表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
魔王討伐同盟とハロウィンイベント
1028/1718

#977 メソポタミア神話の泥人間

今日から十一月。学校が終わり、スーパーに行くと早くもクリスマスムードになっていた。いつも思うけど、イベントの切り替えが早いよね。流石に冷えて来たから今日は寄せ鍋にすることにした。鍋は一人だと確実に余る。しかし鍋にうどんを入れたり、雑炊にしたりと色々な食べ方がある。しかも作り置きが出来るのが鍋のいいところだ。


家に帰ると鍋の準備だけ済ませてからゲームにログインする。そして出て来るカボチャ料理。俺が鍋を選んだ原因の一つがこれだったりする。


「「「「……かぼちゃ~」」」」


日に日に弱っているリリーたちを見るとちょっと申し訳なく思う。現実世界でホタテや鶏つくねが入った寄せ鍋を食べるつもりでいる俺の事を知ったら、大激怒しそうだな。


そんなことを思いながら食べ終わるとカボチャ狩りに向かうとまた女の子と遭遇する。しかし今回は話しかけるのではなく、通り過ぎる。すると背後から声が聞こえて来た。


「昨日はありがとう」


どうやら親に俺たちとは関わらないように言われた感じだな。まぁ、魔女とかが怖いなら当然俺たちとは距離を置くように言うだろう。一応確認したが女の子に呪いは発生していなかった。いいことした気分で町の外に出て、カボチャ狩りをする。


今回も呪いを受けているリリーたちはお留守番で昨日出番がなかった皆にお詫びを兼ねて時間ギリギリまで思いっきり暴れさせた。もちろんグレイたちもスキル上げさせて、今回はゴールドパンプキンも戦闘対象だ。その結果、インフォが来る。


『暗黒魔法のレベルが20に到達しました。暗黒魔法【ダークネス】、【エクリプス】を取得しました』

『セチアの同時詠唱のレベルが30に到達しました。同時詠唱の最大数が1増加しました』

『セチアの氷魔法のレベルが35に到達しました。氷魔法【ダイヤモンドダスト】、【ヘイルシャワー】を取得しました』

『リアンの連続詠唱のレベルが30に到達しました。連続詠唱の最大数が1増加しました』

『セフォネの吸血鬼技のレベルが10に到達しました。吸血鬼技【ブラッティブースト】を取得しました』

『アリナの風魔法のレベルが20に到達しました。風魔法【ウインドウォール】、【ダウンバースト】を取得しました』

『燎刃の火魔法のレベルがが20に到達しました。火魔法【ファイヤーウォール】、【ヒートランス】を取得しました』

『燎刃の竜技のレベルがが20に到達しました。竜技【ドラゴンダイブ】を取得しました』

『燎刃のレベルが30に到達しました。特殊クエスト『終焉龍王の試練』に挑むことが可能です』

『アラネアの土魔法のレベルが30に到達しました。土魔法【アースクェイク】、【レジストストーン】を取得しました』

『アラネアの土魔法が地魔法に進化しました。地魔法【メテオ】、【シンクホール】を取得しました』

『ルーナの疾魔法のレベルが10に到達しました。疾魔法【トルネード】、【エクスパンション】を取得しました』

『ルーナの神聖魔法のレベルが10に到達しました。神聖魔法【ヒールオール】、【シャイニング】を取得しました』

『伊雪の疾魔法のレベルが10に到達しました。疾魔法【トルネード】、【エクスパンション】を取得しました』

『ミールの植物召喚のレベルが30に到達しました。植物召喚【トリカブト】を取得しました』

『ジークの竜技のレベルがが30に到達しました。竜技【ドラゴンウイング】を取得しました』


ゴールデンパンプキンキングも一体倒すことが出来た。優牙が大活躍だった訳だが、大変なのが編成。どうしても誰のレベルを上げたいか選ぶ形になってしまう。その結果、虎徹は完全に休みでぷよ助、ダーレー、狐子、ルーナ、蒼穹、コーラル、リオーネ、ルミはスキル上げだけとなってしまった。お陰で燎刃の進化に到達してヒクス、ディアンが進化のリーチとなった訳だが、ディアンは進化させられないんだよね。


しかしディアンを進化させるルートは既に判明している。それはアクアスにあったうみへび座の試練をクリアすると牡牛座の時のように次の試練が解放されて、それをクリアすると進化アイテムが手に入るという事らしい。その場所がダゴンの領域なのだそうだ。


試しにその試練に挑んだ人によるとヒュドラの進化先が相手で最低でも不死殺しの装備が必須らしく、ギブアップしたらしい。俺も既に名前を知っているから色々必要な装備の目星は付けてあったりする。


次に俺が覚えた新しい魔法のダークネスは敵単体を闇で包み込んでダメージを与える魔法。現在確認されている闇属性で一番ダメージを与える魔法だ。もう一つ魔法であるエクリプスは魔方陣内にいる敵全てのバフを全て解除する魔法。これは料理バフや加護も効果対象で今回の幽鬼の加護対策として活躍している魔法だ。


次回は参加出来なかったみんなを選ぶことを約束して、ここで俺はログアウトすると寄せ鍋を満喫した。普通の寄せ鍋より美味しく感じたのはきっとカボチャ生活のせいだろう。


ゲームにログインすると俺は解体していないカボチャモンスターたちを生産職に贈り、解体した分はソウルケーキとバームブラックの交換に全てを捧げて、リリーたちに上げる。


「「「「お、美味しい~!」」」」


リリーたちは号泣しながらソウルケーキを食べていた。かぼちゃじゃないものを久々に食べるとこうなるんだな。しかしソウルケーキは一瞬で無くなってしまう。するとリリーたちが俺に無言で寄って来る。


ここで二十一時を告げる時計塔の鐘の音が響いた。俺の計算勝ちだ。


「攻略に行くぞ。メンバーはイオン、リアン、ルーナ、ディアン、サフィだ」


「任せて下さい!」


「「頑張ります!」


「ソウルケーキ、私も食べれるんですね!」


泥沼でも対応可能なメンバーを選んでみた。そしてこれは呪いを受けるメンバーでもあり、またソウルケーキを食べることが出来ることを意味していた。喧嘩が始まりそうだと思っていたが、リリーが気にしている所はそれだけでは無かった。


「リリーを選んでよ~。タクト」


「あぁ~…レベルか?」


リリーは素直に頷く。実はさっきの戦闘でセチアとイクスがリリーとイオンのレベルを抜いてしまったのだ。


「明日のレベル上げでリリーとイオンのレベルを上げるからそれでいいか?」


「やった! 約束だよ! タクト!」


「悪いな。二人とも」


「「やれやれ。仕方ないですね」」


二人のシンクロした動きにリリーがショックを受ける。前々から思っていたがリリーのポジションは面倒が掛かる姉ポジションのような気がする。


「燎刃の試練は呪いも受けるし、明日だな」


「わかりました! 準備しておきます!」


やる気十分の燎刃を見た俺たちは砦へと向かった。


今回の砦の攻略は水中担当と空中担当、砦破壊担当に分かれる編成だ。


「行きます! ゴーレム部隊突撃!」


「巨人オーガ部隊もいくよー!」


まず最初にマヤさん率いる砦破壊部隊が一斉に攻撃を開始すると砦の城壁に敵が現れた。


クルールLv45

通常モンスター 討伐対象 アクティブ


情報通りの魚人だ。武器は弓を持っていて、こちらに攻撃してくる。叡智がその矢の危険性を見抜く。


「神魔毒の矢だ!」


「ゴーレム部隊が受けます!」


「巨人オーガ部隊は下がって!」


ゴーレムたちは共通して毒は通用しない。するとクルールたちは息を吸い込む。


「今度は腐蝕ブレス! 腐蝕無効がないゴーレムは下がらせろ!」


「はい!」


ここでアルさんたちが城壁に攻撃を加えるがそれでも数匹が腐蝕ブレスを放ってきた。これを腐蝕無効、腐蝕耐性があるゴーレムたちが受けようとするがクルールたちは斜め上にブレスを放ってきた。すると腐蝕ブレスがアーチを描いてゴーレムたちを狙う。水流操作で操ったみたいだな。


「「海流操作!」」


しかしゴーレムたちに襲い掛かろうとした腐蝕の液体は後方から飛んできた水流に防がれる。


「舐められたものですね」


「はい。その程度で攻撃が通ると思われるのは心外です」


イオンとリアンそしてマーメイドたちが防いでくれた。その間に城壁では空中部隊が襲い掛かっている。そしてこの隙に一気に巨人オーガ部隊が距離を詰めて鎚や棍棒で襲い掛かる。そしてマヤさんの巨人たちがモーニングスターをハンマー投げのように振り回し、砦に襲い掛かっていた巨人オーガ部隊が引くと同時に投げると砦門が破壊される。


「行くぞ! 突撃!」


「「「「おぉ!」」」」


俺たちは砦内に侵入し、戦闘を開始した。すると泥に触れた人はダメージを受け、武器と防具の耐久値も下がってしまう。これが南と北の砦の特徴だった。その代わりなのか分からないがピラミッド型の塔があるのは一つ。そこには泥が無いから安全エリアということになる。


砦内に侵入した部隊はまずそこの制圧を目指す。これが一番ダメージが少なくなる方法だった。


「邪魔だ! サフィ!」


「ぼえー!」


サフィとの超連携が発動し、パラス・アテナの槍から発生する水と炎の渦がサフィの体全体に纏われ、星角を中心に高速回転しながら、塔にぶつかる。進路上にいたクルールは即死だ。


「行くぞ!」


「「「はい!」」」


俺たちはピラミッド型の塔に昇り、守っているクルールを蹴散らす。当然クルールたちは俺たちに攻撃を集中しようとするが攻撃する前にディアンや他の召喚獣たちに襲われている。その結果、あっさり砦を制圧した。


問題はここからだ。俺たちは全員回復を済ませて、俺は武器を神剣グラムに変更する。槍では相性が悪い上に相手がドラゴンになるならやはり神剣グラムの出番だろう。それに時間との勝負でもあるから悪いが加減は無しだ。


全員の準備が整ったところで塔の屋上に行く。そこには結界装置があった。そしてこれがトリガーとなり、ボスが出現する。結界装置の前に泥が発生し、その中から赤い帯を泥の体に巻き付けた巻き毛の長髪の男が現れる。


ラフムLv65

通常モンスター 討伐対象 アクティブ


赤い帯と泥が無かったら、大惨事だろうな。因みに水を浴びても体の泥が落ちることが無かったらしい。試す人がいること自体に驚いた。


ここでいきなりラフムは縮地でタクマに殴りかかって来た。それをタクマはギリギリ躱し、花火ちゃんが助けに入る。


「爆拳!」


花火ちゃんが爆発するパンチを放つとそれはラフムは手で弾くとフリーの拳を構える。


「アッパー! 足払い! コークスクリューブロー!」


「が!?」


「花火!?」


花火たちがアッパーで上に上がったところで足を払って、花火ちゃんを空で回転させている間に花火ちゃんの拳を払った手を貯めて格闘スキルで一番強いねじるパンチが花火ちゃんの腹に炸裂し、回転しながら花火ちゃんがぶっ飛ばされた。


ご覧の通り、ラフムは格闘タイプで槍とは相性が非常に悪い。これが達人クラスだったら、変わって来るのかも知れないけど、俺ではあっさり懐に入られて終わっていただろう。


そして今度はラフムは俺を見る。


「「水飛沫!」」


ラフムはまるで羅漢銭のように泥玉を弾丸のように飛ばしてきた。これに対してリアンが水の弾丸で相殺する。するとラフムの水飛沫にリアンが押される。モーションがラフムのほうが少ないから単純にスピード負けしている。


ここで左右と背後からイオン、チロルの白虎、アロマの堕天使ちゃんが奇襲を仕掛ける。するとラフムはイオンとアロマの堕天使ちゃんの剣を素手で掴むと二人を振り回して、チロルの白虎にぶつけつつ、リアンの水飛沫をガードして見せた。


更に投げつけて来た。俺がイオンを抱きとめようとするとイオンの足に赤い帯が巻き付き、ラフムの元に戻されると渾身のパンチが顔に炸裂し、イオンはぶっ飛ばされる。


「これはイオンの奴、怒りそうだな」


「物凄く先輩に抱き留められるのを期待した顔してましたからね」


「しかも顔でしたよ」


案の定、イオンは逆鱗を発動させるとラフムに襲い掛かった。これを見た花火ちゃんまで逆鱗を発動させて、ラフムを押していく。流石にパワータイプの花火ちゃんとスピードタイプのイオンを同時に相手にするのはラフムにとっても相当きついみたいだ。


「花火の奴、俺とエンゲージするんじゃなかったのかよ」


「奇遇だな。タクマ。俺もイオンにお願いされていたよ」


まぁ、これは自分たちが選んだ結果、文句は受け付けない。ここで二人の攻撃に耐えかねたラフムが下の泥の中に潜った。この瞬間を待っていた。


「ルーナ!」


「はい! パパ!」


「「エンゲージバースト!」」


「竜化!」


砦の泥の中から赤い帯を巻き付けた泥のドラゴンが現れる一方で塔の上では神剣グラムと精霊剣を手にした上が銀、下が青の妖精の鎧を身に着けた騎士が降臨していた。マントの代わりに妖精の羽がある。


『聖剣解放!』


「神剣解放!」


そしてルーナとの間で超連携が発動する。これを見たラフムは息を吸い込み、ドラゴンブレスを放ってきた。俺は二つの剣を合わせるとお互いに光を増幅し合い、ルーナと共に同じ武技を繰り出す。


『「バスターカリバー!」』


間近に迫っていたドラゴンブレスを一瞬で押し切り、直撃した竜化したラフムは砦の壁に激突する。そこでラフムは初めて自分の状況に気が付いた。他のみんなが必殺技の態勢で待機していたのだ。


一斉にブレスや波動技がラフムに襲い掛かるととどめにゴーレムたちのロケットパンチと砦を破壊したモーニングスターが投げ込まれてラフムは落ちた。


これを確認した俺はエンゲージバーストを解除して、結界装置の破壊をみんなに頼んだ。そしてインフォが来る。


『南の結界装置の破壊に成功しました』


そしてウィッカーマンが現れると足元に魔方陣が描かれて、男女に分かれてみんな仲良くウィッカーマンの中に転移する。流石に距離があるから通信で会話だ。


『そっちはどうだった?』


『こっちは倒したぞ』


『私たちもだよ。これで明日の朝から塔に挑めるのかな?』


『これが終わった後に塔がどうなっているかだな』


そんなことを話しているとウィッカーマンが燃えだし、俺は久々に死ぬこととなった。流石に称号を持っていてもこれは防ぐことが出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作『動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います』を連載開始しました。
以下のリンク先で連載中です。


動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ