#1054 オリハルコンの魔法剣とリビナの結婚式
テスト期間前の日曜日の朝を迎えた。頭の中は今日中にやらないといけないことで一杯な自分に人間変われば変わるもんだとしみじみに思う。
そんなことを考えながら、今日もゲームにログインすると昨日の寝方のままだから動けない。すると俺が起きたことに気が付いたノワが耳元で囁く。
「…にぃ、今日はずっと寝てて」
「わたしはそれで構いません」
たまにはそう言う日もあってもいいかと思えてしまうのがノワの魔力だな。すると扉が開いた。
「二人共! ダメに決まっているでしょ! 今日はボクたちの結婚式をやるんだからね!」
「…にぃ、聞かなくていい」
「タクトの耳を塞がない! ほら! 三人共! 起きた起きた!」
「「…むぅ」」
「イクスまでそんな顔をしないでくれる!? ボクが悪者みたいじゃん!」
今日もみんなは元気だった。しかしいつもいるリリーたちの姿はない。リビナに気を使ったのかと思ったが下に降りるとヘーパイストスたちが作ったオリハルコンの武器に熱視線を送っているだけだった。
「出来上がったのか」
「はい! これがボクとセチアさんそして巨人たちで作った最高傑作の魔法剣です!」
自信満々だな。その成果を見せて貰うとしよう。名前はもう決めてある。
神剣エスカトンリープリング:レア度10 魔法剣 品質S+
重さ:10 耐久値:10000 攻撃力:5000
魔法剣効果:神殺し、魔神殺し、不死殺し、大物殺し、神気、英気、万物切断、魔力切断、時空切断、神速、光速激突、神障壁、神感覚、時間遅延、超加速、大雷霆、閃電、雷化、荷電光線、雷轟、電解、神火、大焦熱、紅炎、放射熱線、溶断、大噴火、流星群、彗星、星震、ガンマ線、星渦、光化、超集束、荷重支配、瞬間再生、炎波動、雷波動、神波動、帰還、起死回生、奇跡、神威解放、加護無効、巨人の加護、ヘーパイストスの加護
宝玉効果:全属性アップ(究)、魔法再時間短縮(究)、魔力超回復、天候支配、炎熱支配、物理支配、海流支配、粒子支配、魔素支配、時空支配、宝玉解放、宝玉全解放
刻印効果:無限のルーン、スキル発動速度アップ(究)、未来予知
オリハルコンとアダマント、時空性石の合金と最高級の宝石で作られた究極の魔法剣。更にサイクロプス三兄弟と鍛冶の神ヘーパイストスの力が宿っており、圧倒的な炎と雷の力を誇っている。その力は主神クラスの武器に匹敵する。
これがこのゲームの武器のほぼ完成形か。どれだけスキルを山盛ればいいんだろう。そりゃあ、ヘーパイストスが最高傑作とか言うはずだよ。これでまだ宝玉全解放と神威解放が残っているんだからな。滅茶苦茶だ。因みに名前の神剣は固定されていた。恐らくオリハルコンで作ったものはみんな神の名前が付くんだろう。
「やったな」
「やっちゃいました」
俺は手に取るとまず最初にあまりの軽さに驚く。そして次の瞬間、エスカトンリープリングから膨大な力が流れ込んで来た。そして俺の身体に炎と稲妻が発生する。しかし暑さも痛さも感じない。しかしこれを見ていたリリーたちは大混乱だ。
「タ、タクトが大変だよ~!?」
「燃えちゃってます!?」
「み、水をかけるべきでしょうか?」
「それだ! イオンちゃん!」
イオンが水をぶっかけて来るが蒸発して、水が届かない。
「む!」
「皆さん、家の中で何をしているんですか?」
「「「「ひ!?」」」」
家の中でしたから俺もヘーパイストスも一緒にキキに怒られる事になった。ここで軽くご飯を食べた後、ヘーパイストスからオリハルコンの説明を受ける。
「オリハルコンは普通に鍛冶をした場合ですと神の加護を持っています。ここからが重要なところなのですがオリハルコンは力を吸収する性質があることが分かりました」
「アルゲスたちの能力があるのはその力によるものか」
「そうです。そしてその力をどれだけ宿すことが出来るか、どんなスキルを宿せるかは鍛冶師の腕次第になりますね」
ヘーパイストスによると自分が今まで作って来た武器の効果が影響するらしい。つまり強い武器を作っているほど、オリハルコンの武器は強くなるってことだ。そして俺としては残念な報告を受ける。
「僕の鍛冶の場合は神としての力が勝ってしまう影響でどうしても炎の力が強く出てしまうみたいです」
「それでも相当なものだけどな。ヘーパイストスの加護はどんなものなんだ?」
「僕は炎の神であり、鍛冶の神となりましたから武器破壊と武器復活、武器スキル無効、熱無効、土無効、水無効、雷無効の他は神の加護と同じです」
鍛冶の神様だから武器を壊すのもお手の物ってことか。相手の武器のスキルを無効化してしまうのは恐ろしい能力だな。神の武器にも有効なら相当なアドバンテージになるはずだ。
水無効はさっきイオンの水を蒸発させた現象だな。これはレヴィアタン戦を前に頑張った甲斐があったな。ヘーパイストスは説明を続けるより先にリアンの武器を見るように勧められたので、先に確認する。
神槍カリュブトライデント:レア度10 槍 品質S+
重さ:10 耐久値:10000 攻撃力:4000
効果:神殺し、魔神殺し、不死殺し、大物殺し、暴食、空間捕食、神気、英気、星気、万物切断、魔力切断、時空切断、水圧切断、神速、光速激突、神障壁、神感覚、時間遅延、超加速、魔力吸収、生命力吸収、重圧、流星群、彗星、星震、ガンマ線、星渦、光化、超集束、引力支配、海流支配、重力支配、水圧支配、荷重支配、瞬間再生、大渦潮、大瀑布、大海波動、神波動、帰還、起死回生、奇跡、神威解放、加護無効、巨獣の加護、海神の加護
オリハルコンとアダマント、時空性石の合金とカリュブディスの神石で作られた神槍。海を操り、あらゆる物を喰らいつくす能力がある。その力は海神が恐れる程の代物となっている。
この海神ってポセイドンの事だよな。ただヘーパイストスのようにパンドラの力が反映されていないように思えるな。
「御覧のようにオリハルコンは神の力を加えるとそれに合う神の加護に変化します。ただパンドラはそう言うことが出来ないみたいなんです。やり方は教えたんですが」
「お父さんの教え方が下手なんだよ!」
「僕はちゃんと教えたでしょ?」
「そうだけど…ちゃんと教えて貰った通りにやっても出来なかったんだもん…」
つまりヘーパイストスの教え方が下手という結論になったわけだな。しかしヘーパイストスがちゃんと教えたと言っている以上、パンドラに問題があるんだろう。
「ヘーパイストスの力が完全に継承されていないのか?」
「あぁ~…僕が神になる前に作」
ヘーパイストスの頭を叩いて止めた。俺がリリーたちにした失敗をさせる訳には行かない。
「生まれましたからね。パンドラは」
「どうすればいいの~」
「うーん。諦めるしか…ぐは!?」
ヘーパイストスがパンドラの頭突き体当たりを喰らった。本気で悩んでいるみたいだな。しかし原因が分からない以上、どうしようもない。この感じだとパンドラのクエストがある感じがするんだけどな。そう考えると頭に浮かぶのはゼウスの姿だ。
神話ではパンドラをヘーパイストスに作るように指示したのがゼウスであり、ゼウスが人間の世界に送り込んでいる。他の神からもパンドラは色々な物を与えられてはいるがここにいるパンドラには関係が無さそうに感じる。
後、考えられるのは有名なパンドラの箱だな。神々から持たされたと言われていて、ゼウスにとは書かれていなかったと思う。そう言えばヘルメスの報酬にもパンドラの箱は無かったな。この事を考えるとやはりゼウスが怪しく感じる。
現時点でゼウスに合う条件は星座の試練を後、五つクリアする必要がある。きついよ。パンドラ。
「パンドラの気持ちは分かるけど、パンドラが作った槍は相当なものだぞ。誇っていいんじゃないか?」
「私もそう思います。大切に使わせて貰いますね」
「うん!」
これで機嫌を直したところで二人に特別な依頼をする。それがまだ作製中で止まっているタロスだ。二人がかりで完成させて貰う事にした。ここでヘーパイストスが恐ろしい事を呟く。
「ギャラクシーメタルとか使えていればもっといい物に仕上げられたんですけどね」
「ちょっと待て。タロスをギャラクシーメタルで作れるのか?」
「ギャラクシーメタルも金属ですから出来ますよ。ただ物凄い数のギャラクシーメタルが必要になりますけどね。たぶんエクスマキナの巨人もこれで作られているのではないですか?」
「その通りです」
ここにギャラクシータロス開発計画が生まれた。みんなが保有している島の力を借りればかなりの速度で作ることが可能になるんじゃないかな?サバ缶さんに相談してみよう。
イオンの鎧などは時間が掛かっているらしく、先にブランの聖杯タイムだ。もう交換するのは決めてある。それがこちら。
メタトロンの書:レア度10 魔導書 品質S+
重さ:10 耐久値:1000 魔力:100
効果:無詠唱、複合詠唱、光属性魔法効果アップ(究)、火属性魔法効果アップ(究)、光槍、天雨、烈日、浄炎、聖療、神域、神撃、天使召喚、巨人の加護、大天使の加護
メタトロンの力が宿っている魔導書。攻撃に特化している魔導書で天使召喚では大天使メタトロンを召喚することが出来る。
このメタトロンがまた強いのだ。話によると巨人の天使でかなり容赦がない戦闘をするらしい。一説ではミカエルよりも強いとされることもある天使だからね。因みにそんな天使の魔導書を持つことになったブランは少し怯えている。
「メタトロン様の魔導書を私が持っていいんでしょうか?」
「寧ろ天使であるブランが持たないでどうするんだよ」
「それはそうなのですが…恐れ多いと言いますか」
「神様の武器を使っているんだから今更なんじゃない?」
リビナの容赦がない一言で沈黙してしまうブランだった。
これで取り敢えず作業を終えた俺はリビナの結婚式をすることにした。
「さて、どんなウェディングドレスで出て来るのか…」
「楽しみですね」
「シルフィ姫様は知っているでしょ…」
「まぁ、そこまで心配する必要はないと思いますよ?」
「それなら良いんですけどね」
シルフィ姫様にはそう言って貰えたけど、リビナだからな。ここで式に呼ばれて、リビナを待つと扉が開いて、リビナが現れると俺は頭を抱えた。
リビナは肩出しの薄いピンク色の普通のウェディングドレスだったのだが、わざわざ片方の足を出して、白のニーハイを見せていた。
こんなウェディングドレスは存在するのか?最早パーティードレスなんじゃないか?というか後でミュウさんには謝っておかないとな。リビナが無茶な注文をしたことがバレバレだ。
「どう? タクト?」
「どうじゃないだろ…リビナらしいといえばらしいけどな」
シルフィ姫様を見ると笑っているし、リリーたちも苦笑い気味だ。ここでカインさんに咳払いされたので、結婚式を進める。するとカインさんの視線がちらちら動く。そう言えばカインさんは結構スケベだったな。
それに気付いているシルフィ姫様たちから怒りのオーラを感じる。それを知り、一度は真面目になるが面白がったリビナが足を動かすとカインさんは反応する。カオスな結婚式になったな。ここで誓いの言葉をいい、マリッジリングを交換する。
『リビナとマリッジが結ばれました』
これで結婚式は終わったのだが、瞬時にサラ姫様とシルフィ姫様にカインさんが捕まる。
「おい、エロネコ。ちょっと話がある」
「ぼ、僕は無実だ~!」
「話は獣魔ギルドで聞きましょうか」
カインさんが連行されていく。獣魔ギルドでの結婚式の歴史で神父が連行されることなんてあったのかな?
「ちょっと待って! あの娘があんなことするのが行けないんだ~!」
「ボクは何もしてないよ?」
「うおい!?」
「バイバーイ。タクト、行こう」
酷いな。まぁ、これもリビナらしいといえばらしいところだ。その被害を受けたカインさんにはお詫びの品を持っていくとしよう。
その後、リビナはミススカートのウェディングドレスを着るか迷っていたことが判明した。何故そちらをしなかったかというと子供っぽいと思ったかららしい。そして自分らしさを少しでも出す為にどうするか悩んだ結果があのウェディングドレスだったようだ。
「プリンセスドレスを着れば良かったのに」
「タクトが絶対に笑うからダメー!」
「そんなことはないぞ」
「もう既に笑っている人が言っても説得力ないからね!」
ウェディングケーキも食べたことだし、火山島の宝探しの続きをするとするか。




