#1074 ブランの結婚式
学校が終わった俺は帰るとテスト勉強する。
「あぁ~…自分の将来の夢を決めたから化学とか絶対に使わねー」
今までも思って来たことだが、自分の将来を決めたことで余計にそう思うようになってしまった。化学反応式とか絶対に使わないだろう。
「それでも頑張らないとな」
気合いを入れ直して、テスト勉強を進めて夕飯の時間になるとご飯を作って、食べる。ここからはゲームタイムだ。ログインすると和狐が俺の胸に顔をくっつくて、左右に顔を動かして匂いを満喫していた。
「んん~」
「…和狐さん?」
何故かさん付けしてしまった。これに対して和狐は身体が飛び跳ねると壊れかけのロボットのように首を動かし、俺と目が合う。
「タ、タクトはん!? これは! あの! その! 少し魔が差したと言うか」
顔を真っ赤にして、必死に言い訳をしようとするが見てしまったものはどうしようもない。何も言わず、頭を撫でる。
「下に行ってくるな」
「うぅ~」
動けない和狐はベッドに顔を隠してしまった。下に降りた俺はオリジナル料理を作る。まずはパイアの肉を使ったハンバーグを作る。
「「「「ハンバーグ! ハンバーグ!」」」」
リリーたちは大興奮である。試しに一つ焼いてみて、半分に切って見ると肉汁がやばいほど出て来た。それを見ていたリリーたちが我慢できるはずもなく、味見して貰った。
「「「「美味しい~」」」」
だが、俺の狙いはハンバーグだけではない。昨日の交換会で貰った伊勢海老とデスクラーケンの足を小さく捌いていく。
「凄い量だな…このくらいでいいか」
次に星海竜の肉もサイコロステーキにして、味見している。
「おぉ! 見た目が肉なのに本当に魚の味がするな」
「タクトさん! タクトさん!」
「はいはい…あーん」
「あーん! あ! 美味しい~」
具材の準備は出来た。後は生地を作らないとな。その為に星海竜の肉で出汁を取って見た。すると黄金の出汁が作れた。
「いい匂いだ」
もう一つは伊勢海老で出汁を作る。こちらはもう疑いようがない。後はこの二人の出汁を使った二種類の生地を作る。生地の材料は小麦粉、片栗粉、卵、醤油、塩。そして昨日買ったタコ焼き器をセットする。
俺が作ろうとしているのはアレンジたこ焼きだ。タコ焼き器に生地を流し込んで、準備した具材と一緒にエアリーのチーズを入れる。
俺がたこ焼きをくるくる回している所を見ていたリリーたちは自分たちもやりたがる。ここで意外な才能を開花させたのがリリーとノワだった。
「イオンちゃん。こうだよ! こうだよ!」
「く…! あ!?」
「…イオン、下手すぎ。もっと力を抜く」
普段料理が出来るみんなは苦戦している。不思議な光景だった。最後にケチャップとソース、蜂蜜で作ったたこ焼きソースと鰹節と青のりを乗せて完成したのがこちら。
パイアのチーズたこ焼き:レア度10 料理 品質S+
効果:満腹度10%回復、強激突、三十分筋力二倍、二時間生命力アップ(究)、魔力5%回復
蛸の代わりにパイアのステーキを入れたたこ焼き。一口サイズで子供でも食べやすい。生地にもしっかり味が付いており、中からとろけたチーズまで出て来る極上のたこ焼きとなっている。蛸より肉が好きな人に人気がある。
デスクラーケンのチーズたこ焼き:レア度10 料理 品質S+
効果:満腹度5%回復、二時間水属性アップ(究)、二時間俊敏性アップ(究)、二時間魔力回復(究)、魔力5%回復
デスクラーケンのたこ焼き。一口サイズで子供でも食べやすい。生地にもしっかり味が付いており、中からとろけたチーズまで出て来る極上のたこ焼きとなっている。たこ焼きの中でも最高級のたこ焼き。
伊勢海老のチーズたこ焼き:レア度10 料理 品質S+
効果:満腹度5%回復、一時間水属性アップ(究)、一時間俊敏性アップ(究)、一時間魔力回復(究)、一時間全属性耐性、魔力5%回復
蛸の代わりに伊勢海老の身を入れたたこ焼き。一口サイズで子供でも食べやすい。生地にもしっかり味が付いており、中からとろけたチーズまで出て来る極上のたこ焼きとなっている。蛸より海老が好きな人に人気がある。
星海竜のチーズたこ焼き:レア度10 料理 品質S+
効果:満腹度5%回復、二時間水属性アップ(究)、二時間俊敏性アップ(究)、一時間星間遊泳、魔力5%回復、竜気
蛸の代わりに星海竜のサイコロステーキを入れたたこ焼き。一口サイズで子供でも食べやすい。生地にもしっかり味が付いており、中からとろけたチーズまで出て来る極上のたこ焼きとなっている。蛸より魚が好きな人に人気がある。
キムチのチーズたこ焼き:レア度10 料理 品質S+
効果:満腹度5%回復、二時間水属性アップ(究)、二時間俊敏性アップ(究)、二時間魔力回復(究)、魔力5%回復、十五分筋力アップ(極)
デスクラーケンのたこ焼きにキムチをトッピングしたたこ焼き。一口サイズで子供でも食べやすい。生地にもしっかり味が付いており、中からとろけたチーズまで出て来る極上のたこ焼きとなっている。辛いのが好きな人に人気がある。
たこが入っていないのにたこ焼きって名前が付くんだな。最初に恋火と和狐に上げてからみんなで試食会をする。当然好みは分かれる。ただ悲しい結果となった。
「デスクラーケンのチーズたこ焼きは誰も選ばなかったな」
「とても美味しいんですけどね」
「味の濃さで負けてる感じがするわね」
「それに噛みにくい蛸がちょっと邪魔だよね」
リビナの辛口コメントにみんなが頷く。今回は相手が悪かったって感じかな?元祖たこ焼きには頑張って貰いたいな。そう思っているとディアンが喜んで食べてくれた。デスクラーケンの足が一番具材として多いから非常に助かった。
たこ焼きパーティーが終わり、聖杯タイム。今日はファリーダだ。ただし問題がある。
「斧っていいのがいないんだよなー」
一番気になっているのがギルガメッシュの斧なんだが、あれにそこまでの伝説はないから微妙。そうなるとアクセサリーか他の何かということになる。ここでファリーダが聞いて来た。
「この前の戦闘で槍と三日月の刃が一緒になっている強い武器を見かけたのだけど」
「あぁ。それはたぶん方天画戟だな。気になっているのか?」
「えぇ」
「なら決まりだな」
聖杯で取り出す。
方天画戟:レア度10 槍 品質S+
重さ:150 耐久値:2500 攻撃力:800
効果:人特攻(究)、気力アップ(究)、筋力アップ(究)、覇気、英気、気力融合、空振、爆風波、爆轟、暴旋風、暴風壁、砂嵐、万物破壊、戦闘高揚、肉体活性、覇撃、狂戦士化、逆鱗、伝説解放、破壊の加護、覇王の加護
呂布が使用した槍と三日月の刃が一体となった戟という種類の武器。槍の横に刃が付いたことで槍では不向きだった薙ぎの攻撃を可能にし、一度の薙ぎで敵部隊を吹っ飛ばす威力を誇っている。
方天画戟を手に入れたファリーダは地下の訓練場で実験する。
「えーっと…確か構えてからこうだったわね!」
ファリーダが方天画戟を振ると爆発音のような素振り音がするととんでもない衝撃波がファリーダの前面に放たれた。
「いいわね。ここからこうだったかしら!」
今度は方天画戟を地面に叩きつける。すると爆轟が発生し、屋敷が震える。
「そこまでにしておこうか…家が潰れるとか洒落になっていないから」
「そうね…これから訓練をするのよね?」
「あぁ。そこで試してくれ」
というわけでブランの結婚式だ。今回のウェディングドレスは王道で来る気がしている。何せ天使がウェディングドレスを着るのだ。外れないだろう。これでノワのしたように真逆の黒を着て来たら、引くな。
俺が待っているとブランが現れた。やはり純白の王道ウェディングドレスだった。意外なところは肩を出しているところだ。ブランなりに頑張ったんだろう。それでも恥ずかしいから手で隠している。何ともブランらしい。
恥ずかしがってはいるが結婚式は失敗なく終わる。流石ブランだな。ここでマリッジリングを交換する。
『ブランとマリッジが結ばれました』
これで式が終わるとみんなが感想を言う。
「「「「つまらない」」」」
「つまらなくて結構です」
「そもそもさ。折角肩出しのウェディングドレスにしたのにどうして胸を隠すのさ。意味ないじゃん」
「まぁ、いいじゃない。必死に隠しているブランを楽しんでいた人間がいるんだし」
「主!?」
楽しんではいない。ただ微笑ましく思っていただけだ。それをブランに言うと伝えると怒るから言わないけどね。結婚式が終わったギルドによって、ミュウさんとナオさんからそれぞれセフォネとファリーダのウェディングドレスとマリッジリングを受け取る。
「「…」」
二人の間で火花が散っていた。見なかったことして、ユウェルとアリナの分のウェディングドレスとナオさんにまだ注文していなかったルミのエンゲージリングと二人のマリッジリングを注文をする。それが終わるとホームに帰り、生産作業を行うと今日のレベル上げをするにした。




