#1100 天体の堕天使
俺はみんなの戦闘を見守る形でボスを補足した。
コカビエル?
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コカビエル・ネフィリム?
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コカビエルはグリゴリの堕天使の一体だ。人類に天文学を教えた罪で堕天したと言われている。そのせいか武器は地球儀のようになっている杖と宇宙の魔導書で服装はイギリスの大学の卒業式で見られるアカデミックドレス姿の堕天使だった。
そのコカビエルにレッカなど、魔法使いたちがド派手な魔法合戦をしていた。
「「「「マーズ!」」」」
『『『『マーズ』』』』
たくさんの惑星魔法のマーズが飛んで来る。これにレッカも同じことをして相殺する。すると今度は別の惑星魔法が同じ規模で使って来た。
「こりゃ、強いな~…ふぅ…ふぅ…あぁ~、仕事した後のココアは美味い」
「そうですね。あ、タクト様、こっちにもふぅふぅをお願いします」
俺たちはサフィの上で疲れた体を癒していた。戦闘に参加したいイクスたちは参戦している。ここでコカビエル・ネフィリムと戦っているリリーたちを見ると苦戦していた。
コカビエル・ネフィリムはなんと惑星魔法を手で持って、安全エリアを目指して猛ダッシュしていた。なんかコカビエルとは真逆に感じる。ここで厄介なのが下手に攻撃するとコカビエル・ネフィリムはすぐに転んで手に持っている惑星魔法を安全エリア目掛けて投げつけるのが確認された。
なんかサッカーでファールを貰いたい人を見ているようだ。ボールである惑星魔法を投げる所もスローイングスタイルだった。まぁ、サッカーだとハンドという反則になるからボールを手で持つという意味ではラグビーとかになるだろうか?
ギャグのようだけど、立ち上がると再び、惑星魔法を使って、走り出す姿は十分脅威だ。こうなると当然、こちらは動きを封じに動くわけだが、動けなくなるとコカビエル・ネフィリムの全身が光出すと自爆する。
だが、自爆した爆炎の中からコカビエル・ネフィリムが再び現れ、自爆したことで拘束を抜けてしまった。そしてコカビエル・ネフィリムは再び走り出す。
「起死回生や通常の蘇生には見えないな。不死の自爆する巨人か…また厄介な奴が現れたな」
「ずずず…どうすればいいんでしょうか?」
「昨日の時点でネフィリムに弱体化が有効であることが判明している。なら今日活躍するのはこれを見た限りでは封印だろうな」
「なるほど。魔法とスキルを封印して、相手の手を潰すわけですね?」
「そういう事だ。後は直接動きを止める石化か氷結、魅了と言った所だな。ただこれは自爆される可能性は高いか。それなら睡眠、呪いのほうが効果があるかも知れない。この辺りは実際に試して探ろう」
自爆が状態異常の解除に使われている感じだ。よく考えられているよ。そうなると行動を制限するという意味では魅了、眠らして行動を取れなくする睡眠はかなり有効な気がする。
「セフォネが倒しているから不死殺しは有効らしい。そろそろ行くぞ。役割分担をしよう。まずあいつらを遠ざける役が必要だな。中央の安全エリアに近付きすぎている」
「確かにあれではいつ中央に自爆の被害が出るか分かりませんね」
「そういうことだ。あいつらが復活するのは自爆した地点みたいだから自爆を承知の上で遠ざける危険な役になるが」
ユウェル、黒鉄、夕凪が立候補した。更に話を伝えた恋火、ファリーダ、燎刃、エアリー、コーラル、ディアン、ストラ、月輝夜、千影、ハーベラスが名乗りを上げた。それぞれに作戦があるらしい。俺たちは安全エリアに転移すると早速ユウェル、黒鉄、夕凪がそれぞれ近くコカビエル・ネフィリムに動いた。
「いっくぞー! 竜化!」
竜化したユウェルは突進し、角で貫くとそのままコカビエル・ネフィリムを押していく。ここでコカビエル・ネフィリムは自爆するがそれを予期していたユウェルは復活したコカビエル・ネフィリムを再び狙って、強引に押して行った。
これは黒鉄やエアリー、夕凪も同じなのだが、黒鉄は自爆するタイミングで両腕合わせて巨大な盾にして、自爆を耐えるとそのまま盾でコカビエル・ネフィリムを押す姿はまるでブルドーザーだ。
一方夕凪は自爆するタイミングで甲羅に引っ込み、自爆を耐えるとそのまま高速回転して、コカビエル・ネフィリムを押して行った。これはこれで上手い。
一方エアリーは自分も不死なので、角で押せ押せ状態だ。逃げようにも光速激突で逃がさないエアリーに対して、コカビエル・ネフィリムは力で止めるしかない。ここで力が拮抗するが既に距離を離すことには成功していた。
ディアンとハーベラスは噛みつきながらコカビエル・ネフィリムを押していき、ストラは上からコカビエル・ネフィリムの両肩を掴むとそのまま拉致。これはコーラルもしていた。途中で自爆されるが不死身のディアンとストラ、ハーベラスは強化復活で更に強くなるだけで終わり。
コーラルも炎化で自爆のダメージは最小限にして、空で身動きが取れないコカビエル・ネフィリムをボコボコにしていた。ファリーダと燎刃も自爆を受けながら、お構いなしにガンガン吹っ飛ばしていく。ファリーダは炎化で燎刃は守護竜刀の効果が効いている。
獣化を使った恋火は火炎車で強引にコカビエル・ネフィリムを押していくところは同じなのだが、コカビエル・ネフィリムが自爆しそうになるとハーミットテイルでコカビエル・ネフィリムを尻尾で貫くとそのまま遠くに運んで尻尾を抜いてから自爆させた。
これとよく似た戦術を取ったのが月輝夜で自爆しそうになるとレージングルでコカビエル・ネフィリムを縛ると遠くに投げ飛ばしていた。
これらと全く違う手段を取ったのが千影だ。
「魔王技! 曼荼羅結界!」
「アァアアア! ア? アァアアアアア!?」
勢いよく結界にツッコんで来たコカビエル・ネフィリムは広がって来る曼荼羅結界を壊せず、逆に押し返され、倒れ込む。その際に手に持っていた惑星魔法が空に投げられたがイオンが惑星魔法をぶつけて処理した。
「お館様の命により、ここから先は行かせないでありますよ」
これで取り敢えず自爆の被害が安全エリアに及ぶことは無くなった。みんなが戦闘してくれている間に俺はルインさんからコカビエルの情報を貰う。
「コカビエルは魔法でないと倒せない敵らしいのよ。だからレッカ君たちが戦っているの。こっちからはサポートしているわ」
なるほど。安全エリアでも回復は可能だからここから魔力が回復した杖スキル持ちの生産職がエントラストで魔法使いたちの魔力を回復されているんだな。
「それで巨人たちの相手をメルたちがしているわけですね」
自爆の被害を受けて、ムカついているのが分かる。一応俺たちでもコカビエルの戦闘参加は可能だけど、下手にあの魔法合戦に首を突っ込んで被害を受けるのは俺たちになりそうだ。コカビエルはレッカたちに任せて、コカビエル・ネフィリムを先に潰そう。
「氷結と石化、魅了、封印魔術持ちで分かれるぞ。封印魔術持ちはルーンスキルとルーンマジックを掛けてくれ。俺はルーンアクションで相手の動きを封じる。ルインさん、猛吹雪を使わせてくれませんか?」
「準備するわ。東エリアを開けるわね」
「お願いします」
ここで与一さんたちから相談を受ける。
「ギルマス。召喚獣に乗せてくれませんか? 狙撃が避けられてまして、折角の状態異常の銃弾の無駄撃ちはしたくないんです」
他にも足が無くて困っている人が沢山いた。不死殺しの武器や状態異常の武器を持っていても生身で巨人に挑むのは流石に厳しいだろうからな。そんな彼らにグレイとロコモコ、スピカ、ジーク、叢雲を貸し出すことにした。スピカは当然のようにトリスタンさんが乗っている。
ヒクス、サフィに乗ったセチアたちがルーンマジックを使うと惑星魔法というボールを失ったコカビエル・ネフィリムがセチアたちに跳びかかって来た。するとリリーたちが守りに入り、逆に島に叩き落とす。
「やらせないよ!」
「オォオオオ!」
コカビエル・ネフィリムは自爆を使い、驚異的な脚力で再びリリーたちに跳びかかる。
「ルーンスキル! これで自爆と不死は封じました!」
「オ…」
「みんな! 返り討ちにするよ! 一斉攻撃!」
リリーの号令で跳びかかったコカビエル・ネフィリムは各ブレスが直撃し、地面に落下すると空からリリーたちのスキルが降り注ぎ、何とか立ち上がると地面からクリュスの尻尾が現れ、身体を貫くと顔を槍が貫いた。更に地面からスキアーも現れて、背後の首に噛み付くとここでコカビエル・ネフィリムは力尽きた。
そしてグレイたちに乗ったプレイヤーたちも生き生きと攻撃をしていく。グレイたちがしっかり攻撃しては引いてくれるから安全かつ確実にコカビエル・ネフィリムを追い込んでいた。
「すっげー戦いやすいな」
「武器によって、戦い方を変えているのが凄いな」
槍と剣、弓や銃では戦い方は大きく異なる。槍はやはり突く武器なので突撃がメインだが、剣はやはり斬る武器なので、斬る場所に向かって、通り過ぎる動きをしないと行けない。
弓は基本的に直線には飛ばない武器だから銃よりも遠くの位置を確保する必要がある。逆に銃は接近すればするほど、命中率が上がり、相手は避けにくくなる。この辺りを俺たちと戦って来たグレイたちはよく理解していた。
「連携も完璧と言っていい。まぁ、自分のスキルで作り出しているんだから当然といえば当然だが」
「これが召喚師ナンバーワンの召喚獣の力か」
「次、馬に乗る時が不安になるな」
みんなからのグレイたちの評価が上がりまくりだ。そんな中、酷いのが猛吹雪と化したフィールドにいるコカビエル・ネフィリムだ。寒さに耐性がない上に視界が奪われて、成す術がない。優牙が雪の中から顔を出し、凍らせると俺の予想通り自爆して来る。
「…雪だるまさん」
自爆しようとするとするコカビエル・ネフィリムの四方をルミの雪だるまさんが囲い込むと爆発を雪だるまさんが抑え込んだ。その後、蘇生したコカビエル・ネフィリムに雪だるまさんは破壊されてしまうが待っていたルミと視線があって、凍り付くと再び雪だるまさんに囲まれる。
その後、俺がルーンスキルで封じるとそれを待っていたチェスが雪から飛び出ると氷斧を構えた。
「グォオオ!」
「オォオオ! オ!?」
チェスのグランアックスをコカビエル・ネフィリムは腕をバツの字に構えて、ガードしようとするが腕はあっさり斬れて、自分も十字に斬られて、死んだ。他のコカビエル・ネフィリムは優牙とルミによって、凍死する。スキルを封じられたら、こんなもんだろうな。
コカビエル・ネフィリムはこれでなんとかなって来たがまだコカビエルとの戦闘は続いている。というか長続きしすぎだ。ちゃっかり参戦しているコノハについても気になるが俺は後の戦闘をチロルたちに任せて、一度安全エリアに戻る。
「どうなってます?」
「レッカ君たちの回復量よりコカビエルの回復が上回り出して、魔法がこちらにまで飛んで来るようになってきたわ」
安全エリアの回復量は遅い。その結果、エントラストで回しても徐々に回復量が落ちるのは当たり前の事だった。自爆の被害を受けて、回復していたミランダが言う。
「明らかに旗色が悪いわ。あいつの魔力、どうなっているのよ…」
「雷霆! これは何か仕掛けがあると見るべきです…でも、何をしているのか分かりません」
今回のコカビエル戦で助っ人として登場した蒼穹のように宝珠を操るラミエルが言って来た。それにコカビエルはレッカたちに大魔法をぶっ放しているんだが、レッカたちの準備が整うのを明らかに待っている。真っ向勝負が好きな様子を見せてはいるが見た目のせいで怪しく感じた。
「コカビエルの事を考えると天体にヒントがありそうだけど、惑星魔法を使って来てるだけよね」
「向かってくる島が球体だったら、わかりやすいんだけどねん」
「それだ!」
銀の呟きがヒントになる。コカビエルのあの様子が時間稼ぎだとするなら本命は別にある。恐らくそれはこの島にある回復エリアの破壊。コカビエルは自分とコカビエル・ネフィリムを囮にして、これを狙ってきているのだとしたら、全ての話に筋が通る。
「え? でも、そんなのないよん。ギルマス」
「このゲームには幻術や擬態、迷彩スキルがあるんだ。島ぐらい透明にすることがあっても不思議じゃない。さっきまでいたのに完全に見逃した。シンクロビジョン! イクス、島の周囲を見てくれ! 透明で隠れていても魔力まで透明には出来ないはずだ」
「それならここに来る前に調べてあります」
つまり俺たちが見逃したのはただ透明になっているだけじゃなくて、魔力まで見つからないようにしているわけか。見てダメでも存在しているならこれで見つけられるはずだ。
「リアン、音響探知で探してくれ」
「わ、わかりました! サフィさんも協力してください」
「ボエー!」
サフィからは探知波が放たれる。
「見つけました! 確かに何もないところから音が反射して来てます!」
「急いで防衛に向かうぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
「マーメイド系と鯨系、蝙蝠系の召喚獣を持っている人に連絡よ! 西、北、南エリアに向かわせて!」
俺たちが転移魔法を使用しようとすると妨害を受ける。こちらの動きを察知されたか。
「行かせませんよ」
「雷轟!」
「む…また私の邪魔をしますか。ラミエル。しかしあなたでは相手になりませんよ」
「アースフォース!」
「おっと…危ない危ない…む!?」
セチアの攻撃に合わせて、ノワ、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、アリナ、コノハ、ゲイル、ロコモコ、エアリー、狐子、ルーナ、ミール、ヒクス、ストラ、リオーネ、ルミがコカビエルの前に魔法を浴びせた。
「あなたの相手は私たちがします」
「召喚獣如きに私の相手が務まりますかね?」
「遊び相手ぐらいにはなってみせますよ」
俺も参戦しようと思うとルークがエルフと前に立つ。
「ここは僕たちが引き受けます。タクトさんたちのように機動力はありませんから」
「…分かった。頼むぞ。ルーク」
「はい! エレメントバースト!」
エルフの姿となったルークが魔法剣を構えるとコカビエルに接近戦を挑む。
「魔法でないと通用しないと教えたはず」
「「「「レールガン!」」」」
至近距離からのレールガンを浴びせた。しかしコカビエルは起き上がる。
「この程度の奇襲で」
「僕らを忘れるなよ」
『『『『ニュークリアエクスプロージョン』』』』
レッカたちの魔法が決まる。この分なら大丈夫そうだと思っているとセチアから通信が来る。
『私たちはここに残ります』
『わかった。ルークたちを助けてやってくれ』
『はい。お任せ下さい』
俺たちが移動していると事情を知ったレッカから通信が来る。
『話は聞いたよ。恐らく島を落とせばこいつの魔力の回復が無くなる仕掛けだと思う。だからなるべく早く落としてくれ。いい加減、こいつの余裕の声は聞き飽きてきた』
『りょーかい』
俺はリリーたちと一緒に向かっているプレイヤーたちを見る。
「最速で島を片っ端から落とすぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
「行かせてはいけません! ネフィリム!」
「あなたの相手は私たちだよ! 行って! みんな!」
チロルがヒポグリフでコカビエル・ネフィリムを叩き落した。そしてチロルの召喚獣のブレス攻撃が降り注ぐ。
「あぁ。編成を分けるぞ。みんなには悪いが俺の召喚獣たちの指揮を頼む。グレイ、白夜、優牙、ヒクス、ストラ、スピカはみんなを乗せてやってくれ」
「「「「よっしゃー!」」」」
乗れていなかったプレイヤーたちは大喜びだ。こうして俺たちはプレイヤーと協力して、透明の島を次々落としていく。透明の島は幸い通常の島と同じ難易度だった。そもそも見つかることを想定してしないのだろう。
俺たちが島を落としていくとコカビエルの魔力回復が遅くなっていった。こうなると形勢逆転だ。プレイヤー側に魔力回復の余裕が出て来て、徐々にコカビエルを押し始める。
「最初の頃の勢いはどうしたよ! 惑星魔法! マーズ!」
「く…マーズ!」
「遅いです! ジュピター!」
「ぐ、おぉおお!?」
レッカのマーズは相殺出来たがその後の雫ちゃんのジュピターがコカビエルに直撃する。そこにみんなの星座魔法や大魔法が降り注ぐがコカビエルは回避する。
「アルゴ! これもあなたの大好きな魔法なんですよ!」
避けるコカビエルにアルゴの砲撃が襲い掛かった。流石に躱しきれずに直撃するとルークもとっておきの魔法を繰り出す。
「獣魔魔法! メルトフォース!」
溶岩の球体が作り出されるとそれをルークはコカビエルに投げつける。獣魔魔法メルトフォースは精霊魔法アースフォースと火の精霊魔法フレアフォースの二つを融合された獣魔魔法である。精霊召喚師であるルークとホーリーエルフとのエンゲージだから可能だった獣魔魔法だ。俺が使うなら二体以上とエンゲージバーストを使わないと行けない。
「ちぃ! 融合魔法! プラズマスフィア!」
溶岩の球体とプラズマの球体がぶつかり合ったが軍配はメルトフォースに上がり、メルトフォースがコカビエルに直撃すると大爆発を起こした。
地面に墜落したコカビエルはセチアたちに紫電槍を構えて襲い掛かる。するとセチアが前に出るとエターナルマウニラバーを構える。
「そんな杖で何が出来る! 死ね!」
「何でも出来ますよ! 剣のルーン! はぁ!」
「何!?」
俺が仕込んだ剣のルーンがエターナルマウニラバーの先端から魔力の刃が生まれると紫電槍とぶつかり合うと二人は接近戦でやり合うがセチアは対応出来ている。セチアにも慧眼や神感覚などの接近戦が出来るスキルは揃っているからコカビエルと戦うことが出来た。だが、どうしても筋力差が出てしまう。
「力で私に勝てると」
「思ってますよ。力のルーン! は!」
無限のルーンがある武器にはセチアにお願いされて、全てのルーンが仕込ませて貰っている。その結果、セチアは紫電槍を下から上に突き上げた。
「ぐ…!? しまっ」
「「「「ブロッサムストーム!」」」」
至近距離からのブロッサムストームでぶっ飛ばされる。
「タクト様の召喚獣である私たちは何でも出来るんですよ」
「流石です。セチアお姉様」
「ミールやタクト様のお陰ですよ」
槍の使い方はミールを参考にしていたセチアだった。セチアが吹っ飛ばしたところに他の魔法使いたちも魔法を連打し、レッカの禁呪発動の時間を稼ぐ。
「させるかー!」
ボロボロのコカビエルが再び紫電槍を構えて、レッカに突撃する。するとその攻撃は巨大な扇でガードされる。和狐が芭蕉扇でルークの身体を隠す形で上手くガードした。
「うちらが魔法使いなんて言った事はありまへんよ? 爆風波!」
「ぐ…魔法以外は効かないと言ったはず! ん?」
「潰しちゃってください! フォレストジャイアント!」
確かにコカビエルには爆風波のダメージは発生していなかったが、吹っ飛びはした。和狐の狙いはそこにあり、ぶっ飛んだ先に遅延魔法でストックしていた森の巨人が現れるとコカビエルを平手打ちする形で地面に叩きつけた。この場にいる全員が思った。まるでハエたたきのようだと。これでフィレストジャイアントは消える。
「これ…魔法なんですか?」
「れっきとしたエルフの魔法ですよ?」
雫ちゃんが疑問に思うのも無理はない。完全に物理攻撃だったからな。叩きつけられたコカビエルの体をルークが魔法剣で貫く。
「そんな攻撃」
「知ってるさ! 魔法は効くんだろう? ルートスクイズ!」
「何!?」
コカビエルの体から木の根が発生し、コカビエルを拘束するとコカビエルの体から魔法剣を抜いたルークが距離を取る。
「レッカ!」
「ルークもようやく強くなってきたな。任せてくれ! 禁呪! ハイパーノヴァ!」
「お、おのれ…この私が…こんな死に方…許されるかぁあああ!」
そう言って、コカビエルは爆散した。俺たちが全部の島を落としたところでインフォが来る。
『セチアの封印魔術のレベルが20に到達しました。封印魔術【ルーンスキル】を取得しました』
『イクスのレベルが20に到達しました。成長が可能です』
『リビナの魔王技のレベルが20に到達しました。魔王技【デモングランドクラック】を取得しました』
『和狐の連続詠唱のレベルが30に到達しました。連続詠唱の最大数が1増加しました』
『和狐の同時詠唱のレベルが30に到達しました。同時詠唱の最大数が1増加しました』
『狐子の狐技のレベルが30に到達しました。狐技【狐稲爆】を取得しました』
『ブランの天使技のレベルが20に到達しました。天使技【エンジェルガード】を取得しました』
『セフォネの空間歪曲がレベル10に到達しました。空間歪曲の数が二つに増加しました』
『セフォネの暗黒魔法のレベルが20に到達しました。暗黒魔法【ダークネス】、【エクリプス】を取得しました』
『アリナの空間歪曲がレベル10に到達しました。空間歪曲の数が二つに増加しました』
『アリナの竜技のレベルが30に到達しました。竜技【ドラゴンウイング】を取得しました』
『リースのレベルが30に到達しました。進化が可能です』
帰って来た俺はセチアに聞く。
「なんか爆発音に混じって、何か声が聞こえた気がするんだが?」
「そんな声しましたか? 私には聞こえませんでしたが」
とぼけるセチアの様子を見たみんなが関わるまいと俺から距離を取るのだった。
やっと描けたルークの活躍回でした。セチアの剣のルーンを使った戦闘も描いてみたくて、今回初となります。




