第四話「わー、恋人同士しかいない☆…やっぱ来るんじゃなかった!!」
「それにしても…。」
「いやはや…。」
「見事に恋人同士しかいないなー。」
自分で言い出したことなのに、もう帰りたくなった瞬間だった。
20XX年12月24日18:05
衝動的に飛び出した俺と樽美だったが、最寄り駅に着く頃には結局いつもの面々で二之宮駅に向かい人の多さに閉口し。
結果:あまりのカップルの多さに早くも挫けそうになった。
この中から未谷達カップルを探し出して邪魔することなんて―――。
「あれ?大上に未谷?」
…って案外早く見つかったな!
流石視力2.0の男、佐藤後呂!!
「佐藤に鈴木…それに高橋も!
皆もイルミネーション見に来たの?」
「あ、ああ…。」
「まあ…そんな感じ?」
早速揶揄しようとしたけれど、後ろの狼の射殺さんばかりの視線に流石の荒も口を濁さざる負えない。
しかし、ここで挫けてなんかいられねぇ…!!
「てゆうか、お前らデートかよ!」
「大上も隅に置けねーよな!!」
「よっ!バカップル!!」
「ちくしょー!リア充爆発しろー!!」
樽美と後呂の援護射撃を受けながら『弱肉強食カップル』を揶揄する。
大上から殺気が放たれる前に未谷が慌てたように手を振りかざす。
「は!?いや、私達は――。」
その慌てぶりに優越感を得る前に、更なる衝撃を大上は放った。
「…そーだよ、だから邪魔すんな非モテ三銃士。」
「大上!?」
『非モテ三銃士』―――まさか俺達のあだ名か!?
考えたくないが、あの大上の言いようから察するなら俺達のあだ名なのは確定なんだろう。
…ってことは、大多数がそう思ってるってことか!?
大上の放った衝撃発言に雷に打たれたようにショックを受けている内に、二人の姿は雑踏の中に消えていったのだった…やっぱ来るんじゃなかった!!