#1006 セーレ砦侵攻戦
予告した通り、重大発表をさせて頂きます。
9月29日より、新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を始める事になりました。EOと同じように多種多様な亜人とモンスターが出て来る異世界ファンタジーとなっております。ぶっちゃけるとEOの異世界ファンタジー版ですね。主人公は作戦を考えて、仲間をサポートする主人公で行くつもりです。
配信開始日は三話更新。その後、一か月二話更新を予定しております。どこまでの長編作品にするかはまだ決めていませんがEOほど長くなることはないと思います。
またこの作品の更新に伴い、10月3日からEOの更新は日曜日の23時更新で一週間更新とさせていただきます。EOの更新を楽しみにしていただいている皆様には申し訳ございませんがご容赦ください。
11月からの更新は新作の更新と合わせて、10月24日に判断させて頂きます。新作共々よろしくお願い致します。
暗黒大陸の梅雨の森から東へ向かった先では、多数のテントが貼られていた。そこに俺たちは顔を出す。
「フリーティアの英雄だ。ここを通して貰おうか」
「それは出来ないかな?」
「見事に罠に引っかかってくれたわね」
みんなが俺たちを囲い込む。
「ど、どういうことだ? 俺はフリーティアの英雄で」
魔術殺しの魔導書の効果で俺たちの姿が悪魔になる。セーレには俺の姿は知られている。偵察で俺の姿が見当たらないなら変装で敵部隊に潜入するなら打ってつけの人物だろう。
「な!? どうしてバレた!?」
「変装は完璧のはず」
「そうね。でも、私たちのギルマスは自分が参加しないと決めたら、参加しないのよ」
「内心は心配してて、一緒に戦いたい気持ちで一杯だと思うけどね」
全員がメルの発言に笑顔を見せる。度々一緒に戦って来たみんなだ。俺の事はよくわかっている。こうしてキルケーの変身薬での侵入を防いだみんなはいよいよ進軍準備を整えて、作戦開始時間を迎えた。
「全軍進軍開始! セーレが守る砦を攻め落とす!」
「「「「おぉおおお!」」」」
先陣を担当したのはライヒ帝国が誇る鉄騎兵部隊とフリーティアが誇る空中爆撃部隊だ。この突撃に対してセーレの砦からはダークペガサスナイトとグレーターデーモンを中心にした部隊を展開する。
最初にぶつかり合ったのはやはり空中部隊だった。そしてアルさん達は押される。
「く…上手い!」
「超連携を使って来る上にしっかり他のダークペガサスナイトと連携してきてるよ!?」
ダークペガサスナイトは機動力と連携でアルさん達を翻弄してきて、更に地上を走っている帝さん達が爆撃されるが雷弾で撃ち落とされる。
更にダークペガサスナイトたちは予期せぬ謎の勢力から襲撃を受けた。それは漆黒の翼を有するホークマン。かつてゴネス大戦で一緒に戦ったオプス率いるレイブンの部隊だった。エアティスさんが今回は夜での戦闘ということでオプスたちを呼んだのだ。
「お前たちに夜空は似合わん。雷波動!」
オプスたちの参戦でダークペガサスナイトたちの勢いを無くし、アルさんたちが有利になる。そして今度はアルさんたちが電磁投射装置で城壁を攻撃する。すると電磁投射装置で放たれた攻撃が空間歪曲に吸い込まれた。
「上です!」
「やらせません!」
アロマの堕天使ちゃんが雷光を使い、一瞬で自分たちの上に発生した空間歪曲を虚空切断で斬り裂くことで阻止した。しかしこれで下手に攻撃すると空間歪曲で逆に自分たちがピンチになることが分かった。ここでアルさんたちは狙いをダークペガサスナイトに絞る。
その間に地上戦が激しくなる。最初は突破していた鉄騎兵部隊だが、モーニングスターを装備しているオーガの出現で馬から落とされる。その彼らに中堅に控えていた本隊が救援の為に合流するが砦からの弓や投擲、魔法に晒される。
そしてみんなが砦に意識が向いたタイミングでセーレが動いだ。後方からダークペガサスナイトの大部隊と共に現れて、後方にいる魔法使いたちを狙って来たのだ。その判断は戦術的には正しい。だが、奇襲するのがバレていた時点でこの作戦は失敗だ。
「「「「ファランクスランパード!」」」」
最後方に配置された満月さんがこの奇襲を防いだ。
「く! な!?」
「鉄砲隊、攻撃開始!」
セーレたちに与一さん達による容赦ないマシンガンが放たれる。しかしすぐさま罠だと気付いたセーレは砦に逃げ込む。
「くそ! ん? なんだ? この振動は?」
「カラドボルグ! 伝説解放! 聖剣技! クリーオウボルグ!」
砦の地面から巨大なドリルが飛び出し、砦内の敵を貫いた。この攻撃はセーレは愛馬のお陰で無事だったがその愛馬が犠牲となった。
「く…そんな地面の下から奇襲だと!? このタイミングで!?」
奇襲を失敗されて逃げ込んだ先を今度は逆に奇襲で襲う。なんとも意地が悪い作戦だった。穴が空いた地面から次々潜入部隊が入り込み、砦の制圧に入る。
砦の城壁にいた部隊が潜入部隊を狙おうとしたところに電磁投射装置が襲い掛かり、空中部隊が城壁に取り付くと召喚師たちが召喚獣を一斉に召喚して、一気に城壁は制圧される。城壁にいるのは主に遠距離攻撃に特化している者だ。いきなり狼などに襲われたら、ひとたまりもない。
「く…このままでは…いったん引くしか…っ!? 身体が!?」
「久しぶりだねん。セーレ」
「あの時の仕返しに来たよ」
「…覚悟」
銀たちはセーレに酷い目に合わされたことでずっとこの機会を待っていた。だからこそ誰よりも早くセーレを見つけられたのかも知れない。
「あなたたちはあの時の…ふ。舐められたもの」
「口寄せの術!」
「何!? ふ、何も起きな」
セーレの上から壁が落ちて来て、セーレは潰された。
「忍法ぬりかべ落としの術だよん」
忍術の最強の技がこの口寄せの術だ。基本的には和狐の式神と似ているが式神と違っている所はこちらには時間制限が長く、紙などは必要としない点だ。しかしセーレもこの程度でやられる悪魔じゃない。
なんとかぬりかべを倒して、脱出するがセーレが見た光景は遮断結界で閉じ込められ、プレイヤーたちに囲まれている光景だった。
「あなたはあの時、私たちには手を出さなかったよねん?」
「だから私たちもあなたに手を出さないで上げるよ」
「…さようなら」
「く…うおぉおおお!」
こうしてセーレは倒され、インフォが来る。
『セーレの領地が解放されました』
こうして魔王討伐同盟は初めて戦果を挙げるのだった。




