#1024 ガープ砦、攻略戦
祝3周年!
俺がエクスカリバーのクエストを進めているとは知らないみんなは召喚師を除いたプレイヤー達はガープの砦に集結していた。
今回の作戦にはランスロット、モルドレッド、レギン、オイフェが参戦してくれている。発起人がフリーティアだからしょうがない所だろう。
作戦開始時間となり、最初に帝さん達、鉄騎兵部隊とシリウスさん達、鉄騎銃撃部隊が突っ込んでいく。
「全軍、射撃開始!」
帝さんたちの背後から銃弾が放たれ、最前線の敵に命中すると爆発する。
シリウスさんたちが開発した起爆銃弾だ。本来銃弾の火薬は弾丸を飛ばすことだけに使われるが、シリウスさんたちは弾丸が敵に命中することで爆発する銃弾を作った。
結構開発するのが大変だったらしい。命中した時に発生する衝撃で起爆する仕組みなのだが、そもそも撃った時に衝撃が発生するので、開発中に銃をいくつも台無しにしてしまったそうだ。
そんな苦労の果てに開発した銃弾は鎧を着ている敵部隊に効果ありで動きが止まっている所に帝さん達が襲い掛かった。
こうして先手はこちらが取った。その後、モンスターたちが帝さんに襲い掛かってきた。
「前回と動きが違う……誘っているのか?」
「どうしますか? 帝さん」
「……ここで引いても背後から襲われるだけだ。このまま迎え討つぞ!」
「わかりました!」
帝さんたちがモンスターたちとぶつかる。帝さんたちも最終クラスチェンジ済みだ。オーガロードクラスの敵なら何も問題はない。
ただしどうしても足が止まり、愛馬からは落とされる。そこに剣士たちが駆け付けて、次々モンスターを倒していく。
「楽勝楽勝!」
「ねぇ……簡単すぎない? 変よ」
「うん。みんなもそれに気付いているよ。でも、何を狙っているのかわからない」
困惑している最前線に作戦司令部から指示が来て、メルたちの部隊は一度下がる。
戦場を見渡していたサバ缶さんたちが気付いたのは、部隊が前後に別れようとしている状態だった。
モンスターを倒すためにはどうしても時間と数がかかる。そうなると前に戦力が集まり過ぎて、真ん中が手薄になる。
そうなると前衛と後衛が分断されてしまう。それを避けるためにメルたちを中間地点に配置する決断をした。
メルたちが中間地点に控えていることで前衛と後衛は安心して攻撃に専念出来る。そう考えていると敵が動いた。
戻るメルたちの側面から槍装備の騎兵が超連携で突っ込んできた。
「はぁ!」
「甘いよ! 飛び膝蹴り!」
メルは馬を狙い、斬り裂くと乗っていた悪魔は落馬する。一方リサは槍を跳んで避けるとそのまま悪魔の顔に膝蹴りがはいる。
超連携はどんなものになるかはそれぞれ変化するけど、基本的には武技と一緒で技に入ると自由が効かなくなる。つまりカウンターの的になってしまうんだ。
当然カウンターをするにしてもそれなりの技量は当然要求される。しかし最終クラスチェンジをしているみんななら問題ない。
それを城壁から見ていたガープが笑む。
「なかなかやる。どれ。そろそろ試してやるとするか」
ガープがそういうと城壁からジャンプすると帝さんたちの
前に落ちる。まるで隕石が落ちたような衝撃波を帝さんたちは受けるが堅固の効果でその場に踏み止まった。
「俺の名はガープ! 動物と筋肉を愛する悪魔だ! 色欲の魔王アスモデウス様の命でここから先へは一歩も行かせん!」
「いいや! 通らせて貰う!」
「「らぁああ!!」」
「ふん!」
ガープの側面から大剣持ちの剣豪二人が襲い掛かるとその大剣を握って止めた。
「筋肉が! 足りん!」
「「がは!?」」
剣豪たちは大剣を持ったまま、地面に叩きつけられる。
「三段突き!」
「白熱刃!」
「精霊剣!」
「セイクリッドブロウ!」
ガープに鉄心さん、シフォン、メルが襲いかかろうとした時にガープは笑む。
「悪魔技、グランドシフトチェンジ!」
この瞬間、前衛と後衛が入れ替わる。すなわち詠唱している魔法使い達や弓や銃で遠くを狙っている遠距離職の目の前にガープが現れる。
「アクセラレーション! ベルセルク!」
ガープによる大虐殺が始まる。
「魔法使い職は逃げなさい! あんたの相手はこっちよ!」
トリスタンさんが銃を乱射して、爆弾を投げつける。しかしガープの動きが速すぎる上に逃げながら魔法使いたちは倒されていく。
レッカなどは杖や魔導書にあるスキル攻撃に変える判断をする。しかしガープはそれを受けると肉体活性の効果でどんどん強くなっていった。
「くそ! ブリージングガメン!」
「ぬるい!」
レッカがぶっ飛ばされるとブリージングガメンの効果が消える。更に雫ちゃんや他の部隊長たちが次々狙われる。
「ミライちゃん! 逃げて!」
「ふん!」
「……マダムさん!?」
「次はお前……速いな」
シフォンが一番に駆け付けて、ガープに斬り掛かる。ガープはそれを受けながら、カウンターを狙う。
「エアリアルゲイル!」
「む!?」
シフォンの姿が消えるとガープは斬り刻まれる。更に振り返ったガープにもう一度同じ技を使うとミライを保護して距離を取る。
「ふん! 逃さん! ぬ!?」
追撃に出ようとしたガープは突如追撃を止める。理由は起死回生で生き残った与一さんがタスラムを構えていたからだ。
「やらせん!」
「消し飛べ!」
「テレポート! 悪魔技デモンクラッシャー!」
ガープはタスラムの弾丸を上から殴りつける。
「ぬぅうううう! おぉおおおおお! らぁ!」
ガープは見事にタスラムの弾丸を地面に叩きつけ、城壁の破壊を阻止した。
「今のは焦ったぞ。何!?」
ガープに魔法が降り注ぐ。それをガープは腕をバツにしてガードする。ガープが確認すると自分が倒した魔法使いたちが蘇っていた。
「あの娘の仕業か……ならばさっきの砲撃は時間稼ぎと注意を反らすといったところか。合流されてしまってはどうしょうもない。魔軍!」
ここでガープの配下であるマーシャルデーモンたちが現れる。それを察知したみんなはすぐさま撃退に動くがガープが魔法使いたちに襲いかかる。
「「「やらせん!」」」
満月さん、帝さん、マグラスさんがガープのパンチを盾で止める。
「ほぅ…だが、甘い! 発勁!」
「「「ふん!」」」
発勁が放たれた瞬間、三人は盾から手を離す。この瞬間、発勁は不発する。衝撃を伝える発勁は伝える物が無ければダメージを与えることは出来ないという弱点があった。
「何!?」
「「「はぁあああ!」」」
「ぬぅうう!?」
盾を手放したことで自分の武器を両手で握り、普段は発揮されないパワーでガープに攻撃を加えるとガープが下がる。
「いい筋肉だ! うぉおお!」
「「「はぁああ〜!」」」
ガープと三人のパワーがぶつかり合う。しかしこの三人でもガープの格闘技術は凄まじいものだった。大剣の側面を蹴りつけるのも披露したり、またパンチも蹴りも一つ一つが次の攻撃に繋がってた。
故に隙がなく、次々襲いかかるメル達も対処されていた。しかし返り討ちに合っても回復を受けて、すぐに襲い掛かってくるメル達にガープも苛立つ。
「あの娘、最初に仕留めるべきだったか」
ケリュケイオンを持つミライが完璧なサポートを見せていた。元々ミライは回復を発動させるタイミングが抜群に上手い。
攻撃を受けるのを読んで回復魔法を使うという俺には出来ない技を披露している。
ただ今までは自分の反応に魔力と魔力回復量、詠唱速度が間に合っていなかった。しかしケリュケイオンならミライの本来の能力を十分に発揮されてくれる。
ガープは今、英雄クラスのゾンビに囲われている気分だろう。それくらい全員がミライの回復を信じてガープに襲いかかっていた。
流石のガープも上位プレイヤーにひっきりなしに攻撃させると後衛に下がっているミライを狙うのは厳しい。
「シフトチェンジ!」
ガープは上空で戦っているマーシャルデーモンと入れ替わり、メルたちの包囲から抜ける。当然その瞬間入れ替わったマーシャルデーモンはメルたちにボコボコにされる事になる訳だが、その間にガープは構える。
「魔王波動!」
「「「「ガーディアンエンブレム!」」」」
「ぬ!? はぁあああ!」
「「「「なめるなぁあああ!」」」」
それぞれの国の紋章が描かれた盾が重なるように展開されるとガープの魔王波動とぶつかり合うと何枚か紋章は砕かれるが見事に防ぎ切った。
「ち! はぁああ!」
「やらせないよ! 飛び蹴り!」
ガープはライダーキックに出るがリサが逆にライダーキックでぶっ飛ばす。
「ぐ…ははは! 今のは効いたぞ!」
「やぁああ! え? 消え…きゃ!? な、何してるのぉおおお!? ちょ!? 待って!? 恥ずかしきゃああああ!?」
ガープはリサを逆さに持ち上げるとリサの両腿を手で掴み、リサの首を自分の肩口で支えると地面に急降下する。
「魔王技! デモングランドバスター!」
「がは!?」
「ふん」
地面に着地した衝撃をもろにリサは受けて、身体中に部位破損の状態異常になる。そしてリサは捨てられる。更に落下した衝撃波で周囲にいたプレイヤーまでぶっ飛ばされている。
ここでメルたちが再び襲いかかろうする。
「魔王技! デモングランドクラック!」
ガープが地面を強く踏みつけると波動が地面を走る。これをメルたちは受け止める。
「魔王技、奥義! インフィニティデモンズラッシュ! はぁああああああ」
ガープはパンチを連打する。しかしメルたちからは距離がある。次の瞬間、メルたちの目に無数に飛んでくる魔力のパンチが映る。
それぞれが武技を使用するが魔力のパンチに触れた瞬間、とんでもない衝撃波が発生し、武器が弾かれる。そして全員がボコボコに殴られ、ぶっ飛ばされる。
「ホーリーティアーズ!」
ケーゴが身体を張って、守ったミライがケリュケイオンを振ると光の雫が天から落ちる。すると地面に落ちた光の雫を中心にフィールド全体に光が広がり、全員が全回復で蘇生する。
「振り出しだな。さっきの時間で俺も全回復しているぞ。それにお前達の武器はいつまで俺の拳に耐えられるかな?」
ガープがそう言うと上級魔方陣がいくつも展開される。更に天撃などの大技も無数に使用される。これにメルたちも合わせようとするが信じられない物をメルたちは目撃することになる。
「ぬぅぅぅん! 魔界震!」
ガープの拳を中心に暗黒の振動波が発生するとそれを受けた魔方陣は粉々に砕け散り、天撃などは不自然にずれ、飛び出したメルたちの視界が揺れるとぶっ飛ばされる。
「う……ミライちゃん!?」
「……大丈夫。ケリュケイオンの蘇生スキルで助かった」
「想像以上に化け物だな」
「普通に魔神クラスじゃないのかよ。あの筋肉達磨」
アーレイの言葉にガープが答える。
「私は魔神ではないぞ。その証拠にこれ以上は強くなれないからな」
「「「「ご丁寧にどうも!」」」」
みんなが疑問に思っているのはこの状態で魔神レベルの強さを誇っていることにツッコミたいのであって、更に強くなるとかは別問題だ。ランスロットが言う。
「これはやはりあれをするしかないですね」
「だな。このままじゃあ、埒があかねー。一気に決めるしかねーだろ」
「同感です。みんなもいいよね?」
「「「「もちろん!」」」」
ガープの討伐方法についてはみんなが議論しており、結局は今までのボス戦と同様の攻め方が一番有効であるという結論に至った。
「勝負に出るか。その攻撃、私の愛の拳で粉砕してくれよう! ぬ!?」
ガープの影から忍者たちが飛び出す。それをガープは予知し、攻撃を躱すが忍者たちの狙いは攻撃じゃない。
「ぬ!? 糸か! 何?」
ワイヤーに取り付けられた札が爆発する。
「くだらん!」
「でぇええい! 光爆拳! 消し飛べー! 神波動!」
リサの拳が腹に突き刺さると閃光と共に大爆発し、更にヌアザ・アガートラームによるゼロ距離からの神波動が炸裂する。
「ぬぅぅん! む!」
「「「「英雄技! トロイア・プライド!」」」」
レイジさんたちによる投槍攻撃が放たれる。それを三つもガーブは拳で弾くが残り二つは防御しきれず突き刺さる。それを見て、ガープは全てを察した。
「なるほど。そう来るか。お前達の全力での連携攻撃! 私の命を削れるなら削って見るがいい!」
そう。結論はどれだけタフでも短時間で大技を連続で浴びせ続けて生命力を削り切る。結局のところ、これが一番の攻略法という結論に至ったのだ。ただ一度は一緒に戦ったことがある人達だけど、いきなり連携すると言うのは難しい。
そこでそれぞれの国ごとに連携する形を取った。国と国との連携を変える地点にはランスロット達NPCを配置して、連携が変わるタイミングを分かり安くした。
「これで終わりだ!」
「ぬぅうう!? ふ、ははははは! まだだ! まだ俺の筋肉は生きているぞ!」
完全に止めだと思われた攻撃を受けてもなおガープは攻撃をして来た。
「どういうこと!?」
「蘇生か?」
「……違う。ガープに数字が出ている。たぶん生命力が無くなることをトリガーに発動する一定時間の無敵化だと思う」
ミライの予想は当たっていた。スキル名は捲土重来。起死回生と似ている言葉で一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すという意味で使用される。
「そんなスキル、格闘家にはないよ!? ずるい!」
「たぶんまだ覚えられていないだけだろうね。リサちゃん、仙人のクエストは途中で放り投げたから」
「う!?」
リサは落ち着くとかじっとしているのが苦手なタイプだ。故に仙人の修行には向いていない。そこにヌアザ・アガートラームを手に入れたことでもう仙人の修行なんてしなくていいんじゃないと思ってしまうのがリサの悪い所だ。
結局ガープに今より強くなるためには強くなるクエストは避けては通れないと証明された。しかしリサはこういうのは認めない性格だ。
「だ、だったら、あいつを倒して、証明すればいいんでしょ!」
「ちょっと!? リサちゃん!? あぁ、もう! どうしてすぐに暴走しちゃうかな!?」
「メルが責めるからでしょ。ほら、行くわよ。保護者さん」
「……もう手遅れ」
リサは拳を放つとガープは拳を掴み、そのまま回転させて、リサに拳を叩き込むと最後に蹴りでぶっ飛ばされる。合気道からプロレス技まで使えるガープの格闘術の幅広さに舌を巻くばかりだ。
「うぅ…」
「これでわかったかな? 仙人の修行、頑張ろうね。リサちゃん。後、終わったら、お説教があるから逃げないでね?」
「おい…メルさんの笑顔が凄く怖いぞ?」
「そこがまたいいんだろう?」
ケーゴのメルへのぞっこんっぷりも大したものだ。そして時間切れを迎える。
「そろそろか……」
「「「「な!? 逃げた!? っ!?」」」」
地面から八岐大蛇が現れ、プレイヤーたちの行く手を阻むとガープは城壁に着地すると城壁が崩れて、中が露わになる。そこにはキマイラより、更に巨大なドラゴンのようなキメラがいた。
ジャバウォック?
? ? ?
ジャバウォックは不思議の国のアリスの続編である鏡の国のアリスに登場する架空の生物だ。
「「「「嘘だろ……」」」」
「「「「嘘でしょ……」」」」
全員が嫌な予感を感じているとジャバウォックは動かない。するとガープに魔方陣が展開される。
「あれを止めろ!」
「「「「シャアアア!」」」」
「「「「ガァアアア!」」」」
魔法使いたちが止めに入ろうとするが地面や影から召喚獣が飛び出し、更に空からマーシャルデーモンたちも突っ込んで来た。これにより邪魔が出来ない。
「悪魔魔法! デモンズ・サクリファイス! さぁ、私の筋肉と召喚獣たちを生贄に蘇るがいい! 幻想の魔獣よ!」
ガープと召喚獣たちが消えるとジャバウォックに吸収される。するとジャバウォックの目が真っ赤な光が宿ると身体膨張し、鋼の肉体を得た。ジャバウォックが復活するのだった。
いつも『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』を読んで頂き、誠にありがとうございます。三年もこの作品を書いて来れたのは読者の皆さんのお陰です。改めて感謝申し上げます。
作品の時間では残り一か月と少しで終わってしまうことになります。途中で期末テストとイベントが一つ来て、それから最後のイベントという形になる予定です。
その途中で誠吾を救った爺さんとの決闘、リリーたちの現実とゲームの世界の話をする、シルフィ姫様との結婚クエスト、ドラグニックマウンテンへの挑戦、アテナとは別の神との契約クエスト、レヴィアタン戦、アスタロト戦、ベルゼブブ戦、ルシファー戦などがあります。
結構上げると一か月で終わるのか自信が無くなって、来ますがしっかり最後まで書きたいと思っておりますので、最後まで『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』をよろしくお願い致します。




