#1078 セフォネの結婚式と新たなドラゴン召喚
俺が待っているとシルフィ姫様が笑顔で顔を出した。
「セフォネちゃんが凄く上機嫌でしたけど、何かしたんですか?」
「今、桜花が敵に襲われていて、魔王討伐同盟が動いています。でも、俺はセフォネと結婚式をすると約束したので、こっちを優先することにしました」
「なるほど…それは嬉しいでしょうね。王女の立場からすると複雑ですけど…それに私たちには話が来ていないのですが」
「レヴィアタン戦の直後で各国が疲弊していることが分かっているから我々に救援要請が来たんだと思います」
聖徳太子は聡明な王だ。本来なら先手を打つぐらいはしそうだが、ティアマトには恐らく原初の加護がある。そのせいで未来予知が困難だった可能性が高い。完全な不意打ちなのにすぐに決断したところは流石聖徳太子といったところだ。
「なるほど。しかし大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ。みんな、強いですし、一応敵を見て来ましたが数はゾンビの時ぐらいの多さでしたが強さはそこまでありませんでした。レッカなどは禁呪を覚えていますし、大丈夫でしょう」
「それでも心配してますね。顔に出てますよ」
心配というか落ち着かないんだよな。心底このゲームに染まっていると思うよ。
「はぁ~。このままじゃ、いけませんね。ちょっと集中します」
「はい。折角の結婚式なんですから結婚相手の事しか考えずに挑んで下さい」
こうして気持ちを整えて、セフォネを式場に向かうとグラン国王様がいた。ヴァンパイアとの結婚式もフリーティアにとっては歴史的な出来事なのだろう。待っているとセフォネがやって来た。
「ふふん!」
セフォネは漆黒のウェディングドレスで登場した。ノワたちは避けたのにセフォネは堂々と着たな。まぁ、セフォネらしい。それにしても見た目が完全な子供のセフォネは色々やばい結婚式になった。それでも俺は気にせず、式を迷わず進める。それぐらいは最初から分かっていたからだ。そして誓いの言葉をいい、マリッジリングを交換する。
『セフォネとマリッジが結ばれました』
こうして結婚式は終わったのだが、セフォネが愚痴を言う。
「本当は大人の姿で登場するはずだったのじゃ。でもミュウに今更変更とか無理! とか言われてしまってな」
「それはそうだろ…」
後でミュウさんに謝っておこう。次に新たな召喚獣を召喚する。魔石生成で魔石を作って、召喚の間に向かう。
そして召喚石を置いて、リスト召喚を実行する。最初に召喚するのはオロチだ。
「リスト召喚!」
「シャー!」
ほい。成功。さて、性格はどうだろうな。すると俺の前で頭を下げて目を瞑った。忠誠を誓うタイプらしい。まぁ、俺とのレベル差が影響しているのかも知れないけどね。名前は決めてある。
名前 スキアー オロチLv1
生命力 82
魔力 45
筋力 68
防御力 33
俊敏性 52
器用値 40
スキル
噛みつきLv1 巻き付きLv1 薙ぎ払いLv1 猛毒Lv1 鉄壁Lv1
熱探知Lv1 土魔法Lv1 土移動Lv1 脱皮Lv1 毒ブレスLv1
即死Lv1 蘇生Lv1
スキアーはギリシャ語で影という意味でちゃんと進化先から考えた名前だ。次はギルドの交換チケットを獣魔ギルドに使って、ドラゴンの召喚石を手に入れると召喚の間に戻ってする。
「魔石召喚!」
「ぎー…」
召喚されたのは懐かしいドラゴネット。相変わらず可愛いがジークのように甘えて来ない。抱きかかえようとすると手を尻尾で弾いていた。
「嫌なのか?」
「ぎー」
「そっか。なら抱かないでおくよ。名前は叢雲でいいか?」
「ぎー」
どうでも良さそうだ。ちょっとぐれているな。闇のドラゴンを目指しているからいいのかも知れないけど、育てるのがちょっと苦労しそうだ。取り敢えず名前を決定する。
名前 叢雲 ドラゴネットLv1
生命力 25
魔力 20
筋力 30
防御力 25
俊敏性 30
器用値 20
スキル
飛行Lv1 噛みつくLv1 光魔法Lv1 遠吠えLv1 光ブレスLv1
逃走Lv1 光竜の加護Lv1
叢雲はひつじ雲の別名の一つ。日本では戦争時代の駆逐艦の名前としても使われている。目指す闇のドラゴンを既に知っているから名前が決め安くていい。
ここで帰ろうとすると叢雲が肩に乗って来た。デレた?
「ぎー…」
尻尾で背中を叩いて、速く前に進めと言っているようだ。
「はいはい」
ホームに帰り、みんなに新しい仲間を紹介する。
「ぎー…」
「…拒否された。しょんぼり」
ノワが叢雲を抱っこしようとしたがやはり拒否される。するとまたノワが叢雲に接近する。
「ぎー!」
俺たちを相手に威嚇するとは、叢雲は相当な大物だな。
「…影封陣」
「ぎ!?」
「…捕まえた。こっち来る」
そこまでして、抱っこするか。ノワが向かった先は自分の炬燵。そして一緒に炬燵で寝る。だが、叢雲は一瞬目を細めると俺たちの視線に気づいて暴れる。それを見て、叢雲は男だと確信した。
「…スリープ」
「ぎ!?」
「…ん。寝た」
「強制的に眠らしたの間違いでは?」
「…証拠がない」
誰だ?ノワにこんなことを教えたのは…俺がそう思っていると和狐が犯人を教えてくれた。どうやら九尾がキキにつまみ食いをしたところを見つかった時に言ってるそうだ。子供か。
ここで俺はルインさんがギルドの交換チケットで俺にプレゼントしてくれたものを取り出す。それがこちら。
金属紡績機:重要アイテム
金属の糸を作り出す事が出来る機械。他にも木から木糸など糸なら全て作り出す事が出来る。
これでワイヤーなどが作ることが可能になった。そして俺はダマスカス鋼をセットし、ボタンを押すと自動でワイヤーを作り出してくれた。
ダマスカスワイヤー:レア度10 糸 品質S+
ワイヤーの中でも最高の硬さと切れ味を誇る最強の糸。余りの切れ味の良さのせいで罠に使うには不向きで武器として使用される。武器で斬られるのは滅多になく、暗殺者や忍者に絶大な信頼がある。
ワイヤーの中ではダマスカス鋼が一番の素材らしい。最もオリハルコンはまだ誰も実験していないそうなのだが、肝心の神の力の付与が糸では出来ないので、ダマスカス鋼が一番となっているらしいのだ。これをまずはアラネアに持たせて、菅原道真で実験する。
「今日は糸使いか」
「はい。新しい糸がどれほどの物か実験されて貰います!」
変化で人状態になったアラネアが手からダマスカスワイヤーを菅原道真に伸ばすと菅原道真は咄嗟に刀でガードすると火花が散る。
「ぬ!? はぁ!」
菅原道真が斬ろうとするが斬れず、ダマスカスワイヤーが巻き付いてしまう。
「しまっ」
「いただきです」
「舐めるでないわ」
取られそうになった菅原道真だが刀を握って離さない。これぞ侍!
「雷放電」
「ぐぅ!?」
「まだ離しませんか…毛針! 毒霧!」
アラネアの容赦がない攻撃を受けても菅原道真は刀だけは離さない。
「刀だけは絶対に渡さん」
「それならそれでいいですわ。さようなら」
アラネアの背中から生えている八本の蜘蛛の足からダマスカスワイヤーが伸び、菅原道真の身体を貫通した。こわ。そしてダマスカスワイヤーがアラネアに戻る際にうねった結果、菅原道真の身体はバラバラになる。
「最強の糸という言葉に間違いなしだな」
これでまだ全力ではないというんだから相当なものだ。因みにアラネアは指からも糸が出せるので、人状態では最大十八のダマスカスワイヤーでの攻撃が可能だったりする。これが変幻自在に動いて襲い掛かって来るわけだ。俺は捌ける自信はない。ただ流石のダマスカスワイヤーも時空切断などでは斬られてしまうだろう。時空切断は直接ダマスカスワイヤーを斬っているわけじゃないからだ。
「やれやれ。近頃の妖艶な美女は恐ろしいわい」
復活した菅原道真に報酬を貰って、余った時間でスキル上げをするとしよう。




