#993 オリジナル料理相談とハロウィンイベント結果
月曜日は祝日で学校は休みでゲームもメンテナンスで休みとなり、俺は冬支度をすることにした。まずは冬用の服を買いに行き、お世話になった喫茶店に行く。
「お邪魔しまーす」
「ん? おぉ! 誠吾君じゃないか! 買い物の帰りかい?」
「はい。後、一つ相談したいことがありまして…聞いてくれませんか? マスター」
「誠吾君が私に相談とは珍しいね」
俺はオリジナルの料理について相談をする。
「オリジナルの料理を作りたいか…それは難しい問題だね」
「やっぱり難しいですよね…」
「というか何をオリジナルの料理という言うかが難しいね。例えばご飯で猫を作ったとする。料理としてはありふれた物だけど、その猫と全く同じ料理があるかと言われるとそれはかなり難しい」
それはそうだろうな。究極的な話をするとご飯の量が違うだけで同じ猫でも違ってくるはずだ。そこで気が付く。
「えーっと…つまり自分がオリジナルと思って作ることが大切ということでしょうか?」
「そういう事になるかな? 当然思っているだけじゃダメだよ。自分はこういう工夫をして、こんな思いでこういうデザインの料理を作ったということが大切なんじゃないかな?」
俺の中で何かのピースがハマった気がした。
「こんな答えでいいかな? すまないね。こんな答えで」
「いえ、何か暗闇が晴れた感じがします。やっぱりマスターに相談して良かったです」
「ははは。それは良かったよ」
「コーヒーをもう一杯貰っていいですか?」
「もちろん」
俺はお金を支払い、食材を買って家に帰ると炬燵や冬用の布団を出して、冬の支度をした。するとその日の夜に炬燵で寝ながらVRゲームはするのは危険というニュースが出た。どうやら火傷と脱水症の危険があるそうだ。完全にやる気満々だっただけに危なかった。
そして火曜日にゲームにログインすると寒く感じた。どうやらメンテナンス中に冬の設定に変えたようだ。現実でも冬服の買い物に行った時にすっかりクリスマスモードになっていたから無理もないだろう。するとインフォが来る。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント3ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント3ptを獲得しました』
『称号『塔の制覇者』を獲得しました』
塔クリアの経験値だな。更に称号のインフォが来た。
称号『塔の制覇者』
効果:スキルポイント+20、ステータスポイント+10
ハロウィンの塔を制覇した者に贈られる称号。
これで俺の残りスキルポイントは合計は140ptとなった。ステータスポイントは全て俊敏性に回す。あっという間にスキルポイントが増えてしまったな。まぁ、いつか使い道が見つかるだろう。
目が覚めて下に降りるとハロウィンの仮装状態のリリーたちが一斉にやって来た。
「「「「寒い~!」」」」
装備を変えて、暖炉を付けると全員が暖炉の前に集まる。
「やれやれ……報酬の確認をしないのか?」
「「「「こっちで見て~」」」」
「もう部屋中が温かくなっているだろう? 見たいならこっちに来なさい」
「「「「はーい」」」」
リリーたちは来るがノワは暖炉の前で寝そべる。ぶれないな。というわけでノワ抜きで報酬を確認する。まずイベント中に獲得したハロウィン衣装とイベントアイテムは報酬としてゲット出来、更にハロウィンのカボチャはアイテムと交換出来るようにしているみたいだ。これは嬉しいね。残っていたカボチャは自動解体されて、アイテムになっている。しっかり解体スキルのレベルも上がっていたことは嬉しいところだ。では塔の報酬を確認しよう。
階層クリア報酬
一階:感染症の治療薬
二階:ギルタブリルの毒針
三階:ウガルルムの毛皮
四階:クサリクの角
五階:ムシュマッヘの剣角
六階:サウィンデスサイズ
七階:ロイヤルオーク
八階:ハロウィンの杖
九階:アパタイト
十階:冥星の鍵
階層ボーナス報酬
五階:シャルーア
八階:ハロウィンの魔導書
十階:ヘカテーの松明
イベントクリア報酬
オルペウスの竪琴、修練の塔で難易度エクストラの解放
階層クリア報酬は全員に与えられて、階層ボーナス報酬とイベントクリア報酬は一つしかないっぽい。この瞬間、オーディン様からロイヤルオークを交換したユグさんたちにはかける言葉が見つからない。個人報酬を纏めるとこんな感じ。
感染症の治療薬:レア度10 通常アイテム 品質S+
感染症を治すことが出来る薬。
ギルタブリルの毒針:レア度9 素材 品質S
ギルタブリルの尻尾にある毒針。致死毒が宿っており、大物のモンスターを討伐する威力を誇っている。
ウガルルムの毛皮:レア度10 素材 品質S+
ウガルルムの炎属性の毛皮。寒さは勿論、熱にも強い毛皮で極寒のフィールドや灼熱のフィールドで大活躍する素材として知られている。戦闘においても紅炎の追撃効果が発生するなど使い道が沢山ある素材。
クサリクの角:レア度10 素材 品質S+
暴風を発生されるクサリクの角。天候を操ることが出来る力を宿しており、武器にすると非常に頑丈な武器を作ることが出来る。天候の影響を受けないアクセサリーも作ることからお守りとしても人気が高い素材。
ムシュマッヘの剣角:レア度10 素材 品質S+
組み合わせる素材で効果が変化する魔剣を作ることが出来る特殊なムシュマッヘの角。どんな効果の魔剣か使うまで分からないことから魔剣の鍛冶師から夢の素材と言われている。
サウィンデスサイズ:レア度10 鎌 品質S+
重さ:150 耐久値:800 攻撃力:600
効果:人間特攻(究)、アンデッド特攻(究)、不死殺し、即死、拘束、伸縮、念動力、魔力切断、加護無効、虚空切断、復活無効、溶断、炎輪、炎熱操作
サウィンリッパーが持っている鎖鎌。炎属性の死神の鎌で鎖で拘束してから確実に攻撃を当てる戦法を得意としているが伸縮自在の鎖に付いた重りで攻撃も出来る。生者も死者も平等に命を奪い、神や悪魔にも脅威を感じる鎌。
ロイヤルオーク:レア度10 素材 品質S+
最高峰のオークの木。王の加護が宿っており、最高峰の木造船の素材として有名。ドルイドや神にとって重要な木で地上に存在する木材の中で一番魔法と相性がいい木だと言われている。
ハロウィンの杖:レア度10 杖 品質S+
重さ:50 耐久値:500 攻撃力:80
効果:使役、蘇生支配、煉獄、獄炎、炎熱操作、炎波動、冥波動、死滅光線、刑罰、冥界の加護
杖の先端にジャックオランタンがデザインされている杖。冥界の炎を操ることが出来る杖でサウィンスケアクロウを使役で呼び出すことが出来る。サウィンリッチが愛用している杖。
アパタイト:レア度10 素材 品質S
精神を鎮めることがある宝石。暴走、狂戦士、逆鱗状態で防御スキルの使用が自在に出来るようになるアクセサリーを作ることが出来る。
冥星の鍵:重要アイテム
冥界エレボスに行くための門を開くために必要な鍵。
取り出して鑑定したところ、サウィンデスサイズを同時に手に取るセフォネとユウェル。
「ユウェルよ。鎌は妾の物じゃぞ?」
「寧ろたくさん持っているんだからわたしが貰うべきじゃないか?」
「はいはい、それは後で決めるから今はご飯にしよう」
「「「「待ってました!」」」」
みんなが涙を流しながら食べる。これにはキキも引いている。
「皆さんに何が起きたんですか?」
「いない間、カボチャ料理しか食べていなかったんだよ」
「あぁ…それでこうなっているわけですか」
「「「「美味しい! これも美味しい! これもこれも! 美味しいぃいい!」」」」
料理人冥利に尽きる光景だけど、かなりのオーバーリアクションだからやっぱり引いてしまうな。因みにグレイたちは静かに噛みしめるようにご飯を食べていた。その光景を見て、グレイたちの方が遥かに大人だと思った。するとコノハがやって来た。
「ホー…」
「スキル上げの約束でしょ? もちろん覚えているよ。コノハ。夜に報酬の会議と修練の塔を見に行くからその前にやっちゃおうか」
「ホー!」
「あ! ちょっとすみません。タクト様宛にお手紙が届いています」
手紙とはまた珍しい。キキから手紙を受け取り、確認すると錬金術ギルドからのようだ。
『あなたがアインシュタインに依頼したマナ発生装置の件で重大なお話があります。錬金術ギルドの本部までお越しください。ギルドマスター、ニュートン』
これは…面倒臭いことになりそうな匂いが物凄くする。顔を上げるとジト目のコノハの顔があった。
「うわ!?」
「ホ~…」
「あぁ…分かった分かった。コノハのスキル上げを優先するからそんな顔で見ないでくれ」
というわけで久々の聖域の島に向かい、生産活動をしてからコノハのスキル上げを夕飯まですることにした。結果がこちら。
『コノハの海魔法のレベルが10に到達しました。海魔法【ハイドリックプレス】、【マリンスロウ】を取得しました』
『コノハの時空魔法のレベルが35に到達しました。時空魔法【テレポート】、【アクセラレーション】を取得しました』
これでコノハは満足し、夕飯の為にログアウトすることになった。




