#1027 星天の理想郷アルカディア
俺たちは目を開けるとそこには生い茂っている木が所々にあるのどかな草原が広がっていた。そして先程の戦闘のインフォが来る。
『恋火のレベルが10に到達しました。爆心、焼尽、聖療を取得しました』
『恋火の太刀のレベルが5に到達しました。太刀【逆強閃】を取得しました』
逆強閃は強閃とは逆に相手を斬り付ける技だ。上段で斬りかかって来る敵に対してのカウンターや強閃をした後に使用して、二連撃を決めることが出来る。結構使っている人が多いものだ。
ここでディアンを除いた皆を召喚すると当然怒られる。
「でも、闇精石が手に入ったんだぞ」
「…それなら仕方が無いですね」
「セチアお姉ちゃん!?」
「ここは怒らないといけない所です! セチアお姉様!」
セチアが怒れないとなるとこのメンバーで怒れるのはいない。しかし使命感が強いブランは恋火にお願いする。
「え、えーっと。タクトお兄ちゃん! め! です! なんで頭を撫でて来るんですか~。タクトお兄ちゃ~ん」
可愛いからです。ブランは溜息を付きながら頭を抱えている。苦労を掛けるな。俺たちがそんなことをしている間に皆は探索をする。
「やっぱりあそこの建造物が気になるよな」
「まぁ、そうだよな。取り敢えず向かうか?」
「おい! あそこに人がいるぞ!」
「話しかけてみよう。すみませーん」
作物を摘んでいる人間が振り返る。
「メェ?」
「「「「ひ、羊?」」」」
みんなが話しかけたのは羊の顔を持つ人間だった。
「人間ーーー!?」
そして逃げられる。
「「「「なんかやばいフラグを踏んだ気がする…戻るか!」」」」
みんなが戻ろうとすると逃げた羊人間が神殿のような建物に逃げ込むと門が開いて、敵が現れる。
リュカントロポスLv65
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ギルドクエストで出会った敵だが、装備が違っており、馬車まで乗っていた。
「「「「嘘だろ~!?」」」」
ここでブルーフリーダムの凄腕狙撃手ちゃんが馬車の車輪を狙撃で破壊する。そこで俺たちも騒ぎに気が付いた。
「理想郷なのに殺伐としているな」
てっきりエルドラドみたいに終わると思っていたけど、どうやらエデンよりの場所みたいだな。
「マスター! 背後から襲撃です!」
「何!?」
振り返ると氷が飛んで来ていた。それをセチアが星矢で撃ち落とす。次は氷の斧が飛んで来た。これはイクスが撃ち落とす。俺たちはこの攻撃を知っている。
アルカスベアLv45
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
懐かしいチェスの進化前だ。
「グゥオオオ! ガ!? ガ!? ガガガ!? ガゥゥ~」
突っ込んで来るとイクスに足を撃たれて、倒れた所にセチアの星矢が突き刺さる。完全に弱い者いじめだけど、喧嘩を売って来たのは向こうだ。
「ごめんなさい! エンジェルダイブ!」
ブランの蹴りがとどめとなり、仕留めた。さて、解体すると外れ。まぁ、最近調子よかったからな。許してあげよう。ここでリュカントロポスが襲い掛かって来た。これに恋火が対処する。
「やぁ!」
「ガゥ!」
恋火の恋輪を槍装備のリュカントロポスが受け止めた。
「む! やりますね! やぁああ!」
「ガゥ!」
お互いに距離を取るとリュカントロポスは獄炎を槍に宿すと槍をくるくる回して恋火を挑発する。レベルだけじゃなく、武器の技量もこちらの方が全然強そうだ。まぁ、本来ならここで初登場するはずの敵だからな。
そしてお互いに攻め合うとこれがいい勝負になる。刀よりも長い太刀だから刀より槍と距離の面で差が無くなり、激しく撃ち合う結果となった。暫く撃ち合うと恋火が距離を取り、恋輪を構える。これにリュカントロポスも槍を構える。
「爆炎之太刀!」
「ガァアアア!」
恋火の爆炎之太刀とリュカントロポスの突撃技がぶつかり合って、お互いにはじけ飛ぶ。そして俺たちにも別のリュカントロポスが襲い掛かって来た。
俺はセチアを狙った攻撃を阻止する。そして着地した所をセチアが狙うと槍を回転させて矢を弾いた。
「む! やりますね」
「そうだな。ん?」
俺たちの横をリュカントロポスがぶっ飛んでいった。ブランが蹴り飛ばしたようだ。
「あ、いえ、これはその」
「倒したんだから誇っていい所だぞ。ブラン」
「どうやらそんな簡単な敵ではないみたいですね」
セチアがそう言うと倒れたリュカントロポスが黒い霧になると黒い霧が集まり、蘇生するとブランに呪滅殺が発動する。
「不死身か?」
「そうみたいですね」
「大丈夫か? ブラン」
「だ、大丈夫です!」
面倒臭い敵だな。というかこれは皆が相手にするのはきついかな?みんなをノアズ・スクナに下がらせて、援護攻撃をして貰う。そして俺はパラス・アテナの槍を取り出して、みんなに時間を稼いでもらう。
俺が何をしようとしているのか察したリュカントロポスたちは俺を狙ってくる。
「マスターに手出しさせません」
「あなたたちの相手はあたしたちです!」
恋火とイクスが対処に動くが数が多すぎる上に死んでもリュカントロポスは復活してしまうため、強引に抜かれてしまう。
「精霊結界!」
「遮断結界!」
セチアとブランの結界に俺への攻撃が防がれる。一生懸命攻撃しているがここでパラス・アテナの槍に力が溜まった。
「烈日!」
「「「「ワオーン!?」」」」
日の光を受けて、リュカントロポスたちは消し飛ぶ。ここで俺は言いたい。解体すらさせてくれないのか。結構強そうな武器や鎧を装備していたから期待していたのに…無念だ。
そして事情を聞くことが出来た。
「住民に話しかけただけで襲われるとかたまらないな」
「そ、そうですよね!」
「俺たちは悪くないですよね?」
「まぁ、住民がいたならみんな、話しかけていたと思うからね」
これは運営が仕掛けた回避不可能なトラップな気がする。そしてその住民が神殿に逃げ込んだ情報を聞いて、俺たちは神殿に向かうことにした。その前に俺はアリナを召喚した。エルドラドのように一人一つの報酬貰えるならここで召喚しないと損しそうな気がしたからだ。
そして神殿の辿り着くと神殿の門の上に俺が知っている神様がいた。その神様が降りて来る。
「随分早くに再会出来たね」
「そうですね」
降りて来たのはヘルメスだった。
「悪いが君達の実力を計らせて貰った。僕の神殿に入る実力があると認めよう。あ、その槍や神様の武器はしまって欲しい。一応僕の神殿だからね」
「どうしますか? 主」
「言う通りにするしかないだろうな」
これで罠とかだったら、アテナに言いつけてやる。
「僕が君達を罠にはめたことを他の神様に告げ口しても無駄さ。いつもしている事だからね。ただ今回の悪戯はもう終わったから安心するといい」
ギリシャ神話の二大トリックスターだからな。人間で遊ぶことはいつもの事か。あまり関わり合いたくはない神様だな。
俺たちはヘルメスの案内で神殿の中に入ると羊や山羊の顔をした獣人がたくさんいた。完全に警戒しているな。しかしヘルメスが安心するように言うとそれぞれが動き出した。
そしてヘルメスが神殿にある玉座へ座る。
「さて、君たちがこのアルカディアに辿り着いたことを祝し、ここにある物を君達に与えようと思う。ここにある物から好きな物を一人一つ選ぶといい。もちろん召喚獣も選んでいいからね」
ここはエルドラドの時と同じか。まぁ、ここで違いが出るとエルドラドのほうが気前が良かったなとか思ってしまうからどうしようもない所だろうな。さて、一覧を確認してみよう。
黄金の王冠
黄金の十字架
黄金のロザリオ
黄金の骸骨
聖杯のかけら
エメラルド・タブレット
神剣ハルパー
ケーリュケイオン
錬金杖メルクリウス
タラリア
ペタソス
金の斧
アポローンの竪琴
ハデスの隠れ兜
賢者の石
エリクサー
モーリュ
アルカディアの鍵
星天の鍵
冥星の鍵
盗賊神の指輪
アルカディア・クラシ
クラテール
パーンパイプ
ヘルメスのチケット
ヘルメスの神石
ほとんどが錬金術師のクエストで見たのと同じだ。まぁ、仕方ないか。知らない物を確認しよう。
聖杯のかけらは聖杯を製作法を調べた時に出て来た素材だ。これを100揃える必要がある。更に俺が作製する時に作った素材とスキルが必要だ。みんなには頑張って、貰いたい。しかしここにいる皆は色々ぶれる。強くないし、聖杯のかけらを取るメリットがない。
アルカディアの鍵はどうやらこのアルカディアにある試練に挑むために必要な鍵らしい。
「何を貰えるんですか?」
「このアルカディアに眠っている神剣だよ。その剣を獲得するためにここにいる王と一対一で戦って貰う」
恐らくリュカーオーンと戦うことになるな。そう言えば魔剣メガロリュカオンは魔剣になったとか説明に書かれていたな。つまりここには魔剣になる前の剣が眠っているのか。
「リリーお姉様の欲しいという声が聞こえた気がするの」
「流石にここからは聞こえないだろ…」
「リリーお姉様だけに分からないの」
俺にも聞こえたような気がして来るからやめて欲しい。
盗賊神の指輪は強奪を確定で成功させる指輪なのだそうだ。他にも解体を確定させたり、装備しているだけで罠の無効化、全ての武器を自分の手元に戻せる帰還、空虚、解錠が出来るらしい。
ヘルメスは誕生早々にアポロンの牛を盗み出した神様として知られている。しかも証拠まで完全に消して、堂々と赤ちゃんの自分にそんなこと出来ないと開き直るエピソードで有名だ。
他にもヘラの実子アレスにすり替わってヘラの乳を吸うなど本当にずる賢い神様なのだ。それでいてヘルメスは何もお咎めを受けていない。それはヘルメスが跳び抜けて世渡り上手な神様であることを証明している。
その神様の力がある指輪だからこれくらいの力を持っていて、当然だ。正直かなり厄介な指輪だと思う。
モーリュはキルケーの変身薬を解除したことで知られている薬草だ。正直取る順番が間違っているな。しかしこれには呪い全てを解除する力もあるらしい。神様の呪いまで解除するのは凄いな。ここでまたローブが引かれる。もう予想が付くけど、振り返ると笑顔のセチアがいた。無言なのが怖い。
アルカディア・クラシはここの特産であるワインらしい。クラテールで飲むと最高だとヘルメスに勧められた。俺は飲めません。
パーンパイプはパーンの専用装備である笛。混乱と樹海操作、天罰、自然波動、探知波、妨害波のスキルを使えるそうだ。これは俺には必要がないスキルだな。
そして最後に謎のヘルメスのチケット。
「あぁ。それは君達が出会ったことがあるアイテムと交換することが出来るチケットだよ。ただし人間から奪わないといけない装備は無理だから気を付けて欲しい」
つまりデュランダルや神剣グラムは対象外という事か。
「え? それは神の武器や英雄の武器でも交換していいんですか?」
「もちろん」
これは出会いさえあればぶっ壊れアイテムだぞ。俺が出会ったことがある神様の武器だとするとトリアイナ、天羽々斬が浮かんだ。後、オーディンが持っていた槍がグングニルなら対象になるな。草薙の剣とかも見ているし、どこまでが対象かで評価が変わる。
ただこれからクエストで挑むとなるとチケットを無駄にしてしまう可能性があるな。これを加味してみんなが選ぶ物は決まったな。
アルカディアの鍵:重要アイテム
アルカディアの試練に挑む為に必要な鍵。
ハデスの隠れ兜:レア度10 防具 品質S+
重さ:10 耐久値:なし 防御力:3000
効果:神気、冥気、死滅光線、空虚、透過、透明、探知無効、黒霧、黒雷、冥府神の加護
冥府神ハデスが装備している兜。これを装備すると神ですら見つけることが不可能となる最強の隠密装備。見えなくても存在はしているので、装備していても攻撃は受ける点に注意が必要。
ヘルメスのチケット:便利アイテム
自分が出会ったことがある装備と交換して貰えるチケット。
モーリュ:レア度10 素材 品質S+
どんな神の呪いすら解除することが出来る神秘の薬草。神に呪われた人間が一生探し求めるほどの凄まじい効果を持っている。
アルカディアの鍵とモーリュはリリーとセチアがいるから仕方が無い。ハデスの隠れ兜はずっと欲しかったし、ヘルメスのチケットを使ってでも手に入れる価値がある装備だと思う。
同じ物で神剣ハルパーがあるけど、これはヘーパイストスに賭けよう。
後は全部ヘルメスのチケットに回した。つまり俺は三つ手に入れたわけだ。これは凄い事だぞ。エメラルド・タブレットをスルーした所にはつっこまないで欲しい。だって、俺には関係がない代物なんだもん。交換するはずがない。
そしてヘルメスのチケットを確認するとグングニルは入っていなかった。どうやら条件としては使われないといけないみたいだ。ここで今すぐ交換するべきか問題になる。
ポセイドンのトリアイナは槍の中でも最強クラスだとは思うけど、オリハルコンの鍛冶が控えている。このチケットは恐らくかなりの激レア物だから本当に手に入らない可能性が高い装備に出会った時に使うとしよう。
因みに他のみんなはガンガン交換している。俺は参戦していなかったけど、アンラマンユと連合軍との戦いで色々な伝説の武器を見ることが出来たらしい。そして当然その中にはエクスカリバーと交換した者もいる。
エクスカリバーの欠片が手に入らない人への救済措置の一つなんだろうな。俺はクエストを進行させているから無視です。
「それじゃあ、君達の用事は終わりでいいかな?」
「あ、アルカディアの試練はどうすればいいですか?」
「それなら鍵を持って、言ってくれたら試練の為の扉を出してあげるよ。それともこれからすぐに挑むかい?」
「いいえ。挑む子が挑める状態じゃないので、また今度にしておきます」
「それじゃあ、元の世界に戻すね!」
俺たちは元の世界に戻され、転移で無事に帰還するとみんなからお礼を言われて、解散した。そして俺はクリュスと寝た。




