#1056 北西火口洞窟探索
俺たちが火口近くの洞窟に入ろうとすると敵が現れる。
メルトスキュラ?
? ? ?
スキュラの亜種だった。そして早速赤毛の犬が俺たちに向かってくる。俺たちがそれぞれ向かえ打とうとするとまた爆心で爆発を受ける。
「もう! さっきからこればっかりだよ! タクト!」
リリーのイラつきも理解できると思っているとリリーはスキュラの杖から放たれた放射熱線を受ける。それは見たクリュスはディオメーデースの槍を投げるとメルトスキュラは赤毛の犬でこれを受けた。そしてクリュスに向けて目から日光を放つとクリュスはパッラースの盾でガードした。
「キュー!」
「ガァ!」
ジークとゲイルが飛びこむとメルトスキュラの犬が襲い掛かって来る。すると二人は爪でメルトスキュラの犬を攻撃すると爆発が起きる。そんなことがもう分かっている二人は爆発を受けながら距離を詰めに掛かった。
それを見たメルトスキュラは犬を更に向かわせよとするがそこで俺がメルトスキュラに襲い掛かった。俺の攻撃を杖でガードしたメルトスキュラだが、ここで杖からひび割れる音が聞こえた。ヘーパイストスの加護に含まれている武器破壊の効果だ。
それを感じ取ったメルトスキュラは俺の攻撃を弾くと杖を槍のようについて来た。
「閃電! 溶断!」
「っ!?」
弾かれた剣が雷速で戻ると溶岩の斬撃が杖を弾いた。これにより、さっきよりも大きいひび割れ音がした。後、一撃で砕けそうだな。ここでメルトスキュラの犬たちが俺に向かって来る。俺はあっさり距離を取ると当然犬たちは追ってくる。
その隙にゲイルとジークがメルトスキュラに襲い掛かるとジークのドラゴンクローとゲイルの荷電爪を受けた杖が砕け散り、そのまま二人の爪がメルトスキュラに入る。なんてこったい。
俺が衝撃を受けて、固まっていると手元にディオメーデースの槍を戻していたクリュスが飛び込む。それを見たメルトスキュラは炎ブレスを放とうとする。
「ボクを忘れちゃダメでしょ。精神誘導」
「アァアア!?」
リビナの精神誘導を受けたメルトスキュラがあさっての方に炎ブレスを放ってしまう。その結果、クリュスの一撃が顔に命中する。
拳でクリュスを殴り飛ばしたメルトスキュラだったがここで空で竜魔法を展開しているリリーを見つける。迎え撃とうと炎の魔方陣を展開する。
「魔法阻害」
メルトスキュラの魔方陣が砕け散る。そしてリリーが竜魔法を発動させる。
「竜魔法! レインボードラゴンバースト!」
これを受けたメルトスキュラは倒れるが復活し、逆鱗と狂化を発動させると俺は手にしていたクロノスクロックで時間を止めるとメルトスキュラを連続で斬りまくるとダメージが発生しなかった。
「まさかこれって…はぁああ!」
この現象を見た俺はクロノスクロックの真の力に気が付いた。そしてそれが本当に当たっているのか試す為に斬りまくる。そして時間が元に戻るとメルトスキュラに一瞬で斬撃が連続発生して倒れる。
これがクロノスクロックの真の力。時間が止まっている間の攻撃は蓄積し、時間が元に戻るとその攻撃が連続攻撃という形で発生する。これはつまり連続攻撃が難しい大技も連続攻撃に入ることを意味している。更に一気にダメージが発生するから再生スキル対策にもなるだろう。本当にいい宝を手に入れたよ。
「ず、ずるいよ! タクト!」
「今のは反則でしょ! ボクも待ってたのに!」
「俺も武器破壊を取られたんだ。これでおあいこだろ」
「「意味が分からない!」」
今回は二人の言い分が正しいな。さて、解体しよう。すると消えてなくなる。外れか。久々に来た気がするな。
門番を倒したので、洞窟探索を続けると分かれ道があった。残念ながら洞窟に入ると空間索敵は発動しなくなっている。なのでここは勘だ。
「選んでいいぞ。リリー」
「じゃあ、こっち!」
向かうと滝があった。それを見たリリーは地面に手を付く。外れたわけじゃないんだけどな。ここでジークに変えてユウェルを呼ぶ。ハデスの隠れ兜を使うためだ。
『うわ。似合わないね。タクト』
『そんなことは自分でもわかってる。だから兜は装備したことが無いだろう?』
ここで俺が透明になった事をリリーたちが確認してくれて、俺は滝から飛び出る。すると横を向いているテューポーンがおり、俺の方を見る。これで見つかれば運営に訴えてやる。そう考えているとテューポーンは拳を握るが襲い掛かって来ない。
俺が恐る恐る動くとテューポーンの視線は俺が出て来た滝から動かない。
『ふぅー。成功したぞ。そして多分、リリーたちは見つかってる。滝から距離を取って、警戒してくれ』
『『『えぇ!? わ、わかった!』』』
どうやらテューポーンは滝から出て来るのを待っているようだ。この光景がこの前の扉の前でも起きていた可能性が高い。そう考えるとぞっとするな。
俺はテューポーンに見つかないまま採掘をする。手に入ったのがこちら。
プラズマタイト:レア度9 素材 品質S
雷が常時発生するようなところで手に入る鉱石。プラズマが内包された鉱石で上位の雷系のスキルを宿すことが出来る。兵器利用も考えられている素材だが、手に入れるのが命懸けな所が研究者を悩ませている。
超振動石:レア度9 素材 品質S
凄まじく空気が常時、振動している所で手に入る鉱石。普通に置いておくだけで石が動いているように見える事から別名移動する石と言われている。ガラスの上に置くとガラスを粉々にしてしまうので、注意が必要な素材。
イクスがまた喜ぶな。恐らくテューポーンの雷と声が原因で手に入ったのだろう。こそこそ採掘を続けるがこの二つ以外は出て来ない。無念だが結構な鉱石が手に入ったから戦果としてはかなりいいな。
後は警戒されている滝以外に跳びこめばいいだろう。二つの道が分かって、一石二鳥だ。そう思って飛び込むと目の前にケルベロスがいた。
メルトケルベロス?
? ? ?
や、やばい…きっとメルトケルベロスの目には滝が激しく動いたように見えたはずだ。
「「「ガウ?」」」
近付いて来ると首を捻った。流石ハデスの隠れ兜だ。メルトケルベロスの正面から横に移動し、その場を離れる。忍者たちはいつもこんなことをしていると思うと尊敬するね。心臓に悪い。
『脱出した。リビナ、ワープポイントでそこを登録してくれ』
『了解。登録したよ。タクト』
『それじゃあ、みんなを召喚石に戻すな』
『もう一つの道はどうするの? タクト』
それがあったな。リリーとリビナをこっちで再召喚して、リリーのワープポイントでここを登録するとみんながいた場所にワープゲートで戻った。
「急いで戻るか…ここは心臓に悪いからな」
「「「賛成ー」」」
こうして俺たちはもう一つの道まで戻り、進んでいくと大きな部屋を見つけた。
「宝箱があるぞ!」
「やったー!」
「いや、待て! 二人共! 何か可笑しい」
俺の警告が遅くリリーとユウェルは大気壁で潰される。
「あーあー。タクト、これって」
「あぁ。プロテクションドラゴンの攻撃だな。上から大気壁が降って来たことを見ると上に隠れていたんだろう」
しかしこれはプロテクションドラゴンを解体する絶好のチャンスとも思える。倒すしかないな。
「きゃ!? この! いい加減に! して!」
「むぐぐ~。まだか? タク」
「俺がクロノスクロックで二人の救出からプロテクションドラゴンの気を引く。みんなはそれに合わせて来てくれ」
「りょーかい」
俺は時間を止めて、二人を抱えて移動させると元に戻る。予想以上に時間が掛かってしまった。
「シャー!」
「時空切断!」
俺が大気壁を斬り裂くと上にいるプロテクションドラゴンは連打してくる。それを全て俺は斬り裂く。ロコモコの試練の時の俺とは違うぞ!それにここには頼りになる俺の仲間がいる。
「凄いぞ! タク!」
「リリーも負けていられない!」
リリーたちが態勢を整えるとリビナたちが部屋に入って来た。
「そーれ!」
「ガァ!」
「はぁ!」
リビナとゲイル、クリュスの攻撃は多重障壁で防がれる。鉄壁のガードは健在か。しかしこの攻撃で一枚障壁を破壊する。すると三人はドラゴンテイルでぶっ飛ばされる。出来れば天井から落としたいが出来そうにないな。
「やるぞ! リリー!」
「うん! タクト!」
俺は神剣グラム、リリーはレガメファミリアを取り出すと二人同時に飛び出すと、俺とリリーは大気壁を斬り裂きながら距離を詰める。
「はぁあああ!」
「やぁあああ!」
「シャー!」
ここでプロテクションドラゴンは神魔毒ブレスを放ってくる。これに対して俺は神剣グラムを構える。
「爆風波!」
神剣グラムの爆風波が神魔毒ブレスを吹き飛ばし、リリーの道を作った。
「ミーティアエッジ! きゃ!?」
ミーティアエッジで障壁を破るリリーだが、またドラゴンテイルで吹っ飛ばされる。しかし次は俺が向かう。
「バスターカリバー!」
「シャー!」
「く!」
俺は神剣グラムでバスターカリバーを放つとドラゴンテイルを神剣エスカトンリープリングで受ける。それでも相当な衝撃を受ける。
「ガァアアア!」
ゲイルが俺とは別の所に荷電爪で襲い掛かると障壁を破壊する。これで後、三枚だ。
「「ドラゴンブレス!」」
ユウェルとクリュスのドラゴンブレスが決まり、また障壁が砕ける。するとここで雷轟を放ってきた。
俺とゲイルには通用せず、行けると思うと天井から木々が生えて俺たちは木で地面に潰される。代わりにリリーとリビナが距離を詰める。
「ほいほいっと!」
リビナが距離を詰めながら鞭を振るうと爆発で木々が破壊される。そしてリリーは残り二枚の障壁に挑む。
「カラミティカリバー! カラミティカリバー!」
カラミティカリバーの二連続で全ての障壁を破壊するとここでプロテクションドラゴンは逆鱗を発動させるとリリーたちは斥力で吹っ飛ばされる。そして天雨が降り注ぐ。
「物理支配! 粒子支配!」
俺は斥力と天雨を無効化し、二つの剣を合わせる。それを見たプロテクションドラゴンは息を吸い込む。
「神波動!」
「シャー!」
二つの剣から神波動が放たれるとプロテクションドラゴンのドラゴンブレスにぶつかり、押していくとそのまま直撃した。
「いっくぞ! 砂嵐! 巨大化!」
ユウェルが新スキルである砂嵐はそのまま砂嵐を発生させるスキルなのだが、これには土と風属性のダメージの他に砂が目に入ることで暗闇の効果がある。その結果、今まで天井にいたプロテクションドラゴンは天井から離れて、砂嵐に巻き込まれる。
そこにユウェルの巨大化させたモーニングスターデスサイズの星球がプロテクションドラゴンの腹に入り、そのまま壁に押しつぶした。砂嵐の気流の勢いが付いたところでの強烈な一撃だ。流石にこれは効いたな。
「スクリューランサー!」
「ドラゴンダイブ!」
「ガァアア!」
クリュスが顔、リリーが星球に突撃して更にダメージを与えるとゲイルは尻尾に噛み付いた。そしてリビナがとどめの準備をする。
「これで終わり! 魔王魔法! エイシェト・ゼヌニム!」
これがプロテクションドラゴンに直撃し、プロテクションドラゴンは動かず、インフォが来た。
『リビナのレベルが10に到達しました。弱体毒、冥波動、耐性無効を取得しました』
みんなレベルが上がり、ジークのレベルも前の戦いで上がり、もう少しで進化に届く。レヴィアタンとの戦いに間に合わせるか悩みどころだな。
「「「「疲れたー」」」」
流石に強敵との連戦でみんなが倒れ込む。雄一ユウェルだけは元気で視線がずっと宝箱を見ている。
「取って来てくれるか?」
「任せろ!」
その間に俺は解体をする。
守護金竜石:レア度10 素材 品質S
プロテクションドラゴンの魂が宿っている石。プロテクションドラゴンを討伐したものにしか扱えない特殊な石。
守護金竜の竜鱗:レア度10 素材 品質S+
プロテクションドラゴンの黄金の鱗。竜の鱗の中でも防御力はトップクラスを誇っている。見た目と圧倒的な防御性能で大英雄でも防具素材として憧れている程の素材。
久々に竜石を見れたな。今日の探索は大豊作だ。ユウェルが戻って来た所で帰ると宝箱を見る前に休憩することにした。流石に頑張りすぎたぜ。




