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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
オリハルコン鍛冶クエストと色欲の魔王
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#1005 異星の邪女神とマナ発生装置贈呈

完全にしてやられた。アザトースが攻撃して来なかったのは俺たちの星間跳躍を読んでこの宙域に俺たちを誘導するためだったのか。それにしても星間跳躍に罠を貼るなんて並みの存在で出来るとは思えない。それをしでかした元凶が現れる。


「あはははは! 大成功! やっぱあたしって天才じゃない? 役立たずの従兄妹とは大違いだよねー!」


ギャル口調で蝙蝠の羽を持つ邪神がマザーシップの画面に表示される。それを見たイクスが正体を言う。


「マイノグーラ!」


マイノグーラ?

? ? ?


マイノグーラはナイアーラトテップの従姉妹とか言われている邪神だったはず。このゲームじゃ従兄妹関係ということになっているんだな。


「はいはい。わざわざ言わなくても自分の名前ぐらい知ってるつーの。間抜けなエクスマキナのマスターに間抜けなデウスエクスマキナ」


こういう女は嫌いだ。軽々しく悪口を言う人はアルバイトをしていると沢山出会って来た。正直言って自分が有能アピールする人間はその時点で自分が有能じゃないとアピールしていると俺は思っている。


だって、本当に有能ならアピールする必要がないからだ。自分が本当に有能だと思っている人は是非行動で証明して欲しい。それを見た人たちはちゃんと評価してくれるはずだからね。


俺が司令官の椅子で溜息を出すとその態度がマイノグーラは気に入らなかったようだ。


「何よ。何か言い返したらどうなの?」


「悪いが俺たちは暇じゃないんだよ。お前が有能ならさっさと用件を言ってくれるか?」


イクスたちが笑う。早く用件を言っていないマイノグーラを有能じゃないと否定したことが分かったようだ。そしてそれはマイノグーラも気が付く。


「間抜けな癖に口は回るのね。いいわ。この状況を見ても理解出来ない頭が悪いあなたたちに教えてあげる。あなたたちを殺しに来たのよ。最も殺すのはあたしじゃなくてこいつらだけどね!」


そういうとマイノグーラがいなくなり、ショゴスたちから光線が放たれた。


「シールド展開! 同時に迎撃! この宙域から離脱するぞ!」


「イエス、マスター!」


マザーシップはただの光線ではびくともしないがマイノグーラの発言からこいつらにはマザーシップを落とすなんらかのスキルがあると考えるのが普通だ。幸いマザーシップの兵器で倒せてはいるけど、完全に周囲を囲まれているこの状況ではきつすぎる。


「この状態で格納庫のハッチは開けるか?」


「開けはしますがシールドを展開中は外には出れません。シールドを解除すると可能ですが」


「その瞬間、マザーシップは無数の光線を浴びることになるか。マイノグーラは補足出来ているか?」


「はい。超次元レーダーで捉えています。どうやら星間跳躍や異次元航行で逃がさないようにしているみたいです」


そう来るよな。こうなると正面突破しかないか?火力を集中すれば…いや、これは誘われている。まずこの光線攻撃を何とかしないと…敵の狙いは完全にマザーシップとなっている。なんとか奇襲出来れば…俺は画面を見て、思いつく。


『アインシュタインさん、無事ですか?』


『光線程度なら防げるわい。じゃがこれは不味いぞ。タクトよ。わしらの魔力にも限界がある。完全に嬲り殺し状態じゃ』


『俺がなんとかします。もう少し凌いでください』


『任せよ! ここで死ぬなんてまっぴらごめんじゃ!』


俺はヒクスの元に向かい、イクスとのシンクロビジョンを発動させる。そして安全な空間を視認する。そして今度はヒクスにシンクロを使い、転移先をヒクスに伝える。


「跳べるな? ヒクス」


「ピィ!」


「よし。行くぞ!」


ヒクスが空間転移で安全な空間で俺たちは現れる。成功した!星間跳躍と異次元航行を気にしていたマイノグーラにとって、ヒクスの空間転移は完全にノーマークのスキルだったようだ。俺はここでスピカとサフィを召喚する。黒鉄はちょっと出すのが怖いから保留。


『今まで好き放題攻撃してくれた分を返すぞ! みんな!』


俺はゼノ・ゲイボルグを構えてヒクスと共にショゴスたちに奇襲をかける。するとゼノ・ゲイボルグに異変を感じた。ゼノ・ゲイボルグの即死が発動していなかったのだ。寧ろショゴスを貫いたゼノ・ゲイボルグの先が煙を挙げてボロボロになる。腐蝕の上位スキルだろうか?流石の叡智も異星のモンスター相手では識別出来ない。


一つだけ確かなことはこいつらは恐らくアザトースとは関係がない普通に宇宙にいるモンスターである可能性が高い。それならゼノ・ゲイボルグの即死攻撃が発動しない説明が付く。ゼノ・ゲイボルグが狙うのはアザトースの力の結晶とゲイボルグが本来持っている心臓のみだ。それらが無いなら即死が発動しないのも分かる。


『ピィ!』


『ん? どうした? ヒクーーい!?』


ゼノ・ゲイボルグを持っている手が捻じれていた。俺はゼノ・ゲイボルグを手放すと手が空間に飲み込まれて片手を喪失した。これで星熊のアリエスグローブの片方も失ってしまった。和狐に怒られそうだな。


「あはははは! 片腕失ってやんのー! だっさー!」


ゼノ・ゲイボルグは念動力で操れるけど、超連携がかなり厳しくなった。さて、元凶はどこだ?こんな女神がこんなこと出来るとは思えない。


「失礼ね。あたしにも空間圧縮くらい簡単に使えるわよ。何せあたしのしもべで使えるくらいだからね」


空間から黒い犬が現れる。


ティンダロス?

? ? ?


ティンダロスの猟犬か。こいつなら空間を操ってもしょうがないか。因みにこいつはブラックウルフの第五進化に名前が載っていた。するとここでジュゴスたちに異変が発生した。俺はヒクスに足で合図を送り距離を取る。


「ふふふ。ビビっても無駄よ。ティンダロスからは逃げれなーーきゃ!?」


ここでマイノグーラが何かにぶっ飛ばされると俺たちの方に飛んで来てヒクスがティンダロスに蹴り返すとティンダロスは空間転移で逃げた。(しもべ)にあっさり見捨てられたな。可哀想な邪女神だね。


「ちょっと! いきなり何してくれてんのよ! 今のは顔よ!」


嫌いなタイプの女性と敵には手加減しないのが俺のモットーだ。


「何ドヤ顔で思っているのよ! それに最初に攻撃したのは誰…よ?」


そこにはジュゴスたちが集まり、巨人となったモンスターがいた。


ジュゴスロード?

? ? ?


そいつが俺たちとマイノグーラにテレパシーで警告する。


『ココハワレワレノリョウイキ(ここは我々の領域)、デテイケ(出て行け)。デテイカナイナラハイジョスル(出て行かないなら排除する)』


「はぁ? 誰に口をきいているわけ? 殺されたいの?」


一応言葉にはなっているからこちらもコミュニケーションで返答する。


『俺たちはエクスマキナの母星に行きたいだけだ。攻撃して来ないなら戦闘の意思は無いし、すぐにここから出ていくよ』


『ワカッタ(わかった)。オマエタチヘノコウゲキヲヤメル(お前たちへの攻撃を止める)。ハヤクデテイケ(早く出て行け)。ワレワレハテキヲハイジョスル(我々は敵を排除する)』


ここでジュゴスたちの標的がマザーシップからマイノグーラとティンダロスに変化した。これにはマイノグーラは声を荒げる。


「何考えているのよ! この無能生物! 最初にあいつらがあんたたちの領域に入って来たんでしょうが!」


『ダカラコウゲキシタ(だから攻撃した)。シカシココカラスグニデテイクトイウナラコウゲキスルリユウハナイ(しかしここからすぐ出て行くと言うなら攻撃する理由はない)。ソレヨリモワレワレニテキイヲムケタオマエタチノホウガキケン(それよりも我々に敵意を向けたお前たちの方が危険)。ハイジョスル(排除する)』


「上等よ! あたしたちに歯向かうとどうなるか教えてあげるわ! ティンダロス!」


二つの勢力がぶつかり合い出した。今なら星間跳躍が使えるはずだ。スピカとサフィを戻して、ゼノ・ゲイボルグを口で咥えてマザーシップに戻る。


「星間跳躍、行けるか?」


「今、エネルギー充填中です」


「流石だな。エネルギー充填完了次第、星間跳躍する!」


「イエス、マスター」


この間にアインシュタインさんたちの無事を確認する。


『わしらも宇宙船も問題ないわい』


『流石ですね』


『それは我々の言葉だよ。まさか敵の標的を変えてしまうとはね。流石数々の戦場で指揮をして来ただけはある』


『偶然なんですけどね』


ここでエネルギーが溜まる。マイノグーラたちはまだ戦闘中だ。


「最後に一言、どうぞ。マスター」


「あばよ! 無能!」


「星間跳躍、開始します!」


こうして俺たちはジュゴスの宙域を離脱し、エクスマキナの母星になんとか到着した。そして最初にアポに事情を説明して、アインシュタインさんとニュートンさんと会う手続きを済ませると二人はアポの所に連れて行く訳だけど、物凄く苦労した。


あちこち見たり触ったりするものだから連れて行くのに凄く時間が掛かった。


「マスターを困らせないでくれますか?」


「「はい…」」


最後はイクスが銃口を二人に突き付けて連行した。そしてアポに二人からマナ発生装置が渡されて、しっかり機能することを確認した。


「素晴らしい発明品だ。我々以外にもこんなものを作ることが出来る生き物がいたのだな…」


「わしらからするとお前さんたちの技術のほうがずっと素晴らしいんじゃがな」


「これからどうするつもりですか?」


「アザトースは本格的に我々の連携を邪魔しに動いた。こちらも黙っているわけにはいかない。すぐにこのマナ発生装置の量産に取り掛かり、この町の機能を速やかに回復されるつもりだ。そうすれば他のエクスマキナたちも起動させ、アザトース討伐のための艦隊を組むことが出来るだろう」


エクスマキナの艦隊!完全に宇宙戦争な感じがして来たな。一応確認しておかないとな。


「アザトース討伐のための艦隊ということはアザトースに戦いを挑むということですね?」


「あぁ…我々の星と仲間を滅茶苦茶にされたこの借りはエクスマキナの王として返さなかればならない。一緒に戦ってくれるか?」


「もちろんです。俺はイクスのマスターですから。全力で戦う事を約束致します」


こうしてアザトースの討伐にエクスマキナたちが参加することが正式に決まった。更にここで嬉しい申し出がされた。エクスマキナと契約している召喚師がここまで来れたら、バトルシップを契約させてくれるらしい。


流石にマザーシップはダメみたいだが、マザーシップのファクトリーと同じ物がここにもあるらしく、その使用許可がされた。これでみんなのエクスマキナたちがだいぶ強くなるはずだ。最もみんなに待っているのは装備素材を集める地獄だけどね。


更に俺たちのマザーシップを修理してくれることになった。最もすぐにというわけには行かないらしい。


「エクスマキナたちの起動に三日はかかるだろう。君たちのマザーシップを治すのは四日後となる。最もその腕ならすぐにでも治して挙げられる。イクス、医務室を使うことを許可する」


「ありがとうございます。では、マスター行きますよ」


「あぁ…ありがとうございます」


医務室に行くと電力はなく、魔力をごっそり持っていかれた。この抜かれる感覚だけは治らないんだよな。


「罠だろ…これ」


「マスターの腕の治療の為です。我慢してください」


「なんで嬉しそうなんだよ。イクス」


「そんなことはありません」


いや、声がいつもより弾んでいるから間違いないと思う。その後治療を受けた俺はマザーシップで帰ることになるのだが、アインシュタインさんがここに残ると言い出した。


「わしがあのマナ発生装置を作ったんじゃ。当然じゃろう」


「なら私もアインシュタインの監視役として」


「錬金術ギルドのギルドマスターがいつまでも留守に出来るはずがないじゃろうが…それにタクトとの約束もある。分かったなら早く帰れ。研究の邪魔じゃ」


「く…」


アインシュタインさんの言い分が正しいからどうしようもない。結局俺たちはアインシュタインさんを残して帰ることになった。この時、海に転移したんだけど、最初からこうしておけばよかったと思った。


ニュートンさんをエリクサーラピスに届けると鍵のクエストの話をする。


「それはニックさんたちと予定を話し合ってくれ」


ということでニックさんたちのギルドにお邪魔して話の経緯を説明する。


「そういう事なら全員が集まりやすい土日の昼過ぎがいいですね。大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫です」


こうして土曜日の昼に錬金術の最高難易度クエストに挑むことが決まった。そして帰ると和狐に星熊のアリエスグローブを片方失ったことを話し、謝ると逆に心配されてしまう。


「手を失ったんどすか!? 大丈夫どす?」


「エクスマキナのナノマシン治療は完璧です。頭を撫でて貰って確かめてみたらどうですか? もちろんわたしも確認に参加します」


「そ、そうどすな!」


何故か二人の頭を撫でることになった。取り敢えず素材が無いから星熊のアリエスグローブはすぐに作れないとのことだ。星熊童子をまた倒さないとな。みんなにエクスマキナの星の話をしようとするとみんながいなかった。そういえば今日はセーレの砦攻略をしているんだった。


俺はルインさんとサバ缶にメールを送り、生産作業をしてからログアウトした。


その頃、アザトースの星ではボロボロのマイノグーラが帰って来たところだった。


「も、申し訳ございません…アザトース様。思わぬ邪魔が入ってしまい、失敗しました」


「ほう…確かお前は妾に確実にあいつらを倒す策があると言ったと記憶しているが?」


「そ、それは…」


今回の作戦は完全にマイノグーラの自滅だ。あの時、タクトにちょっかいを出さなければ少なくとも星間跳躍を許すことは無かった。


「ふん。お前には幻滅した。エクスマキナの星でマナが復活すれば奴らは妾たちに艦隊を仕向けるだろう。ここで戦力を失いたくはない。今回の失態はエクスマキナたちとの戦争の戦果次第で許してやる。下がれ」


「は…ははー!」


マイノグーラはアザトースとの面会を終えると壁に拳を叩きつける。


「あの人間の男…必ず殺してやるわ!」


一方的に憎しみをタクトに向けるのだった。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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