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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
堕天使イベント告知と最後の召喚
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#1077 堕天使イベント会議とティアマト侵攻

祝バレンタインデー!この小説でバレンタインデーまで書かないので、短編の記念小説を後書きに書いてみました。リリーたちのバレンタインデーは以前書きましたので、今回はシルフィ姫様たちのバレンタインデーを書いてみました。以前書いたリリーたちのバレンタインデーの一年後という設定で書いています。よろしければ読んでみて下さい。一週間ぐらい経過したら、記念小説のほうに移そうと思います。

エステルではプレイヤーが集結しており、俺は会議が始まる前にフェルトに完成した槍を渡した後に召喚師たちと交渉をする。


「え!? エインフェリアとかになる素材と第五進化の宝珠と交換してくれるんですか!?」


「あぁ。もう最後の召喚獣を決めちゃったからさ。使わない物をずっと持っていても勿体ないだろ?」


「それは確かにそうですが…タクトさんはそれでいいんですか?」


「あぁ。時間が節約できるなら本望だよ」


学校で使わない宝珠をどうするか考えた結果がエインフェリアになる召喚獣の結合召喚に必要な素材四つと交換することにしたのだ。そこそこ難易度が高いみたいだし、時間の節約が出来るならいい交換だと俺は思った。もちろんみんな俺の提案を受けてくれた。俺はアルさんと不死鳥の宝珠で一つ交換する約束をして、怪鳥の宝珠三つと素材三つを交換する約束をした。結構ジズとの戦闘後にグレイたちがロック鳥を倒してくれたので、沢山あるのだ。しかも反対側の召喚師たちは手に入らなかった素材だからバカ売れした。するとこれでは釣り合いが取れないということで向こうで出たバハムートの肉を貰えた。


「いいのか? 貰いすぎな気がするんだが」


「いいんすよ。俺たち料理とか出来ないんで」


「後でギルマスが作った料理を少し頂けるなら割合が取れませんか?」


「ちゃっかりしているな。何かリクエストはあるか?」


「「寿司!」」


即答だね。というわけで約束して、バハムートの肉を貰った。イオンたちにいいお見上げが出来たよ。


流石に幻魔獣王の宝珠と原初海竜の宝珠とでは釣り合いが取れなかった。次にルインさんから依頼したものを受け取る。


原初鳥の羽ペン:レア度10 通常アイテム 品質S+

原初鳥の羽から作られたペン。これで書いたものに非常に強力な風と雷の力と原初の加護を与えることが出来る。


これが出来上がったと言う事で大量の紙などの魔導書の素材を買い込む。ついでに和狐の式神などの分も買う事にした。ここで今回のイベントについて話し合う。


「人数的にはバエルの時と同じだが、戦力の調整をした方がいいだろうな」


「つまりギルドで組まないってことですね」


「あぁ…もちろん最高難易度に挑む以上、戦力は必要になるがギルドで職種を固めるべきじゃないだろう。バエルのイベントではそれで結構苦しんだしな」


マグラスさんが言うと重みがあるな。それを踏まえた上で高難易度に挑戦しない人達がイベントの詳細を調べてに行ってくれた。当然お金を出してね。


「イベントの舞台となる島はかなり大きいです。どうやら島の全方位から攻撃を受けるみたいですね」


「四方に分かれて防衛する訳か」


「上手く調整しないと行けませんね。朝と夜の人をバランスよく設定しないと」


「あ、そのことなんですが、援護してくれる天使の数を時間で設定できるみたいです」


自分たちがゲーム出来ない時間に天使NPCを多く設定して、防衛を可能にする形を取っているらしい。このシステムで考えないと行けないのが天使に敵を倒されるとポイントも経験値も手に入らないという点だ。


「つまり運営はポイントが多く欲しいなら天使を少なくしろと言いたいわけですね」


「逆に多く設定して、止めを横取りする手もあります。その逆も起こりますけどね」


「いずれにしてもボス戦の時間は天使NPCは避けて、実力で倒せと運営は言いたいんだろう」


次に気になっていたイベントの専用アイテムの配布についてだ。これは飛べない人でも飛べるようになるアイテムだったそうだ。それを配らないと全員が防衛参加なんて出来ないだろうからな。


ただしこのアイテムには時間制限が存在するらしい。その時間を過ぎると墜落して死亡扱いになるそうだ。ここで気になっている島についての情報も教えて貰った。


「わざわざ浮いている島の結界装置を破壊した後に中枢に侵入して、島の動力を破壊しないといけないのか」


「それ以外の方法を取ると装置が爆発し、その空域にいる者たちが全滅し、島が削られるとアザゼルが言ってました」


つまり島ごとぶった斬るとか禁呪で一掃とか出来ないわけだ。そのリスクを背負うのも手だが、デメリットがあるし、島が無くなるとゲームオーバーなのも問題だが、防衛拠点が小さくなっていくのは結構やばい気がする。


「大きな島なんだろ? そこまで気にするところか?」


「気にするところですよ。恐らくその削られるのは回復エリアがある所でしょうからね」


どんどん回復エリアが無くなっていくと当然プレイヤーの中には回復出来ない者が現れる。そうなると防衛に支障が出るだろう。そう考えると回復エリアにいる者をなるべく回す必要もありそうだが、一つの回復エリアが結構あるらしくそこまで気にする必要はなさそうだ。


色々考慮してメンバーを決める。俺の所の主なメンバーは仲が良いメルたちとシフォンたち、チロルたちとルーク、トリスタンさん、満月さん達、与一さんたち、鉄心さんたちが戦闘メンバーで選ばれた。裂空さんたちや竜騎士、雷電さんたちは別の方に回った。


生産職ではルインさんたちとクロウさんがこっちについてくれた。代わりにタロスと共にサバ缶さんは今回別行動となった。その代わりに他の所から補充される。するとここで遅れるとメールが来ていたブルーフリーダムのリーダーが慌てた様子でやって来た。


「た、大変です! 桜花にティアマトが侵攻しています! 聖徳太子から魔王討伐同盟に支援要請が出されました!」


全員が驚く。まさか攻め込むとは思って無かった。


「敵の戦力は分かっていますか?」


「既にティアマトの子供が桜花に上陸して、被害が出ているそうです。なので急がないと大変なことになります」


「…ちょっと待ってくれ。これはどうなるんだ? ティアマトは暗黒大陸の西側から桜花に侵攻したんだよな?」


「もちろんそうですよ!」


そうなると想像以上に大変な事態だ。恐らく桜花の都は東京だろう。その事を考えるとティアマトが攻め込んでいるのは九州って事になる。


「俺というか伊勢神宮のクエストをして九州に辿り着いているのはどれだけの人数がいるんだ?」


「「「「…」」」」


「えーっと…かなり少ないですね」


「砂漠の時のようにプレイヤーを運ぶしかないわね。急ぐわよ! 九州に行ける人はテントを持って行って! 絨毯でプレイヤーを運ぶわよ!」


流石ルインさんだな。ここは約束通りに任せて、俺はセフォネの結婚式をするとしよう。そう思って立ち上がると手を引かれる。


「何をやっているんですか! タクトさん! 行きますよ!」


「え? おい! ちょっと待っ」


転移されられました。転移した俺の目の前には大きな岩があり、洞窟を塞いでいるようだ。これが宮崎県の高千穂市にある天岩戸をモデルにしているんだろうな。するとブルーフリーダムのメンバーがやって来て、状況を説明してくれる。


「陸の敵は倒すことに成功したが海から次々敵がやって来ている状況だ」


「どうしますか? タクトさん?」


「どうするって…取り敢えずプレイヤーを運ぶか」


ここまで来てしまったのなら最低限の仕事はしないとな。ヒクスとストラ、コーラル、サフィを召喚して、やって来たプレイヤーを乗せて、一気に移動すると敵影を捉えた。


そこにはかつてのゾンビイベントを思い出す海と空を覆うモンスターの大群がいた。ただ敵はそこまで強くはない。というかハロウィンイベントで登場した奴と比べるとだいぶ小さい。これなら大丈夫そうだな。ただ気になるのはティアマトの姿が無い。


「海の中か…空間索敵」


空間索敵は真っ赤に表示される。おかげでティアマトが何処にいるか分からない。まさかこんな方法で妨害して来るとはな。さて、問題は俺が戦うかどうかだ。戦いに出るとセフォネとの結婚式は間違くなく出来ない。


「ルーク…ここは任せていいか?」


「え? タクトさんは戦わないんですか?」


「あぁ。元々そう話していたし、セフォネとの結婚式があるんだよ。俺の勝手な都合で結婚式を延期するのは男としてしたくない」


「それはそうでしょうね。もしそんなことをしたら、物凄く怒られるでしょうし…わかりました。タクトさん抜きで勝って見せます」


ルークも言うようになった物だ。というわけでプレイヤーを降ろすと桜花の兵士がやって来て、襲われた村人を離れた村に送って欲しいと依頼される。それぐらいだったら、引き受けてもいいと思った。


飛び立つとライオンサイズのウム・ダブルチュが無数にやって来た。


「ひぃ!?」


「助け!?」


「「「「シャー!」」」」


ストラの重圧を受けてウム・ダブルチュたちは落下する。生き残ったウム・ダブルチュは完全に動きが止まる。


「ストラ、コーラル、サフィ、行くぞ。また喧嘩を売って来るならその時に消し飛ばしてやろう」


結果、喧嘩を売られる事なく、村に到着した。これで依頼を達成した俺はイベントの島だけ確認をする。島に行くとルインさんたちがいた。


「あら? タクト君はこっちに来たの?」


「セフォネとの結婚式がまだでしたので」


「へぇ。結婚式を選んだのね。偉いじゃない」


「ルイン姉、そこは当然だと思うよ」


ごめんなさい!少し悩んだ上に依頼を一つこなしました!最終的に結婚式を選んだから勘弁してください!そう思っていると黒い天使の羽が落ちて来た。


「ふはははは! 堕天使の王! アザゼル様の降臨だ!」


「…幻影か」


神瞳持ちにはこの程度の騙しは通用しない。


「つまんねー奴だな。まぁ、いい。今日は俺様からゲームの説明をしてやる」


話を聞いた内容を説明された。その後、アザゼルは消えて島を確認する。


「広いですね」


「えぇ。確認出来た回復エリアは五つ。それぞれ上下左右と防衛目標の一つである木に設定されていたわ。一つ落とされると他の回復エリアに行かないと回復出来ないから地味にきつくなるわね。そしてあれが防衛目標の木よ。あの木の周囲は安全エリアにもなっているわ」


「あの大きな木を防衛しながら向かってくる島を落とさないといけないのか…相変わらず優しくないですね」


「優しすぎるとプレイヤーが燃えなくなるからしょうがないわよ。取り敢えず今はそれぞれの回復エリアにテントと資材を送っているわ。何か防衛案を思いついたら、メールで教えて」


「わかりました」


島の端まで行ってみる。ここまではずっと平坦な地面だった。建物も壁も作れる地形だが、防衛目標が島と木であることを考えると建物も壁もそこまで立派な物は必要ないと思った。もちろん安全に回復が出来る場所の確保は必要になるんだけどね。一応俺は感想をルインさんに送って、家に帰るとセフォネとの結婚式に向かった。

バレンタインデーの数日前、フリーティア城にある王女たちの憩いの場の扉が勢いよく開いた。


「大変です! 二人共!」


「廊下を走ったりしたら、ダメですよ。シルフィお姉様」


「そうだぞ。お前は第一王女なのだからもっと王女らしく」


「あーあーあー。そんなことは聞こえませーん。というかそれどころでは無いんです! 二人はバレンタインデーというのは知っていますか?」


二人は残念ながら知らず、シルフィ姫様がリリーたちから聞いた話を伝える。


「女性が常日頃お世話になっている人や好意の持っている男性に手作りチョコと共に気持ちを伝える日か」


「ロマンチックですね」


「私もそう思いました。それでですね。もうリリーちゃんたちは材料を揃えて、どんなチョコを作るのか悩んでいたんです。つまり私たちは出遅れている状況ということ!」


「えーっと…シルフィお姉様はタクト様にチョコを贈りたいということでよろしいですか?」


「私だけじゃありませんよ? タクト様には国を救って貰いましたから、私たち全員で贈りましょう!」


そんなわけでシルフィ姫様の強引な提案に二人は巻き込まれる事になった。


「それでチョコレートはどういう風に作るんだ?」


「素材は何なんでしょうか?」


「素材はリリーちゃんたちが揃えていたので、ばっちりですよ!」


シルフィ姫様がチョコレートの素材を伝えて行く。


「ちょっと待て。チョコレートに肉なんて使うのか?」


「魚も変ですよ。サラお姉様。それに謎のポーションって素材不明じゃないですか」


「セチアちゃんやリビナちゃん、セフォネちゃん、ファリーダちゃん、ミールちゃんに聞いたんですけど、秘密で教えてくれなかったんですよ」


「…バレンタインデーはタクトを暗殺する日なのか?」


サラ姫様の感想に誰もが無言になった。ここでシルフィ姫様達は助っ人に頼ることにした。


「チョコレートの作り方なら勿論知っていますよ」


「流石フリーティア城の料理長です! 作り方を教えてください!」


「これはいいんでしょうか?」


「まぁ…作り方を教えて貰うだけなら良いんじゃないか?」


こうしてシルフィ姫様たちはチョコレートを完成させることにした。そしてバレンタインデーの当日、俺は三人からもチョコレートを貰えた。


「ハート型のチョコなんですね。ありがとうございます」


「ん? ちょっと待て。バレンタインデーにはハート型のチョコを贈るものなんじゃないのか?」


「別にそんな決まりは無かったと思いますよ? まぁ、好意を伝えるなら一番ダイレクトに伝えるチョコの形だとは思いますが」


「な、ななな!? わ、私はそんなつもりでお前に贈っていないからな! そもそもシルフィお姉様に巻き込まれて」


「分かってますよ。それでもありがとうございます」


サラ姫様が顔を背けるとシルフィ姫様が覗き込んだ。


「顔、真っ赤ですよ。サラ」


「う、五月蠅い! 用事も済んだし、私は帰る!」


「サラお姉様ったら。あ、タクト様。レッカ様はいらっしゃるでしょうか?」


「レッカならギルドにいると思いますよ」


このままだとギルドのみんなに目撃されてしまうな。レッカがどんな目に会うかは俺の知った事ではない。ここでシルフィ姫様が聞いて来る。


「リリーちゃんたちから貰いましたか?」


「それが昨日の夜にチョコまみれで寝ているみんなを発見しまして…今、頑張って作ってくれてますよ」


みんなで味見したら、魅了や狂戦士化、暴走状態になってチョコを食べまくったそうだ。その惨状を見た俺はチョコレートの素材を買い直して上げて、現在頑張っている。


「そんなことが起きたんですね。ということはタクト様にチョコレートを上げたのは私が最初なんでしょうか?」


「そういうことになりますね」


「では、改めて言わせて貰いますね。大好きです。タクト様。私の気持ち、受け取って下さい」


「はい。ありがとうございます。シルフィ姫様」


こうしてフリーティアの姫達のバレンタインデーは終わった。その夜のフリーティア城でグラン国王様は溜息を付いていた。


「わしは娘たちからチョコレートを貰えないのだろうか?」


「そんな顔、しちゃ行けないわよ。グラン。はい、これ。私からのチョコレートよ」


妻からチョコレートを貰えたグラン国王様は涙を流したそうだ。一方で城から夜空を見上げている騎士達がいた。


「俺は姫さんたちの子供の頃から世話してきているんだがな…」


「まぁ、来年期待しましょう。ガルー」


こうして『エリュシオンオンライン』内のバレンタインデーは終わるのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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