第五話「ホワイトクリスマス」
「わっ、冷たっ!!」
「!!」
突然身を竦ませた未谷に驚き、近付けていた身体を一気に引き戻す。
空からはチラチラと雪が舞い始めていた。
20XX年12月25日0:16
「おおー、これってアレだよね、ホワイトクリスマスってやつだよね!」
「あ、ああ、そうだな…。」
未谷の歓声に一気に思考が現実に帰ってくる。
というか、今何してた!?何しようとしてた!?
コイツと俺はクラスメイトで腐れ縁で因縁の相手で広猟の従兄妹だからつるんでるだけで…。
「大上?」
だけで…。
訂正、俺、大上 敦士は、このクラスメイトで腐れ縁で因縁の相手で広猟の従兄妹の未谷 弥月が好きなようです。
だって今キュンって言ったぞ、俺の心臓。
「あー…何でもない。」
「え?だって顔赤くない?」
「寒いだけだ、未谷だって鼻の頭赤い…てか、鼻水出てるぞ。」
「嘘!?」
「マジ。」
急いで鼻を抑える未谷マジ可愛い、もういい、開き直る。
開き直ったからには、さっさとコイツを攻略しなくては。
「はい、ティッシュ。」
「あ、ありがとー、雪月。」
…この最強セコムに邪魔される前に……もう大分遅いかもしれないが。
この日から、俺の長く厳しい戦いが始まるのだが、俺は知らない。
一年後、見事終戦を迎えたと思っていたら実は停戦で、本丸は落ちていなかったことを。
二年後、本丸に攻め入られ無条件降伏することを、今の俺は知る筈もなかったのだった。
これにて五テーマ目終了!
拙い突発的な話にも関わらず、本日までお読み頂きありがとうございました。
次はもう少しレベルアップして投稿できたらと思っています。
不束者ではありますが、来年も宜しくお願いします。