#989 復讐の三女神
本日のお昼はコンビニで買って来たミートソースパスタだ。時々無性に食べたくなる時があるんだよね。特にゲームで毎日のようにカボチャを食べているとその反動が大きい。
「うっめー…」
このようにぼそっと言ってしまう程の美味しさだった。そしてログインすると出されるカボチャ料理である。
「「「「最後! 最後! 最後ー!」」」」
リリーたちは今日でカボチャ生活とさようなら出来ると教えたから気合いで食べている。俺も見習って食べるとしよう。そして連絡が入り、俺たちは塔に向かう。
「「「きつかったー…」」」
「あれ? レイジさんが戦ったんですか? 確か与一さんが選ばれたと聞いた気がするのですが」
「銃弾が念動力で止められたんだよ。しかも召喚獣が大きくて辞退することになったんだ。レイジさんなら召喚獣と相性がいいし、槍は俺たちよりずっと上手だからな。代わって貰うことになったんだよ」
なるほど。確かに狙い辛くはあるかもな。それをいつもしているイクスが異常なんだろう。
「マスターからの熱視線を観測。マリッジリングと予想」
「違う。ほら行くぞ」
「イエス、マスター」
九階に挑むメンバーはリリー、イオン、セチア、恋火、イクス、ノワ、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、ファリーダ、ユウェル、アリナ、燎刃、グレイ、アラネア、ロコモコ、エアリー、ぷよ助、ダーレー、ルーナ、伊雪、ミール、ヒクス、スピカ、サフィ、ジークにミライとシャローさんが入る。
準備を終えた俺たちは転移すると情報通り真っ暗だ。
「神瞳を恩恵!」
俺の神瞳をシャローさんに与える。これをしないとシャローさんは暗闇の中、敵を補足出来ない。
「ノワ!」
「…ん!」
「「エンゲージバースト!」」
これで俺も大丈夫。そう思って視界が明るくなると目の前に凄い形相をした女神がいた。
「許さないぃぃ~!」
「心眼!」
俺はなんとか攻撃を回避するが連続で殴りかかられる。その時に識別出来た。
メガイラ?
? ? ?
凄いキレがある動きをしていると思った瞬間、大振り攻撃が来る。
「モテ男は許さないぃぃ~!」
「俺に嫉妬するのか!? やば!? 神障壁! ぐ!?」
『…痛い』
パンチが神障壁をすり抜けて、俺たちはぶっ飛ばされると体勢を整えているが追撃のライダーキックが飛んできた。それを空に飛んで躱した。
「キィイイ~! 私よりモテるなんてズルいわ!」
「滅茶苦茶言っているぞ…あの女神」
「無茶苦茶じゃないわ! 私は男からも女からもモテたいのよぉおお!」
確かにそれなら辻褄は合っている。しかし凄いことを言われたな。これってどちらの性別もモテている人に嫉妬しているということだ。流石嫉妬する女神様だな。そう思っているととんでもないオーラが膨れ上がる。
「だーかーらー…死ね」
「こわ!? ノワ!」
『…ん。影召喚!』
俺たちに攻撃が入ると身代わりと呪滅殺コンボが発動する。その結果、メガイラはバフが解除され、ダメージが入る。これがサウィンスケアクロウから思いついたこいつらの攻略法だ。後はみんなが作戦通りにしてくれていればいいはずだ。すると通信が来る。
『タクトさん! ラーンの網での拘束に成功しました!』
『あたしたちも拘束に成功したけど、力尽くで鋼索とぷよ助の粘着糸、皆さんの鎖を引き千切っています。早めに決めてください』
『分かった。こちらもコンボの成功を確認した。イオン、セチア、恋火、イクス、リビナ、リアン、和狐、ファリーダ、アリナ。まずは俺と戦闘している奴を叩くぞ』
全員が返事し、メガイラに集中攻撃が開始される。するとメガイラの標的が次々変化する。どうやらみんなモテているから攻撃対象になっているらしい。これって、攻撃されない人が物凄く悲しい目に会うように出来てると思った。
なんとかみんなの攻撃に割って入ることで一人も脱落者を出さずにメガイラを倒すことに成功した。後はこれを繰り返すだけだ。
リリーたちとアラネアたちが頑張って拘束している所に到着し、敵を識別する。
ティーシポネ?
? ? ?
なんか花屋に居そうなお姉さんタイプの女神なんだけど…。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す~! 邪魔しないでよぉおお~!」
狂気のせいで色々台無しだ。というかメガイラの時にも思ったけど、滅茶苦茶怖いぞ。それでもやるしかない。影召喚で準備を終えて、一気に仕留めに掛かる。するとティーシポネの強さに驚愕した。
ドラゴンブレスを食らいながら距離を詰めて攻撃してきたのだ。お陰でイオンは鎧が砕かれて死んでしまった。何とか防ぎたかったけど、ドラゴンブレスの最中に割り込むことが出来なかった。鎧を失ったイオンは凹みそうだな。
この結果、大技が使えなくなり、防御に余裕がある技で攻撃するように言ったのだが、他の攻撃も腕や足で次々弾いて来た。それでも確実にダメージを与え続けて倒した。
『この作戦の難点は精神的にきついことだな…』
『…ん。死なないと分かっていても怖い物は怖い』
何度も殺人事件の被害者になっている気分だ。それでも残すは後一柱、識別すると情報通りだった。
アレークトー?
? ? ?
ここで影分身も実験する。たぶん攻撃を受けることがバフ解除の条件ならこれも行けるはずだ。するとずっと鎖で拘束していたリリーたちもやっと戦闘が出来るようになり、リリーが息を吸い込む。
「リリー!?」
「タクト様の指示を聞いてなかったんですか!?」
「ドラゴンブレス!」
リリーも撃つ前に言われていたことに気付いた様子だったけど、止めることが出来ずドラゴンブレスを使ってしまった。俺たちはなんとか狙いを変えようとしたがアレークトーはドラゴンブレスの中を爆走し、リリーの首を腕で掴む。
「復讐復讐復讐! 止められない!」
「助けて~!?」
そのまま自分事壁に激突し、壁にクレーターが出来るとリリーは召喚石に戻る。鎧が無事だっただけ、ラッキーだったな。そこからは今まで通りに行くと思ったけど、アレークトーはレスリングのようにタックルして捕まえると壁にぶつける戦闘であることが判明した。
この戦闘方の厄介な所は俺がさっきまでと同じように味方を庇っても味方にタックルが決まってしまう所だ。幸いバフの解除してからの攻撃だからそこまでの脅威ではないと思っていたが女神で逆鱗、狂戦士化状態な訳だからこれを食らっただけでも即死ぐらいの威力を誇ってた。
その結果、俺たちが取った作戦は突撃には突撃で対応するスタイルだ。これなら狙われている人は逃げる時間を稼げるし、ダメージを与えた後にバフの解除が出来る。問題はこれの気分が全速力で向かってくるトラックにぶつかっていくような感覚である点だ。まぁ、これは我慢のしどころだ。最後はミライとグレイが仕留めてインフォが来た。
『ハロウィンの塔九階をクリアしました』
攻略法さえ分かれば八階のほうが難しいという感じだな。初見でこれに挑んだ満月さんたちには同情する。さぞ辛い戦いになったはずだ。後は鉄心さんたちがヘカテーを倒すまでこのしんどい作業をしていくことになる。げんなりしながらバトンタッチした。




