#1033 アルカディアの神剣
翌日、海斗のエクスカリバークエストの成功の自慢を聞かされた。
「メルはクリアをしたと言ってたが何人クリア出来たか知っているか?」
「シフォンはクリア出来たのよね? 朝からずっと自慢してきたから」
ここにも俺と同じ被害者がいた。
「う、うん。後はブルーフリーダムのリーダー君ともう一人のメンバーとカイ君、数人の英雄が成功したよ」
「結構失敗しているな……いやモルガンが相手であることを考えると成績がいいほうなのか?」
「滅茶苦茶強かったからな……俺は成績がいいと思うぜ」
「私もかな?」
どうやらモルガンに手ひどくやられたようだ。試練の内容をティターニアのクエストと一緒。召喚師も召喚獣は一つしか選べない制限があった。ようはアヴァロンに到着したら、そのままティターニアのクエストをやらされるというのがエクスカリバーのクエストなわけだ。
こうなるとルークたちは先にティターニアのクエストをした方が良いだろうな。俺のようにフリーパスした方がずっと楽にエクスカリバーを手に入れることが出来る。
ここでみんなが手に入れたエクスカリバーについて、教えて貰った。ここで俺のライバルが判明する。
「シフォンが全属性のエクスカリバーなのか!?」
「うん……たぶん精霊剣士なのが影響してるんだと思う」
「俺は火だぜ! カイの奴が土でブルーフリーダムのリーダーが時空、もう一人が風。後は水と氷、木がいたな」
どれも非常に強力なエクスカリバーらしい。そして俺のエクスカリバーの話になって、正直に告白すると海斗たちの時間が止まることになった。
学校が終わり、家に帰ると早速ゲームにログインする。すると復帰したリリーがゆっくりやって来る。キキに怒られるからだ。
「セーフだよね? タクト」
「たぶん大丈夫だと思うぞ」
「そうだよね! それじゃあ、タクト! 元に戻ったよ!」
「はいはい。約束通り、ご飯を食べたら、クエストな」
「うん!」
ご飯を食べ終え、リリーのウォーミングアップをしている間にイクスが聖杯を使う。
「わたしたちの武器が不可能ならタスラムをお願いします。マスター」
「あ…あぁ。やっぱり欲しかったのか?」
「違います。妥協しただけです」
あくまで自分の武器が一番強いと言いたいわけだな。ここだけは最初からイクスは変わっていない。
「なぜ笑うのですか? マスター」
「いや、最初からイクスはぶれてなかったなと思っただけだよ」
「それで何故笑うのか分かりません」
「まぁ、イクスは最初から可愛かったって話だよ」
「何を当然の事を言っているんですか? マスター」
真顔で返して来るのがイクスなんだよな。
「リリーは! はぁ! タクト!」
「はいはい。リリーもみんなも最初から可愛かったよ」
ウォーミングアップしながら聞いて来るリリーも流石だ。それじゃあ、イクスにタスラムを上げよう。俺が聖杯で作っているとセチアたちが出来上がった装備を持ってきた。
エレクトリックドリルランス:レア度10 槍 レア度S+
重さ:150 耐久値:2000 攻撃力:600
効果:回転角、強激突、電子分解、閃電、黒雷、放電、雷轟、雷霆、荷電光線、雷波動、電磁操作、万物貫通、雷化、幻獣の加護
トライコーンの角から作られた雷属性の槍。回転する角が最大の特徴で大抵の物は抉ってしまうほどの威力がある。突進以外にも雷系の遠距離攻撃を有しており、使い勝手がいい槍なっている。
ドリルランスは男のロマンだよね。俺が使う訳じゃないけど。
「誰に持たせますか?」
「ミールと思っていたんだけど、結構大きくなったからな。それにミールにはミストルティンの方が向いてるよな」
「そうですね」
「…ダーレー。アピールチャンス」
「お、おい!?」
ダーレーは欲しがっていたのか。ドリルランスだもんな。気持ちは分かるぞ。それに馬とドリルランスは相性がいい気がする。元々トライコーンは馬だしな。
「ダーレーは槍を持たせて無いし、使ってみるか?」
「他に貰う奴がいないなら俺が貰ってやってもいいぜ」
「…素直じゃない」
「ダーレーはツンデレなの」
またアリナは変な言葉を覚えたな。ここでセチアにはミールの為にミストルティンの槍を作ってもらう事にした。次は和狐たちが作ったリビナの鞭だ。
星霊海蛇の鞭:レア度10 鞭 品質S+
重さ:150 耐久値:2000 攻撃力:2400
効果:万物破壊、神魔毒、弱化毒、永遠毒、腐蝕、重力操作、水圧切断、流星群、彗星、強化復活、耐性無効、星霊の加護
星霊海蛇の尾から作れた鞭。その一撃は彗星を一撃で破壊する威力を誇っており、また触れるだけでアストラルヒュドラの毒に侵してしまう能力を持っている。また強引に引き千切られても更に硬化して復活する力がある。
流石に斥力場は追加されなかったか。あれがあればリビナが苦手な接近戦対策になったんだけどな。まぁ、無い物はどうしようもない。リビナに持たせてみる。
「硬くて心配したけど、思った以上にしなるね。気に入ったよ」
「元はアストラルヒュドラの尻尾だからな」
実際にあの尻尾にはだいぶ苦戦させられた。するとリビナが後ろから抱き着いて来た。
「タークト」
「絶対にやらない」
「ボクはまだ何も言ってないよ」
「鞭を持っていれば大体何を言いたいのかわかる」
俺は鞭に叩かれる趣味は無い。ましてやアストラルヒュドラの毒があるなんて普通に死ぬ。リビナにはもう一つエクスプロード・バジリスクの皮の鞭を作る事を伝えて、引いて貰った。
「ぜぇ…ぜぇ…お、終わった? タクト?」
「あぁ…別に休憩しても良かったんだぞ」
「も、もっと早くに言ってよ~。タクト」
俺が装備を見ている間、ずっとウォーミングアップをしていたリリーは地面に伸びた。リリーの休憩していると伊雪が服を持って来てくれた。
天巫女の羽衣:レア度10 防具 品質S
重さ:10 耐久値:2000 防御力:1000
効果:高飛翔、神速、仙気、神気、魔法耐性、物理耐性、多重障壁、無我、瞑想、魔力回復、高速再生、光化、起死回生、天候無効、環境無効、天の加護
天の羽衣を巫女服にアレンジした衣装。
性能に変化はないな。名前だけ変わっただけだ。
「ど、どうどす?」
「想像を超えて可愛いな」
「自信作ですから」
「うぅ~…つ、次は恋火どすな!」
「あたしですか!? あたしにはこんな服で戦闘は無理ですよ! お姉ちゃん」
恥ずかしい和狐は強引に話を終わらせた。驚く恋火だが、俺はもちろん注文するつもりでいた。
「伊雪、恋火用に作れるか?」
「もちろんです。動き易さを重視して作らせて貰いますね」
これを聞いた恋火は諦めた。自分が何を言ってももうダメだと思ったみたいだ。次に服の依頼を考える。
「気になるのは厄災妖犬の毛皮なんだよな」
「誰のどんな服を作ります?」
「そこなんだよな」
俺が悩んでいると後ろからつつかれる。振り返るとノワがいた。これは珍しい。
「欲しいのか? ノワ」
「…ん。この服、気にいっているからマントがいい」
「了解どす。タクトはん」
「あぁ。頼むよ。和狐、アラネア」
ノワはおねだりして来ることは中々無いからな。出来るだけ叶えて上げたい。ここでリリーの準備が出来たので、クエストを始める。
「たのもー!」
『意味がさっぱり分からないけど、アルカディアの試練に挑むということでいいのかな?』
「そうだよ!」
『わかった。いでよ! アルカディアの扉!』
錬金術みたいに扉が開いた。
『ここからは挑戦者とその保護者のみしか入ることは出来ないからね』
ここでイオンが言う。
「タクトさんに我儘を聞いて貰ったんですから勝つまでご飯抜きですからね。リリー」
「えぇ!? そんなの聞いてないよ! タクト~」
「…リリーが一発で決めれば問題はない」
「それとも自信がないの?」
「あるよ! だからみんな待ってて! 絶対に剣を手に入れて戻って来るから! 行こう! タクト!」
リリーが飛び込んでいく。なんかいいように火を付けられたな。俺がイオンたちを見ると笑顔で手を振っていた。本当にいい妹たちをリリーは持ったと思うよ。
扉の中に入るとそこは玉座がある部屋だった。そして玉座の後ろには巨大な大剣が刺さっていた。あれがアルカディアの神剣か。宝石が沢山ある大剣の見た目からレガメファミリアと似ている気がするな。
ここで玉座に闇の竜巻が発生すると予想通りの敵が現れる。
リュカーオーン?
? ? ?
ギルドクエストにも登場した敵だが、格好が全然違う。宝石が散りばめられた鎧に真っ赤なマントがある。装備が違うだけでこれだけイメージが良くなる物なのか驚くほどだ。更にはリュカーオーンがしゃべる。
「我が名はリュカーオーン。アルカディアの王にして、大罪を犯せし者。既に命は尽きた身だが、アルカディアの民の為に玉座の後ろにある神剣を守護している。あの剣を手に入れたくばこの私を倒して見るがいい!」
「望むところだよ!」
リリーはノーサンバスタードとレガメファミリアを構える。これに対して、リュカーオーンは手を掲げるとアルカディアの神剣から光が放たれ、その手に神剣が現れる。お前が神剣を使うんかい。
「ほぅ…これを見ても怯まぬか。まずは及第点をやろう。いくぞ!」
「うん!」
二人が同時に飛び出し、ノーサンバスタードとアルカディアの神剣がぶつかり合うとせめぎ合う。
「うぎぎ~!」
「ぬん!」
「きゃ!?」
リリーが力負けした!?やはりギルドクエストで戦ったリュカーオーンより遥かに強い。
「カラミティ」
「や!」
「ぬ! 神魔毒ブレス!」
弾かれたリリーに大技を使おうとしたリュカーオーンだったが弾かれてバランスを崩した状態からレガメファミリアを振り抜いたリリーの攻撃を受け止めると口から神魔毒ブレスを放つ。これをリリーは片足で地面を蹴り、空へと躱す。
「幻狼!」
リュカーオーンの幻狼が空にいるリリーに襲い掛かる。しかしリリーは次々幻狼を斬り裂く。リリーの大剣二刀流も様になって来たな。すると全部仕留める前にリリーの上からリュカーオーンがアルカディアの神剣を振り下ろして来た。
それをリリーは後ろに躱すとお返しとばかりにドラゴンブレスを放つ。するとリュカーオーンはマントでドラゴンブレスを弾くとリリーに襲い掛かる。これに対してリリーも迎え撃つ。
「やぁあああ!」
「ぐぉおおお!」
リリーはパワーで負けたことから二刀流を活かして手数でリュカーオーンを襲うとするがリュカーオーンもリリーの攻撃を捌き、隙を見て、攻撃をされるとその度にリリーの攻撃の手が止まる。それでもリリーはすぐに持ち直している。
するとリュカーオーンはリリーの攻撃をフェイントで空振りを誘うと距離を取り、神剣を構える。これに対して、リリーは慌てて構えるが空振りをした分、遅れる。
「覇撃!」
「は、覇撃! きゃあああ!?」
筋力でリュカーオーンに負けている上にしっかり力を溜めたリュカーオーンのほうが覇撃の威力で上回り、リリーは部屋の壁に激突する。
「魔素刃! 多乱刃!」
魔素の刃を多乱刃で無数に飛ばした物がリリーに殺到する。更にリュカーオーンは連続で使用して来た。容赦がないな。するとここで光がリュカーオーンの背後に集まり、リリーが現れると武技を使用する。
「ミーティアエッジ!」
「何!? ぐぉおおお!?」
「はぁあああ! ドラゴンクロー! ドラゴンダイブ! ドラゴン」
「調子に乗るな!」
リリーはミーティアエッジで連続で斬り裂くとドラゴンクローでぶっ飛ばして、更にドラゴンダイブでリュカーオーンに体当たりをして、部屋の壁にぶつかるとドラゴンノヴァの態勢になるがここでリリーの頭をリュカーオーンは掴むと放り投げる。
そしてリュカーオーンは追撃に出る。リリーが空中で体勢を整えた時には既にリュカーオーンは目の前に降り、アルカディアの神剣を振りかぶっていた。ここでリリーはレガメファミリアを一度手放し持ち方を変えるとレガメファミリアの鍔でリュカーオーンのがら空きの腹に一撃を与える。
「ガ!?」
「タクトの真似だよ! カラミティカリバー!」
しっかり俺の技を学んでいるな。しかも使うタイミングも完璧だ。流石のリュカーオーンもパワータイプのリリーからの予期せぬカウンターには対応出来なかった。更に普通に持っているノーサンバスタードの一撃でぶっ飛ばされるとリリーは天雨で追撃する。
天雨を浴びてたリュカーオーンは壁から脱出すると壁を走り出した。そして壁に足をしっかり付き、態勢を整える。
「毛針!」
「わわ!?」
「魔狼の咆哮!」
「む! 白熱刃!」
リリーの白熱刃と魔狼の咆哮がぶつかり合っているとリリーの後ろの壁にリュカーオーンは現れる。リリーが白熱刃を使ったから背後に影が出来てしまったようだ。
「星震!」
リュカーオーンの蹴りから放たれた星震を受けたリリーは白熱刃が解除され、そのまま魔狼の咆哮もくらい、天井にぶつかると爆発し、落下する。更にリュカーオーンはアルカディアの神剣を突き出す。
「ガンマレイバースト!」
「う…きゃあああああ!?」
リリーは防御の態勢にはなったが、ガンマレイバーストが直撃する。
「終わりだ! 神撃!」
アルカディアの神剣から神撃が放たれる。
「ほぅ…躱したか。あの剣の効果か」
リリーはテレポートで下にいた。魔法剣を装備させてて良かったな。もっとも余裕が全然無くて逃げるので手一杯だったみたいだ。
「はぁ…はぁ…ふぅー」
リリーは回復しながら息を整えるとリュカーオーンは着地してくる。
「ここまでもったのだ。お前の強さを認めてアルカディオンの本気を見せてやろう! 神威解放!」
アルカディオンが神剣の名前か。やっぱりこのゲームオリジナルの武器だな。アルカディオンから膨大な光が放たれ、虹色のオーラが宿る。
「伝説解放!」
これに対してリリーはレガメファミリアを隣に突き刺すとノーサンバスタードを両手で持って、伝説解放する。
「ふん。それでは神には勝てぬ」
「リリーは勝つよ! 逆鱗!」
リリーの強さが増す。
「ほぅ…」
「リリーはタクトの奥さん! 神様なんかには負けないよ! 例え天竜でも神様に勝てる事を証明してみせる!」
「ふ…いい気迫だ! ならばこの神が作りし、楽園の一撃を越えて見よ! 神剣技! メメント・モリ!」
「望むところだよ! 諸刃の一撃! 英雄技! エクスバスタード!」
銀河の光の一撃がアルカディオンから放たれ、リリーは前に飛び出してその光を迎え撃つ。
二つの必殺技がぶつかり合うとここで聖剣ではなく、神剣であるためかノーサンバスタードは押される。
「うぅ…あぁあああ!」
リリーは必死に耐えているが押される。そしてここでリリーのノーサンバスタードが弾かれ、リリーは大爆発に包まれる。
「どうやらまだこの神剣を手に入れる力は無かったようだな」
それはどうだろう?俺にはリリーの狙いがはっきりわかる。爆煙の中から虹色の閃光が放たれる。リリーが爆発した地点は丁度リリーがレガメファミリアを突き刺した場所だった。リリーは最初から神剣の必殺技を止められるとは思ってなかった。それを踏まえて勝つための策を考えた。
「何? っ!?」
「竜技! ドラゴンフォース!」
アクセラレーションとドラゴンフォースで更に速度が上がったリリーの動きにリュカーオーンは対応出来ない。
「ぐ! 光閃!」
斬られたリュカーオーンはアルカディオンの光速の斬撃でリリーは斬られるが幻になって、空振りする。残像を上手く使ったな。
「何!?」
「光閃!」
「ガガガガァアアア!?」
リリーの連続の光閃が次々入る。完全にリリーはゾーンに入っているな。ドラゴンフォースを最初に使っていたら、起死回生で死んだ時に切られて、リリーは動けなくなっていた。そしてさっきの残像も普段のリリーからは思えない冷静な判断を見せた。
「調子に乗るな! 衝撃波」
リュカーオーンが衝撃波を放つ前にリリーは距離を取る。俺には今日のリリーが負ける姿はちょっと想像できないな。正直俺は今の状態のリリーに勝てる気がしない。
「星震!」
「ガァ!? っ!?」
レガメファミリアで放った星震の後にリリーは勢いを利用して回転すると力を溜める。
「覇撃!」
これでリュカーオーンは倒れるが黒い霧が集まり、蘇生する。
「まだだ! まだ終われぬ! ん?」
リュカーオーンは空を見上げると竜の魔方陣が描かれていた。
「竜魔法! レインボードラゴンバースト!」
魔方陣から七色の光が次々リュカーオーンを貫くと大爆発して、再び倒れる。
「少女よ…見事だ。お前にはこの剣を手にする資格がある。楽園に生きる者に平和を与え、死を教える楽園の神剣アルカディオン。私の玉座から、抜くがよい」
そう言うとリュカーオーンは消えた。アルカディアでは生の儚さと死の不可避性がある楽園だ。この事からアルカディアは生と死の警句をしている楽園とされている。この警句をラテン語でメメント・モリという。
この事からあの神剣はアルカディアの楽園としての平和と死を司っている神剣なんだと思う。しかしここでリリーのドラゴンフォースが切れて、また子供の姿になる。
「勝った…勝ったよー! タクトー!」
倒れながら喜びを爆発させるいつものリリーに内心ほっとして、功をねぎらった。そして俺はリリーを背負って、アルカディオンの前まで連れて行くとリリーがアルカディオンを抜くのを見守る。
「んぎぎ~! 抜けた!」
リリーは勢いよく転ぶと背後で見守っていた俺にアルカディオンは振り下ろされる形となる。俺はそれを心眼で躱した。
「…」
「あ、ごめん。タクト。タ、タクト? 笑顔が怖い…よ? な、何を考えているの? リリーは小さくなって、動け」
リリーを抱っこする。
「ほら、帰るぞ」
「え? えへへー」
「帰ったら、イオンにこの事を伝えて、お仕置きして貰うからな」
「ふぇえええ!? そ、それはダメだよ! リリーは前にも同じ状況があった気がするよ!?」
それは俺も思う。だからイオンに託すことにしたのだ。帰ったリリーが待っていたのはイオンによるお尻ぺんぺんだった。
「タクトさんに攻撃するとは何事ですか!」
「わざとじゃないよー! だから止めて! イオンちゃん! みんなが見ているよー! いやぁあああ!」
「いい音が聞こえるの」
「…ん。イオンはお尻叩き名人」
そんな称号はイオンもいらないだろう。さて、ここでリリーが手に入れた神剣を鑑定しよう。
星天の神剣アルカディオン:レア度10 大剣 品質S+
重さ:300 耐久値:4500 攻撃力:5000
効果:大物殺し、悪魔殺し、不死殺し、星気、神気、星震、星雨、星虹、流星群、彗星、ガンマ線、乱反射、全反射、時空切断、光化、魔力回復、荷重操作、重力操作、引力操作、天候支配、神祝、神域、神波動、神撃、大雷霆、即死、耐性無効、起死回生、神威解放、破壊の加護、神の加護
星天の楽園アルカディアの玉座に刺さっている神剣。楽園に生きる人間、妖精、精霊、神全てに等しく死が訪れる事を教える神剣とされており、神剣でありながら魔剣に転じる可能性を秘めている。
大剣だから神剣グラムよりステータスは上だな。まぁ、勝利の加護とか無いから強さではまだ神剣グラムのほうが上になると思う。まぁ、即死と耐性無効があるからどっちが強いかは難しい所だろうな。リリーは本当によく頑張ったと思うよ。
「ごめんなさーい! もう許して~! イオンちゃ~ん!」
リリーの悲痛な叫びを聞きながら、俺はログアウトすることにした。




