第三話「クリスマスで浮かれたカポーを邪魔しよう作戦、決行」
『To:歩
From:明美
件名:【速報】デート現場目撃!
20XX年12月24日16:50
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(以下写真:サンタオーナメントを背にピースし自撮りしようとしている誰か)』
20XX年12月24日16:51
「な・な・な…。」
てっきり明美からのクリスマスデートのお誘いだと思っていたら、リア充激写映像だ、と…!?
若干、本当に若干期待していただけに落胆は大きく、打ちひしがれている俺を他所に後呂がぽつりと呟く。
「―――これ、未谷じゃないか?」
「へ?」
「未谷って…あの『弱肉強食カップル』のあの未谷先輩ですか。」
「そうそう、またの名を『最強セコムの庇護対象』の未谷だ。」
なんだ、その物騒なあだ名。
思わず別の意味で絶句する俺を嘲笑うように、荒が口を開く。
「知らなかったんですか?大上と未谷のことですよ。
狼と羊になぞらえて、あと下ネタ的意味合いも込めて呼ばれているそうですよ?」
「あと、広猟の猟師が如く未谷に群がろうとする悪い虫を外す事無く駆逐する様を揶揄して呼ばれてる。」
なんだ、その物騒なあだ名(本日2回目)。
あまりの新事実に色々と振り切れた俺は、遂に開けてならない扉を開けてしまったようで。
「…くしょう……。」
「おい?」
「ちくしょー!!リア充共め!!!
こうなったら…。」
「こうなったら…?」
「『クリスマスで浮かれたカップルを邪魔しよう作戦』を決行してやるーーー!!
非モテの妬みを舐めんなーーー!!」
「おやめなさいな、見苦しい。
馬に蹴られるだけですよ。」
「行くぞ!樽美!!」
「へ!?せ、先輩!?」
荒の忠告も無視して俺は樽美と財布とコートを掴み飛び出していったのだった。