#1046 復讐のゴネス騎士団
皆さん、メリークリスマスです!
予定通り明日のクリスマスもいつもと同じ時間に更新をします!
城の攻略に向かった俺はグレイたちと一緒に城の入り口の制圧に向かう。
「頼むぞ! ロコモコ! エアリー! ストラ!」
「メー!」
「ヴェー!」
「「「「シャー!」」」」
ロコモコとエアリーの雷とストラの容赦がない上空からのブレス攻撃が降り注ぐ。アマゾネスは斬ったり、弾いたりしたが、その間にグレイたちは距離を詰めてアマゾネスの隙を付く。
それを見た魔女たちが攻撃を仕掛けて来るがコノハ、ヒクス、スピカ、ジーク、蒼穹、コーラルが守りに入り、攻撃を防がれると退避した所で召喚師たちに襲われる。
着地地点を確保した俺は黒鉄とディアン、夕凪を召喚すると他の召喚師たちも急いで召喚してきて、城潜入の為の地点を確保に入る。
ここで男のドラゴニュートやセリアンビーストたちと一緒に戦うという珍しい経験をした。そしてこの中には最近結合召喚で話題になっている召喚獣もいた。
それがエインヘリヤル。北欧神話に登場する勇者の魂だ。どうやらオーディンと関わることで解放されたらしい。話題になっているのがイケメンであることともう一つの進化先にあるエインフェリアという女性版が存在するからだそうだ。
これを聞いた俺は当然最終進化先にワルキューレの存在が頭を過った。称号のコンプ狙いで召喚してもいいかも知れない。最も召喚クエストでまだ登場していない四人のワルキューレに勝たないといけないらしいけどね。その分、かなりの強さを誇っていた。
そして他の結合召喚の召喚獣も立派に戦っている。まずケンタウロス。召喚獣の中では珍しい強弓の使い手だ。最終進化はドラコケンタウロスでドラゴンのケンタウロスであることが判明している。その理由がフェグルスと戦った草原のボスで登場したかららしい。
最後に日本の妖怪の鵺だ。最初は黒猫の姿で進化が進むと妖怪の姿に変化していく。鵺は色々な伝説や説話があって、妖怪の中でもかなり強い分類になる。このゲームでは最初の黒猫姿が女性に人気になったが進化するにつれて不細工になると掲示板で叩かれているそうだ。まぁ、黒猫からいきなり大きくなって、顔が猿になれば誰でも引くだろう。個人的には優しくして挙げて欲しい。悪いのは運営だ。鵺に罪はないよ。
鵺でもう一つ可哀想なのがブルーフリーダムのリーダーだ。理由が沖田総司のクエストを進める事になった彼が黒猫の鵺を倒う事になったらしい。これは沖田総司の死で有名なエピソードの一つで沖田総司の死ぬきっかけとなった病気の原因が鵺という説があるのだ。そして沖田総司は病気になると黒猫が毎日現れるようになって、病気の身体では猫すら切れないと言った話がある。この話から黒猫が鵺ではないかという話になるわけだ。
この話は面白いところが当時の日本では黒猫は福猫だったらしい。魔除けの話などが合って、沖田総司を救いに来たという説もあるのだ。このゲームでは鵺説を採用したらしい。
クエストをクリアして、沖田総司の刀を貰ったらしいんだけど、黒猫を斬ったことで女性プレイヤーからボコボコに叩かれたそうだ。代償が大きかったと愚痴を言っていたよ。因みに桜花では既に宗次郎は沖田総司と改名しているらしい。
俺たちが場所を確保していると城内に潜入する部隊が外を担当する部隊に道を開けられて到達した。それを見ると上位だけでなく中級のプレイヤーも力を付けてきたことが分かる。
「待たせてしまったな」
「敵のど真ん中に行って、そのまま一か所を制圧するとは流石の強さだな」
「上空から援護もして貰った結果ですよ」
実際にバズーカにロケットランチャーの援護は中々に酷かった。
ここからは城内戦に移行する。俺たちは戦闘をしていたから後ろに陣取る。城内で待っていたのはまたしてもアマゾネスたちだった。しかし今回は俺たちが優勢だ。
「すみません!」
「ごめんなさい!」
エクスカリバーを手に入れたみんなが謝りながらアマゾネスたちを倒していた。前のフィールドの戦いではどうしても戦力はばらけていたし、乱戦状態になるとエクスカリバーのような強い武器はその本領がだいぶ制限されてしまっていた。
だが、今回は通路という狭い範囲での戦いで上位のプレイヤーが固まって進軍している。この状況で乱戦に持ちこむのはかなりきつい。ましてやみんながこういうのに馴れているからね。
「盾役が前に立たないとは変わった進軍だな」
「相手がアマゾネスですからね」
「絶対防御など温存させて貰えるのはありがたいことだ。その分、サタナキアで活躍させて貰うとしよう」
「俺はさっき使ってしまったので、お願いします」
途中で巨大な鎌が飛んで来るトラップや落とし穴、銃が乱射してくるトラップを掻い潜り、俺たちは巨大な扉の前に到着した。
「行くぞ!」
マグラスさんが突入し、みんながサタナキアがいる王の間に入る。
「やれやれ。騒がしいこと、この上ないですね」
玉座には以前見たサタナキアが足を組んで座っていた。
魔王大将サタナキア?
? ? ?
その周囲には修道士と思われる女性が沢山いた。
「サタナキア様、怖いです~」
「大丈夫ですよ。私がいるんですからね」
「はぁ~。サタナキア様、素敵~」
このシスターハーレムの光景を見せつけられた俺たちの中の誰かがサタナキアに攻撃すると謎の騎士が攻撃をガードした。あのマークは知ってるぞ!?
テンプルナイトデーモンLv65
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
やはりテンプル騎士団のマークだった。それにしてもデーモンとはまた酷い扱いをしたな。
テンプル騎士団は実在した騎士団で一番有名な騎士団かも知れない。円卓の騎士は実在したのかまだ決まっていないからね。
テンプル騎士団は十字軍最強の騎士団など言われることもあるが、正確には第一回十字軍後に出来た組織だ。第二回十字軍でフランスの国王を救い、イスラムの英雄サラディンを負かしたことから強さと勇敢さは伝説級の騎士団と言っていいだろう。
テンプル騎士団の強さの根幹は当時では珍しい戦って死んでも名誉になるという考え方が騎士団の中にあった。当時の合戦では日数を決めて、行われていた。その日数を超えれば集めた兵士に追加の金を支払う事になり、金を支払わないと当然兵士は戦いを辞めて、帰ることがあった時代だ。
しかしテンプル騎士団は金ではなく、聖地奪還の為に戦う騎士団であったため、当時としては異質な強さを誇っていた。またテンプル騎士団は経済力が凄まじい騎士団としても有名だった。その財力はフランス国王を経済支援するレベルだったと言われている。ただこれがテンプル騎士団を破滅させるきっかけとなる。
フランス国王を経済支援するということはフランス国王がテンプル騎士団に借金をするということだ。その借金が膨れ上がるとフランス国王はテンプル騎士団が当然邪魔になる。そしてテンプル騎士団を壊滅させて、借金を帳消しにし、テンプル騎士団の財産を没収することを画策する。
フランス国王を舐めていたテンプル騎士団は悪魔崇拝などのでっち上げの異端審問に起訴され、罪を自白させられ、拷問に屈しなかった多くのテンプル騎士団は火あぶりの刑で処刑されたとされる。
そんな騎士団だから悪魔になるはずがないと思うんだけどな。するとこのゲームでのテンプル騎士団を知っている人がいた。ジャンヌ親衛隊のリーダーの人だ。
「テンプルナイト!?」
「おや? あなたは彼らの事を知っているようですね。という事はゴネスの者でしょうか?」
どうやらこのゲームのテンプル騎士団はゴネスの関係者らしい。ジャンヌ親衛隊のリーダーがテンプル騎士団について教えてくれる。
「テンプル騎士団はゴネスの騎士団だったんですが教皇と上位の聖職者たちの裏切りに合い、裁かれた騎士団らしいです」
この話を聞いたサタナキアは話を受け継ぐ。
「その通りです。彼らは教皇と上位の聖職者より財と力を持ち、それ故に破滅させられました。彼らが火あぶりの刑にさせられた時に彼らは願った。財を返せ。破滅させてやるとね。その思いがマモンと私の好みでね。願いを叶える代償に私の騎士団になって貰ったんですよ」
「願いを叶える代償だと?」
「えぇ…障害になりそうなワルキューレの居場所を教えたり、ジャンヌ、フリーティアの王女を狙うように指示したのは他ならない私ですからね。最も得体の知れない召喚師に色々邪魔されましたが結果的に約束は果たすことが出来て、幸いでしたよ」
サタナキアの大将としての立場を考えると色々口出すをする立場にはあるな。それよりもシルフィ姫様やジャンヌ、ワルキューレが狙われた理由がサタナキアによる指示だと判明してすっきりした。
今まではアンラ・マンユやその配下が勝手に調べていたと思っていたけど、ワルキューレを狙っていたのはゴネスのワルキューレを除くとアンラ・マンユたちでは無かった。
シルフィ姫様もフリーティア城にいたスパイはアンラ・マンユたちとは関係がない悪魔だ。ジャンヌは元々狙われる理由は会ったから微妙な所だが、少なくともシルフィ姫様とワルキューレの件には違和感があった。
「わざわざ教えてくれてどーも。お礼にお前の騎士団となった哀れな騎士団と一緒に潰してやるよ」
流石にみんなの名前を出されたら、黙っているわけにはいかないな。
「ふふ。あなたたちに出来ますかね?」
サタナキアが指を鳴らすと無数のデーモンになったテンプル騎士団が現れて、襲い掛かって来た。
「迎え撃つぞ!」
「「「「おぉ!」」」」
お互いのシールドタックルがぶつかり合うとお互いにせめぎ合う
「俺たちは下がるぞ」
「え? 良いんですか?」
「召喚獣がここで戦うには狭すぎる。下手に介入すると邪魔になるかも知れない。ここはみんなを信じて、支援に徹しよう」
「「「「わかりました!」」」」
がち戦闘になるとお互いに力が拮抗する。こんな時に勝敗を分かつのは伝説の武器だ。
「焼き尽くせ! ニュークリアエクスカリバー! 聖剣解放!」
「ふん!」
「何!?」
アーレイのエクスカリバーの攻撃が防がれた。勝利の加護があるのにどうしてだ?疑問に思っていると敵が答えを教えてくれる。
「無駄だ。この盾は聖遺物から作られている。お前たちがどれだけ神や星に勝利の加護を得ようとも創造神様には勝てん!」
「そんなのありか!?」
このゲームには聖人の加護や聖母の加護が彼らが言う創造神の力に当てはまる。その理由はイエス・キリストが神の子とされているからだろう。そして聖書の神様は創造神だ。だからこんな設定になったのだろう。デュランダルを持つマグラスさんが教えてくれる。
「落ち着け! 聖人の加護や聖母の加護に勝利の力がある訳じゃない! あくまで勝利の加護や神の加護以下の通常の加護を無効化しているだけだ! 普通に戦って勝てば問題ない!」
このゲームの聖書の神様はどうやら正々堂々とした勝負が好みらしい。
テンプル騎士団が何故聖遺物を持っているかと言うとテンプル騎士団は聖地エルサレムで結成された騎士団で聖地エルサレムに巡礼に来る人々を保護するために設立された。つまり聖地エルサレムと関りが強いからこんな装備が出て来たわけだ。
ましてやこのゲームでは聖遺物を管理しているゴネスとの関わりがあり、先程財も管理していたとサタナキアが言っていた。そこに聖遺物が入っていたんだろう。
まぁ、聖遺物を武器や防具に使う所はテンプル騎士団としてどうなんだ?と思う所や聖遺物をテンプル騎士団に預けていたかも知れないゴネスの当時の教皇たちにはツッコミどころ満載だ。いずれにしてもこのゲームでのテンプル騎士団は異常な強さを持っていることが分かった。
次々聖遺物を使って来る。これが後で手に入ればいいんだけどな。というか悪魔に落ちた騎士団が聖遺物を使っている所なんて罰当たりが過ぎると思う。
ここで徐々にプレイヤー側が敵を押し始める。どれだけいい装備を揃えても勝敗を分かつのは腕だ。個々でも集団でも俺たちの方が実力で優っているから徐々に敵を押し始めたのだ。特に最前線で戦っている満月さん、帝さん、マグラスさんが非常に連携が取れている。
お互いに魔法や回復系のスキルを妨害し合う中、傷付くとすぐに入れ替わり、再生スキルで独自に回復をする連携で前線が崩れるこはなかった。対してテンプル騎士団は入れ替わることが無く、ガンガン攻撃を仕掛けて来た。
この辺りも前に話した死ぬことが名誉の設定が反映されていると思った。
「やれやれ。旗色が悪いですね。では、少し力添えをしてあげるとしましょうか」
サタナキアがそう言うと指を鳴らす。するとテンプル騎士団たちが全員暴走状態となる。
「く!? 舐めるな!」
満月さんが盾で攻撃を防ぎ、槍で体を貫くとテンプルナイトデーモンが肥大化し、槍が抜けなくなる。
「く!? これは!? 全員下がれ! 自爆するぞ!」
満月さんの警告通りに自爆する。完全にサタナキアの駒扱い。これがテンプル騎士団の成れの果てだと思うと悲しくなるな。
「大丈夫か!? 満月!」
「あぁ…悪いが装備を入れ替える」
「ダメージも結構受けているぞ。少し休憩していろ。お前たちは色々頑張りすぎだ」
ここで帝さんとマグラスさんのギルドが暴走状態で自爆して来るテンプルナイトデーモンに対処する。自爆までの時間があるから、肥大化したら、武器事遠くに投げ飛ばし、武器は帰還スキルで戻す戦術で対処する。
その一方でマグラスさんだけは圧倒的な強さを誇っていた。その原因がデュランダルだ。デュランダルの攻撃は肥大化してもぶった斬り、追撃で発生する空振で問答無用で攻撃範囲にいる敵を吹っ飛ばした。
流石不滅の刃と呼ばれ、ローラン、ヘクトールなどの英雄と共に戦った剣だ。そしてデュランダルの能力に敵も気付く。
「馬鹿な!? その力は!? 聖母の加護だと!?」
デュランダルの柄には多くの聖人の聖遺物と聖母マリアの聖遺物が入っているとされている。流石のテンプル騎士団も聖母の聖遺物は持っていないようだ。すると暴走状態の為かそれとも聖母の聖遺物がただ欲しいだけか知らないがマグラスさんに敵が集まる。
「おぉおおおおお!」
「「「「ぎゃあああああ!?」」」」
根こそぎ敵が吹っ飛ぶ。強いな。デュランダル。ただ俺の戦闘スタイルとは少し合わない。デュランダルは大振りの攻撃が主体の剣みたいだからな。これをリリーが見ていたら、間違いなく欲しがるだろうがデュランダルは残念ながら聖杯やヘルメスチケットの対象外である。
こうして重戦士部隊が突破すると後は魔法使いタイプのテンプルクレリックデーモンを仕留めに掛かる。
すると倒したみんなが死の宣告を受けてしまう。すぐに回復役が解除に掛かろうとするがここでサタナキアの妨害を受ける。
「時は満ちました。今こそ我が軍が誇る最強の悪魔を呼びましょう! やぎ座より来たれ! アルシャト・バフォメット!」
サタナキアの背後の空間にやぎ座が描かれ、そこから黒い渦が発生するとそこから黒山羊の頭の悪魔が現れた。
アルシャト・バフォメット?
? ? ?
アルシャトはやぎ座にある星の名前で屠殺者の羊という意味を持つ星だ。屠殺者は食用や革製品の為に動物を殺す人の事。あまり気持ちがいい言葉じゃない。
バフォメットはベリアルと戦ったみんななら知っている。テンプル騎士団と関わりがあり、崇拝しているのではないかと疑惑をでっち上げられたのがバフォメットだった。
「さぁ! やりなさい! アルシャト・バフォメット!」
アルシャト・バフォメットの杖が紫色に輝くと死の宣告のカウントダウンが急速に速くなった。
「「「「な!? う!?」」」」
死の宣告を受けたみんなが倒れ、更に呪殺撃が俺たちを襲う。そして攻撃を受けた俺たちは猛毒と感染症の状態異常になる。
「どうですか? 人間たちの勝手な都合で殺された動物たちの怨みが宿る悪魔の攻撃の味は?」
屠殺の中には感染症での殺処分も含まれているからな。この効果はそう言うところから来ているんだろう。ここでグレイたちが俺を見てきた。もう戦っていいか?って感じだな。
すると先にルークたちがアルシャト・バフォメットに戦いを挑む。ここにグレイたちも加わらせた。そして俺と乗っているダーレー、残りのプレイヤーがサタナキアと対峙するのだった。




