#1061 原初の空を知る怪鳥
俺がタンニーンと戦っている頃、リリーたちはジズと戦闘を開始した。
「行くよ! みんな!」
みんながまずロック鳥と戦闘を開始しようとするとロック鳥は急降下した。
「え!?」
「守ろうとしない?」
「つまりチャンスだな!」
「そうだね! 一気に行くよ!」
「ちょっと待つの! これは可笑し」
止めようとするとアリナにノワが肩を叩く。
「…言っても無駄」
「そんなことは分かっているの! けど、これは明らかに罠」
ジズが羽ばたくと超巨大の大気壁がリリーたちを襲う。しかしすぐさまみんなは破壊に動く。すると目の前にジズが現れると巨大な爪で突撃したみんなが捕まる。リリーたちは抵抗するがそのまま海に叩きつけられる。
「「「「た、助け…ブクブクブク」」」」
「思った通りなの! どうしてリリーお姉様たちはいつもそう…っ!?」
ジズが突っ込んで来ると空振で吹き飛ぶ。
「この! あ!? しまったの!?」
アリナが下を見ると船がロック鳥に捕まり、持ち上げられていた。
「あっちは大丈夫です! それよりもジズを何とかしないと!」
アルさんの言う通りで船にはちゃんと戦力がいる。襲われたノアズ・スクナではアラネアが鋼索と高熱切断でロック鳥の爪を切り裂く、怯んだところでセチアの矢とミールのミストルティンが突き刺さると最後はルミの氷の大鎌で切り裂いている。
「分かってるの! でも速い…そうなの!」
ここでアリナが風のドラゴニュートを集めてジズの相手をみんなに託してジズの遥か上空に移動する。ここでアリナたち以外の者の上を取ったジズが羽ばたくと羽投擲が降り注ぐ。余りの数に守りを固めるが羽は障壁などをすり抜けて、触れると爆発する。
ここでリビナが見せる。鞭を振るって、羽を払い落とし、後ろにいるみんなを守った。
「長く持ちそうにない! 早く攻撃して!」
「…ん。ドラゴンブレス!」
「自然波動!」
「神波動!」
「「魔王波動!」」
リリーと一緒に突っ込み、海に沈んだ恋火、ユウェル、燎刃以外のみんなが一斉攻撃するとジズはこれを受けても怯まず攻撃を続行する。
「ちょっと!? もう限界」
「…リビナ。頑張る」
ここでバトルシップの艦隊攻撃がジズに命中する。そしてジズはバトルシップの上に一瞬で移動すると上からバトルシップを抑え込み、リリーたちと同様に海に叩きつけた。その間にバトルシップの銃撃を受けるが怯まず光速激突と空振でバトルシップの艦隊がコントロールを失うと再び二隻のバトルシップがジズに捕まり、別のバトルシップ二隻に叩きつけ四隻沈めてしまう。
「そこまでです!」
「ピィイイイイ!」
シフォンが襲い掛かるとシフォンは超低周波を受ける。
「耳が…きゃ!?」
ジズに捕まってしまったシフォンはそのまま連れていかれるとバトルシップに叩きつけられるとバトルシップと共に海に沈められた。
ここでジズの上からプレイヤーたちが襲い掛かり、身体を連続で斬り裂く。たまらずジズは空に逃げるがアルさんたちの召喚獣が行く手を阻み攻撃するが光速激突で強引に突破される。
そして大空に戻ったジズは逆鱗を発動させると一度の羽ばたきで空にいた全員が衝撃波で海に落下してしまう。その衝撃はまるで大空そのものを叩きつけられたかのような衝撃だった。しかしリリーたちを助けていたリアンたちがみんなを助ける。
「…危なった。リアン、ナイス」
「何があったんですか? 皆さんが海に…っ!?」
リアンが空を見るとジズが力を貯めている姿だった。
「凄い攻撃が来ます!」
「「「ぴゆー…へ?」」」
海水を口から出していたリリーたちが空を見ると天候がレヴィアタンの領域のように変化すると全員の体が浮き上がる。そして海水を巻き上げ巨大な水の竜巻になると全員がそれに巻き込まれる。この時のみんなの感想を聞くと洗濯機の中と言っていた。そして止めに雷轟が降り注いで海へと落下する。
更に追撃に出ようとしたジズだったがここで雲を突破して、ジズの上から風のドラゴニュートたちが襲い掛かった。
「みんなが戻るまでアリナたちが相手をしてあげるの!」
ジズがアリナたちに襲い掛かろうとするとアリナたちの姿が消えると次々攻撃がジズを襲う。アリナはスピードで負けていることが何より不味いと考えて、ジズの遥か上で飛び回ることで超加速の効果でスピードを上げに上げたのだ。
そのせいでジズは風のドラゴニュートたちの動きに全くついて行けず、ボコボコにされる。だが風のドラゴニュートたちの筋力では中々致命傷は与えられない。
するといち早く回復した蒼穹が海から飛び出して来て、至近距離からドラゴンブレスをお見舞いする。更に海から飛び出したクリュスがジズの上からドラゴンブレスを放つ。更にアリナたちもこれに続く。
「「「「大気壁!」」」」
流石にここで作戦がジズにバレる。ジズがリリーたちにしたようにジズを海に引きずり込もうとしているのだ。ジズは態勢を整えて、近付く海面から脱出しようとするがディアンが海から現れ、足に噛み付いた。
更に黒鉄が高熱のシャベルハンドで片翼の翼を抑え摘み、水中にいる他のゴーレムたちもこれに続く。
それでも電弧放電と雷轟で暴れるジズに水中から次々ハープーンガンが放たれ、電流が流れる。ここで水中に向けて目から荷電光線を放ったジズの頭上から夕凪と他の巨大な亀たちが落下した。それでもまだ耐えるジズは大したものだ。
更にサフィや他の召喚獣がもう片翼の翼に噛み付く。ここでノワがジズの頭の下に回る。
「…堕落。どっかーん」
堕落の効果で頭が下がったジズが爆破の魔眼の効果で顔に爆発が発生した。完全に狙って仕掛けたな。復活した鉄心さんたちがまだ羽ばたけた翼の破壊に動いて、耐えきれなくなったジズは海に沈み、溺れ死んだ。そしてロック鳥を全滅させるとインフォが来た。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント3ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント3ptを獲得しました』
『リアンのレベルが10に到達しました。光速激突、星震、光化を取得しました』
『和狐のレベルが10に到達しました。爆心、焼尽、魔力回復を取得しました』
『アリナのレベルが10に到達しました。星虹、空間装甲、大気震を取得しました』
『クリュスの盾のレベルが20に到達しました。盾【インパクトカウンター】を取得しました』
相手が相手なだけにみんなのレベルが上がるよね。話を聞いた俺はアリナの判断を褒めた。アリナが空でのスピードで有利に立っていないとこの状況にはなっていないだろうからな。同時にレヴィアタン戦では同じ事をしないようにリリーたちには反省させた。これがレヴィアタン戦で起きていたと思うと俺はみんなに謝っても謝り切れない。
そのアリナが覚えた大気震はジズが使った空にいた全員に浴びせた衝撃波の技だ。攻撃範囲は空と陸で海や宇宙では使えない技らしい。海震が海だけみたいだし、効果範囲では海震を上回る代わりに威力は少し落ちるようだ。
ステータスポイントは俊敏性に振って、スキルポイントは172ptとなった。艦隊の復興作業をしつつ解体をした結果がこちら。
原初鳥の羽:レア度10 素材 品質S+
鳥系の羽素材の中でもトップクラスの性能を誇っている羽。武器にしてもいいほどの強度を持っており、風と雷、原初の力が宿っている。
原初鳥の肉:レア度10 素材 品質S+
鳥肉の中でも幻の鳥肉と称されている伝説級の鳥肉。大きさは鳥肉の中で最大級で時間がどれだけ経過しても鮮度が落ちることがないと言われている。美味しさもさることながら、特殊な料理バフが発生する食材として料理人の間では有名な食材。
怪鳥の宝珠:レア度10 重要アイテム 品質S
嵐の力が封じ込められている宝珠。ゴールデンイーグルが進化するために必要なアイテム。
怪鳥の羽:レア度10 素材 品質S
大きさは羽の中でもトップに君臨している素材。それ故に羽ペンには使用することが出来ず、羽扇や船の素材として使用される。
怪鳥の肉:レア度10 素材 品質S
鳥肉の中では最大の大きさを誇っている。その大きさ故に大型船の一か月分の食料に相当すると言われており、食料危機の船をいくつも救った話が残っている。
怪鳥の爪:レア度10 素材 品質S
大型船を破壊するほどの威力を誇っている巨大な爪。軽い上に耐久値と攻撃力がかなりある装備を作ることが出来、筋力が低い者に非常に人気がある。
星海竜の鱗:レア度10 素材 品質S
星と海竜の力が宿っている鱗。宇宙服の素材として知られている素材で宇宙の寒さにも耐えることが出来る事から非常に人気が高い素材。
星海竜の牙:レア度10 素材 品質S
星と海竜の力が宿っている牙。宇宙でも地上と同じように武器を振るうことが出来る武器を作ることが出来、宇宙戦闘用の武器素材として重宝されている。
星海竜の肉:レア度10 素材 品質S
星と海竜の力が宿っている肉。竜肉と魚の味がマッチしている味がして、好みが分かれる食材。魚の味を肉で味わいたい人に人気がある。
ジズの素材は全員分あった。羽は羽ペンだな。きっと原初の加護がある魔導書を作れるはずだ。
ロック鳥の宝珠はどうするか悩むな。便利な強い召喚獣ではあるんだよ。空での亀タイプ召喚獣でこれから色々な場面で活躍しそうではある。俺は夕凪がいるからやっぱりスルーすることになるかな?
スターシーサーペントの素材は宇宙素材だな。ここまで明確な宇宙素材がこの星のモンスターから来たのは初めてな気がする。個人的には肉が気になるな。マグロのステーキとかそんな感じなのだろうか?
俺が首を捻っていると向かう側の状況がもたらされた。
「貧欲魔王ベヘモスがマザーシップサイズの象になって、暴れているそうです。海にはバハムートも現れて、物凄い被害が出ていると連絡がありました」
「ジズが来ましたから向こうは陸のベヒモスってことなんでしょうね」
召喚獣のベヒモスは確かに巨大だが、マザーシップ程ではない。恐らく微妙に設定が違うんだろうな。これを聞いていたシフォンが疑問を言う。
「なんでベヒモスが海に出現したのかな? 確か陸を象徴していたよね?」
「ベヒモスは元々海に住んでいたという話があるんだよ。最もベヒモスが海に入ると海面が上昇しすぎたから、陸に住めと神様から言われたらしいけどね」
「か、可哀想な話だね」
「だからこそ悪魔として登場したのかも知れませんね」
向こうでは海に現れた巨大象を相手に大苦戦しているそうだ。鼻の一撃で艦隊は根こそぎぶっ飛ばされ、ただの突進だけでも普通の船では回避出来ず、ひかれる始末らしい。
何より攻撃してもびくともせず現在も暴れ回っているそうだ。シルフィ姫様やアーサー王たち伝説の英雄たちも大苦戦中。何故なら彼らは船での戦闘になれてない。巨大象が海で動くだけで大波が発生して、船のバランスが取れないからそんな中でいつもの戦闘をするというのは無理な話だ。
しかもジズもそうだったが原初の加護には通常の神の加護やそれ以下の加護を無効化する能力がある。つまりエクスカリバーの勝利の加護も原初の加護で打ち消されているのが相当な痛手になっているらしい。
「恐らくレヴィアタンも原初の加護を持っていますからエクスカリバーがあるから楽勝とは考えない方がいいですね」
「こちらが想定していたよりも艦隊のダメージも深刻です。いえ、ある意味では相当数な船が再度航行可能なことが奇跡なんですけどね。我々が今も生きているのはあなたが提供してくださったゴフェルの木のお陰です。こんな時ですが今のうちに感謝を言っておきます」
ペリーさんに言われると何とも恥ずかしい。向こうの状況からレヴィアタンとの決戦は夜の十時に決まったので俺は一度夕凪の上でログアウトすることにした。




