#1040 サバトの悪魔と色欲の魔王
俺たちがそんなことになっているとは知らないメルたちは攻城兵器がある関係で俺たちよりも進軍が遅く、だいぶ遅れて砦の攻略を開始した。
俺たちとは対照的で魅了を封じるアクセサリーが効果を発揮して、サキュバスとインキュバスを相手に優勢で攻略を進めていた。
「ここまでは順調だね。ルイン姉」
「えぇ。魅了のアクセサリーを揃えてくれた彼女たちに感謝しないといけないわね。魅了に掛かっていると思うとかなり厄介な攻略になっていたでしょうから」
「それにしてもメルちゃんはノリノリだね」
「タクト君がこのゲームでトッププレイヤーだから色々思う所があるんでしょうね」
メルはエクスカリバーで無双状態だ。俺とシフォンと違って、神聖属性のエクスカリバーには制限は存在していない。だからノリノリ状態だ。
しかし全員が思っていた。いくら魅了の対策を講じたとしてもここまでは簡単に攻略が進み過ぎていた。
「何かあるとしたら、町の中ね」
「そうだね。カタパルトやアーバレストに抵抗が無いのは誘っているのかな?」
「そうでしょうね。ミライちゃん、ヘルメスは何か言っているかしら?」
「…聞いてみます」
ミライの質問にヘルメスが答える。
『アスモデウスは計略を考えるような悪魔じゃないから力付くで潰しに来ると思うよ。何せ自分こそ最高の女とか思っている奴だからね。こういう女性は特に怖いから気を付けるように。ヘラやアテナ、アルテミス、アフロディーテなんて特に』
ここでケリュケイオンから爆発音がして、通信が消えた。
「…えーっと。だ、そうです」
ミライは無かった事にした。そして他の皆も聞かなかったことする。
「それならこのまま押していきましょう」
「オッケー! 樽爆弾カタパルト、発射ー!」
一斉に導火線に火が付いている火薬を詰め込んだ樽が一斉に空に舞い、城壁付近に炸裂する。ここで一人の女侍が真っ赤な刀を構える。
「爆心!」
城壁に斬撃を放つと斬った箇所が爆発し、城壁にひびが広がる。そこにリサたち格闘家が一斉に拳を叩きつける。
「「「「破拳」」」」
これがとどめとなり、城壁が崩れた。
「やった! みんな、突撃!」
「そこまでだよ。リサちゃん。みんなを巻き込まない」
「う…良い所だったのに…」
最初に勝利の加護があるメルの部隊が中へと入る。すると広場にある塔の上に黒マントに山羊の顔をした悪魔がいた。
レオナールLv65
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
レオナールはヨーロッパの悪魔で魔女たちに崇拝された悪魔だ。サバトの雄山羊と呼ばれており、魔女たちの淫らな祝宴とされているサバトを取り仕切る悪魔であることからそう呼ばれている。恐らく淫ら関係で登場したんだろう。
「おぉ! 麗しい乙女たちよ。よくぞアスモデウス様がおられるこの町へとやって来た。我々は君たちを歓迎しよう!」
レオナールがそう言うと建物から黒マントに黒マスクの人間たちが剣を持って現れる。
サバトウィッチLv55
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
一瞬でメルたちは包囲されてしまう。
「さぁ! 我々の仲間になりなさい」
「あいにくこんな勧誘方法じゃ、仲間になれそうにないかな!」
メルの言葉を合図に全員が戦闘を開始する。ここで空からチロルたちが援護に向かうとすると箒で空を飛んでいる魔女たちの攻撃を受ける。その攻撃方法は変わっており、なんと宝石を念動力で操り、宝石解放を使用することでまるでホーミングミサイルのような攻撃を披露した。
「けほけほ!? こんなのあり!? でもこっちも負けてないよ! 進化したばかりのヒポグリフの力、見せてあげる!」
チロルがヒポグリフに乗り、魔女たちに突っ込むと空振でぶっ飛ばされ、建物に次々墜落した。一方で他の召喚獣の攻撃は躱されてしまっている。更に魔法を撃ち込まれる。
「みんな! 防御! 予想外に速いし、凄い機動力だよ」
箒に乗った魔女たちは機動力の面では第四進化の召喚獣を超えていた。見事なクイックターンなどのアクロバット飛行でチロルたちを翻弄しようとする。しかしスピードと攻撃の面では残念ながら召喚獣に軍配が上がる。
チロルたちの援護を受けて、待機させていた部隊がメルたちの救援に入るとメルがレオナールに襲い掛かる。
「はぁ!」
「む! 私に剣を向けるか! 淫らな女め! 堕落!」
「あいにく効かないよ! 後、淫らじゃない! バスターカリバー!」
「くぅうう!?」
レオナールがバスターカリバーをくらい、地面に倒れ込む。
「これでとどめ!」
メルが首を斬ろうとした時、レオナールの尻から冥ブレスが放たれ、メルに直撃する。
「ふん。私を殺そうなどと百年早いわ」
「「「「は?」」」」
黒マントで隠れていたレオナールの尻に山羊の顔がもう一つあり、得意げに喋っていた。流石にこの意味不明な状態に全員の動きが止まると次々魔法を浴びる事になってしまった。
「ちょ、ちょっと待って! 何でお尻にもう一つ顔なんてあるの!?」
リサがつい疑問をいい、レオナールはそれに答える。
「私をお前たち人間と一緒にしないでもらえるかな? 私は君たちのように尻を見せたりしない紳士なのだよ」
「「「「私たちが見せているように言うな!」」」」
女性陣の逆鱗に触れた悪魔はボコボコにされることになった。魔女たちも片付き、いよいよメルたちは城へと向かうとサキュバスたちを蹴散らしながら玉座に到達する。そこには妖艶な雰囲気を纏うボンテージを着たピンク髪の巨乳な魔王が足を組んで玉座に座っていた。
色欲魔王アスモデウス?
? ? ?
全員が武器を構えて、警戒する中、アスモデウスが言う。
「いらっしゃい。待ってたわよ。子猫ちゃんたち」
アスモデウスが立ち上がるとわざわざ巨乳を揺らして見せた。
「あら? ごめんなさい。揺れちゃって」
「…垂れている物を見せられても年しか感じませんよ?」
「あなた何も知らないのね。大きすぎるとどうしても垂れてしまうのよ。まぁ、あなたには縁がない話でしょうけど……ふふ」
「…縁が無くて良かったですよ。そんなものになりたくはありませんから」
アスモデウスとメルの間に火花が散る。
「えっと…メルさん、落ち着いて」
「多乱刃!」
メルが攻撃を放つが当然躱される。
「あらあら。乱暴な女はモテないわよ」
「余計なお世話です!」
メルが斬りかかるとアスモデウスの手に旗と槍が一体となった槍が姿を見せて、メルが攻撃を受けて、元の位置に着地する。旗にはゴエティアの紋章が書かれていた。
「ジャンヌさんと同じ武器!」
「あら? 私の真似をしている女性がいるなんて見込みがあるわね。さぁ、楽しい戦争を始めましょう。魔軍!」
町の空に大量のレオナールが出現し、更にアスモデウスの下からピンクの鱗を持つ巨大なドラゴンが姿を見せる。
アスモデウスドラゴン?
? ? ?
全員がやばさを感じて撤退をするが尻尾の一撃で城にいた全員が外に吹っ飛ばされる。更に外では無数に出撃していたレオナールが尻を向けた状態で待機しており、メルたちが避けたかった尻の顔からの攻撃を浴びる事になった。
「ふふふふふ! 私は色欲を司る魔王アスモデウス! あなたたちの純愛を証明したいなら私を倒してみなさい」
メルたちが立ち上げり、アスモデウスを睨む。
「上等だよ! あなたを倒して、強いのは男だけじゃないって証明するよ! みんな!」
「「「「おぉ!」」」」
良くか悪くか女性陣の士気は打倒魔王アスモデウスに向けて、向上しているのだった。




