#1010 うみへび座の試練二階
改めて9月29日午前7時より新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』がスタートします。よろしくお願いします。
うみへび座の試練の次の敵も判明しているので、メンバーは全て決めてある。今回選んだのはセチア、恋火、アリナ、ぷよ助、伊雪、クリュスだ。そして敵が現れる。
ギーブル?
? ? ?
アトランティスにいたヴイーヴルにそっくりな敵だ。違いは額に宝石がない所でクリュスと同じタイプの敵だった。手に持っているのは三叉槍のみ。情報ではかなりトリッキーな攻撃を仕掛けて来るそうだ。
クリュスはこの敵を見て、やる気満々だ。他の皆も空気を読んで一度引き、クリュスとギーブルの一騎打ちとなる。
クリュスが盾を構えて動かないので、最初に仕掛けて来たのはギーブルだった。三叉槍を構えて突っ込んで来る。これをクリュスは盾で受けようとするとギーブルは直前で体を捻ると尻尾で盾を攻撃する。
「く!?」
更に空いている手にドラゴンクローを使うとクリュスの盾をどかすと至近距離から腐蝕ブレスをクリュスに浴びせた。強引かつしっかり考えられたコンボだ。多連撃を上手く使いこなしている。
「あぁああ!?」
顔に腐蝕ブレスを浴びて悶絶しているクリュスを尻尾の一撃で壁にぶつけると雷速で投げられた三叉槍がクリュスに迫るとその攻撃は空間歪曲に吸い込まれるとギーブルの背後から三叉槍が飛んで来るが尻尾で掴んで止めた。
空間歪曲を使ったのはセチアだ。手にはエターナルマウニラバーがあった。俺より先に使うだと!?
「クリュスを苦しめたあなたを強敵認定してあげましょう。私の夫との誓いの証、このエターナルマウニラバーを恐れぬならばかかって来なさい!」
凄い恥ずかしい事を言われた。しかも誰も何も言わない。俺まで恥ずかしくなってくるんだけど…言った本人であるセチアは顔が赤くなっていく。
「あの…流石にノーリアクションと言うのは辛いのですが」
なら何故言ったんだよ。俺がそう思うとギーブルは目から死滅光線を放ってきた。しかしそれはセチアたちに届くことはなく弾けて消える。
「光線系のスキルはこの杖には通じませんよ?」
それならと腐蝕ブレスが放たれる。しかしそれは突き上げる海流にぶつかり、止められた。
「それも通じません」
「シャー!」
黒雷が放たれるがそれも死滅光線と同じように消滅する。光は光子という粒子で作れており、雷も電子という素粒子で作られている。つまり両者ともに粒子支配により、コントロールされる。分かっていたことだけど、エターナルマウニラバーは恐ろしく強い。
恐らく攻め手が無くなったのだろう。ギーブルは直接攻撃に打って出る。これを向かえ打つのは恋火だ。しかしやはり馴れない水中という事もあり、動きが悪い。
「くぅうう! は! や! きゃ!?」
最初の槍の一撃は止めたが押され、その後、尻尾から槍、二度目の尻尾の攻撃を捌き切れず、吹っ飛ばされる。
「伸びなさい!」
「カァ!?」
後ろに控えていた伊雪が伸ばした錫杖がギーブルのがら空きだったお腹に入り、そのまま地面にぶつけると伊雪は元の大きさに戻して錫杖を構える。するとぶっ飛ばされたギーブルにセチアの魔法攻撃が降り注いだ。更にアリナも追撃を加えるとアリナの苦無が弾かれる。
クリュスと恋火が復帰して、ギーブルの体が金属の様になっていた。竜鱗装甲に加えて金属装甲まで使えたのか。しかもセチアの魔法攻撃に耐えた所を見ると魔法耐性もあるな。
ギーブルは今度はスクリューランサーを使い、突っ込んで来る。これに対してクリュスは盾を構えたまま、ぶつかると尻尾と槍で打ち合いになる。そして至近距離からドラゴンブレスを撃ち合うとこれは互角だった。
そして再び二人の戦いが加速する。どうやらクリュスとギーブルを戦わせた正解だったようだ。どんどん動きが良くなっている。押されてダメージを受けているが楽しそうだ。しかしそんなクリュスがうざったくなったのかギーブルは毒霧を目くらましを使うとセチアたちに襲い掛かって来た。
「どーんなの!」
アリナが熊童子の雷鼓を鳴らすと雷弾が連射されるがそんなので止まる相手では無く、恋火と伊雪がセチアの守りに入る。しかしドラゴンテイルとドラゴンクローでぶっ飛ばされてしまう。そしてセチアにギーブルの槍が突き刺さる。
厄介なセチアを倒した喜びだろうがこんなのでやられるセチアではない。夢幻による幻術が解かれるとギーブルが突き刺したのは木分身だった。
「これで終わりです。森林操作!」
「シャ!?」
木分身から木々が生え、ギーブルを拘束する。しかしここでギーブルは守りを構えて、皆の攻撃を受けながら強引に木々の拘束を解こうする。そんなギーブルの体が煙を上げるとギーブルは悲鳴を上げる。
視線を向けるとそこには擬態で透明になっていたぷよ助がくっついていた。なんとかぷよ助を倒すためにスキルを発動しようとするが発動することはなかった。
「あなたのいるそこは私の支配領域です。スキルなど使わせませんよ」
「シャ…シャ…」
ギーブルは自分の死がどういう事になるか悟った。そしてクリュスを見る。
「これはあなたが選んだ死よ。私と戦っていればこんなことにはならなかったのに残念だわ」
「アァアアアアア!?」
ギーブルは悲鳴を上げながらぷよ助に飲み込まれて終わった。
「お疲れ様。苦戦したな」
「えぇ。でも楽しい勝負だったわ」
「顔を見ればわかるよ」
クリュスは満足げだが、恋火は課題を見つけた。
「水中でも地上のように刀を振れるようにならないと行けませんね! やぁ! たぁ! まだまだ遅い気がします!」
恋火の頭を撫でて落ち着かせる。ある意味では今回のクエストは来るレヴィアタン戦に向けての予行練習にもなっている。みんなの戦い方、敵の戦い方を学ぶにはいいクエストだ。何せ俺は見ているだけだからね。
「それにしてもセチア」
「ここは誰もいませんし、相手は強敵でしたからしょうがないんです」
絶対に俺より速く使いたかっただけだ。まぁ、勝ったんだし、良いか。解体をするとしよう。外れだった。
「ぷよ助、食べすぎ」
俺がそう言うとぷよ助は震えて抗議していた。
「冗談だよ。一旦ここで帰ろうか。お昼からはニックさんとの約束があるからさ」
「「「「はい!」」」」
こうして俺はお昼の為にログアウトした。




