1-1 始まりの朝
ここから物語の始まりです。
どうぞ見てください。
「ここが桜木学園。僕が今日から通う学校。」
一人の少年が学園の門の前で言った。
彼の名前は『神谷 柊太』。年齢は15歳。
おとなしそうな雰囲気をしており、まだ若干子供だと思える顔立ちをしている。
そしてそんな彼は今年からこの学園に通うことになった。
「しかし、自分で言うのもなんだけど、よく合格したと思うよ」
柊太はうんうんとうなずく。
この桜木学園は実はこの王国『グラニーゼ』では有名な学園だ。
人間の不思議な力『ミナト』の量が多い者たちが集まってきている。
ミナト=人間の強さと言われている。
すなわちミナトの扱いが長け、ミナトの量が多い者は国でも重宝されている。
そう、魔物と戦うために。
「なに、感慨にふけってんだよ!!」
だれかが僕の背中をバシッと叩いてきた。
「痛いな。やめてくれよ、勇人」
僕は背中をさすりながら背中を叩いてきた人物を見た。
彼は『北野 勇人』。
5年前ぐらい前からの友達だ。悪友といってもいい。
「ははは。まあそういうなよ。早くいこうぜ、クラス分けが楽しみだ。
またお前と一緒のクラスになれるといいな」
彼はそういうと校舎に向かって歩き始めた。僕もそのあとに続く。
「たぶん一緒のクラスだと思うよ。もうかれこれ5年も同じクラスなんだから」
彼とは前の、中過程の学園のさらにその前、小過程の5年生からずっとクラスが同じなのだ。
「だろうな。・・・ところでさ、お前ってもう入る隊とか決めてる?」
「いや、まだだよ。どの隊に入ろうか迷っててね」
僕は苦笑いで返す。
この学園には『隊』というもの存在する。
この『隊』というものは、学園の生徒が一つのチームとなって集まるもので、隊に入るといろんな恩恵が得られる。
1つはミッションだ。この学園のシステムは勉強などのカリキュラムも存在するが、何よりもこのミッションっていうのが密接にかかわってくる。このミッションにはカリキュラムと同様に単位が存在する。
すなわち生徒は学園から与えられるミッションをクリアしないと卒業どころか進級すらできないのだ。
そしてこのミッションには「学園から生徒に提示されるもの」、「学園から隊に提示されるもの」、「国から隊に提示されるもの」がある。
そろそろ察しがついているかも知れないが、学園から生徒に提示されるものは難易度が低いかわりに、たくさんクリアしなければならない。
しかし学園や国から隊に提示されるものは難易度が高く、1つのミッションで学園から生徒に提示されるミッションで得られる単位の10倍の単位が得られるようなものもある。
そういったミッションには隊に入っていないと受けることができない。
「でもさ、ほんと憧れるよな~。
強い隊に入れば先輩たちからいろんな技術も教えてもらえるんだぜ?
それでさ、学年1位とかになれたら将来は安泰だぜ?」
「ははは。でもそんな強い隊には特待生ぐらいしか入れてもらえないんじゃない?
少なくとも僕らみたいにギリギリ合格の連中は門前払いくらっちゃうよ。」
彼らの言う『強さ』。
それが隊に入って受けられる恩恵の2つ目だ。
隊や生徒にはその強さに応じて『ランク』というものが与えられる。
ランクはG~Aとなるごとに強くなり、最も高いランクとしてSがある。
ランクが高ければそれだけ難易度の高いミッションを受けることもできる。
そして隊のランクが高かったり、隊員のランクが高いということは隊が強いということにもなる。
そしてそういった隊は新入りが隊に入隊してくると、隊員を強くしようと、育てる傾向がある。
強いメンバーを保持している、それは隊の強さの証となる。
すなわち「1年生の学年1位を保持しています」、ということはそれだけ自分の隊は強いのだと言えることになる。
「勇人はもう決めてるの?」
僕は勇人の隣を歩きながら、そう聞いた。勇人は僕の方を見るとニカッと笑い
「ああ、もちろんだぜ。俺は『紅の丘』に入隊希望出してみようと思う」
「ええ~!!『紅の丘』っていったらAランクの学園8位の隊じゃないか?そんなところ入れるわけないよ」
「ふふふ、それがな、『紅の丘』のメンバーの中に兄貴の友達で、昔から仲良くしてくれてる人がいるん だ。
その人が、その気があるんだったら隊長に口添えしてくれるって。」
勇人は自慢げに胸を張っていった。
「いいな~。僕もどこか良さそうなところ探さないと・・・。
そうしないと『法皇の連夜祭』を見れなくなっちゃう」
隊に入って得られる恩恵の最後の1つ、それは『法皇の連夜祭』の観賞にある。
『法皇の連夜祭』とはこの学園の目玉とも言える武闘会である。
この武闘会には、上位16つの隊が出場し、1位を争う。
そしてこの大会は王国『グラニーゼ』の民で将来魔物と戦ったりする職業に就こうと思っている者なら誰もが憧れ、参加したいと思う大会である。
それだけ隊のメンバーたちの戦いは熱く、激しいのだ。たとえ参加することができなくとも、間近で見ることができるだけでも光栄なのだ。
そしてその観賞するための条件、それが隊に入隊していることなのだ。
隊に入隊していればランクに関係なく観賞することができる。
よってこの学園に入学するものはたとえ弱小の隊であってもこぞって入隊しようとするのだ。
「そうだぞ、柊太。早く入隊しないとダメだぞ。アレは今月中に入隊しないと席が用意されないからな」
「そうだね~。とりあえず隊員募集の冊子でも見ておくよ。どこか良い隊ないかな~」
「『銃弾の戻る場所』とかに入隊希望出してみたら?」
「ええ~、無理だよ。
だってあそこはSランクで学園3位で、しかも変人の集まりだって噂じゃん。
去年も枠にはまだまだ余裕があるはずなのに、たくさんいた希望者をほとんど落して、結局一人しか取 らなかったって言う噂でしょ?」
「まあ、でも試してみたらいいじゃん。
入隊条件が隊のメンバーと相談だけとか本人の強さに関係ないっていう隊なら運よく入れるかもよ?」
「お気楽に言ってくれるよ、ほんとに、もう」
僕らはそんな話をしながら、校舎へと入り、自分たちのクラスを確認し、クラスへと向かった。・・・やっぱり勇人とは一緒のクラスだった。
前回の設定はほとんど関係してきませんでしたが、いずれ関係してくるので、頭の片隅にはおいてくれているとうれしいです。投稿日及び字数はランダムです。申し訳ありません