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1-7 銃弾の帰る場所

それからしばらく歩いた先に隊舎はあった。


「ここが俺らの隊だ。まあ遠慮せず中に入って」


久野さんに促され僕は中に入り、そのまま隊長室と看板が掲げられた部屋へと案内された。


「うわぁ~これが隊舎の中にある部屋か~」


結構立派だな~って思った。

僕が部屋を見てると久野さんは奏佳をソファに寝かした。

それから水瀬さんを殴って叩き起こした。


「うぎゃ!!いてぇんだよ!!もっと優しく起こせよ、こら」


「ぎゃあぎゃあうるさいんだよ!!早く事情を説明してやれよ。この子が困ってんだろうが!!」


久野さんは僕を指さして言った


「おお、悪い悪い。まあ適当に座って」


水瀬さんは思い出したかのように言うと、僕に座るように促す。


「あ、はい。では遠慮なく」


僕は適当にソファに座った。


「俺はちょっとそいつの傷の治療のための救急箱取ってくるわ」


久野さんはそういうと部屋の奥に行ってしまった。


「で、なにがわからない?」


水瀬さんは隊長席みたいなところに座り、僕に訊ねた。


「え、えとじゃあ・・・」


聞きたいこともあるが同時にわからないことも多すぎて何を聞いていいかわからない。


「緊張なんてしなくてもいいですよ。相手はバカ隊長ですし」


僕が混乱し、またガチガチに緊張している中で、木景さんが突然空間の中から現れた。


「うわぁ!?」


「おや、びっくりさせてしまいましたか?すみません」


木景さんが頭を下げてきた。


「い、いえ大丈夫です、はい」


確かにびっくりしたが、先ほどの戦いを見たせいか、あんまり気にならなかった。


「そうですか。それでは続きをどうぞ」


「は、はい。じゃあ水瀬さんって何者なんですか?」


なんて聞いたらわからなかったから直球で聞くことにした。


「ん?隊長だけど?」


「は、はぁ?」


さっぱりわからない。


「じゃ、じゃあ何隊の隊長さんなんですか?」


「隊名?なんてったけ?銃蔵だっけ?」


水瀬さんは木景さんの方を見る。


「『銃弾の帰る場所』です。バカ隊長が決めたんでしょう?」


「ええ~~~!?」


ま、まさか水瀬さんたちが『銃弾の帰る場所』の人たちだったなんて


「何か驚くところあった?木景」


「さあ?」


しかもこの人たち自分たちがすごい人たちだって自覚がない。


「す、すみません。まさかSランクの学園3位の隊だと思っていなくて」


「まあそんなに気にすることないよ。っていうか君はもううちに入ったんだから堂々としていないとね」


しばらく僕は無言になった。


「すみません。もう一度言っていただけませんか?」


「だから君はもう『銃弾の帰る場所』の一員だよって」


「・・・・・・・ええ~~~~!!」


僕は思い出してみた。



≪ねぇ?うちの隊入る?君みたいな面白い子なら歓迎するよ?それに入るなら今この争い終わらせてあげられるし≫


≪入ります。この争いが終わるなら≫



「あ!言った。確かに隊に入るって言った」


「思い出した?」


「でも、あれってあの場を鎮めるための嘘じゃなかったんですか?」


学園3位の隊が僕なんかを勧誘するとは思えなかったからだ。

ましてやこの『銃弾の帰る場所』は誰も勧誘していないことで有名だ。


「嘘?なんで?」


「だって僕なんて弱い奴を水瀬さん達みたいな強い人たちが集まる隊に勧誘なんてしないでしょ?」


「ははは。弱い強いって俺はどうでもいいんだよ。おもしろかったらそれで」


水瀬さんの顔を見れば本当にそれ以外の理由はないみたいだと思えた。


「・・・すみませんけどこの話なかったことにできませんか?」


僕はこの話をなかったことにしてもらおうと思う。

それにはいくつか理由がある。


1つ目に僕には実力がないこと、隊では個人の強さはもちろん総合的な強さが求められる。

さっきも言った通り、水瀬さん達は強い。

そんな中に僕なんかが入るといい足手まといだ。学園ランクを争う際にはきっと僕は邪魔になる。


2つ目に僕には1つ下の妹がいる。

その妹は結構病弱で父と母は出張続きのため家には僕と妹しかいない。

そして妹が体調を崩したときは僕が大抵面倒を見ている。

上位の隊になると集団でのミッションでなおかつクリア数まで数日かかるものがある。

ということはひどい場合家を数日開けるなんてことになる。

そうなると、病弱な妹は一人取り残されてしまう。

僕はそんなことだけは避けたい。

学園ランクはあまり高くなくて、ミッションでも個人で軽い物、数時間あれば終わるものの方がいい。


だから『銃弾の帰る場所』のように高ランクの隊には入りたくないのだ。


「なかったことにか・・・なんか理由でもありそうだね」


水瀬さんは本当に聡明な方だなと思った。僕の顔を見て何かきちんとした理由があると理解してくれている。


「実は・・・」


「あ、わかった!!

 アレだね、女の子要素が足りないといいたいんだね!?

 そうなんだよ、うち女の子いなくてさ。思春期の男子にはつらいよね。

 でも大丈夫。

 いつかいい出会いがあると思うよ、元気出して」


・・・前言撤回。この人相当なバカだ。


「違います。実は・・・」


僕がこの隊に入りたくない理由を言おうとしたとき、突然隊舎の扉が開いた。


「水瀬、ここに先ほどの騒動の主犯格がいるそうだな。

 出せ。

 学裁に連行する」


扉を開けて入ってきたのは、入学式のとき壇上であいさつをしていた人、そう赤火 猛さんだった。

赤火さんの後ろには『紅蓮の業火』のメンバーであろう人が2人付き添っていた。


「どうしたの?いきなり入ってきて。なんか問題でもあった、赤火先輩」


水瀬さんは赤火さんが入ってきたことに動揺する様子もなく、さっきまでのしゃべり方と同じように返した。


「ここに先ほど『闘牛の突撃』と問題を起こした生徒が2人連れ込まれたと聞いた。

 問題者を匿うなど一体どういうつもりだ、水瀬?」


「おもしろそうな子だったから勧誘をね?」


「勧誘だと?貴様らが?」


「もちろん」


水瀬さんは胸を張っていった。


「ほう、貴様が勧誘するほどのやつとはな」


赤火さんは僕の方を一瞥する。


「こいつをか?」


「YES!神谷 柊太っていうんだよ」


「ど、どうも」


僕は軽く頭をさげる。


「ふん、そんなことはどうでもいい。

 そいつの処分は学裁で判断する。

 そしてあと一人の女はどうした?」


赤火さんはそういうと辺りを見回す。そしてソファで寝ている奏佳を見つけた。


「その女か。

 おい、おまえら連れていけ」


彼がそういうと一人は僕の方に、もう一人は奏佳の方に向かった。


「ちょっと待ってもらえるかな?」


そんな中水瀬さんは僕が赤火さんの部下に捕らえられる前に僕の前に立った。


「邪魔をする気か?」


赤火さんの周りが揺れたように見えた。

そして普通なら感じることもできない元素宿さないただのミナトを大量に噴出させてきた。

僕は恐怖を覚え、座り込んで立てなくなってしまう。


「まあまあ殺気を抑えて、あとそのミナトも。

 別に邪魔なんてする気はないよ。

 ただ柊太君はもうこの『銃弾の帰る場所』の一員だ。

 手を出すならここにいる、みんな黙ってないよ?」


水瀬さんがそういう頃には僕に向かってきていた赤火さんの部下は突然空間から現れた鎖に捕らえられていた。


「まあ隊長はバカだけど、こういうときは立てとかないとね」


木景さんがにっこりと笑う。

そういう木景さんの近くではいつの間にか戻ってきていた久野さんが救急箱を近くに置き、トンファをだし、臨戦態勢でいる。


「・・・」


赤火さんは無言で水瀬さんを睨む。一触即発の空気が漂っている。


「まあいい、そいつはお前の顔に免じて連行は許してやる。判決はおって伝える」


「お手柔らかにね?」


水瀬さんはニッコリと笑っていった。


「だがそっちの女は別だ。

 貴様の隊の一員でもなければ、話によると競技棟で最初に手を出し、その後も暴れたと聞く。

 その女の連行はたとえ貴様であっても邪魔はさせんぞ!」


赤火さんは『銃弾の帰る場所』のメンバーを見る。


「うん。その子の連行の邪魔はもう僕にはできないね。

 木景、その人もう離してあげていいよ」


水瀬さんはそれだけいうと隊長席に戻った。

木景さんもそれに無言に応じ、縛っていた赤火さんの部下を縛っていた鎖を空間に戻す。


「連れていけ」


赤火さんもそれだけ言うと、隊舎から出て行こうとする。

赤火さんの部下も奏佳を抱きかかえるとそれに続こうとする。


「ちょ、ちょっと待ってください」


僕は叫んでいた。そうしないと奏佳を連れて行かれてしまう。


「なんだ?貴様は水瀬が庇ってくれたんだ。これ以上騒ぐようなら、また罪が増えるぞ」


「奏佳を連れて行かないでください。奏佳は僕を庇ってくれただけなんです。」


僕は必死に訴える。


「それがどうした?騒ぎを起こした事実にはかわりない」


しかし赤火さんは聞く耳を持たない。


「その騒ぎも僕と『闘牛の突撃』のみなさんが起こしたんです。

 奏佳は僕に巻き込まれただけなんです。

 だから学裁には連れて行かないでください。」


先ほどから出てきている学裁とは学園裁判所の略で、学園内での悪事を裁くところである。

学裁はどこの学園にも存在するのだが、この学園の学裁はちょっと特別で、普通学裁は学園の先生たちが取り仕切っているのだが、この学園では生徒が取り仕切っている。

学園で最も強いとされる人を代表として、そう赤火さんを代表として。

そして噂では赤火さんの判決は大概が大変厳しい采配と言われている。

今回のような騒ぎなら、停学、最悪は学牢となるだろう。

ちなみに学牢というのは学園のある牢屋で罪を犯した生徒を入れておく場所である。


「くだらん、それだけか?それだけなら俺はもう行くぞ」


赤火さんはそういうと僕には見向きもしないで、行ってしまおうとする。


「く、くそぉ!!!!」


僕は水のミナトで騒ぎのあったときに使ったように拳に水のミナトを宿し、赤火さんに殴りかかる。


・・・そう、学園最強に。


「・・・ふん」


赤火さんは僕の方なんか見ないで軽く腕を後ろに振っただけだった。

それなのに僕はなすすべもなく吹っ飛ばされた。

吹っ飛ばされた僕を久野さんが体を張って受け止めてくれた。


「雑魚があがくな!!」


赤火さんがそういったのだけは聞こえた。僕の意識は遠のいた。



とりあえずここまでです。

今のままでは読みにくいかもしれません。

また読みやすいように編集します。

連続更新すみませんでした。

今後はゆっくりと自分のペースで更新させていただきます。

ここまで読んでくださってありがとうございました。


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