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Advent Calendar 2015  作者: 葉月 未兎
第五幕 始まりのクリスマス
21/25

第一話「教会の讃美歌」

大聖堂にパイプオルガンの音色が響き渡る。

遂に合唱会夜の部も佳境に入り出したのだった。



20XX年12月24日22:45



「Go tell it on the mountain,Over the hills and everywhere,Go tell it on the mountain,Our Jesus Christ is born.

 When I was a seeker I sought both night and day,I asked the Lord to help me,And he showed me the way…。」


世界に告げよ、野を越え山越え「救いの君は 来たりましぬ」と。

罪を重ねて悩む我を、君は許して導き給う。


聖書のストーリーを歌う「Go Tell It on the Mountain」が始まれば、あとは休憩と休憩替わりの牧師(神父?)の説教。

そして終わりの「サイレントナイト」を含めて5曲程で夜の部も終了だ。


「にしても、いつ聞いても凄いよなー。

 声楽部のクリスマス合唱会。」

「なー?特に制服!!

 ブレザーもいいけど、聖歌隊のあの衣装もイイ!」

「でた、渡辺の服フェチ。」


次の配色の手順を確認しているとどこからか聞こえてきた話し声。

スピーカーの真後ろという位置故に、観客には一切聞こえていないらしく誰もそちらを気にする様子は無い。


「俺はあのスカートから除く足首だな。」

「キャソックな、正確にはキャソック風ワンピース。」

「特に未谷の足首がやばい!あいつストッキングだがら、こう…艶めかしいっていうか!」

「ストッキング風タイツ、な。

 確かにあいつ着こなしいいよなー、ボン・キュッ・ボン!とかグラマーな体型って訳じゃ無いのに。」


確かに渡辺の言う通り、声楽部の中で一番聖歌隊隊服が似合っているのは未谷だろう。

身長も身体つきも標準だが、標準故にかえって隊服を際立たせている。


「大上、大上。」

「なんだ。」

「手の中の資料がめちゃくちゃになってるぞー。」

「は?」


言われて手元を見れば、確かに広猟の言う通り手元の資料が見るも無残な形になってしまっている。


「あいつらだ言ってることなんて気にすんなよ。

 所詮男子中学生の当たり前の下世話な会話だ。

 一々気にしてたら埒が明かないぞー?」

「…別に、気にしてなんか…。」

「でも苛々してる、だろ?」


広猟に指摘され改めて自分が苛立っていることに気付く。


確かに渡辺らの話を聞いて不愉快にはなった。

しかしそれに未谷は関係無い。

これは…きっとあれだ、この厳粛な雰囲気を壊される会話を聞いたから、だから苛々しているんだ。


そう納得した俺は、次の曲に合わせてライトの色を変える準備に取り掛かったのだった。

それを見ていた広猟の目が呆れているのにも気付かないで。

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