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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
オリハルコン鍛冶クエストと色欲の魔王
1080/1718

#1026 不吉な黒妖犬

俺たちはノアズ・スクナに乗って、星のコンパスが示す先に向かっている。


「なんか本当にアルゴナウタイみたいだなー」


「本当に各国の人たちが参加している感じですから確かに似ていますね」


ノアズ・スクナを使っているからシャローさんとノアがメンバーに加わっている。更にクエストクリアのために俺の召喚獣枠として五人分貰っている。その結果、選んだのはセチア、恋火、イクス、ブラン、ディアンを選ぶ。ただディアンは船には乗れないので、まだ召喚はしていない。


「アルゴナウタイとの違いはそこまで強くない俺たちみたいな者が選ばれている所だな。今更だが本当にいいのか?」


「くじの結果なんだから良いんじゃない? それにみんなならすぐに行けるさ。バトルシップもあるからね」


今回、上位プレイヤーはそこまでいない。うちからくじで選ばれたのは銀と満月さんのパーティーメンバーだけだ。他の国からはブルーフリーダムから凄腕狙撃手ちゃんがいる。


そして関門地点に到着する。


「光が途切れていますね」


「じゃあ、ここからが本番ですね。全員、戦闘準備。船での指揮はお願いします。シャローさん」


「はい。タクトさんもお気をつけて」


全員が戦闘準備が整ったところで光が途切れている空間に飛び込む。


「間違いなく精霊界です。タクト様」


そこは漆黒の不気味な大地が広がる精霊界で遠くには光の柱が発生していた。


「あそこがゴールだな」


「みたいですね」


「マスター、無数の敵が向かって来ています」


「来たか…行くぞ! 恋火! ブラン!」


「「はい!」」


俺と恋火は船から飛び降りて、地面に着地するとディアンを呼び出す。そして地面や空を走っている敵を補足する。


ヘルハウンドLv42

召喚モンスター 討伐対象 アクティブ


ブラックドックLv50

通常モンスター 討伐対象 アクティブ


ブラックドックのほうが強いんだな。ここでノアズ・スクナで待機しているイクスが先手を取り、エネルギーバスターキャノンをぶっ放す。


するとエネルギーバスターキャノンが黒い壁のようになっている彼らに命中すると見る見る威力が弱り、それでも軽く爆発する。やはり魔力を使うスキルや武器はこいつらには使わない方がいいと証明されたな。


「ディアン!」


「「「「シャー!」」」」


ディアンが叫ぶと黒い壁に大きな穴が空く。ディアンの空間捕食だ。それを受けても彼らはノアズ・スクナに迫る。ここで砲撃がノアズ・スクナから放たれる。今回の為にわざわざ装備を通常の大砲に変えさせて貰った。やってくれたノアと生産職の皆に感謝だ。


しかしこのまま取り付かせる訳には行かない。


「ブラン」


「はい! 強行!」


ブランの強行を受けて、ノアズ・スクナを狙っていたヘルハウンドとブラックドックが狙いをブランに変える。


ここで地面を走っていたヘルハウンドとブラックドックがディアンの攻撃範囲に入り、ディアンは魔霧を発生させる。


「「「「キャウン!?」」」」


飛び込んだ犬たちがもがき苦しむ。ディアンの毒はこいつらにも有効らしい。そして弱った彼らにディアンは次々噛みつく。するとディアンの魔力は見る見る失っていく。このままだと数に押し切られる。だからこそ俺たちがいる。


「百花繚乱!」


「雪月花!」


「羽投擲!」


俺たちの同時攻撃でディアンの魔霧の中に入った敵は退治される。そして更に上空から援護攻撃が降り注ぐ。俺たちに当たらないか凄く心配だ。


そして俺たちはヘルハウンドとブラックドックと接近戦をすることになる。


「は!」


「や!」


「そこ! 甘いです!」


俺と恋火はお互いに守り合いながら刀を振るい、ブランはブリューナクでブラックドックを貫いたところで背後から別のブラックドックに襲われるがブランは蹴りでぶっ飛ばす。


恋火は早速手に入れた神息を使っており、絶好調だ。恋輪との相性を心配していたけど、恋火は上手く使い分けをしている。基本的には恋輪を使い、恋輪の間合いの内側に入って来た敵を神息で対処していた。これは俺も負けてはいられないな。


暫くするとディアンは魔力を失ってしまう。だが、それでもディアンは次々敵を食べている。これがディアンを選んだ理由だ。ディアンにとって、魔力を奪われる事はそこまで苦ではない。確かに移動砲台としての役割は失ってしまうが接近戦での不死身性が失われるわけじゃない。何せディアンには魔力超回復もあるからね。


俺たちが敵を引き付けている間にノアズ・スクナはゴールに近づく。するとイクスが敵の襲撃を知らせる。


「膨大な魔力を感知! 上です!」


みんなが上を見ると黒い竜巻がノアズ・スクナに向かって来ていた。


「シールド、展開!」


『了解!』


「ガァアアアア!」


ノアズ・スクナに黒い竜巻が命中すると黒い竜巻の中にいたボスが姿を見せる。


バーゲスト?

? ? ?


ディアンと同じくらい大きい漆黒の犬だった。その犬の爪の一撃を食らって、ノアズ・スクナは墜落する。それを見た俺は杖を取り出す。


『イクス!』


『イエス、マスター!』


「ガァアアア!」


更に追撃に出るバーゲストにノアズ・スクナで待機していたイクスが挑みにかかる。しかしイクスとこいつらの相性の悪さは折り紙付きだ。だから戦わせるために向かわせたわけじゃない。お前には相応しい相手をぶつけさせて貰うとしよう。


「シフトチェンジ!」


「ガァ! ガァ!?」


「「「「シャー!」」」」


イクスとディアンが入れ替わり、ディアンの首に噛み付いて、毒を貰う。


一方で孤立してしまったイクスは俺たちとの合流に動くがブラックドックたちに道を塞がれてしまう。


「わたしとマスターの道を塞ぐとはいい度胸です。電弧放電!」


イクスから強力な電撃が発生すると周囲にいたブラックドックたちが感電し、墜落する。そしてイクスは無事に俺たちと合流を果たした。


一方、ハーベストはイクスだと思って、食べようとしたディアンの首を嚙み千切ってしまい、ディアンの強化復活が発動する。そしてバーゲストはディアンの別の首に噛み付かれると今度はお互いに苦しみ出す。


どうやらバーゲストも耐性無効か加護無効があるみたいだ。それによって、ディアンも神魔毒を受けた。その結果、二匹は仲良く墜落する。幸いだったのがノアズ・スクナから離れていたことだ。


「グゥウウ…ガァアア!」


「「「「シャアアア!」」」」


バーゲストが叫ぶと黒雷がディアンに襲い掛かる。それを受けながらディアンは接近戦を挑む。そして噛みつこうとしたバーゲストは黒い霧となって、姿が消える。


「ガァアアア!」


「「「「うわぁあああ!?」」」」


バーゲストが狙ったのはノアズ・スクナだった。しかし首が沢山あるディアンはバーゲストの動きをしっかり見ていた。


「ガ!?」


バーゲストの腹をディアンの尻尾が貫いた。そして自分の首がある方にバーゲストを放り投げるとバーゲストの身体を拘束するように噛み付く。


「ガァアアア!? ガァアア!」


完全に決まったと思ってもバーゲストは噛み付かれた状態でも目から死滅光線を放ってディアンの首を消し飛ばすとディアンに噛み千切られる事を承知で強引に脱出した。


そして噛み千切られた所に魔素が集まり、身体が元通りになると更に生命力まで回復する。流石精霊界のボスモンスター。相当強い。そしてディアンに向けて再び襲い掛かり、お互いが噛みつき合う。


ここで噛みつきながらバーゲストは放射熱線をディアンに放つ。これを放ったディアンに次は獄炎が放たれる。ディアンはそれを受けながら、前に出るとそれを待っていたバーゲストは冥波動を放ち、ディアンをぶっ飛ばすとディアンの周囲に幻狼で現れた犬の妖精たちがディアンに超連携で襲い掛かるとここでディアンが力尽きて、召喚石に戻る光に包まれる。


「ワオーン!」


ここでバーゲストは勝利の雄叫びを上げると俺たち全員が赤雷に襲われる。


「なんだ…これ」


「恐らく死をトリガーにして、発生するスキルです。主!? はぁああ!」


襲い掛かって来たブラックドックをブランは盾で吹っ飛ばす。ブランの予想は正しく相手を倒すことで敵全てに一定ダメージを与える呪殺撃というスキルを持っていた。これは大誤算のスキルだ。


そしてバーゲストはノアズ・スクナへと向かう。その背後では光が再び集まり、ディアンを形作っていた。


「「「「シャー!」」」」


「ガァ!?」


不死身のディアンは倒すことは出来るが死ぬことはない。だからこそブラックドック対策に連れて来たのだが、ディアンが死ぬと俺たちにダメージを受けるこの状況は想定していなかった。こうなるとこちらも耐久勝負になる。


『セチア、船のみんなと一緒に回復を頼む。こっちは俺とブランで何とかする』


『わかりました!』


ディアンが死ぬ度に俺たちはダメージを受け、その度に回復する。それを数回繰り返したところでバーゲストが力尽きる。


「「「「シャー!」」」」


勝って嬉しいのは分かるけど、俺たちへの被害を少しは考えて欲しかった。まぁ、気にせず思いっきり戦えと指示したのは俺だから俺の責任か。


「強行突破するぞ!」


「「「はい!」」


「イエス、マスター」


俺たちは群がれているヘルハウンドとブラックドックを消し飛ばして、包囲を抜けて、ディアンの元へ走る。当然追ってくるがここで復帰したノアズ・スクナから援護射撃が飛んで来た。


これのお陰で俺たちは無事にディアンと合流を果たして、バーゲストを解体する。折角倒したボスモンスター。解体しないのはもったいない。


厄災妖犬の毛皮:レア度10 素材 品質S+

妖精を呪い殺してしまうほどの強烈な呪いを宿した毛皮。その強い呪いは精霊さえ苦しめるとされており、妖精や精霊に取って天敵の素材として知られている。また呪いを無効化する力を宿しており、呪い対策の防具としても使用できる。


厄災妖犬の牙:レア度10 素材 品質S+

妖精を食い殺そうとする強烈な呪いを宿した牙。対妖精の武器素材として知られており、呪いを受けると逆に強さが増す特異な武器の素材して知られている。


妖精殺しの素材みたいだな。セチアたちは嬉しくは思わないだろうな。ここでヘルハウンドとブラックドックが俺たちに向かってくる。


「「「「シャー!」」」」


「「「「ワオ…ガァ…アア…キャウン!?」」」」


飛び掛かって来た彼らはディアンの斥力場に捕まり、ぶっ飛ばされる。それまでによく頑張ったと褒めてあげたい。


ここでノアズ・スクナがゴール地点に到達する。俺たちはディアンの斥力場という安全エリアでゆっくり向かうとしよう。ここで痺れを切らしたのかセチアがぶっ放す。


「星座魔法! アルゴ!」


「早く帰って来いってことでしょうか?」


号砲(ごうほう)にしては派手過ぎるな」


号砲というのは合図の為に撃つ大砲や鉄砲の事だ。運動会のスタートで使わているものと言えばイメージしやすいかも知れない。大砲の場合は空砲が使用されるね。セチアみたいに実弾だとこの通り命に係わる。


ここで俺はセチアの思惑とは裏腹に採掘ポイントを見つけてしまった。


「ディアン。あっちだ。あっちに行ってくれ」


「「「「シャー」」」」


「よっと!」


俺はこの状況化で堂々と採掘をする。これには恋火たちも苦笑いだ。


「タクトお兄ちゃん…」


「流石です。マスター」


「かなりのピンチな状況だと思うんですけど、良いんでしょうか?」


俺も本当にピンチならゴールを優先するけど、今は大丈夫だと判断した。そしてゲットする。


闇精石:レア度9 素材 品質S

死んでしまった闇の精霊の力が結晶化した鉱石。精霊界にしか存在しない鉱石で非常に強い闇の力を宿していると言われている。


予想通りだ。ここが精霊界で闇っぽいフィールドだからきっとこれが手に入ると信じていたよ。するとバーゲストが追加で二体出現する。


「トラップだったか」


「タクトお兄ちゃん!?」


「流石です。マスター」


「絶対褒める所では無いですよ!? イクスお姉様!」


バーゲストが二匹が襲い掛かって来る。これはもう逃げるが勝ちだな。


「シフトチェンジ!」


みんなといるセチアと入れ替わると全員を召喚石に戻す。万が一の保険ぐらいは用意しておりますとも。元々はバーゲストに勝てなかった時の為の保険だったけどね。


「シャローさん!」


「はい! 突入します!」


ノアズ・スクナは光の柱の中へと突入することに成功するのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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