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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
魔王討伐同盟とハロウィンイベント
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#965 魔王討伐同盟結成

夕飯を食べ終えた俺はゲームにログインすると国際会議の準備を済ませてからルインさんたちと待ち合わせをしてお城へと向かうとペガサスの馬車に乗る。


「久しぶりの二人っきりですね」


「そうですね。というかわざと言ってますよね?」


「はい。照れ隠しをするタクト様が可愛いので、つい」


それは褒め言葉じゃない!


「しかしいつまでも遊んでいるわけには行きません」


「そうですね。これから国際会議」


「この前のタクト様たちの冒険話の続きを聞かないといけないんです!」


あぁ、途中で会議場に付いたんだったんだ。どうやらずっと楽しみにしていたみたいだな。


「分かりました。どこまでお話をしましたか?」


「料理コンテストのところです」


そして話をすることになったんだか、当然途中で会場に到着する。


「ちょっと待ってください! 今、タクト様がフリーティアに来るところなんです!」


「いい加減にしてください! シルフィお姉様! サラお姉様が欠席しているんですから駄々をこねないでください!」


「あぁ~!? 続きは帰りに聞かせてくださいね!」


「はい」


サラ姫様の代わりに来ることになったアンリ姫様にはちょっと同情した。そして国際会議場に各地の王と選ばれた国の代表者たち、上位ギルドのメンバーが集結し、国際会議が始まる。


最初はウィザードオーブとの戦争で起きたことの報告をし、ノイシュ国王とディアドラ女王が正式にウィザードオーブの王になったことを報告し、各地の王と上位ギルドはこれを承認する。


そして冒険者ギルドのギルドマスターが口火を切る。


「大魔王サタンが動き始め、異星の存在の襲来。このままでは被害は拡大する一方だと思われます。幸い暗黒大陸にエステルという人間の国が誕生し、もう一つバエルという悪魔が支配していた領地も冒険者たちによって解放されている状況です。我々冒険者ギルドはこの好機に中央大陸で魔王への被害を出さないためにも打って出るべきだと考えています」


これにアーサー王が賛同する。


「そうだな。マモンは魔王の中でも上位の魔王だ。それがウィザードオーブで暴れたというのは他人事だとは思えない。元々魔王討伐はパラディンロードの悲願。私は賛同しよう」


しかしここで諸葛亮が口を挟む。


「私たちも異論はありませんが勝ち目がない戦いに参加するつもりはありません」


「我々もだ。どこぞの国に魔王の相手をしている間に国を奪われては話になっていない」


「おや? 自分たちがまたするように聞こえますね。司馬懿殿」


司馬懿と諸葛亮の間で火花が散る。この場でこんな空気を出さないで欲しいけど、この二人の危惧は予想通りではある。


「勝ち目がない戦いに参加するつもりはないと言うことは勝ち目がある戦いには参加してくれると解釈してもいいですか?」


「そうなりますね。最も司馬懿殿が言った危惧があるので、簡単に参加とは言えませんが」


「特に異星の存在は神々すら恐れるほどの脅威なのだろう? これにどう対処するつもりだ?」


やはり異星の存在には敏感だな。神様の天敵とも言える魔王だからしょうがないのかも知れない。


「異星の存在には私が対処するつもりです。既に敵の拠点と動きは把握しています。それと異星の存在に効果があると立証された武器も大量生産するつもりです」


これには流石に各地の王たちは黙ってはいられない。


「その武器はフリーティアでのみ管理するつもりか? そうだと言うならとてもじゃないが承認出来んな」


「いえ、暗黒大陸の魔王討伐に協力してくれる国に素材を提供しようと思っています」


「なるほど…そう来ますか」


各地の王や補佐たちが考える。そこで聖徳太子が質問してくる。


「魔王討伐に協力。これはどういう意味だろうか?」


「魔王たちと戦ってきて、はっきりわかったことは魔王との戦闘は戦争規模になると言う事です。特に魔王がいる都市の攻略にはどうしても兵力が必要だということが分かっています」


これはネビロスとの戦いで学んだことだ。恐らく上位の魔王たちは砦をいくつも作って守りを固めていると思われる。そうなるとどうしても必要なのが出て来る。


「そこで我々が考えているのは魔王の都市攻略時には各地の国から兵力を貸していただきたいと考えています」


「随分な自信だな。魔王たちも砦を作るほどの知恵があると聞いているぞ」


「それは冒険者だけで十分落とせると思います」


イベントでは砦攻略にはフリーティアやエステルの助力を得て来たけど、冒険者が同盟を組むことになれば人数においては負けないはずだ。


「兵力だけとは大きく出ましたね。補給物資は必要ありませんか?」


「我々が提供します。既に準備を始めていますから安心してください」


俺たちが生産してきた物を各地の生産職に提供する準備をルインさんが進めているから問題はない。それに俺たちには実績がある。ゴネスの復興に諸葛亮たちにも影で支援した。そしてウィザードオーブにも支援する予定でいる。流石に疑い様はないだろう。


ここでグラン国王が宣言する。


「我がフリーティアはこの魔王討伐同盟を全面的に支持しよう。これ以上、魔王の被害を国民に出すわけにはいかんからな」


次に通信機からエステルの王であるリアム王が続く。


『エステルは元々暗黒大陸での魔王解放から誕生した国だ。当然全面的に支持しよう。兵力の提供や情報提供など可能な限り、協力するつもりだ』


他の国もこれに続く。


「ウィザードオーブはこれから復興するところじゃが、魔王への暴挙は見逃せん。よって、我が国も魔王討伐同盟を支持する」


「ゴ、ゴネスも魔王によって一度滅ぼされました。看過出来ない気持ちは同じです。どこまで支援出来るか分かりませんが、同盟を支持します!」


「エリクサーラピスも支持しよう」


最後のエリクサーラピスの支持には諸葛亮たちが驚いた。彼らは魔王への被害はそこまで出ていないからだ。そんな諸葛亮たちは俺に視線を送って来る。俺は笑みで返してあげた。今度は各ギルドも続く。


「冒険者ギルドももちろん全面的に協力しましょう」


「生産ギルドもです」


「もちろん獣魔ギルドも協力するよ。魔王討伐は人類の宿願だからね」


「錬金ギルドも協力しましょう」


そしてプレイヤーたちも次々声を上げる。しかしワントワーク、魏、桜花、ライヒはやはり声を上げない。


「桜花としては支持したいが条件を付けたい」


「なんでしょうか?」


「桜花は食料面で豊かとはとてもじゃないが言えない。我が国に食料の援助をしてくれるというなら魔王討伐同盟を全面的に支持しよう」


これはしょうがないだろうな。すると生産ギルドが声を上げる。


「ならその支援は我々が行いましょう。それでよろしいですか? 桜花の帝様」


「はい。感謝します。では、我が国も支持しよう」


これで残すのはワントワーク、魏、ライヒだが、その回答は反対はしないが支持するかは保留とした。やはりこうなったか。


しかし彼らは保留にしたことを後悔することになるだろう。何と言っても俺の手にはまだ各国を同盟に率いれるための切り札がある。エリクサーラピスが動いたのはこの切り札の話を事前に話したからだ。


他の国にこの話をしても良かったのだが、皆と話し合った結果、後で分かった方が同盟に率いれやすいという結論となった。取り敢えずこれで魔王討伐同盟は結成されることが決まった。


そして細かい決まり事を決めていく。一番大きかったのが、この同盟が解散されるまでお互いの国への侵攻を禁止した所だ。更に暗黒大陸でのバトルシップの使用が許可された。もちろん魔王に対してのみという条件が付いた。これには感謝だ。


そして魔王討伐同盟の暫定的な目標の話に移る。


「本格的な暗黒大陸への進攻するためには海の解放が必要だと考えています」


「そうだろうな。都合がいいことに暗黒大陸の海は一人の魔王が守っていることが判明している。魔王レヴィアタンだ」


「我々、冒険者ギルドとパラディンロードにとっては勝手知った魔王です」


「一言で言うと魔王レヴィアタンは海そのものと言っていい魔王だ。何せ動くだけで津波を発生させ、声を上げただけで大嵐を発生させる。その強さはダゴンに匹敵するだろう」


まぁ、海神レベルなのは想定内だ。ルインさんが話す。


「海での戦闘には船が必須。それも津波や大嵐に耐えるだけの丈夫な船を製造する必要があります。幸い我々にはそれを可能にする木材があるのですが製造能力は足りていません。そこで各国に依頼して、よろしいでしょうか?」


丈夫な船はそれだけで一財産だ。これには各国が協力してくれることとなった。更にアーサー王が言っていた津波対策も生産ギルドが主導で動くことが決まった。次に攻略作戦だ。


「俺は挟撃作戦を考えています」


「片一方からより挟撃したほうが勝率はあがるだろうね」


「しかしそのためには暗黒大陸の海岸線。特に連携が取りやすい東の端を解放するのが重要となります。よって、同盟の最初の目標はここ。中央大陸にもっとも近い暗黒大陸の東の端の解放を狙います」


俺がそう言うと全員が頷く。エステルには情報収集をお願いして、国際会議はこれで終了した。するとここで冒険者ギルドのギルドマスターに呼ばれた。


「今回、大罪を司る魔王を討伐されたとのことなので、金の冒険者ギルドカードを贈ります」


遂に冒険者ギルドのカードも金に到達したか。受け取るとインフォが来る。


『冒険者ギルドのランクが金に到達しました』

『ステータスポイント20pt、スキルポイント20ptを獲得しました』


ステータスポイントは全て俊敏性に回し、残りスキルポイントは196ptとなった。複数スキルを獲得しても100ptは残りそうな状況だ。後でスキル一覧を見ながら考えるとしよう。


そう思っているとまた懐かしい人に声を掛けられた。


「お久しぶりです。タクト様」


「ジャンヌ! 久しぶりだな。どうしたんだ?」


「私の村の復興が終わりましたので、そのお礼を言いに来ました」


終わったんだ。それは良かった。俺も足を踏み入れた村だ。いい思い出ではないけど、ジャンヌの村が普通の村に戻ったことは素直に嬉しく思う。すると予想外の提案を受ける。


「ひと段落つきましたので、私はフリーティアに行きたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」


「え? 俺としては助かるけど、いいのか?」


「はい。ローラン様やアストルフォ様がいますからゴネスはもう大丈夫だと思います」


おや。ローランとアストルフォは今、ゴネスにいるんだ。これは初めて知ったぞ。まぁ、仲間になってくれると言うなら助かる。俺はシルフィ姫様を見る。


「ゴネスから移動するのは大変ですからね。一緒に行きましょう」


ということでジャンヌがフリーティアに戻ることになった。すると更に懐かしい人に声を掛けられた。料理コンテントの時に出会ったグラスシェフだ。


「お久しぶりです。ご活躍は聞いていますよ」


「ご無沙汰しております。今日はどうしたんですか?」


「実はあなたに五つ星シェフの試験を受ける気がないか聞きに来たんです」


そのためだけに来てくれたのか。凄いな。


「それは保留にさせてくれませんか? あの日の審査への答えがまだ見つかっていないので、答えが見つかったら、挑戦させてください」


俺の料理はどうしてもオリジナルではない。使っている素材が普通とは違っているからオリジナルと言えなくもないけど、俺自身がこれが俺が考えたオリジナル料理だと出せる領域の物をまだ作れていないと思っている。


「ふふ。そうですか。いえ、挑戦の意欲が聞けただけで十分です。もし挑戦をする気になったなら私宛にメールを下さい。あなたが作る特別な料理を審査する日を楽しみにしていますね」


ここで俺たちは国に帰ることになった。その後、エステルにルインさんたちが向かい、早速他国のプレイヤーたちに支援を開始する。


俺もエステルに向かうと今まで一緒に戦ったことがある皆と再会し、現状を話し合う。するとジャンヌ親衛隊がジャンヌがいなくなったことを騒いでいたので、フリーティアにいることを伝えると速攻で戻ることを決断した。ここまで来ると清々しいと思った。


さて、俺はこれからギルドに帰って、ナオさんからルーナのエンゲージリンクを受け取るとしよう。

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動物保護をしている少年は異世界で虐げられている亜人を救います
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