#981 三回目の塔攻略
改めワクチンの二回目接種の為、次回更新は8月5日となります。
まずは最初の一本道だが、シフォンが皆にフライトを掛けて攻略する。順調に攻略が進みボス部屋の前に到着した。
全員が準備を整えて、クサリクに挑む。するとシフォンがクサリクに空中戦を挑んだ。シフォンが契約している風の精霊の加護の効果でシフォンは気流操作などの風の影響は受け無くなっている。しかもシフォンはスピードタイプだ。そのため、クサリクと非常に相性がいい。それをシフォンは実演する。
風系統のスキルがシフォンに効かないことに気が付いたクサリクは光速激突でシフォンに襲い掛かるがシフォンは見事に躱している。この隙にトリスタンさんたちが罠の準備を終えた。
『準備出来たわ! シフォン!』
『了解! 行きます!』
シフォンが借りたスコヴヌングをクサリクに投げつけて、クサリクの回復を封じた。攻撃を食らったクサリクはシフォンに光速激突を使うとシフォンはこれを躱す。そしてクサリクは岩場と岩場に設置された見えている鋼索の網に飛び込んだ。
牛モンスターの特徴なのだが、危険予知系のスキルを持っていないことが多い。例え待っていても突撃する弱点がある。これはクサリクも同じだった。もちろんこれは簡単なことじゃない。罠の位置を把握し、クサリクの光速激突する方向を見事に誘導したシフォンのファインプレーだ。
動けないクサリクは守りを固める一方で皆が一斉に攻撃に転じる。最初に飛び込んだのはリサだ。
「さっきのお返し! 発勁!」
これで神鎧を無視してダメージをクサリクに与えて、神鎧を解除する。そのタイミングで二人の侍がクサリクの背中に着地した。
「「妖刀解放!」」
二人はクサリクの背中に太刀の妖刀を突き刺し、そのままクサリクの背中を端まで走り、大ダメージを与えてから岩場に飛び乗る。そのタイミングでトリスタンさんたちのトリカブトが塗られた銃撃と矢がクサリクを襲う。
「モォオオオオオ!?」
クサリクが悲鳴を上げて、暴れ回るとシフォンが空から急降下する。
「スコヴヌング! 魔剣解放! バスターカリバー!」
至近距離からのバスターカリバーが命中する。回復を封じられているクサリクは逆鱗と狂戦士化を使用し、強引に岩場を破壊し、罠を取り払った。しかしそのタイミングで侍二人が果敢にも飛び掛かり、ばつの字に斬り裂くとクサリクの近距離で気を貯めていたリサが仕掛ける。
「ふぅぅ~…いくよ! 暗黒連爆拳!」
リサの闇属性の必殺技がクサリクに決まる。リサがパンチをするたびに黒い爆発が発生し、リサはクサリクの眉間を殴りまくり、ぶっ飛ばした。
しかしクサリクはすぐさまリサに光速激突で反撃する。するとリサは無我と心眼の効果で回避し、クサリクはトリスタンさんたちが投げ込んだウラン鉱石を使用した手榴弾に激突してしまう。結果、大物殺しの効果がある超爆発が発生した。これでクサリクは死ぬが起死回生で復活し、トリスタンさんに襲い掛かる。
それを読んでいたトリスタンさんは既に弓からサバ缶さんたちが作製したレボルバーに装備を変えており、クサリクに向けて引き金を引いた。
障壁貫通の効果があるレボルバーは見事にクサリクに命中し、クサリクは墜落した。ここでインフォが来る。
『ハロウィンの塔四階をクリアしました』
帰って来たシフォンたちを俺たちは褒め称える。そして次の攻略に挑むのだが、ちょうど折り返し地点でボーナスが関わっている階層ということとまだ出ていないティアマトの怪物から予想して俺とタクマ、アロマが挑むことになった。
話し合った結果、平等に九体ずつ選ぶことにした。俺からはリリー、イオン、恋火、イクス、ブラン、虎徹、黒鉄、ダーレーを選んだ。
そして俺たちの初めての塔攻略が始まった。転移したフィールドは明るい荒野だった。
「なんか普通だな」
「ちょっと驚くようなフィールドを期待したよな」
「塔の中にこれだけ荒廃した荒野があることは驚くところだと思いますよ?」
「「ごもっとも」」
アロマの指摘の正しさに納得せざるおえない俺とタクマだ。さて、早速空間索敵を使用すると無数の敵を捕らえた。
「地面の中に細長い敵と丸っこい敵と長方形の敵の三種類いるな」
「細長い敵はバシュムで長方形の敵はムシュフシュでしょうね。でも丸いのなんでしょうか?」
「流れからするとウシュムガルになるけど、たくさんいるし、丸っこいドラゴンはちょっと想像がつかないな」
どれもティアマトが生み出した十一の怪物だ。バシュムは角がある蛇と言われていて、ムシュフシュは尻尾が蠍の尻尾になっているドラゴン。ムシュフシュはマンティコアの進化先で姿は確認されている。ウシュムガルは所説あるが通常のドラゴンとして語られることが多いと思う。だから丸いとは思えないんだよな。するとイオンが言う。
「ユウェルなら丸くなりますよ」
「…そうだったな。取り敢えず行くか。俺が地上から行くから二人は空から援護してくれ」
「「了解」」
俺はダーレーに騎乗し、神剣グラムを構える。ドラゴンが相手なら最早お決まりの装備となった。虎徹、黒鉄も準備が整った所でモンスターの巣窟となっている荒野に突撃した。
すると早速予想通りの敵が出て来た。
バシュムLv45
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
ムシュフシュLv55
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
この二匹は予想通りの姿だった。ただ俺の予想外だったのはこいつらが地上担当と空中担当に分かれていたことだ。
バシュムは次々飛び掛かって来て、ムシュフシュは空に炎ブレスや尻尾から毒針を連射している。ただバシュムは神剣グラムの一振りで一撃。ムシュフシュ攻撃は暴風壁で完全にガードされている。
敢えて厄介な所を言うならバシュムの傷跡というスキル。これは攻撃を与えると相手に傷が発生し、ダメージを与えるというスキルだった。傷が増えれば増える程、ダメージが増加していくらしく、俺は黒鉄を戻した。完全に大型のモンスターキラーのスキルだからだ。
そして丸いモンスターが現れる。
アサグLv50
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
アサグは無数の目が体にある丸い体の悪魔だった。足と腕が三本あり、体は石塀のようになっている。因みにこいつはティアマトとは無関係の悪魔だ。確かシュメール神話に登場する悪魔だったと思う。
そして空にも異変が起きた。紫色の怪しい雲が空を覆うと雲の中から無数の敵が姿を見せた。
ナムタルLv55
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
こいつは全身が白い肉片の悪霊だった。骨の翼で空を飛んでいるようだ。こいつはメソポタミア神話で登場する悪霊でメソポタミア神話の冥界の女神エレシュキガルの話によく登場する悪霊だったと思う。
俺は現れたアサグに攻撃を加えると神剣グラムの多乱刃が止められた。見た目通りに防御には自信があるらしい。それもその筈で空間装甲を確認した。ならこちらがとるべき手段も決まった。
『突っ込んでぶった斬る! いくぞ! ダーレー!』
『おう!』
俺とダーレーの超連携が発動し、神剣グラムに燦々(さんさん)と輝く炎が宿る。これに対してアサグは手に紫色のボールのようなものを出現されると投げて来た。俺は叡智でそのスキルの見抜く。
「感染症の爆弾か…神の加護がある俺たちに通用すると思うな!」
敵が使ったのは感染爆弾というスキルのようだ。するとここでリリーが警告する。
『タクト! 逃げて!』
俺は空を見ると無数の消滅弾が降って来ていた。
「ち! 多乱刃!」
ダーレーの超連携の影響で無数の炎の斬撃が消滅弾を斬り刺き、それを放ったナムタルたちを倒すとナムタルの道連れが発動する。
地面から現れたナムタルの白い腕に捕まった俺たちだったが神剣グラムは輝きを放つと道連れスキルを消し去った。恐らく神剣グラムの勝利の加護の効果だ。死んだら勝ちにはならないために道連れの効果を無効化したんだろう。
「ダーレー!」
『おう! 行くぜ!』
空で体勢を整えた俺たちは再び超連携を発動させる。それを見たアサグは背後から勢いよく毒霧を発生された。俺から見るとおならをしたようにしか見えなかった。こういうふざけた奴には加減無用だ。
「時空切断!」
アサグをぶった斬ることに成功する。そしてダーレーとの超連携の効果でアサグが斬られた箇所から発火し、消し炭となって消えた。
『俺たちが空に上がる! 下は頼む!』
『『了解!』』
ここで空にいるみんなが地面に降り、俺とダーレーがナムタルの相手をすることになった。道連れ効果がある以上はこいつらを無視するか戦うなら俺たちのように無効化しないと被害が増える一方になってしまう。
そして無視する攻略法はアサグの封鎖スキルで妨害されることも判明した。流石に最高難易度でボーナスが掛かっているクエストだ。かなり意地が悪かったが神剣グラムのお陰で何とか突破することが出来た。
「ふぅ~…これは…しんどい攻略に…なるだろうな」
「は、はい…アサグは封鎖スキルを使って来たので…無視することも出来ません」
「ぜぇ…それにアサグは空間切断以上のスキルがないと倒せない敵だ…このスキルが無いと詰むって事じゃないか? この階」
みんな疲労困憊だ。しかしまだボス部屋の前には到達していない。ボス部屋の前に陣取っている敵がいるせいだ。
ウシュムガルLv65
召喚モンスター 討伐対象 アクティブ
ウシュムガルはフォールンエルダードラゴンと雰囲気が似ているドラゴンだった。恐らくフォールンエルダードラゴンより強いドラゴンとなるだろう。最大の特徴は角なのだが、角と言うより魔剣な気がする。
叡智の検索でウシュムガルについて、調べるとムシュフシュの進化先であることの他に厄介なことが判明する。
「魔剣解放の発動中、こちらの生命力を削って来るのか」
「ここからじゃ、分かりませんけど、尻尾に棘があってそれを飛ばして来るんですね」
「地味に道連れスキルも持っているか…こりゃあ、やっぱりタクトがメインでいって!?」
「あら? どうかしたの? タクマ」
花火ちゃんに思いっきり踏まれていた。まぁ、召喚獣としては譲ってほしくないところだったんだろう。
「誰がメインとか関係なく全員で速攻で決めよう。魔剣解放でダメージを少なくするためにな。軍略は残念ながら武器の加護は対象外みたいだし、悪いがとどめは任せてくれ。そうしないとボス戦が一気に厳しくなるからな」
全員が頷き、準備を整えると黒鉄を召喚して、ウシュムガルに俺たちは戦いを挑んだ。
石塀は文字通り石でつくった塀の事です。家や学校の周辺でよく見かけると思います。近年では地震の影響で石塀が崩れて危ないということで見られなくなったので、一応説明しておきます。




