よい…しょっと!」
ドスンという音がした。また凄いを作ったな。
重斬の魔竜剣;レア度10 大太刀 品質S+
重さ:200 耐久値:12000 攻撃力:5500
効果:不死殺し、大物殺し、万物切断、魔力切断、時空切断、竜気、英気、魔力吸収、多乱刃、重圧、砂嵐、荷重操作、重力支配、重力場、石化、隕石、覇撃、狂戦士化、逆鱗、起死回生、魔素解放、魔剣解放
ダマスカス鋼とアダマントの合金とグラビティサイト、ムシュマッヘの剣角で作られた大太刀。通常時でも恐ろしい斬れ味と刃毀れしない刀身を持っており、そこに重力が加わることで触れる物を粉々にしてしまうほどの破壊力を得た。更に魔剣となっており、敵を倒す事に飢えている剣となった。
燎刃が感触を確かめていると鉄心さんがやって来た。
「済まない。ユウェル君が運んでいるのが目に入ってね。タクト君もムシュマッヘの剣角を使ったんだね」
「はい」
こんな大きな剣を運んでいるとそりゃあ、目立つわな。折角なので一緒に燎刃の勇士を見学する。相手は偶然こちらに空を飛んでいた堕天使。彼女はやって来た事を後悔することになる。
「はぁあああ!」
「っ!」
燎刃に向けてレールガンを構えると燎刃は重斬の魔竜剣を構える。そしてレールガンが撃たれると弾が真下に逸れる。
「あれが重力場ですね」
「斥力場とは違って真下に逸れるんだな」
「それだけが重力場の力じゃないと思いますよ。たぶんさっきには重力支配と併用した感じだと思います」
俺は重力場の能力の説明を既に見ている。それを燎刃が再現する。
「はぁあああ!」
燎刃と敵がぶつかり合って、ビームソードを弾かれたことで逃げようとするが相手は燎刃から逃げれいない。重斬の魔竜剣から発生する重力場に囚われて動けなくなっている。エクスマキナの武器であるグラビティバインド砲の説明がこれだった。
そして動けない相手に対して燎刃は自由に動ける結果、見事に相手を両断した。
「なるほど…ムシュマッヘの剣角とグラビティサイトを組み合わせたのは魔剣技を意識しているからか…この武器の魔剣技は凶悪になるだろうね」
ムシュマッヘの剣角で作られた剣には共通の魔剣技が存在している。ただし技は同じでも武器によって、技の凶悪さが変化することが確認されており、俺は鉄心さんの指摘通りでその必殺技を意識して、グラビティサイトを選んだ。
「自分も思います。予想外に石化の力まで付いてくれましたし、ユウェルに感謝ですよ」
「それほどでもあるぞ!」
鍛冶を褒められてユウェルはご機嫌だ。ここで鉄心さんは先に防衛へと向かった。俺はユウェルにセチアたちと共にグレイの防具の依頼をする。そしてセチアも新しい矢が完成した。
インペリアルトパーズのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にインペリアルトパーズを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うととんでもない風と雷の嵐が発生する。
ベキリーブルー・ガーネットのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にベキリーブルー・ガーネットを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うととんでもない激しい爆炎が発生した後、大爆発を起こす。
グランディディエライトのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にグランディディエライトを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うと超重力を発生させ、範囲内の敵を木の根で縛り上げる。
パライバトルマリンのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にパライバトルマリンを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うと強烈な水圧と共に猛吹雪が発生する。
アクロアイトのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にアクロアイトを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うと暫くの間、周囲を明るく照らし続けて、毒や魔素、呪いを全て浄化してしまう回復にも攻撃にも使うことが出来る。
ターフェアイトのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にターフェアイトを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うと様々な毒素が一斉に周囲に広がり、それを浴びた物は全ての状態異常を受ける事になる。
アレキサンドライトのミストルティン:レア度10 魔法矢 品質S+
重さ:50 耐久値:1500 攻撃力:1500
効果:神殺し、魔神殺し、星獣殺し、人間殺し、魔力貫通、寄生木、支配無効、回復無効、蘇生無効、復活無効、魔法破壊、粒子分解、加護破壊、宝石解放
ミストルティンの先にアレキサンドライトを加工した鏃を取り付けた矢。宝石解放を使うと七色の閃光と共に全属性の超爆発が発生する。
俺たちが持っている最高の宝石を使った矢を完成させたらしいな。
「これでミストルティンは使い果たしてしまいましたが、あいつらが持っている魔法矢は絶対に超えました」
「結構気にしていたんだな」
「私はタクト様のエルフですから。最強のエルフじゃないと行けないんです。あ、あの女王様たちは例外でお願いします」
そこは言っておかないと行けないところなんだろうな。さて、俺たちも防衛に参加するとしよう。防衛をしていると燎刃の弱点が更に目立つようになった。
「避けられてます! タクト殿!」
「よしよし…まぁ、そう来るよな」
燎刃に近付くと死が待っていると分かった敵は距離を取るようになった。スピードで負けている燎刃はどうしようもない。最も敵の攻撃も燎刃に効いていないんだけどね。これで燎刃のスピードを何とかすれば速い敵にも対応できるようになるだろう。なんか進化する前のリリーを思い出す。
そして今回からリースも本格参戦した。
「光分身!」
リースが増えると光の剣で次々攻撃していく。反撃も喰らうが光の盾でガードしながら、しっかり攻撃している。すると俺は突然敵の姿が消える現象を目撃する。
「なんだ? リース!」
「え?」
「神障壁!」
俺はリースを狙った攻撃を神障壁で弾く。それを見たブランが慌てて駆け寄って来るとブランに謎の攻撃が入ってしまった。するとブランの目がとろんとなる。魅了になってしまったらしい。
「リフレッシュ!」
「は!? 私は一体?」
「これが原因だな」
ブランの背中に刺さったのは透明の矢だった。魅了の効果があることから恐らくキューピットの仕業だ。問題は透明になっていることだな。俺が見た敵が急に透明になったのは偶然俺の視界にそのキューピットが割り込んだせいだろう。
幸い神瞳で敵の姿を捉えることが出来た。
「炙り出すぞ。二人で仕留めてくれ」
「「はい!」」
『『『『ダイヤモンドダスト』』』』
ダイヤモンドダストが降り注ぐと透明の敵が目視でわかるようになる。
「そこです! 英雄技! クラウ・エイン!」
聖剣解放のような斬撃が放たれるが謎の敵の横を通っていくかのように見せた瞬間だった。リースが剣を横に薙ぐと斬撃もその動きに合わせて動いた。側面から襲い掛かって来た斬撃に流石の謎の敵も対処することが出来なかった。
これがクラウ・エインの特徴だ。その気になればまるで意志でも宿っているかのように動かせるらしい。通常の聖剣解放が自在に動いて襲い掛かって来ると考えればかなりの脅威というのがわかって貰えると思う。
そしてクラウ・エインが決まった敵が姿を見せる。
ステルスグリゴリキューピット?
? ? ?
犯人は姿が透明になるロボっ子だった。ここでブランがブリューナクが投げて、貫いて倒すとリースと共にステルスグリゴリキューピットを倒すと帰って来た。
「助けて貰って、ありがとうございます。主様」
「あ、あぁ…」
リリーたちがやれやれという様子を見せているとまだ残っているステルスグリゴリキューピットから攻撃が飛んで来る。だが、流石にネタバレした攻撃に簡単に当たるリリーたちではない。
それでも神の加護でも止められない魅了の矢は厄介だ。しかもまだ最終のクラスチェンジをしていない人だと見つけることが困難かも知れない。
「あの透明の奴は俺たちが排除する。他の敵と島を頼めるか?」
「はい! みんなに連絡します!」
俺たちが相手をしているとまぁ、無尽蔵に出て来る。ここでセチアが魔法矢を試し打ちしたいと言い出した。安全を確保して、島が落ちたタイミングでスピカに乗ったセチアが敵がいる空に向けて、ベキリーブルー・ガーネットのミストルティンを放った。
「宝石解放!」
セチアが宝石解放を使った瞬間、ベキリーブルー・ガーネットの鏃が砕け散った瞬間、空が灼熱地獄になる。次々堕天使たちは焼かれていく中、突如、灼熱地獄が収まる。次の瞬間だった。超爆発して、焼かれていた堕天使たちは木端微塵になった。
「セチア…」
「えーっと…ちょっと火力がありすぎでしたね」
「「「「ちょっと?」」」」
リリーたちまでツッコミを入れるほどだった。その後、ルインさん達から新たな敵の攻撃か心配されて、俺が謝罪することになったのは言うまでもない。




