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ランチボックス同盟  作者: ORCAT
第2章 信頼
21/41

信頼と箱入り娘

 ピンポーン!


 急かすように呼び鈴がまた家に響いた。

 異変に気付いてか、紗羅がダイニングから玄関にやってきた。


「どうしたのよ、周」


「あ、ちょうどよかった。1人じゃさすがに相手できなさそうだから、紗羅もそこにいて」


「はぁ?」


 ハテナマークだらけの紗羅をひとまず置いておいて、俺は玄関の鍵を開けた。

 ・・・うん、やはり見間違ってはないらしい。目の前にはゴスロリの服を着た少女が立っていた。しかも、さっき覗いた時にはいなかった、白いヒゲの生やし、碧眼の執事らしき人が後ろについていた。


「ほらの!爺や、おるではないか」


「申し訳ありませんでした、お嬢様」


「そなた!名を申せ」


 そう言い、目の前の少女はドヤ顔で俺の顔を指差した。

 初対面の人に指差されたの初めてかも・・・。紗羅も驚きのあまり声も出ていない。

 逆になんで俺こんなにも冷静に分析してんだ?


「お、お嬢様。人に指など差してはなりません」


「なぜじゃ?誰に聞いておるか分かりやすいだろう」


 いや、そうだけどさー、、、とか思いつつ、不覚にも笑ってしまった。吹き出した俺に気付いて少女が怒りだした。


「そなた!何が面白いのじゃ!」


「あー、ごめんごめん。考えがまっすぐだなって思って」


「それの何が面白いのじゃ!」


 リアルで『のじゃ』っていう人初めて見たけど、慣れれば大したことないな。こんな短時間で慣れる自分も怖いと思うが、、、

 まぁ、個人の口癖と思えば大したことがないのは事実だし。言ってる俺もため息やら『まぁ』やら多用してるからな。

 そんなことより自己紹介しないとな。


「俺は玄野周。こっちに立ってるのは俺の幼馴染みの白河紗羅。よろしく」


「ど、どうも」


 紗羅が恐る恐る頭を下げた。


「ご丁寧に有難うございます。こちらにいらっしゃるのは御田おだ エレンお嬢様です。私は執事のポールと申します」


「エレン?」


 執事の方は碧眼だし顔立ちから見ても外人なのは分かるけど、目の前の少女はどちらかというと西空のような東洋美人風な顔なんだけどな。


「エレンお嬢様のお母上がイギリス人でございまして、ハーフでございます」


「これでも英語は堪能なのじゃ」


 なるほど。ハーフならそこまで顔が外人のようじゃなくても不思議はないか。

 それにしても、この透き通るような白い髪と肌。そして赤目。ポールさんの腕には日傘も見える・・・


「あ、これは引越しの挨拶なのじゃ!」


「ん?・・・あー、わざわざどうも」


 そう言われ、御田から紙袋を手渡された。そこそこずっしりした重みがあるな、これ。

 開いて見てみると、何やら見たこともない紋章がついた包み紙の箱があった。


「ヨーロッパで有名なジャムの詰め合わせじゃ。感謝して食べるが良い」


「え、あ・・・はい。感謝します、、、」


「お嬢様!そのような言葉をかけられるなんて。失礼ですぞ」


「なぜじゃ、爺や!人から物をもらったら感謝せよ、といつも言っておるだろう!」


 なんか・・・一周回って面白い奴に見えてきたな。かなりの箱入り娘みたいだけど。


「ありがとう、エレンちゃん」


 見かねた紗羅が御田に感謝の言葉を口にした。


「そうかそうか。もっと感謝するが良い」


「お嬢様・・・。そこは『お礼には及びません』というのが普通でございます」


 ポールさんもさすがに突っ込み疲れている様子だ。恐らく俺の家に来るまでにこんな会話が何回かあったんだろうな。


「ちなみにお二人は高校生でいらっしゃいますか?」


「ええ、星乃ヶ丘高校に通ってます」


「おぉ!妾の行く高校ではないか!」


 御田が目を見開いて飛んで喜んだ。


「もしや、同じクラスになるかものぅ」


「まぁそうかもな」


 その後、紗羅の分のジャムも貰い、御田はまた次の家へと向かっていった。また、苦労しそうだな。ポールさん、、、


「いい子だったね」


「うん・・・まぁ、いい子っていうより、面白かったな」


「クラス一緒だといいなぁー。仲良くなれそうなのに」


「まさか。そんな都合のいいことなんて・・・」




  ■ ■ ■




「というわけで、今日からこのクラスに入る転校生だ」


「御田エレンと申す。よろしくなのじゃ!」


 そうそうないだろうと思ってた時代も僕にはありました。はい。

 しかもなぜか御田はゴスロリの服のままなんだが。


「はい!先生」


「ん?どうした?」


「なんでエレンちゃんは制服じゃないんですか?」


 やはりみんな思うことは同じようで、クラスの女子が先生に尋ねた。


「まだ制服が届いてない故、それまでは私服で良いとの通達があっての。これが妾の私服じゃ」


「「「おぉ!」」」


 こら、男子。そこ唸るとこじゃねぇよ。


「あれ良いな。な?な?」


 柳もテンション上がるな。

 まったく、見境ないな。このクラスの男子は。


「じゃあ、御田さんは後ろのあの席に座って」


「了解じゃ」


 七瀬先生が指差したのは紗羅の隣の席。他に空いてるところないから当たり前なんだが、まさかこんな近くになるとはな。


「おぉ!白河と玄野ではないか!よろしく頼むぞ」


「よろしくね、エレンちゃん」


「よろしく」


「勉強でわからないことがあればなんでも聞くが良い」


「エレンちゃん、、、普通逆だよね、そのセリフ」


 何はともあれ、また新しい仲間がこのクラスに増えるってことで・・・

 面倒がまた増えたな。


「じゃあ、以上で朝のホームルームは終わりだ。今日も1日頑張れよ」


「「「はーい」」」


 そして、いつも通り素早くホームルームを終わらせて、七瀬先生が教室を出ようとしていた。


「あ、忘れてた。玄野!」


「・・・え?あ、はい。」


 教室のドアの方を見ると、ナセが手を振り俺を呼んでいた。

 なんだ?

 呼ばれた通り廊下にいた先生のもとへと向かった。


「なんですか?先生」


「一応おまえだけには言っておこうと思ってな」


 いつもより神妙な顔でナセは話を始めた。

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