第五話「来年こそは恋人と過ごすからっ!」
輝くイルミネーションをバックに蹲ったままの二人は口付けを交わした。
その風景に何故か心抉られ、俺達はその場を後にしたのだった―――。
20XX年12月24日18:30
『非モテ三銃士』という称号を与えられていたショックから心神喪失になっていた俺はいつの間にか自宅の最寄り駅の公園にいた。
ブランコに乗りながら缶コーヒーを啜る様は、正に振られた男だろうか。
「まあ、そう落ち込むな。」
「後呂…。」
「そうですよ!何も未谷先輩だけが女の人じゃないんですから!!」
「樽美…別に俺は未谷のラブシーンを見たから傷付いている訳じゃ…。」
「それにいくら的を得ていたからって一々落ち込んでいたらきりがないですよ。」
「荒は黙ってろ。」
「鈴木先輩は黙ってて下さい!」
樽美は兎も角、普段はフォローを一切行わない後呂の気遣いが目に染みる…。
「ちくしょー!!来年こそは!恋人と過ごしてやるんだぁぁぁ!!!」
ブランコから飛び降り高らかに宣言する俺に荒は呆れを、後呂は哀れみを、樽美はエールを送ったのだった。
彼は知らない。
チャラいが誠実で実は純情ロマンチストというギャップから女子連中からモテモテだということを。
そして純情ロマンチスト故に変な女に引っかからないように!と荒達が目を光らせている為恋人ができないことを。
故に来年も彼女無しのクリスマスを送ることになることを、彼だけは知らないのだった…。
これにて二テーマ目終了!
次は再び大上達の話に戻ります。