#1055 火山島、火口ルート探索
火山島にやって来た俺たちはまず外から火口に向けて探索することにした。俺にはテューポーンがいる入り口が一つだけとは思えなかった。その理由が火口の溶岩の滝から出て来たモンスターたちだ。もしあの道のいくつかが山頂付近に繋がっていると考えると色々納得が出来る事があるのだ。
まず火口とあの扉の入り口からだけだとテューポーンにバレバレとなる。テューポーンと戦うことが前提なら不意打ちが出来る抜け道を設定していると思うんだよね。その根拠の一つがモンスターたちが現れた滝の位置だ。
俺たちはぐるぐる回りながら下に降りて行ったわけだが、モンスターが現れた滝の抜け道はある程度、四方に分散していた。まるでここを使って、テューポーンに攻撃をしろと言ってるかのようだった。
それを探す為に空間索敵を使いながら火口を目指して上がっていく。今回選んだメンバーはリリー、リビナ、ゲイル、クリュス、ジークだ。ちょっとレベル上げを意識した編成にした。
最初の頃と同じように雷が降り注ぎ、ゲイルが守ってくれる中、ジークに乗って進んでいく。火口から何かが飛んできた。
シンダーベルグフォルクLv65
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
飛んできた噴石にいきなり手足が現れて、ジークに抱き着こうとしてきた。
「させないよ! カラミティカリバー!」
リリーが元気に迎え撃つと神剣アルカディオンが触れた瞬間、爆心により爆発する。
「…けほ。え!? 何々!?」
いきなりの爆発で呆けていたリリーが捕まるとシンダーベルグフォルクの身体が光り出す。
「自爆だ! リリー! 逃げろ!」
「光化!」
「ジーク、離れて! 巻き込まれるよ!」
「キュ!」
俺の指示を受けたリリーは光化で脱出し、ジークはリビナの指示で距離を取ることで自爆から逃れた。
「びっくりした~」
「一息つくのはまだ早いみたいだぞ」
次々火口から噴石が飛んできた。
「撃ち落とすぞ!」
俺たちが遠距離攻撃で撃ち落とす中、捌き切れない噴石をリビナが星霊海蛇の鞭ではたき落した。爆発しても復活するからかなり有利だ。結婚したばかりだから連れて来たけど、案外当たりだったな。
そして撃ち落としたシンダーベルグフォルクは地面に立ち、俺たちを見て来る。シンダーは噴石、ベルグフォルクはスウェーデンで登場するトロールの名前だ。確か日の光に当たると石になる小人の妖精だったと思う。
小人には見えないし、噴石に顔と手足がある姿は有名ゲームを思い出すな。するとシンダーベルグフォルクは手に火山弾を出現させて、投げて来た。
俺たちは回避行動を取っていると全員が上空を見ると巨大な火の鳥や襲い掛かって来ていた。
フェニックス?
? ? ?
厄介な敵が増えたもんだよ。
「リリーはクリュス、ジークを連れて、フェニックスを倒してくれ。こいつは不死身のスキルがある。とどめはリリーがするようにな。ゲイルは雷を頼むぞ!」
「分かったわ!」
「任せて! タクト!」
みんながフェニックスに向かっていくのを確認した俺は神剣エスカトンリープリングを取り出す。
「リビナ、一緒に下の奴を叩くぞ! 俺が道を切り開くからついて来てくれ」
「任せて!」
俺は火山弾に跳びこむと当たる前に火山弾が溶けてしまう。これがヘーパイストスの加護による土無効の効果か。更に雷も俺を包み込む炎によって、無効化される。
「凄いな…ヘーパイストス!」
こうなったら、怖い物なしだ。一気に間合いを詰める俺たちを見たシンダーベルグフォルクたちは一斉に息を吸い込むと火山灰を吹いて来て。それを見た俺は問答無用で飛び込み、一体を切り裂くと爆心の効果で爆発するが俺には通用せず、連続で斬り裂いて倒した。
本来なら遠距離攻撃で倒すべき敵なんだろうが神剣エスカトンリープリングの試し斬りをさせて貰うとしよう。
「ちょっとタクト!? 一緒にって意味わかってる!?」
とんでもない性能の神剣エスカトンリープリングについテンションが上がってしまった。
「悪い悪い。じゃあ、こっからそっちを頼む」
「ほとんどいないじゃん! 倒したら、すぐに合流するからね!」
リビナのその間に残りが残っていると思っているのだろうか?そう思っているとリリーが警告してくる。
「タクト! 危ない!」
「ピィーーー!」
フェニックスが捨て身の一撃を使って、俺に突っ込んで来ていた。それを見た俺は神剣エスカトンリープリングを構えて、フェニックスの嘴とぶつかり合うとお互いに弾け飛ぶと俺はシンダーベルグフォルクにぶつかり、拘束される。一方フェニックスはリリーたちのところへ飛んでいき、背後からリリーたちの追撃を受ける。
ここで俺を拘束しているシンダーベルグフォルクが自爆スキルを発動させる。俺は何もせず、リビナを見ていた。
リビナは爆発蛇の鞭で俺を拘束している腕を破壊するとそのまま鞭を念動力で操り、俺の腰を縛ると自分の元に引き寄せたところでシンダーベルグフォルクが自爆する。
「危ない危ない」
「脱出出来た癖によく言うよ。こんな甘え方は違うんじゃない?」
あまりリビナの鞭をゆっくり見る暇が無かったからな。どれくらいの物か見て見たかった。
「そうか?」
「そうだよ。というか全然反省してないね。あ!」
リビナが何かを思いついて、悪い笑顔を見せる。凄く嫌な予感。
「お仕置きだよ! タクト! そぉれー! いっちゃえー!」
「うお!?」
鞭で縛られたまま、俺はシンダーベルグフォルクに投げつけられた。
「俺はフレイルの星球か!」
文句を言いながらシンダーベルグフォルクを斬り裂くと引き寄せられる。
「これが一緒に戦うってことだよね」
「絶対に違う。この技は禁止な」
「えぇー!? 折角ボクが考えた必殺技なのにー!」
酷い必殺技があったものだ。ここで火山が大噴火する。フェニックスの仕業か。
「炎熱支配!」
『噴火は俺がなんとかする。みんなはフェニックスに集中しろ』
俺の指示を受けたみんながフェニックスを留めを刺す為に動く。
「行くわよ! ゲイル! ジーク! 海ブレス!」
「ガァー!」
「キュー!」
ゲイルの星ブレスとジークのドラゴンブレス、クリュスの海ブレスがフェニックスの上から直撃し、地面に落下するとリリーが神剣アルカディオンを構える。
「天涯両断!」
リリーの天涯両断が直撃したフェニックスは起死回生で復活し、捨て身の一撃を発動する。あれでは攻撃を受けた瞬間、捨て身の一撃で死ぬはずだ。なるほど、それがあいつの狙いか。自分で死ぬことで不死身スキルでの蘇生を狙っているわけだ。それがわかった以上、お前の隙にはさせないさ。
「恩恵!」
『リリー! 無我を与えたから攻撃を躱して、斬ってやれ!』
『任せて! タクト!』
リリーはフェニックスとぶつかる瞬間に上に回転してフェニックスの背中に神剣アルカディオンを突き刺すとそのまま斬り裂いた。完全に当てが外れたフェニックスは力尽きた。
「ありがとうー! タクトー!」
「はーい! ストップ。今日はボクの日だよ。リリー」
「むー」
「剥れない。見事な一撃だったぞ。リリー。ジークと一緒に残りのシンダーベルグフォルクを一掃してくれ」
「任せて! タクト! 行くよ! ジーク!」
二人のシューティングスターライトが降り注いでシンダーベルグフォルクも全滅した。さて、解体をしよう。まずは多いシンダーベルグフォルクからだ。
爆心石:レア度10 素材 品質S
軽い衝撃でも爆発を起こす石。武器に使われることもあるがそれよりも大火力の爆弾や自爆装置の素材として知られている。
これしか手に入らなかったが銀たちが喜びそうな素材だな。次にフェニックスの素材だ。
不死鳥の灰:レア度10 素材 品質S+
全回復で蘇生させるポーションの素材として知られている。手に入れるのが非常に困難で冒険者なら誰でも欲しがるため、市場に出る事はほぼないと言われている伝説の素材。
ヤバい物が手に入っちゃったよ。セチアやハルさんが発狂しそうだな。ただ気になるのが灰をポーションとして飲んでいいのかという点だ。実験台にはなりたくないな。
そんなことを考えながら探索を続行する。途中でシンダーベルグフォルクが飛んで来るなど妨害にあいつつ、空間索敵で洞窟を見つけた。しかし最初の洞窟と同じく門番がいるみたいだ。さて、どんな門番が来るかな?




