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1-4 幼馴染登場

倭堂院君の紹介により僕らの中に静寂が訪れている中突然勢いよく教室のドアが開いた。


「ちょっと、どういうこと。なんで私だけ別のクラスなのよ!!」


ポニーテールをした一人の少女が入ってきた。入ってきた少女は真っ直ぐある人の元へと歩いていった。・・・・そう僕のところに。


「説明しなさいよ、シュウ。

 なんで私だけ別クラスなのよ。

 そいつは一緒なのに。

 私一人退屈だったじゃないのよ。

 っていうか何よ、この空気。暗!!」


勇人を指差した後、彼女は僕の胸倉をつかんで叫んだ。


「お、落ち着いて、奏佳。あと、そのテンションは今の空気に全くそぐわない」


彼女は『宮野みやの奏佳そうか』。

僕とは幼馴染という関係で親同士が仲が良いからということで、3歳のころから一緒に遊んだりしていた。そして初過程、中過程の学園とすべて同じところに通っていた。

そう、この学園にも。ただクラスは別だったのだが・・・


「ああ、うん。

 で、なんでなのよ?

 なんでアンタ達は同じクラスで、私は別なのよ!」


「あ、そっち」


「そっちも、どっちもないわよ。さっさと言え、シュウ」


すでに僕の胸倉をつかむのはやめ、その怖い剣幕だけとなっている。・・・十分迷惑だけど


「そんなこと僕に言われても困るよ。

 っていうか別にいいじゃない、別のクラスでも。」


「いいわけないでしょ!!」


「な、なんで?」


「ぬぬぬ・・・もういいわよ。シュウのバーカ!!

 火球にでもぶつかって吹っ飛ばされちゃえ!」


彼女はそういうとその怖い剣幕を抑え、いつもの表情になった。


「ところで何よ、この空気。えらく暗いじゃない。なんかあったの?」


「ま、まあね。深くは聞かないで」


僕はちらっと倭堂院君のほうを見る。


「ふ~ん。ま、いいわ。こっちは要件だけ伝えれればそれでいいし」


「よ、要件?」


僕は顔を強張らせながらも聞き返す。

なぜ僕が顔を強張らせるかというと奏佳の要件に僕が得となるような要件は存在しないからだ


「なによ、その顔は。まあいいわ。放課後、残っといて。先に帰ったら死刑だからね」


彼女はそれだけいうと、自分の教室に帰って行った。


「柊太、ご愁傷様。」


後ろから僕の肩に乗せた勇人の手を握りつぶしたいとおもった。

それから空気は少し和らぎ、ところどころで会話が聞こえてくるようになった。

会話の中には隊の話やこれからの話がほとんどで、僕も後ろの席の勇人と話していた。


「勇人はやっぱり『紅の丘』に希望出すの?」


「おう。今日隊の方に行ってくるぜ」


入隊は基本直接その隊に出向いて、入隊の意思を伝える。そこで隊によって面接をしたり、試験をしたりするわけである。


「へぇ~。僕は・・・・奏佳に待ってるように言われてたんだった」


「ははは。どこに連れて行かれるんだろうな?まあ女子ばっかりの隊に連れて行かれないことを祈るんだな」


「そうするよ」


「おーい、席に着け。」


僕らがそんな会話をしていたら、先生がドアを開けて入ってきた。

それを見た生徒たちも席に着き始める


「今から専行授業の紙を渡す。自分の専行したい授業を選んで提出しろ」


専行授業というのは自分のミナトに応じた授業を選択できるシステムだ。


ミナトには大きく分けて2つある。

1つは潜在的なミナト。もう1つはミナトの形態がある。


1つ目の潜在的なミナトには自分のミナトに適した元素を扱うというものがある。

元素には火、水、風、土、雷があり、各個人のミナトによってどの元素を扱うに長けているかが決まっている。

また元素を扱う以外にももう1つ特殊のミナトというものがある。この特殊のミナトを持っているものは基本元素を扱えない。

その代り、元素を使用しても絶対に実現不可能な・・・・・・・・能力を持っている。代表例としてはミナトの無効化や空間の制御等がある。しかしこれらのミナトを持つものは普通の元素を扱う者達と比べて数が少ない。しかし、ミナトの無効化の能力を持つ人は使う形態は様々だが世界にも何人もいるし、空間制御も使えるレベルはまちまちでもそれなりにいる。

しかしこの世にたった1人しか発現していない特殊のミナトを持つ者は世界で5人しかいない。この5人の特殊のミナトは他の者と比べてもより一層特殊で、中には国家機密とされているものまで存在している。


2つ目のミナトの形態には、自分のミナトを攻撃に生かすか、防御に生かすか、補助に生かすか、などがある。

こちらは潜在的なミナトと違い、自分が成長させたいと思えば好きなように選べる。まあ大体自分の使用できる元素によって選べる形態は限定されてくるのだが。


「専行授業か~。どうしようかな。勇人はどうするの?」


「ん?ああ、俺は火のミナトだから、まあ火の授業だな。後は形態だけど、俺は攻撃&防御にしようかなって思ってる」


「へぇ~。勇人が防御にも関心を示すなんて珍しいね」


勇人は昔から火のミナトを得意の斧に宿して、攻撃力を増加させてガンガン攻める戦い方を得意としている。

だから防御の授業を受けるなんて珍しいのだ。


「まあな。隊の方で攻撃と防御両方教えてもらうだろうから、最低限の防御の基礎知識は必要かなって」


「ああ、そういうこと。」


「で、柊太はどうすんだ?」


「僕は水のミナトだから、水の授業で、形態は・・・どうしようか迷ってる」


この高過程の学園での形態の選択は、小過程や中過程とは違い、選択によって今後の自分の進む道を大きく変えてくる。

よって少し慎重になってしまうのだ。


「お前の性格だったら、防御&補助でいいんじゃないか?」


「そうなんだけど、ちょっと今別の選択も考えててね」


「どんなのだ?」


「全選択」


「はぁ?バカかお前」


僕の言った全選択は勇人の言った通り、実際はとてもバカな選択なのだ。

実際攻撃、防御、補助をすべて均等に成長させていくなんて不可能だ。

なぜなら

攻撃なら勇人のように武器を強化するもの、自分自身を強化するもの、魔法としてしようするものなど、

防御なら防御壁を作ったり、結界を作ったり、相手を拘束したりするものなど、

補助なら物理的・精神的回復、特殊な状態の回復、味方の強化など

攻撃、防御、補助といってもさらにそこからたくさん分岐していくのだ。だから全選択では基礎がすべて中途半端になり、応用なんてもってのほか。選択肢としては存在しているのだが誰も選択しない。


「うん、たぶんバカなんだろうけど、でもやってみたいって思うんだ」


「・・・まあ、俺はもうこれ以上は言わないけど、途中で挫折してこの学園を辞めるなんてことだけはするなよ。」


勇人はそれだけいうと自分の紙を提出しに行った。

そして僕も全選択に丸を付けて提出しに行った。

そのとき丁度倭堂院君も提出しに来ていた。


「・・・・・早くだせよ」


「あ、うん。」


僕が先に出すと、彼はそれに続いて自分の紙を出す。

そのとき彼は僕の紙が見えたみたいで、目を大きく開いて僕を見た。


「え、えっとなに?」


「・・・・・ちっ」


彼は舌打ちだけすると自分の席に戻っていった。


(自己紹介のときあんなこと言ってただけに、ふざけてるって思われたのかな?)


僕も自分の席に戻った。それから最後の人の提出が終わった。


「それでは今日はこれで終わりにします、解散してください。」


先生はそういうと教室から出て行った。



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