2-2 一発の銃弾
「はあ・・はあ・・なんでこうなったんだろう」
僕は茂みの中に隠れていた。
あれから桜澤さんと別れたのはいい。
しかしその後少し離れたところで、たむろしていた『闘牛の突撃』のメンバーたちと出会ってしまった。
彼らは僕の顔を見るなり、いきなり闘志をむき出しにして襲いかかってきた。
たぶん昨日のことが原因なんだろうけど、突然襲い掛かられたから、僕は体を林の方に向けると、猛ダッシュで逃げた。
もちろん彼らは僕を追ってきて、探し回り始めてしまった。
「やばい、早くなんとかしないとチャイムが鳴ってしまう」
少し時間には余裕があったとはいえ、こんなところで時間を悠長に潰している暇はない。
僕は茂みからそっと顔を出すとゆっくりと校舎の方に足を向ける。
「しかしあの人たち様子が変だったな。
なんか目つきが昨日の時より怖かったというかなんていうか」
今日襲い掛かってきた人たちは、ほとんどが昨日いた人たちだった。
中には昨日いなかった人たちもいたが、その人たちも僕を襲ってきた。
しかしその際、彼らは興奮状態にあるように僕は見えた。
そして目も据わっていて、殺されるのではっと錯覚するほどに・・・。
「とりあえず、このままじゃ埒があかないな。
ちょっと怖いけど、一気に走るか」
僕がそう言った瞬間、僕の後ろにあった木がボンという音と共に爆散した。
「み~つ~け~た~~!!!」
僕はひたすらまっすぐ走った。
怖かった。
まるで彼は僕を殺そうとしていた。
「なんだよ、なんでこうなったんだよ~」
ぼくは叫びながら走り続けた。
そして僕の視界に校舎につながる整備された道を見つけた。
そこに出てまっすぐ走れば校舎に着く。
そうすれば彼らも追って来られないだろう。
そう思った時、僕は木の根っこに躓いた。
そして顔から倒れこんでしまう。
「やばい、このままじゃあ追いつかれる!!」
後ろを振り返った。
僕に立ち上がって逃げる猶予は残されていなかった。
最初に木を爆散させた男が手にミナトを纏い、僕に殴りかかろうとしていた。
そしてその後ろには他のメンバーたちもいた。
殺される!!
そう思った時、突然銃声が鳴り響いた。
僕に殴りかかってきた人は発する言葉もなく、倒れる。
その後ろにいた人たちも一斉に倒れた。
「ミッション完了」
僕の前方から歩いてくる人がいた。
その人は手に大きくて銃の先端が長い銃、俗にスナイパーライフルと言われるものを持っていた。
「あ、あなたは一体?」
僕は恐怖で足がすくんで動けなかった。
その理由は彼の放った銃弾にある。
彼が放った弾は、おそらく一発。
銃声は一度しか聞こえなかったからだ。
なのに倒れたのは僕に殴りかかろうとしていた人だけでなく、その後ろにいた人たちも全員だった。
もしそれをミナトによって可能にしているなら恐ろしい強さだ。
ミナトを物に纏わす際に、手から離れてしまうような武器だと、その力は激減してしまう。
それはミナトの供給が絶たれてしまうからだ。
ミナトを纏わせるというのは常時ミナトをその武器に供給し続けるということだ。
手に持ったり、体に触れているときは、そこから供給できる。
木景さんのように空間を操り、鎖を出すものについては空間そのものが本人の体の一部と果たす為、鎖には「相手にミナトを使わせない」という力を纏わせ続けることができる。
魔法はまた別で、魔法と物に力を纏わせるのはまた別口の話だ。
しかし弓や銃となれば話は別だ。
矢や弾は体から離れる。
なので矢や弾にミナトを纏わせるのは普通はしない。
放つ前ならば力は弓や銃によって纏わせることができるが、一度撃ってしまえばミナトの供給はされなくなり、威力は相当落ちてしまう。
だから普通は弓や銃の方にミナトを纏わせ、矢や弾の威力を増大させる。
しかし今この人がやったのは違う。
弓や銃にミナトを込めただけでは、これだけの人たちを一度に倒せはしない。
弾にミナトを纏わせ、着弾後力を拡散させたとしか思えない。
そうなれば相当なミナト、供給が絶たれても、全員を気絶させるほどの力を込めたということだ。
また僕にはその力が一切及んでいない。
すなわちただミナトを込めるのではなく、コントロールもされていたということだ。
「俺か?
俺は家村和人。
3年だ。」
彼は家村さんというらしい。
「僕は神谷柊太と言います。
1年です」
僕も名乗る。
「神谷柊太?
ほう、お前が神谷か」
彼には僕に心当たりがあるようで、興味津々の顔で僕を見る。
「僕を知ってるんですか?」
「俺はお前と同じ『銃弾の帰る場所』のメンバーだ。」
「ええ!!!」
僕は大声を出して驚いた。
「話は水瀬のやつから聞いている。
おもしろいやつだそうだな」
水瀬隊長が僕の話を家村さんに伝えていたらしい。
しかし一体どう伝えたら僕がおもしろいやつになるんだろう?
一回あの人に問いただしてみる必要がありそうだ。
「まあそんなことはどうでもいい」
家村さんはそういうと気絶している『闘牛の突撃』の人たちの元へと近づくと、彼らの制服のポケットを調べだした。
「やはりあったか・・・」
家村さんの手にはピンク色の粉が入った袋があった。
「それは一体?」
家村さんは僕の方をじっと見る。
・・・言っていいものか迷ったんだろう、ゆっくりと口を開き始めた。
「これは「リベルテドラッグ」という代物でな。
これは飲んだ者を興奮状態にし、狂戦士化させ、人を襲うようになる。
それは飲んだ本人に関係のあるやつ、関係のない奴関係なくだ。
飲んだ本人は心地よい空間にいるという気分らしいが、実際に体は人を殺すために動いている。
これはオレが今ミッションで追っているものだ。」
僕はやばいことを聞いてしまった気がする。
「まあくわしい話が聞きたければ、放課後隊舎までこい」
彼はそういうと立ち去った。
僕はチャイムが鳴るまでぼーっとしてしまっていた。
チャイムが鳴った瞬間、今までの状態が嘘のようになり、いそいで教室に向けて駈け出した。
素早過ぎる展開、幼稚な文章、途中の長い説明、どれも読みにくかったと思います。
本当にすみませんでした。
しかし最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
最近アクセス数が少しずつ増えてきているのも皆様ののおかげです。
今後もご愛読よろしくおねがいします。