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ランチボックス同盟  作者: ORCAT
第2章 信頼
20/41

信頼とゴスロリ

「何してるのよ、周」


 背中を押していた紗羅が、不満げに俺の横から顔を出してきた。


「いや、なんかリムジンがあって。珍しいから」


「リムジン?」


 窓の外を指差すと「本当だ」とつぶやいて、紗羅が目を丸くした。


「どこかのお嬢様かな」


「女子とは限らないだろ。でも、そんな金持ちみたいな奴いたっけ?」


「さぁ、、、聞いたことはないけど」


 それとも、まだひと月しか経ってないから他のクラスのメンバーのことを知らないってだけか?でも、リムジンでくるなら目立つから話題くらいには上がるよな。何しろあの自称情報通の柳が何も言ってこないあたり、進学クラスか?

 それとも、、、


「転校生?」


「え?転校生なの?」


「いや、あくまでその可能性もあるってこと」


 今まで見たことないなら、その可能性だって十分にあり得る。

 まぁでも、俺らには関係ない話だろ。


「じゃあ荷物とってくる」


「う、うん」


「あ、そういえば。さっき灰山が言ってた『私は取らない』ってどういう意・・・」


「さっさと行け!」


「ぐはっ!」


 なんだよ。気になったから聞いてみようと思ったのに。




  ■ ■ ■




 冬に比べて随分と日が落ちるのが遅くなり、まだ夕日が俺と紗羅を照らしている。

 朝に受けた紗羅の要望で、今夜はボンゴレ・ビアンコだ。ちなみに紗羅に朝聞いても、当然答えられなかったボンゴレの意味だが、ハマグリなんかの二枚貝の複数形をイタリア語で『vongole』という。つまり二枚貝の入ったパスタってことだな。まぁ日本ではアサリを入れるのが主流だし、現地でもハマグリじゃなくてアサリを使うことがあるらしい。そしてビアンコの方はというと『白色』という意味で、もう1つ有名なボンゴレ・ロッソのロッソは『赤色』という意味だ。要するにトマトソースを使うボンゴレをボンゴレ・ロッソと言って、使わないボンゴレをボンゴレ・ビアンコと呼ぶ。


「へぇー、そんな意味があったんだ」


「まぁ気にしないと、こんなの知ることなんてないよな」


「さすが、ご飯のことでは物知りね」


「そりゃどうも」


 というわけで、紗羅と買い物を済ませてアサリなんかを買ってきた。それにしても、夕飯のための買い物を2人でするなんて改めて考えると、夫婦みたいだよな。


「な、なによこっち見て」


「ん?・・・いや、なんでもない」


 そんなこと言ったら怒られそうだな。それとも意外と照れるだけだったりな。


 プップー!


 と、突然後ろからクラクションを鳴らされた。道の端の方を歩いてるつもりなんだけどな。この辺は歩道と車道の境目がないけど、これでも通れないってことはトラックか?と思い、振り返ると5、6メートルはある黒い、、、


「リムジン?」


 なんで?こんなところに?

 とりあえず、道の脇によって車を通すようにしたが、


「周、これって」


「ああ」


 間違いなく学校で見たリムジンだ。この時間に帰るのは多くないとはいえ、何回かはあった。それなのに、こんなリムジンを見逃すなんて、そう考える方が難しいだろうな。

 こりゃ近くに転校生が引っ越してきたと考えるのが普通か。

 ・・・変なやつじゃなきゃいいけど




  ■ ■ ■




「んー♡おいひい」


「あんまり口に詰め込みすぎるなっての。はぁ」


 お気に入りのエプロンを外しながらダイニングの机に戻ると、紗羅が早速パスタを口に頬張っていた。

 まぁ、こんなにも美味しそうに食ってくれたら、作る側としては嬉しいけどな。

 頬張りすぎてハムスターみたいになってることは言わないでおいてやるか。


「野菜もちゃんと食えよ」


「わ、分かってるわよ」


 いつも素直じゃないのに、飯食うときだけはやたら素直になるよな。こいつ。

 ちなみに、紗羅の両親も共働きなので・・・と、いうか。紗羅の両親は俺の両親と同じ職場で働いている。


 ーーーというか、だ。この際説明すると、俺の親父と紗羅の親父さんは双子の兄弟。俺のお袋と紗羅の母さんは双子の姉妹。なのだ。親父同士が医者で、お袋同士が看護師だ。

 つまり、双子の長男長女同士が俺の両親。双子の次男次女同士が紗羅の両親ということになる。


「なのに、なんでこんなにも違った子供が生まれるかね」


「なによ。またいつもの?」


「うん、まぁね」


 両親は一卵性の双子同士。つまり遺伝子的には全く一緒。なのに、生まれた子供は顔つきも性格も、


「頭の良さも違う」


「自分で言わないでくれる?」


 つまり、ほとんど似ていない。つくづく遺伝子の多様性には驚かされる。

 と、頭の良さそうに聞こえる話はこの辺にしといて。そんな訳で、共働きの親に変わり、尚且つ料理の下手な紗羅に変わって、俺が飯を作ることが普通になっている。


「そういえば、恵美ちゃんは?」


「あー、部活で遅くなるとは言ってたけど」


 妹は今年で中2。ソフトテニス部に入っていて、1年の頃からスタメンに選ばれている。なんて妹だ。しかも、委員会でもクラス代表をしているという、いわゆる出来る生徒。

 家ではソファに寝転がって『お兄ちゃん、ごはんまだー?』とか言ってくるぐーたら娘なんだが、その辺クラスの連中はわかってるんだろうか。


 ピーンポーン


「あ、恵美ちゃんかな」


「え?あいつ鍵でも忘れたのか?」


 いつもは自分の鍵で開けてくるんだけど、、、なんて考えながらも玄関に向かう。

 一応、外の様子見てみるかとドアのレンズから外を見てみると、


「この家も留守かのぅ?」


 ゴスロリの服を着て、透き通るような白い髪をした赤目の女子が立っていた。


「・・・え?」


 玄関の先にはリムジンが見える。

 まさかとは思うけど、、、


「転校生?」

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