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2-5 柊太の過去


家村さんと僕は僕が襲われた現場に来ていた。

ここには爆散した木の後しかなかった。


「『闘牛の突撃』の人たちはもう回収されたんですね。

 噂で聞きましたけど、『闘牛の突撃』は解隊になったんですよね?」


家村さんと無言の空気で現場検証は嫌だったので、なんとか話を振ってみる。


「知らん、興味がない。」


話が終了した。

・・・しかし僕は諦めない。


「今日の家村さんの攻撃すごかったですね。

 あんな多くの人を一気に倒してしまうなんて・・・」


「くだらん、とっとなにかないか調べろ」


僕には家村さんとコミュニケーションをとることは不可能なようだ。


僕達はそれから無言で現場現象を続けた。

・・・家村さんってあまりしゃべるのが好きじゃない人なのかな~


「おい」


『銃弾に帰る場所』にはまだあったことのないメンバーがいるけど、みんな家村さんみたいだったらコミュニケーション取れないだろうな~


「おい!!」


僕は不意に肩をつかまれた。

振り向くと家村さんの顔があった。


「は、はい。なんですか?」


「さっきから呼んでいたんだが?」


「す、すみません」


僕を呼んでたのか・・・。

全然気づかなかった・・・


「ど、どうしましたか?」


「お前があいつらを最初にみた場所に案内しろ」


僕が『闘牛の突撃』を最初に見た場所・・・最初に見た場所・・・最初・・・


「・・・すみません。

 詳しく覚えていません」


「・・・はぁ~」


家村さんはため息をついた。


「とりあえずこの森を歩き回るから見覚えのある景色を見たら教えろ」


家村さんはそういうとてきとうに森の方に向けて歩きだした。

僕もその横に付き添うような形で歩き出す。



「・・・なんでお前はこの学園にはいった?」


突然聞かれた。

僕は驚きのあまり口を開けて呆然としてしまった。

・・・まさか家村さんの方から声をかけてくるなんて・・・


「は、はい、え~と・・・僕がこの学園に入った理由はみんなを守れるぐらい強くなりたいからです」


僕はそう答えた。

家村さんは何も言わない。

続きを言えということで考えていいのだろうか・・・。



僕は少し迷ったが言うことにした。


「・・・・・僕がまだ小さかった頃、一度家が火事になったことがあったんです。

 原因はわからなかったんですが、その時僕は大事なものを失ってしまったんです。

 あ、家族はみんな生きてますよ。

 家族はその時妹を病院に連れて行ってたんで、家にはいなかったんです。

 だから大丈夫だったんですが、僕と、もう一人。

 友達が一緒に遊んでたんです。

 僕たちが遊んでいた時に、火事は起きたんです。

 突然庭が燃え出して、僕とその友達はうろたえてしまって、逃げ遅れてしまったんです。

 逃げ遅れて、死んでしまうはずだったんです。

 でもその友達が僕を庇ってくれたんです。

 どうやって僕を火の中から外に出したのかは知らないんですけど、病院でその友達は死んでしまったということを聞かされたんです。

 僕は自分の無力さで友達を失ってしまって、落ち込んでしまったんです。

 でも、そんな時ある人が僕を励ましてくれたんです。」


今の僕はどうかしているのだろうか?

言葉がどんどん出てきてしまう。

止められない。

こんな話を誰かにしたところで意味なんてないのに・・・


「新しい家にいるのが辛くて、近くの公園のブランコで朝から揺られていました。

 昼を少し回った時くらいかな、男の人が僕に声をかけてきてくれたんです。

 その人の事を僕は覚えていないんですが、ただ背が大きくて、黒い帽子とマントをつけていました。

 その人が僕に

 『己の無力が悔しいか?悔しいなら強くなれ!お前はその素質がある。その素質を大いに振る舞い、強くなれ。』

 っていったんです。

 確かに僕は当時は周りより少しミナトの量が多かったので、もっと鍛えればもっと強くなれると思って鍛えてきました。

 でもやっぱり限界はあったんです。

 どんなに頑張ってもなかなかミナトの量は増えないし、うまく扱えませんでした。

 でもそんな時勇人・・・今の親友からこの学園の話を聞いたんです。

 それから『法皇の連夜祭』の映像を見ました。

 その時この学園なら僕はもっと強くなれるんじゃないかって思しました。

 だから僕はこの学園に入ったんです。

 みんなを守れるくらい強くなるために」


僕は歩いている中、一人で長々と話してしまった。

しかし家村さんは一言も話さず、僕の言葉に耳を傾けてくれた。

僕もなんでここまで話してしまったのかわからない。

でも・・・話して悪かったとは思えなかった。


「そうか・・・。

 ならなんでこのミッションを受けることを渋った?」


僕は嫌なところをつかれたなと思った。

確かに強くなるためなら、どんどん難しいミッションを受ければいい。

妹のこととかも除いて、ただ強さを追い求めればいいのだ。

でも僕はそれをしなかった。それには理由がある。


「それは、僕は『中途半端』に出会った時は、それをやり通してやると思ってるからです。」


「中途半端をやり通す?」


やっぱりこれだけでは伝わらないか・・・。

まあ当然と言えば当然だが。


「はい。僕は中途半端をやり通して完遂してみせます。

 僕は専行授業で全選択を選びました。

 それは自分を中途半端に鍛えてしまうだけです。

 でも僕はそれをやり通して、中途半端を完遂して、中途半端でなくして見せる。

 今回なら、確かに妹の事を無視してでも強さを求めればいい。

 でも僕はそんなことはしない。

 僕は妹の事が心配です。

 だからいつでも妹の隣にいてあげたい。

 そして妹の隣いていながらも僕は強くなって、自分の大切な人を守れる強さも手に入れる。

 ・・・まあそれは『銃弾の帰る場所』のみなさんがフォローしてくださったおかげで、中途半端にはならず、ミッションに集中してできていますが」


「・・・・・」


家村さんは無言で足を進める。

僕もそれに続く。

やがて少しずつ話し始めた。


「この学園には選ばれたものしか入ることができない。

 それはお前が知っているとおりミナトの高い者だけだ。

 戦闘で使えるミナトを有している者ということだな。

 この世の中には戦闘で使えるだけのミナトを有している者は少ない。

 実際問題この学園には1500人の候補生がいるが、本当の強さを、魔物と対等に戦い続けられるほど強さを持つ者はわずかしかいない。

 他の学園ではさらに激減する。そのことは知っているな?」


「はい」


学園にはいくつかパターンがある。

中過程までは皆同じ授業を受けるのだが、高過程になると道は分かれる。

商業などを重点的に教える学園。

武器を作る技術を教える学園。

戦闘ではない補助のミナト、医療を教える学園。

各国の政治を教える学園。

そして僕らが在籍しているこの『桜花学園』のような戦闘を教える学園

となる。

その中でも、政治を教えるもの学園、戦闘を教える学園の数はかなり少ない。

他の学園が30校以上あるのに対し、政治を教える学園は1つ。

戦闘を教える学園は4つしかない。

そしてこの『桜花学園』はその4つのうちで最も強いとされている。

その学園ですら本当の強さを手に入れられるものは毎年300人入る中でも、10人程度。

この学園に入ればそれなりの強さを手に入れることは約束されているが、本当の強さは簡単には手に入らない。

この学園でそうなのだから、他の学園では毎年1人いるかどうかだろう。


「この学園に入ったからには強くならなければならない。

 なぜなら俺たちが強くならないと、他のやつらは魔物に食われるだけの存在になる。

 確かに商業や工業は大事だ。

 だが彼らはそれらの知識を得る代わりに、自分の力で戦う術をなくしてしまう。

 だから俺たちはそれらを守らなければならない。

 俺はそう考えている。お前はどうだ?」



そんな問いに対する答えなんて僕には一つしか持ち合わせていない。


「僕もそう思います」


はっきりそういった。家村さんはそれ以降何も言わなかったが、心なしか嬉しそうにしているように見えた。・



編集に時間かかってしまいました。

誤字、脱字、文法間違いなどがあっても目を瞑ってくださいお願いします(^_^;)

読んでくださってありがとうございました

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