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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
堕天使イベント
1161/1718

#1097 原初の魔導書と範囲魔法の使用法

東エリアに到着した俺たちは最初に近接戦闘が得意なメンバーを送り出した。魔法のスキルを上げたいメンバーは防衛に当たっている。


俺はその頃東エリアの拠点でセチア、和狐、ユウェル、アラネア、伊雪と一緒に作業をしていた。セチアは宝石を使った魔法矢の開発中で和狐は俺の膝に乗って霊符や式神、護符の製作をしてもらっている。そして俺は新しい魔導書の製作準備中だ。


「また随分と用意したんどすな?」


「みんなにはスキルのレベルを上げて欲しいからな。よし、こんなところか」


最初に作るのはノワ、和狐、ファリーダの魔導書だ。基本の素材は紙と原初鳥の羽ペンとデステンタクルズの墨袋に入っていた特性の墨を使用する。後は表紙に使う革でそれぞれ違う魔導書を作る予定だ。


ノワは原初海竜の竜鱗、和狐がパイアの毛皮そしてファリーダは厄災妖犬の毛皮で作って見る事にした。ここでみんなが帰って来るとインフォが来る。


『恋火の狐技のレベルが30に到達しました。狐技【狐稲爆】を取得しました』

『ファリーダの二刀流のレベルが5に到達しました。二刀流【デュアルエッジ】を取得しました』

『燎刃の竜技のレベルが30に到達しました。竜技【ドラゴンウイング】を取得しました』


リリーたちが疲れて、地べたに伸びようとすると俺と和狐の姿が目に入り、反応する。


「和狐ちゃん! そこはリリーの特等席だよ!」


「違います! 私の特等席ですよ!」


「お姉ちゃんたち、酷いです! 誰がどう見てもあたしの特等席にしか見えません!」


確かに恋火が一番収まりがいい。だが、こういう機会がないと和狐は甘えたりしないからな。少しぐらいは許してあげて欲しい。


さて、現状で考えらる最高の魔導書がどんなものになるか楽しみだ。それぞれが魔導書に原初鳥の羽ペンとデステンタクルズの魔法のインクを使って文字を書き、完成される。


タンニーンセフェル:レア度10 魔導書 品質S+

重さ:50 耐久値:800 魔力:500

効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、風属性魔法効果アップ(究)、水属性魔法効果アップ(究)、雷属性魔法効果アップ(究)、氷属性魔法効果アップ(究)、竜気、魔力回復、時間遅延、暴風壁、大海壁、雷光、雷霆、雷轟、荷電光線、雷波動、大海波動、海流支配、渦潮、津波、瀑布、氷山、流星群、天候支配、原初の加護、絶海龍王の加護

原初鳥の羽ペンとデステンタクルズの魔法のインクで書かれた魔導書で表紙には原初海竜の竜鱗が使われている。海を自由に泳げるようになる能力がある大海の魔導書。


パイアビブリオ:レア度10 魔導書 品質S+

重さ:60 耐久値:800 魔力:300

効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、風属性魔法効果アップ(究)、火属性魔法効果アップ(究)、土属性魔法効果アップ(究)、雷属性魔法効果アップ(究)、強激突、魔力回復、暴風壁、大地壁、雷光、雷霆、雷轟、荷電光線、放射熱誠、炎波動、雷波動、大地操作、天候支配、無我、肉体活性、熱風、煉獄、熱無効、原初の加護

原初鳥の羽ペンとデステンタクルズの魔法のインクで書かれた魔導書で表紙にはパイアの毛皮が使われている。熱に強く、戦闘面のサポートする魔導書。どちらかというと魔法剣士などに好まれる。


フッブキターブ:レア度10 魔導書 品質S+

重さ:50 耐久値:500 魔力:350

効果:無詠唱、複合詠唱、全属性アップ(究)、風属性魔法効果アップ(究)、闇属性魔法効果アップ(究)、雷属性魔法効果アップ(究)、精霊殺し、光吸収、魔力枯渇、魔力回復、魔霧、暴風壁、道連れ、雷光、雷霆、雷轟、荷電光線、雷波動、呪撃殺、呪滅撃、幻狼、群狼、闇転移、闇潜伏、魔素化、狂化、天候支配、魔素解放、呪い吸収、原初の加護

原初鳥の羽ペンとデステンタクルズの魔法のインクで書かれた魔導書で表紙には厄災妖犬の毛皮が使われている。呪いを吸い取ることが出来、精霊に対して極めて強い力を発揮する暗黒の魔導書。


セフェルはヘブライ語で本という意味。タンニーンが聖書由来だから名付けて見た。ビブリオはギリシャ語でキターブはアラビア語で本らしい。らしいというのはアラビア語は詳しくなく、ファリーダが教えてくれた。因みにフッブは愛というイメージらしいです。


「…ファリーダだけずるい」


「そうかしら? 二人にはまだ魔導書が手に入る可能性があるのよ? そっちの方がいいんじゃないかしら?」


「…ん。そういう事ならいい」


上手くノワを制したな。問題は和狐の魔導書だ。


「パイアはあまり向いていなかったな」


「どちらかというとタクト向きな気がするわね」


「「「「うんうん」」」」


それは俺が猪と言う事か?否定したいが味方がいない。


「どうする? 和狐?」


「うちも獣化で戦いますし、このまま貰っときます」


「そうか…それじゃあ、俺たちも一旦生産を止めて戦闘しに行くか。そういえば敵はどうだった?」


リリーたちから昨日の通常時の戦闘で登場した奴らに加えて、グリゴリプリンシパリティが追加されたらしい。そしてグリゴリシリーズを一定数倒すとグリゴリドミニオン、グリゴリエクスシーア、グリゴリデュナミスのどれかが現れるようになったっぽい。


昨日の夜の激闘を経験しているだけにまだ余裕があると思いながら、外に向かって歩き出すとリリーたちがついて来る。


「リリーたちは休憩しないとダメだろ?」


「え? でも…タクトが危なさそう」


確かに接近戦が得意な者は少ない。そこを見るとはリリーも成長したものだ。


「俺たちは島を狙わないし、イクスと他の仲間もいるから大丈夫さ」


「はい。マスターの命はわたしが守ります。ふ」


「「「「む!」」」」


勝ち誇っているイクスとセチアたち、ここを守ってくれていた黒鉄たちと魔法スキルを上げたいメンバーとスキアーたちを連れて戦闘に向かった。


今回の敵は基本的に空を飛んでいる。よって、空が飛べない黒鉄たちは普通に戦うことが出来ず、遠距離攻撃が主となり、敵が近付いて来た時に攻撃するしかない。


だが、敵も賢くて、一度攻撃するとすぐに引いて、別の敵が入れ替わるヒットアンドアウェイ戦法を取ってきている。そんな空を飛ぶ敵に対して黒鉄たちが近接戦が出来る策を考えてみた。


俺が選んだ戦闘場所は島の外ではなく、島の内だ。黒鉄たちがまともに戦うためにはまず空を飛んでいる堕天使たちを地面に叩き落さないと行けない。そこで活躍するのが和狐の技だ。


「千本鳥居!」


御幣の杖を振るうと次々鳥居が空から堕天使たち目掛けて降って来る。堕天使たちを鳥居の直撃を受けると島に墜落し、地面に埋まった鳥居が堕天使たちの体を拘束する。これなら飛べないし、攻撃も満足に出来ない。


みんながゆっくり近づいていく。守ってばかりいたせいかストレスが溜まっていたらしい。月輝夜は顕明連を振りかぶると動けない堕天使に叩きつけ、夕凪は甲羅に引っ込むと高速回転すると鳥居ごと次々()いていく。ディアンは次々鳥居ごと噛みついている。


「この状況ならこれだ! モーニングスターデスサイズ! 巨大化! どーん!」


ユウェルはモーニングスターデスサイズのモーニングスターで鳥居ごと潰した。一方アラネアは動けない堕天使の顔目掛けて爪を伸ばして貫いていた。なんか鳥居が処刑台装置に見えて来た。本来なら体を拘束するとかあり得ない代物だからな。そんな中、一番酷かったのがセチアだ。


「「「「ヘイフィーバー!」」」」


鳥居に押さえつけられている堕天使が花粉症になる。ミールもトリカブトを使っているがセチアはもっと酷い。


「「「「フォレストジャイアント!」」」」


木の巨人が複数現れるとセチアが命じる。


「潰しちゃってください」


鳥居ごとフォレストジャイアントは堕天使たちを踏みつぶした。


「ヘイフィーバーをかける意味あったのか?」


「だって、私はタクトさんの召喚獣なんですよ? 大丈夫です。これは魔法のスキルを上げるためですから」


俺はそこまで残酷では…あるか。セチアの言う通り、スキル上げにはなっているから見逃そう。このまま楽に行くと思ったが避ける奴らが出て来た。


島に潜入してくる堕天使は通常時は基本的に雑魚ばかりだ。強い敵はみんなが経験値欲しさで狙うからね。ただ時々抜けて来る敵がいて、躱しているのはそいつらだ。まぁ、この辺りも予想通りである。


そんな彼らには暗黒魔法や木魔法などで弱体化させてからグラビティやダウンバーストで撃ち落とす。島の外では堕天使の島が邪魔をして、中々範囲魔法とか広範囲攻撃は使えないイベントなのだが、島の内側ならその心配はほぼない。


だから魔法使いたちは基本的に内側の防衛に当たっている。雑魚でも魔法スキルを上げる事は出来るからね。魔法使いたちにとって、魔法スキル上げは最優先事項だからみんな、引き受けてくれている。


ただレッカなどのカンストしている人たちは経験値も欲しいからルインさんが上手く回してくれている。


心配がほぼないというのは、イベントを始める前に一緒に東エリアを防衛しているプレイヤーからネットの攻略情報を教えて貰った時に敵が盾でアークフレアの熱線を逸らして、堕天使の島に当てたことが報告されたらしい。


一応リリーたちに昨日の戦闘でそんなことがあったのか聞いてみた。


「盾で攻撃が弾かれる事はありましたが狙っていたんでしょうか?」


「必死に守った結果、偶然そんな形になっただけなんじゃないですか?」


「だ。そうだが?」


「ネットでも意見が分かられているんですよ。でも、攻撃が当たるリスクを考えると」


「下手に使えないわけだな」


だから一旦リリーたちには光線系のスキルなどは禁止させた。その結果、結構苦戦したことが分かる。敵は遠慮せずにがんがん攻撃出来るのにこちらだけ制限される状況は大変よろしくない。そんなわけで実際にどうなのかディアンの光線で確認する。


「防いでいるが…凄い微妙な所だな」


「あの丸型の盾が原因だと予測します」


「そうだな」


イクスが指摘したのは堕天使たちが装備しているラウンドシールドと呼ばれる丸型の盾だ。ラウンドシールドは普通なら平面の盾なのだが、堕天使たちが装備している盾は曲線を描くように作られてる。その結果、光線が当たるとこちらが予期しない方向に曲がっているのだ。ただそれは敵も同じように見える。


「うーん…イクス、攻撃しながらでいいから敵の様子を後で教えてくれないか?」


「イエス。マスター」


俺も魔法を浴びせながら観察を続けつつ、自由に戦わせているスキアーたちの戦いっぷりも見させてもらった。


スキアーは最初は一緒に魔法を使っていたが攻撃が飛んで来ると地面に潜って、攻撃を躱していた。その後、地面からの奇襲で堕天使たちを襲い続けた。いきなり地面から尻尾で叩きつけられたり、スキアー自身が噛みつく形で攻めていた。


ただ顔を出したタイミングを狙われて、槍を構えた堕天使たちのエンジェルダイブが刺さり、倒されてしまうことが結構あった。最もスキアーは蘇生するけどね。


次に進化したばかりの叢雲だ。魔法が飛び交う中、空を飛んで攻撃している。今回の堕天使たちはグリゴリシリーズを覗いて、状態異常に弱い。結果的に叢雲には戦いやすい戦場となった。


叢雲の基本的なスタイルは遠距離で相手を弱体化されてから暗黒ブレス、ドラゴンブレスや拡散光線で攻撃。接近戦では黒死病や瘴気、暴風を抜けた敵に爪や尻尾で戦う感じだ。なんというか普通の戦闘はこんな風にやるんだよと教えられている気がしているのは何故だろうね。


そう思っていると叢雲の身体に堕天使の槍が突き刺さる。


「ぎ…ぎゃおおおー!」


叢雲が逆鱗を発動させる。身体のあちこちが赤褐色になる。逆鱗を発動させた叢雲は突き刺している堕天使を掴むと食べた。すると他の堕天使が攻撃に来ると避けて、尻尾でぶっ飛ばし、ドラゴンブレスで消し飛ばすと俺たちの所まで引く。怒りっぽいのに冷静だな。


これが魔竜の加護の力だった。逆鱗や狂戦士化、暴走状態のデメリットを無効化するスキルだった。これによって、防御や冷静な判断が出来る。更に毒、病気、弱体化を受けると逆に筋力が上がるという何気に凶悪なスキルだ。


リースはまだ弱いから俺と一緒に魔法を使っている。ブランがいないから心配していたけど、どうやら余計だったようだ。そう思っていると堕天使が突っ込んで来る。


「まう!?」


「大丈夫だ」


堕天使が動きを止めると地面に引っ張られると隠れていたぷよ助に捕まると光り出し、自爆する。本体のぷよ助は鳥居で動けない堕天使を食べている。ぷよ助は自爆を覚えたことで戦闘がだいぶ変化した。分裂で増やした自分を空に投げて、相手にぶつけると自爆されたりしているからな。


「な?」


「まう!」


みんなが満足したところで帰るとインフォが来る。


『和狐の杖のレベルが5に到達しました。杖【マジックアップ】、【マジックバレット】を取得しました』

『和狐の妖術のレベルが30に到達しました。妖術【呪詛】を取得しました』

『ダーレーの槍のレベルが15に到達しました。槍【旋風輪】を取得しました』

『クリュスの暗黒魔法のレベルが10に到達しました。暗黒魔法【ライフドレイン】、【マジックドレイン】を取得しました』

『リオーネの火魔法のレベルが30に到達しました。火魔法【レジストヒート】、【ファイヤブラスト】を取得しました』

『リオーネの火魔法が炎魔法に進化しました。炎魔法【トリッドヘル】、【フレイムサークル】を取得しました』

『リオーネの氷魔法のレベルが35に到達しました。氷魔法【ダイヤモンドダスト】、【ヘイルシャワー】を取得しました』

『ルミの氷魔法のレベルが35に到達しました。氷魔法【ダイヤモンドダスト】、【ヘイルシャワー】を取得しました』

『夕凪の雷魔法のレベルが35に到達しました。雷魔法【マグネットサークル】、【サンダーヴォルティックス】を取得しました』


和狐が新しく覚えた呪詛は相手に呪いを付与して、死の宣告のようにカウントダウンで呪滅殺のようなダメージが発生するスキルだ。このカウントダウンは呪いが直されると消滅するが珍しい直接的な呪いの付与と時間差攻撃が出来る貴重な技と言える。


今回の戦闘は完全に魔法スキル上げとなった感じだ。因みに魔法使いのプレイヤーたちは四苦八苦している。


言ったように島の内でなら範囲攻撃は可能だが、誘導するまで回復エリアのダメージは避けられず、最悪倒せなかった時には中央エリアの攻撃を許してしまう。まぁ、回復すればいいだけの話だが、出来ればエリア防衛を本当に抜けられた時にやるようにしている。俺の場合はミールの花蜜で集めさせて貰ったけど、ちゃんと許可を取った。


この状況を打開するためにイクスから調査結果を聞く。


「不自然に盾を動かしている敵は複数いました。あれは偶然ではないと断言出来ます」


「そうか…厄介だな。ありがとうな。イクス」


俺はその場にいたプレイヤーたちにイクスの調査結果を伝えて、ログアウトすることにした。お昼までテスト勉強して、昼からはプレイヤーたちに任せていた島を落としていくとしよう。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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