#1003 サイクロプス三兄弟
9月19日の更新で重大発表をさせて頂きます。更新を止めるとかの報告ではありませんので、ご安心して下さい。
洞窟内を進んでいくと溶岩が流れるフィールドとなり、灯りが必要無くなった。その分、溶岩の中からメルトスライムは出て来るし、サラマンドラが奇襲してきた。ま、この程度なら問題はない。ただこの溶岩は普通の武器を入れると溶けてしまうらしい。
犠牲になったのはユウェルの鋼のフレイルモーニングスター。落ちた瞬間、瞬殺だった。
「べ、別に悔しくなんて無いからな!」
泣きそうなユウェルの頭を撫でて慰めてあげた。そんなことがあったがどうやら出口に到着したらしい。洞窟を抜けるとそこには広い空間があった。ただしただ広い空間ではなく、広い空間の中心には巨大な金属が置かれていた。
「なんだここ?」
「タク。ここはたぶん鍛冶場だぞ。目の前にあるのが金床で壁にあるのが炉だ」
「え? ちょっと待ってくれ。大きすぎないか?」
そこで俺はヘーパイストスの神話を思い出した。そして俺の予想が的中する。
「あ? なんだぁ? お前らはぁ?」
「どしたぁ? アルゲス? ん? こいつは人間かぁ?」
「仕事しろ~。兄ちゃんたち。そいつらは敵かぁ?」
識別する。
アルゲス?
? ? ?
ステロペス?
? ? ?
ブロンテス?
? ? ?
このサイクロプス三兄弟はゼウスのケラウノス、ポセイドンのトライデント、ハデスの隠れ兜を作ったという伝説があるサイクロプスだ。この話ではヘーパイストスとはその後、弟子入りをする関係にある。話し方が田舎のお爺ちゃんみたいだから交渉の余地があるかも知れない。
「違います。俺達はここに通りかかっただけで」
「人間の言う事なんて信じられるか!」
「ここから出てけー! 黒雷!」
問答無用かよ!
「仕方ない。やるぞ! い!?」
目の前にいきなりステロペスが現れた。速い!?今のは雷光か!
「おらぁ」
雷の速度で振るわれたハンマーが俺に直撃し、ぶっ飛ばされる。
「タク!? この!」
「雷鳴!」
ブロンテスが地面にハンマーを叩きつけるととんでもない雷鳴が発生し、俺たちの体が麻痺する。
「兄ちゃん、今だど」
「万雷!」
アルゲスがハンマーを上げると俺たちに万雷が降り注いだ。
「強いな…流石ウラノスとガイアの息子って事か」
こうなるとこちらも手加減出来ない。
「レギオン召喚!」
リリー、イオン、セチア、イクス、ノワ、リビナ、リアン、ブラン、セフォネ、ファリーダ、アリナ、グレイ、虎徹、コノハ、チェス、ゲイル、アラネア、ダーレー、狐子、ルーナ、ミール、伊雪、リオーネ、ルミを召喚する。
「敵が増えたど!? 兄ちゃんたち」
「心配するなぁ。こんな奴ら」
「どーん!」
「ぐぼ!?」
新しいノーサンバスタードを持ったリリーがアルゲスをぶっ飛ばす。
「兄ちゃん!? よくもやったなぁ!」
ステロペスが雷光でリリーの前に現れるがその瞬間、アリナの清月の苦無が襲い掛かる。
「遅いの」
「全くですね! グランドサザンクロス!」
「ぐわ!?」
「兄ちゃんたち!? よくも~!」
ブロンテスがハンマーを振りかぶる。やらせるか!
「アラネア! 拘束してくれ!」
「はい! 鋼索!」
「なんだー!? これー!? こんなもので」
「グォオオオ!」
「どわ!?」
アラネアが鋼索で拘束し、チェスがぶっ飛ばした。
「そこまでだ。みんな」
みんなが武器を突きつけた所でやめされる。ヘーパイストスの関係者だからこれ以上は戦うべきじゃない。
「どうして殺さないんだぁ?」
「俺たちは偶然この洞窟を探索しただけですから。それにあなたたちに聞きたいことがあります。これの鍛冶が出来ませんか?」
俺はオリハルコンを取り出すとサイクロプス三兄弟は反応する。
「オリハルコンじゃねーかぁ。懐かしいなぁ」
「ゼウス達にお礼の武器を作って以来かぁ」
「感謝されたのに今じゃあ、ここから抜け出せなくなったんだよなぁ」
「どういうことだ?」
俺はサイクロプス三兄弟から話を聞くことが出来た。まず話はゼウスがこの三人を助けた所から始まる。ゼウスに助けられた三人はその感謝としてポセイドンから渡されたオリハルコンで先にいった武器を作った。これは現実の神話と一致している。
ここからがゲームのオリジナルの神話でその後も三人はオリハルコンの武器をここで作っていたそうだ。そんなある日、ゼウスとギリシャ神話最強の怪物テューポーンとの戦いがこの山の上空で勃発する。
テューポーンはゼウスのケラウノスの一撃を受けて、この山の火口に墜落し、ゼウスによって、封印された。その結果、火口付近を出口にしていた三人はここから出れなくなったという話らしい。
「出れないの?」
「んだ。ここから出ようとすると怒り狂っているテューポーンに襲われてしまうだぁ」
「俺達も雷を使うがあいつの雷を食らったら、即死だべ」
「だからここで石食いながら生活しているだぁ」
とんでもない話だな。そしてここから先に進むと命が無いと宣告された。話を戻そう。
「可哀想な話だけど、オリハルコンを鍛冶出来るってことでいいのか?」
「今は出来ないどぉ」
「オリハルコンを鍛冶するためにはここにある風の神アイオロスの力が宿っている炉と炎の神アドラノスの力がいるんだぁ」
「炎の神アドラノスの力がないってこと?」
「そうなるだぁ。あいつの上にテューポーンが落ちたからなぁ」
なんだその話は!神話ではヘーパイストスが先にエトナ山にいた炎の神アドラノスを追い出すという話だったはずだが、まさかの死亡?しかもゼウスによってかよ。酷い話だな。
「そうなるとオリハルコンの鍛冶することは出来ないのか?」
「いいや。アドラノスは死んじまったがあいつが使っていたハンマーは残っているはずだぁ」
「んだ。あれはおらたちがアドラノスの力を宿して作ったハンマーだからなぁ」
「ただ神の炎に耐えれる人しか持つことが出来ないと思うだ」
適任者がいるよね。案の定ここでインフォが来た。
特殊イベント『ヘーパイストスの覚醒』:難易度SSSSS
報酬:アドラノスのハンマー
クエスト失敗:やり直し不可、ヘーパイストスが死亡
ヘーパイストスを連れて、アドラノスが死んだ場所まで連れて行く。
やはりヘーパイストスのクエストが来たか。難易度から分かるけど、一応確認しよう。
「そのハンマーがある場所って話の流れからすると」
「テューポーンの近くだなぁ」
「テューポーンは封印されているんだよね?」
「んだ。でもここから出れなくされているだけだど?」
ちゃんと封印しろよ!ゼウス!
「つまり襲われるってこと?」
「「「そうなるだぁ」」」
ヘーパイストスを連れて、テューポーンの攻撃からヘーパイストスを守りながらハンマーの所まで連れて行けと?難易度高すぎだろ。
「どうするの? タクト?」
「様子見は出来るな。ちょっと行ってみるか」
リリーたちを戻して最初のメンバーで様子を見に行く。すると予想外の敵に遭遇する。
デルピュネー?
? ? ?
クリュスと同じなのが六体。完全武装でいた。はい、戻りましょう。
「敵はテューポーンだけじゃないのか…」
この分だとテューポーンの怪物シリーズが全て出て来そうだ。やめて欲しい。
「時間も無いし、今日はここまでだな。あ、ここに何時でも来ていいかな?」
「悪い人間じゃ無さそうだし、別に構わないだぁ」
俺が内心ガッツポーズをしているとユウェルもお願いをする。
「そ、それじゃあ、あれを使っていいか?」
「「「ダメだぁ」」」
どうやら炉を使いたかったようだが、それは許可してくれなかった。ここで帰るとギルドにクエストを報告して、夕飯を食べることにした。夜はニュートンさんとアインシュタインさんと二人で宇宙旅行だ。




